出来高とは|見方・使い方・よくある質問などを解説
出来高とは、ある一定期間内に売買が成立した数量のことで、市場の活性度を測る指標として用いられます。
本記事では、出来高の意味や使い方、出来高系テクニカル指標などについて詳しく解説していきます。
出来高とは
ここでは、株式やFXにおける意味について、詳しく解説します。
- ・株式における出来高の意味
- ・FXにおける出来高の意味
株式における出来高の意味
株式における出来高とは、証券取引所においてある一定期間内に売買が成立した取引量(株数)のことです。
別名で売買高とも呼ばれます。
株式取引では、株価を予測するための主要な指標として注目されます。
一般的に、出来高が多いほど売買の活発さや流動性が高いことを示し、投資家の注目が集まります。
逆に出来高が低い場合は流動性が低いことを示し、希望の価格で取引できない「流動性リスク」が高まる可能性を示唆しています。
出来高は、以下のように価格の上昇局面と下落局面で意味が異なります。
出来高 | 上昇局面 | 下落局面 |
---|---|---|
増加 | 価格がさらに上昇する可能性 | 底が近くなっている可能性 |
減少 | 天井をつけて価格が下落する可能性 | 価格がさらに下落する可能性 |
FXにおける出来高の意味
FXで出来高という場合、株式とは表す内容が異なることがあるので注意が必要です。また、「取引高」と呼ぶこともあります。
株式と同様に取引量(FXの場合は枚数)を表す場合もありますが、これとは別にティック回数(為替レートの配信回数)を表す場合もあります。
出来高という言葉を用いるときの文脈や、取引ツール内における定義によって異なるため、どの意味で用いられているのかを判断する必要があります。
「ティック」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
株式とFXで出来高の意味が異なる場合があるのは、両者の取引の仕組みに差異があるからです。
株式取引は取引所に注文が集約されるため取引量を把握できますが、FXはOTC取引(業者と投資家が直接取引する)であるため市場全体の取引量を把握することが難しいです。
1社のみの取引量を確認できる場合もありますが、市場全体の取引量とは傾向が異なることが考えられるため、価格の予想に使いづらい側面があります。
出来高の見方
FXの出来高について、PCとスマホのMT4およびMT5で見る方法を解説します。
- ・PCでの見方
- ・スマホでの見方
PCでの見方
MT4およびMT5において表示される「出来高」は、売買数量ではなくティック回数(為替レートの配信回数)です。
MT4でティック回数を表示させるには、チャート上で右クリックし「プロパティ」を選択します。
出典:MT4
プロパティ画面が開いたら、「全般」タブを選択し「出来高の表示」にチェックを入れて画面下の「OK」をクリックすると設定完了です。
出典:MT4
出典:MT4
チャート上で右クリックし表示されるメニューから「ティックボリューム」を選択することで、チャートの下部に緑色のヒストグラムが表示されます。
出典:MT5
出典:MT5
スマホでの見方
スマホアプリのMT4も「ティックボリューム」を表示できます。
手順を実際の画面で示すと、以下の通りです。
出典:MT4
- ①:アプリ下部の「設定」を開く
- ②:「チャート」を選択
- ③:「ボリューム」をOFFからONにする
- ④:チャートに戻るとボリュームが表示されている
MT5の場合は、以下の手順で表示します。
出典:MT5
- ①:アプリ下部の「設定」を開く
- ②:「インディケータ」を選択
- ③:「メインウィンドウ」を選択
- ④:「インディケータ追加」の画面を下にスクロール
- ⑤:「Volume」を選択
- ⑥:「Volume」の設定画面の右上「完了」を選択
- ⑦:チャートに戻ると出来高が表示されている
MT5のアプリでは、出来高のバーの太さも変更できます。
手順は以下の通りです。
出典:MT5
- ①:「Volume」の設定画面で「ボリュームアップ」「ボリュームダウン」を選ぶ
- ②:4段階でスライドして太さを決める
- ③:右上の「完了」を選択
- ④:チャートに戻ると太さが反映されている
出来高オシレーター
出来高オシレーターとは、価格のトレンドの強弱を判断するのに有用なテクニカル指標です。
短期の出来高移動平均線から長期の出来高移動平均線を差し引いた値に対する、長期出来高移動平均線の比率をグラフ化しています。
ここでは、TradingViewで出来高オシレーターを設定する方法を紹介します。
TradingViewでチャート上に出来高オシレーターを追加するには、チャート上部のツールバーにある「インジケーター」をクリック、またはチャートのローソク足の上で右クリック→「(銘柄名)でインジケーター/ストラテジーの追加」をクリックします。
