TradingViewのコミュニティスクリプト「Multiple MACD RSI simple strategy」のロジック概要や注意点を解説
この記事では、TradingViewのコミュニティスクリプトに投稿された「Multiple MACD RSI simple strategy」(制作者名:RyanMartin)について紹介します。
1.ロジック概要
このストラテジーは、MACDを2種類、RSIを1種類、ストキャスティクスを1種類使用しています。
また、ロングとショートでエントリー条件が少し異なるという特徴があります。
ロングのエントリー条件は、2つのMACDでヒストグラムがいずれもプラスであること、そして最新足の高値と終値の合計値が、1本前の足の高値と終値の合計値を上回ることです。
インジケーターだけでなく、高値と終値も使ってトレンドを把握しようとしています。
一方、ショートのエントリー条件は、2つのMACDでヒストグラムがいずれもマイナスであること、そして最新足の安値と終値の合計値が、1本前の足の安値と終値の合計値を下回ること、さらにストキャスティクスのSlow%D(%D Smoothing)が20を上回ることです。
なお、ストキャスティクスの算出で使う値は、終値ではなくRSIの値です。
これらのトレードをドテンで繰り返します。
ちなみに、ストラテジー制作者は、ストキャスティクスの計算でRSIを使用する理由やショートでのみ使う理由を説明していません。
また、ストキャスティクスを売りでのみ使用すると強調しています。
バックテストの例では株式の個別銘柄を使用しているため、株式の特徴を意識している可能性があります。
2.ストラテジーテスター
ユーザーが設定可能なパラメーターは12種類です。
全てのインジケーターでパラメーターを変更できます。
パラメーター設定
fastLength | 10(短期EMAの計算期間その1) |
slowlength | 22(長期EMAの計算期間その1) |
MACDLength | 9(MACDの計算期間その1) |
fastLength2 | 21(短期EMAの計算期間その2) |
slowlength2 | 45(長期EMAの計算期間その2) |
MACDLength2 | 20(MACDの計算期間その2) |
K smoothing Stoch RSI | 2(%D(%K Smoothing)の計算期間) |
D smoothing for Stoch RSI | 3(Slow%D(%D Smoothing)の計算期間) |
RSI Length | 7(RSIの計算期間) |
Stochastic Length | 8(ストキャスティクスの計算期間) |
RSI Source | close(終値:RSIの計算で使用する価格) |
Year to start backtesting from | 2018(バックテスト開始年) |
プロパティ初期設定
初期資金 | 5,000(ストラテジーで取引可能な初期資金) |
基準通貨 | デフォルト(ストラテジーの計算や結果に使われる通貨) |
発注サイズ | 80%(資産比) |
ピラミッディング | 0注文(同じ方向に連続してエントリーできる最大数) |
S&P500 1時間足
このストラテジーは株式用である可能性を踏まえ、S&P500の1時間足チャートでバックテストしました。
その結果、最初にマイナス圏に沈んだものの、それ以降は右肩上がりとなりました。
勝率は40.47%、プロフィットファクターは1.05です。
ゴールド/米ドル 4時間足
ゴールド/米ドルの4時間足において、バックテスト成績はおおむね右肩上がりとなりました。
ただ、勝率は38.28%とやや低く、プロフィットファクターは1.128でした。
バックテスト総括
バックテスト結果はプラスになったものの、プロフィットファクターの値が小さい結果となりました。
エントリー条件がやや緩いため取引回数が多く、スプレッドやスリッページを考慮するとトレード成績はマイナスになる可能性があります。
このストラテジーは2つのMACDが重要なので、これらのパラメーターを変更することで成績を改善できる可能性があります。
3.注意すべきポイント
- ・ドテンを繰り返すため、常にポジションを保有する
- ・ロングとショートでエントリー条件が異なる
- ・エントリー条件がやや緩いため、エントリー回数が多くなる
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