テクニカル分析解説

プライスアクションとは|意味・見方・注意点を解説


プライスアクションとは、ローソク足のパターンから相場の値動きを予想する方法です。

テクニカル指標を用いずに、ローソク足の情報だけから値動きを予想する点に特徴があります。

本記事では、プライスアクションのサインや、注意点について解説します。

プライスアクションとは

ここではプライスアクションの意味と、日本の罫線分析との違いを解説します。

  • ・意味
  • ・日本の罫線分析との違い

意味

プライスアクションとは、インジケーターを利用せず、ローソク足(価格変動)からシグナルを読み取る分析方法です。

また、別の意味として、1分足やティックチャートなどでの値動きそのものを指す場合もあります。

日本の罫線分析との違い

プライスアクションは、ローソク足をパターン化した形に落とし込むのではなく、ローソク足が示す高値安値を、その後の値動きでブレイクするかどうかといった値動きそのものを重視します。

対して日本の罫線分析は、ローソク足の形状自体をシグナルと捉える分析手法です。

有名な罫線分析方法として酒田五法があります。

酒田五法は、以下の10種類(大きな分類では5種類)のチャートパターンが基本となっています。

酒田五法

プライスアクションのサイン

プライスアクションでは、ローソク足の特徴的な並び順と、そこからの値動きを総合的に判断します。

以下で、代表的なサインを紹介します。

  • ・インサイド・アウトサイド
  • ・スラストアップ・スラストダウン
  • ・リバーサルハイ・リバーサルロー
  • ・ピンバー
  • ・スパイクハイ・スパイクロー