出典:TradingView
インジケーターウィンドウが開くので、「テクニカル」を選択し「インジケーター」から「Volume Oscillator(出来高オシレーター)」を選択します。
これでチャートに出来高オシレーターが表示されます。
出典:TradingView
インジケーターの設定画面は、下記3つの方法で表示できます。
- ・表示中のインジケーターをダブルクリック
- ・チャート左上のインジケーター名をダブルクリック
- ・インジケーター名にマウスカーソルを合わせると出てくる歯車の形をした設定アイコンをクリック
出典:TradingView
出来高オシレーターの設定画面は、「パラメーター」「スタイル」「可視性」に分かれており、画面上部のタブで切り替えることができます。
まず、「パラメーター」では表示する出来高オシレーターの期間や時間足を設定します。
出典:TradingView
①ショートの期間
短期の出来高移動平均線の期間を設定します。 デフォルトの期間は「5」で、これは5日や5週などを意味します。
②ロングの期間
長期の出来高移動平均線の期間を設定します。 デフォルトの期間は「10」であり、10日や10週などを意味します。
③時間足
どの時間足の出来高オシレーターを表示するかを選択します。 デフォルトは「チャート」で、その場合はチャートに表示中の時間足の出来高オシレーターが表示されます。
また、デフォルトでは「時間足の確定を待つ」にチェックが入っています。
続いて、2つ目の「スタイル」では、出来高オシレーターの線の色や太さ、種類などを設定します。
出典:TradingView
①プロット
出来高オシレーターの表示/非表示を設定します。 また、出来高オシレーターの線の色や不透明度、太さ、種類を変更できます。
②ゼロライン
ゼロラインの表示/非表示を設定します。 また、ゼロラインの色や不透明度、太さ、種類、値を変更できます。 デフォルトの値は「0」です。
③精度
出来高オシレーターの値を小数点第何位まで表示するかを設定できます。
④価格スケールのラベル
価格スケールのラベルの表示/非表示を設定します。
⑤ステータスラインの値
ステータスラインの値の表示/非表示を設定します。
3つ目の「可視性」では、出来高オシレーターの表示/非表示を時間軸ごとに設定します。
チェックボックスにチェックを入れた時間軸でのみ出来高オシレーターが表示され、チェックを外すと非表示に切り替わります。
出典:TradingView
全ての設定が完了したら、右下の「OK」をクリックします。
なお、「OK」の左側にある「デフォ…」をクリックすると、設定のリセットや設定の保存が可能です。
出来高の使い方
テクニカル指標は、一般的にはトレンド系とオシレーター系に大別されますが、さらに出来高系というジャンルに細分化されることがあります。
ここでは、MT4/MT5で使える以下3つの出来高系テクニカル指標を紹介します。
- ・アキュムレーション・ディストリビューション
- ・OBV
- ・マーケット・ファシリテーション・インデックス
アキュムレーション・ディストリビューション
アキュムレーション・ディストリビューションは、投資家ラリー・ウィリアムズが生み出したテクニカル指標の一種です。
買いのエネルギーによる価格の上昇はアキュムレーション(Accumulation:蓄積)、売りのエネルギーによる価格の下落はディストリビューション(Distribution:発散)と呼ばれます。
このアキュムレーションとディストリビューションの累積値をグラフ化したものがA/Dラインです。
MT4/MT5では「A/D」として標準的に利用されています。
出典:MT4
FX取引においてA/Dを活用する際には、一般的にダイバージェンス(ローソク足とテクニカル指標の逆行)が売買のシグナルとなります。
【A/Dの売買シグナル】
買いシグナル | 相場が下がっているときにA/Dが上昇 |
売りシグナル | 相場が上がっているときにA/Dが下降 |
また、「TradingViewでA/Dを設定する方法」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
OBV
OBVは、米国のアナリストであるジョセフ・E・グランビルが開発したテクニカル指標で、「On Balance Volume(オン・バランス・ボリューム)」の略です。
これは価格と出来高のデータを基に作られる指標です。
市場の売買動向は、買いと売りの差し引き(On Balance)で決まり、買いが勝っているときは価格が上昇し、売りが勝っているときは価格が下落します。
価格が上昇した場合の出来高は、買いの出来高としてプラスし、価格が下落した場合の出来高は、売りの出来高としてマイナスします。
この差し引きの総量(Volume)を分析することで、相場の実態をつかむと同時に取引のタイミングを計ります。
