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TradingViewのコミュニティスクリプト「EMA Slope + EMA Cross Strategy (by ChartArt)」のロジック概要や注意点を解説


この記事では、TradingViewのコミュニティスクリプトに投稿された「EMA Slope + EMA Cross Strategy (by ChartArt)」(制作者名:ChartArt)について紹介します。
このストラテジーはユーザー評価値を示すブースト数が4,700を超えており(2023年7月時点)、人気を集めています

1.ロジック概要

3本のEMAと終値を使って買いと売りを繰り返すストラテジーです。
ロングのエントリー条件は2種類あります。

1つ目は、終値が長期EMAを上から下方向に抜けることで、この条件が満たされるとエントリーします。一般的には下落サインと見なされる内容であり、逆張りを採用していることが分かります。

2つ目は、「終値が1つ前の足の終値よりも安い」「短期EMAが1つ前の足の短期EMAよりも小さい」「終値が短期EMAを上から下方向に抜けている」「中期EMAが1つ前の中期EMAよりも大きい」といった条件が満たされるとエントリーします。

終値や短期EMAは、下落を示唆しつつも中期EMAは上昇示唆となっており、押し目を狙う意図が分かります。
ショートのエントリー条件は、ロングの逆です。
これらの取引をドテンで繰り返します。

ロングまたはショートだけでエントリー条件を見ると、トレンド発生時に含み損が大きくなる可能性があります。
しかし、ロングとショートの両方を組み合わせることにより、成績を安定させようとしています。

2.ストラテジーテスター

ユーザーが設定可能なパラメーターは6種類で、このうち売買シグナルに影響するのは4つです。
短期EMAと中期EMAの数字が小さく、短期トレードを志向していることが分かります。

ラメーター設定

 
price close(使用するローソク足の値[終値])
EMA 1 Length 2(短期EMAの計算期間)
EMA 2 Length 4(中期EMAの計算期間)
EMA 3 Length 20(長期EMAの計算期間)
Show Bar Color? オン(上昇時のEMAは緑、下落時は赤で表示)
Show Moving Averages? オン(EMAの表示と非表示の切り替え)

プロパティ初期設定

 
初期資金 100,000(ストラテジーで取引可能な初期資金)
基準通貨 デフォルト(ストラテジーの計算や結果に使われる通貨)
発注サイズ 1取引(取引ごとの枚数)
ピラミッディング 1注文(同じ方向に連続してエントリーできる最大数)

ユーロ/米ドル 日足

ユーロ/米ドル 日足

このストラテジーの制作者は、ユーロ/米ドルの日足チャートで有効に機能するように制作したそうです。
公開は2018年3月で、それから5年以上経過しても有効に機能していることが分かります。
勝率は61.06%、プロフィットファクターは1.26です。

ユーロ/米ドル 4時間足

ユーロ/米ドル 4時間足

ユーロ/米ドルの日足チャートだけでなく、4時間足チャートでも右肩上がりの損益グラフになりました。
目立ったドローダウンもなく、なだらかに上昇していることが分かります。
勝率は62.97%、プロフィットファクターは1.6であり、日足チャートよりも好成績です。

バックテスト総括

バックテストは両方とも右肩上がりとなりましたが、プロフィットファクターがやや低い数値になりました。
このストラテジーはトレード回数が多く、スプレッドやスリッページの状況によっては成績が悪化するかもしれません
パラメーターを変更することで、トレード頻度を調整しつつ成績を向上できる可能性があります。

3.注意すべきポイント

  • ・ドテンを繰り返すため常にポジションを保有することになる
  • ・取引頻度が高く、スプレッドやスリッページへの注意が必要
  • ・通貨ペアや時間軸によって成績向上が見込めそう

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