包み足とはらみ足とは|意味や見方・活用方法について解説
ローソク足は、1本だけでも相場の動きを読み取ることができますが、2本以上組み合わせることで、より多くの事柄を推測できるようになります。
ここでは、相場の転機を示すサインとして知られる包み足(アウトサイドバー)とはらみ足(インサイドバー)について解説します。
目次
- 1.包み足とは
- 2.はらみ足とは
- 3.包み足とはらみ足の基本的な見方
- 4.包み足とはらみ足の注目パターン
- 5.包み足とはらみ足の活用方法
- 6.包み足とはらみ足に関する注意点
- 7.【まとめ】包み足(つつみあし)とはらみ足(はらみあし)とは|意味や見方・活用方法について解説
包み足とは
包み足とは、直前のローソク足が次のローソク足にすっぽりと包み込まれる値動き(ローソク足の組み合わせ)のことです。
その形状から「抱き線」とも呼ばれます。
包み足は「陽線と陽線・陰線と陰線」というように線の種類が同じパターンもあれば、「陰線と陽線・陽線と陰線」のように、種類が異なるパターンもあります。
また、日本で江戸時代の米相場から伝わる酒田五法と、主に海外で発達したプライスアクション理論では、見方が少し異なります。
それぞれ詳しく解説していきます。
- ・酒田五法
- ・プライスアクション(アウトサイド)
酒田五法
包み足は酒田五法では包み線と呼ばれ、「大陽線が直前の陰線を包む」「大陰線が直前の陽線を包む」というパターンを重要視しています。
2本のローソク足を合成すると、それぞれ下ヒゲの長い陽線と上ヒゲの長い陰線になります。
それぞれ図で表すと以下の通りです。
下ヒゲの伸びた陽線は「下影陽線」、上ヒゲの伸びた陰線は「上影陰線」といいます。
それぞれ大底圏や天井圏で見られた場合には、相場の転換を示唆すると考えられます。
下影陽線と上影陰線については「ローソク足」の記事で詳しく解説しています。
プライスアクション(アウトサイド)
プライスアクションの「アウトサイド」は、包み足と共通の性質を持ちます。プライスアクションとは、値動き自体を分析して相場の状況を判断する手法です。
アウトサイドとは「後ろのローソク足の価格範囲に、その前のローソク足が収まる形」のことです。
図で示すと以下の通りです。
プライスアクションの包み足(アウトサイド)の考え方は、酒田五法とは少し異なります。
上図のように、2本以上の連続した組み合わせとなるケースも多く、包まれている足が多いほどエネルギーの蓄積が多く、アウトサイドの高値・安値をブレイクした後、その方向に相場が大きく動くと考えられます。
はらみ足とは
はらみ足とは、ローソク足が直前のローソク足の中にすっぽりと収まる値動き(ローソク足の組み合わせ)のことです。
包み足との違いは「1つ前の足が大きい」ことです。
日本で江戸時代の米相場から伝わる酒田五法と、主に海外で発達したプライスアクション理論では、見方が少し異なります。
- ・酒田五法
- ・プライスアクション(インサイド)
酒田五法
はらみ足は酒田五法においてはらみ線と呼ばれ、特に高値圏や安値圏で「天井」や「大底」を示すサインとして、相場の転換時に出やすいと考えられています。
さらに、上昇局面・下落局面いずれの場合にも、はらまれたローソク足が寄引同事線(始値と終値が同じ価格)になると、「はらみ寄せ線」という特別な名称を持つより強力なサインとみなされます。
寄引同事線が極線(コマとも呼ばれ、実体が短く上下のヒゲの長さがほぼ同じ長さのローソク足)でも同じ意味を持ちます。
相場の上昇局面で大陽線が出現すると、売り方の投げ(買い戻し)が殺到していると考えられ、連続して陽線が作られることが期待されます。
しかし、その思惑に反して直前の大陽線の高値を超えることなく、次のローソク足がはらみ足となると、投げも尽きたと考えられ、相場は天井を形成するとみなされます。
(下落局面では、この逆の位置関係で考えます)
プライスアクション(インサイド)
プライスアクションの「インサイド」は、はらみ足と共通の性質を持ちます。インサイドとは「前のローソク足の価格範囲に、その後のローソク足が収まる形」のことです。
図で示すと以下の通りです。
はらみ足との違いは「ローソク足の組み合わせが2本とは限らない」という点です。
はらみ足は2本の組み合わせですが、インサイドでは上図の通り、複数本のケースがあります。
はらまれているローソク足の本数が多いほど、多くのエネルギーが蓄積されており、価格範囲をブレイクした後、その方向に相場が大きく動きやすいと考えられています。
包み足とはらみ足の基本的な見方
ここでは、包み足とはらみ足の基本的な見方を解説します。
- ・包み足の基本的な見方
- ・はらみ足の基本的な見方
包み足の基本的な見方
包み足には、以下の4つのパターンがあります。
- ・陽の陽包み
- ・陰の陰包み
- ・陽の陰包み
- ・陰の陽包み
このうち、重視されるのは「陽の陰包み」と「陰の陽包み」の2種類です。
前述の通り、陽の陰包みと陰の陽包みは、2本の足を合成すると下影陽線・上影陰線になります。
それぞれ大底圏・天井圏で出現した場合には、トレンド転換を示唆している可能性があります。
はらみ足の基本的な見方
はらみ足には、以下の4つのパターンがあります。