インサイド・アウトサイド

インサイドとは「前のローソク足の価格範囲に、その後のローソク足が収まっている組み合わせ」のことです。

下図の通り、前のローソク足の高値安値の間に収まるローソク足は、全てインサイドです。

インサイドとは

インサイドは、一時的な相場の停滞を示しており、トレンドが発生する前のもみ合い相場で現れやすいパターンです。

エネルギーが溜め込まれている状態であり、最初のローソク足(母線)の高値もしくは安値をブレイクすると、その方向に大きく動く傾向があります。

アウトサイドは、「後ろのローソク足の価格範囲に、その前のローソク足が収まっている組み合わせ」のことです。

アウトサイドとは

アウトサイドもインサイドと同じく、売りと買いの拮抗が続きエネルギーが溜まった状態と考えられます。

このため、母線をブレイクした方向に相場が動くことが予想されます。

アウトサイドも包み込むローソク足の本数が多いほど、ブレイクした時の相場変動が大きくなる傾向があります。

インサイド・アウトサイド」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

スラストアップ・スラストダウン

スラストは、英語で推進力や押し分けて進むなどの意味があり、プライスアクションでは相場のトレンドを判断できます。

スラストには、スラストアップとスラストダウンの2種類があり、いずれもトレンドの強さを確認できるプライスアクションです。

スラストアップは「直前のローソク足の高値を、次のローソク足の終値が上回っている形」です。

連続してスラストアップが発生すれば、強い上昇トレンドと読み取れます。

スラストアップ

スラストダウンは「直前のローソク足の安値を、次のローソク足の終値が下回っている形」です。

連続してスラストダウンが発生した場合は、強い下降トレンドであることを示唆します。

スラストダウン

スラストアップ・スラストダウン」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

リバーサルハイ・リバーサルロー

リバーサルとはトレンドの転換を示すプライスアクションのサインです。

リバーサルには、リバーサルハイとリバーサルローの2つがあります。

どちらもトレンドがより長く継続した後に出現すると、サインの信頼度が高いとされています。

リバーサルハイは「1つ前のローソク足の高値を更新しつつ、終値が前のローソク足の実体を下回る形」です。

上昇から下落に転じる形であるため「弱気リバーサル」とも呼ばれます。

リバーサルハイ

リバーサルローは「1つ前のローソク足の安値を更新しつつ、終値が前のローソク足の実体を上回る形」です。

下落から上昇に転じる形であるため「強気リバーサル」とも呼ばれます。

リバーサルロー

なお、当日のローソク足の終値が前日の始値と同じ値であれば(前日の実体を超えなければ)、リバーサルのサインではありません。

リバーサルハイ・リバーサルロー」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

ピンバー

ピンバーとは、「ヒゲが上下どちらかに長く伸び、実体部分が極端に短いローソク足」のことです。

図で示すと以下のようなパターンです。

ピンバー

ピンバーという名前は「針のような棒」という意味です。

実体部分はわずかな厚みを持つこともあれば、ほぼ線のように薄い「十字線・寄引同時線」になっていることもあります。

実体部分が小さいということは、始値終値の差が小さかったことを意味します。

始値と終値の差が小さいということは、売りと買いの勢力がほぼ拮抗して終わったということです。

それでも高値(上ヒゲ)か安値(下ヒゲ)のいずれかが伸びているということは、一時的にその方向が優勢になったことを示します。

上ヒゲが長ければ買い、下ヒゲが長ければ売りが、一時的に優勢になったということです。

ピンバー」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

スパイクハイ・スパイクロー

スパイクとは、一般的にピンバーと同様の形をするローソク足のことを指します。

スパイクの中でも、特に強いサインを示すのが「スパイクハイ、スパイクロー」の2種類です。

スパイクハイとは「上昇が続いた後の高値圏で、上ヒゲの長いスパイクが発生する形」です。

スパイクハイ

スパイクハイは「上昇が続いた後に高値を更新したものの、その高値から押し戻されて大引けした」ことを意味します。

直近で売りの勢力が強くなっているため、下落トレンドに転じる可能性を示唆しています。

スパイクハイではその前の上昇トレンドが長いほど、あるいは強いほど、相場転換の可能性が高いと考えられます。

スパイクローは「下落が続いた後の安値圏で、下ヒゲの長いスパイクが発生する形」です。

スパイクロー

スパイクローは「下落が続いた後に安値を更新したものの、その安値から押し戻されて大引けした」ことを意味します。

直近で買いの勢力が強くなっているため、上昇トレンドに転じる可能性を示唆しています。

スパイクハイではその前の下落トレンドが長いほど、あるいは強いほど、相場転換の可能性が高いと考えられます。

スパイクハイ・スパイクロー」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

プライスアクションの注意点

プライスアクションを使用する際の注意点について解説します。

  • ・値動きを断定するものではない
  • ・ダマシが発生しやすい
  • ・プライスアクションはなぜ欧米の投資家から好まれているのですか?

値動きを断定するものではない

プライスアクションは、あくまでも相場を予測するための1つの手段にすぎません。

値動きを断定するものではなく、サイン通りにトレードしても、相場がサインとは違う動きになるケースもあるため、注意が必要です。

ダマシが発生しやすい

プライスアクションでは、ダマシにも注意が必要です。

ダマシを避けるために、プライスアクション単体での使用ではなく、他のテクニカル指標や時間足を組み合わせるなど、複数の分析手法と併用すると良いでしょう。

プライスアクションはなぜ欧米の投資家から好まれているのですか?

プライスアクションが欧米の投資家から好まれる理由は、主に以下の2点です。

  • ・①:投資家の行動の結果を端的に表しているから
  • ・②:欧米で好まれることで、実際に効力を発揮している

根本的な理由は①で、全ての投資家は何らかの意図や判断によって売買を行います。

その結果が値動きに現れるため、値動きは投資家たちの本音(意図や判断)と考えることができます。

②については、一度欧米で重要視され、実際に効力を発揮したことでさらに重要視され、さらに効力を発揮するようになる、という循環が生まれています。

【まとめ】プライスアクションとは|意味・見方・注意点を解説

プライスアクションは、ローソク足から相場状況を判断する分析方法です。

ローソク足の組み合わせおよび高値安値の更新を、相場分析に活用できます。

プライスアクションにはいくつかの種類があり、例えばインサイド、スラスト、リバーサルなどが代表的です。

プライスアクションは、FX取引において売買の目安とすることができます。

ただし、サイン通りに相場が動くとは限らず、ダマシが発生することもあるため、注意が必要です。

他のテクニカル指標や時間足と組み合わせることで、より精度の高いサインとして活用できるでしょう。

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