出典:MT4
上昇トレンドにおける買い圧力の低下や、下降トレンドにおける売り圧力の低下は、価格がトレンド転換する前に現れる傾向だとされます。
「出来高は価格に先行する」という所以で、ダイバージェンス(ローソク足とテクニカル指標の逆行)によってトレンド転換の可能性を見極められます。
MT4/MT5での、デバイス毎の設定方法は下記の記事で詳しく解説しています。
- ・MT4でOBVを設定する方法(PC)
- ・MT4でOBVを設定する方法(iOS)
- ・MT4でOBVを設定する方法(Android)
- ・MT5でOBVを設定する方法(PC)
- ・MT5でOBVを設定する方法(iOS)
- ・MT5でOBVを設定する方法(Android)
マーケット・ファシリテーション・インデックス
マーケット・ファシリテーション・インデックス(Market Facilitation Index)は、ビル・ウィリアムズが開発した出来高系のテクニカル指標です。
MT4/MT5には「Market Facilitation Index」として搭載されています。
同氏はさまざまなテクニカル指標を開発しており、MT4/MT5のインジケーターのカテゴリーでは「ビル・ウィリアムス系」としてまとめられています。
マーケット・ファシリテーション・インデックスは、4色のヒストグラムで構成されており、インデックス(=係数×(高値+安値)+出来高)と、出来高の組み合わせで色分けされます。
出典:MT4
【マーケット・ファシリテーション・インデックスのポイント】
黄緑色 | インデックス上昇+出来高増加→トレンドの発生 |
茶色 | インデックス下降+出来高減少→トレンドの終焉 |
青色 | インデックス上昇+出来高減少→スペキュレーション(投機)の動き |
桃色 | インデックス下降+出来高増加→将来的に大きな値動きの可能性 |
この指標は、主にトレンド(黄緑色)の発生を示すために設計されましたが、単体ではダマシが発生しやすい特性があります。
そのため、他のテクニカル指標と組み合わせて使用し、補完的な役割として適切に活用されることが望ましいです。
出来高に関するQ&A
出来高に関して、よくある以下の疑問について解説します。
- ・出来高の代わりはありますか?
- ・出来高は意味がないといわれますが本当ですか?
- ・出来高の確認方法はありますか?
- ・出来高と売買代金の違いは何ですか?
出来高の代わりはありますか?
MT4/MT5では、ティックの更新回数(為替レートの配信回数)を出来高の参考値として表示することができます。
また、出来高は取引量のことですが、「オープンオーダー」「オープンポジション」では、どのくらい注文があるのか、どのくらい未決済ポジションがあるのか、取引の状況を確認することができます。
OANDA証券ではMT4/MT5で使える「オーダーブックインジケーター」やWebで確認できる「オープンポジション」を提供しています。
出来高は意味がないといわれますが本当ですか?
出来高指標単体では、ダマシが発生しやすいとされています。
また、FXは取引所取引の出来高と異なり、市場全体の取引を表すわけではない場合や、ティックの更新回数(為替レートの配信回数)を示す場合もあります。
どんなデータなのかを把握した上で、他のテクニカル指標と組み合わせて分析することが推奨されます。
出来高の確認方法はありますか?
MT4では「出来高」、MT5では「ティックボリューム」と表記が異なりますが、どちらも出来高を表示させて確認することができます。MT4/MT5ともに緑色のヒストグラムとして、チャートの下部に表示されます。
詳しい表示方法は、上記「出来高の見方」で解説しています。
出来高と売買代金の違いは何ですか?
出来高と売買代金の違いは、何の量を表すかです。
出来高は「取引数量」を表し、売買代金は「取引金額」を表します。
日本の株式の場合、出来高の単位は「株」、売買代金の単位は「円」となります。
【まとめ】出来高とは|見方・使い方・よくある質問などを解説
一般的に出来高とは、ある一定期間内に売買が成立した数量のことで、市場の活性度を測る指標として用いられています。
しかし、FXやCFDは業者と投資家が直接取引する店頭取引であるため、市場全体の正確な出来高を把握することは難しく、代わりにティック回数が使用されます。
MT4とMT5ではアキュムレーション・ディストリビューションなどのテクニカル指標で出来高の分析が可能です。ただし、出来高指標単体ではダマシが発生しやすいといわれており、他のテクニカル指標と組み合わせて使用することで、より効果的な分析が可能になります。
他の指標も組み合わせたテクニカル分析の方法については、以下のコンテンツで詳しく解説しています。
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