- ・陽の陽はらみ
- ・陰の陰はらみ
- ・陽の陰はらみ
- ・陰の陽はらみ
このうち、重視されるのは「陽の陰はらみ」と「陰の陽はらみ」の2種類です。
例えば、陽の陰はらみが高値圏で出現した場合、さらに上を買っていく投資家が減少している可能性が考えられます。
つまり、上昇相場のエネルギーが尽きたと推測でき、はらみ足の下値には大量のストップロス(損切りの予約注文)が想定されます。
仮に下値をブレイクした場合、大量の損切りが入ることに加え、その段階で売りポジションを建てる投資家も増えると想定できます。
このため、下値ブレイク後には大きな値動きにつながりやすくなります。
包み足とはらみ足の注目パターン
ここでは、包み足とはらみ足の注目パターンについて解説します。
- ・包み足の注目パターン
- ・はらみ足の注目パターン
包み足の注目パターン
出典:TradingView
上のチャートでは、上昇トレンドの頂点となった①で包み足(陰の陽包み)が発生し、②のように下落トレンドに転じています。
はらみ足の注目パターン
出典:TradingView
上のチャートでは、下落トレンドの底となった①で、はらみ足(陰の陽はらみ)が発生し、②のように強い上昇トレンドに転じています。
包み足とはらみ足の活用方法
ここでは、チャートソフトを用いて、包み足とはらみ足を活用する方法について解説していきます。
「TradingView」と、MT4/MT5用インジケーター「OANDA_Multi_Candle」を用います。
- ・「TradingView」で活用する
- ・「OANDA_Multi_Candle」で活用する
「TradingView」で活用する
TradingViewでは簡単な手順で、包み足とはらみ足の出現箇所にラベルを表示することができます。
出典:TradingView
TradingViewの画面上部にある「①インジケーター」をクリックし、②の検索ボックスに「包み線」と入力すると、③の欄に候補が表示されます。
候補の一番上に「弱気の包み線・強気の包み線」が表示されているため、どちらかを選択します(両方同時の表示も可能です)。
選択すると、以下のチャートの通り画面上にインジケーターが表示されます。
出典:TradingView
強気の包み足は青いラベル、弱気の包み足は赤いラベルで表示されます。
包み足のある部分に「BE」という文字が表示されています。
出典:TradingView
はらみ足も同様の手順で簡単に呼び出せます。
インジケーターの検索ボックスで②のように「はらみ線」と入力すると、③のように「弱気のはらみ線・強気のはらみ線」という2つの候補が表示されます。
出典:TradingView
選択したはらみ線が上のチャートのように表示されます。
強気が青、弱気が赤という表示は包み足と共通です。
はらみ線の文字は「BH」と表示されます。
「OANDA_Multi_Candle」で活用する
OANDA証券では、MT4/MT5用のインジケーターを無料で提供しており、そのうちの「OANDA_Multi_Candle」は、包み足とはらみ足を活用できるツールです。
「OANDA_Multi_Candle」は、表示しているチャートに、上位のローソク足を重ねて表示できるインジケーターです。
これを活用すれば、上位足における包み足・はらみ足を確認しながら、下位足の値動きを分析し、トレードのタイミングをはかることができます。
「OANDA_Multi_Candle」の設定方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
包み足とはらみ足に関する注意点
包み足とはらみ足に関する注意点は、以下の通りです。
- ・ダマシに注意する
- ・包み足とはらみ足だけで判断しない
ダマシに注意する
ダマシとは、チャート上で売買のシグナルが出た後に、実際の値動きがそのシグナル通りにはならない現象です。包み足やはらみ足が発生しても、期待した方向にトレンドが発生せず、ダマシに終わるケースが存在するため、注意が必要です。
包み足とはらみ足だけで判断しない
包み足とはらみ足は、テクニカル分析で用いられる無数のパターンの一部に過ぎません。
包み足やはらみ足が発生している場面でも、その他のチャートパターンを探すことで、より多角的な相場分析を行えます。
また、チャートパターンに加えて様々なテクニカル指標を用い、ファンダメンタルズ分析も併せて行うことで、相場予測の精度をさらに高めることができます。
【まとめ】包み足(つつみあし)とはらみ足(はらみあし)とは|意味や見方・活用方法について解説
包み足・はらみ足は、FX取引のチャート分析における重要なサインの1つです。
酒田五法では相場の「天井」や「大底」を示唆するサインとされ、プライスアクションではブレイクした方向に勢いが生まれると考えます。
包み足・はらみ足は重要なパターンの一部ですが、これらのパターンだけで全ての相場を分析できるわけではありません。
的確な分析を行うためには、他のチャートパターンやテクニカル指標も組み合わせて、相場を多角的に見る必要があります。
チャートパターンやテクニカル指標を用いる「テクニカル分析」のやり方は、以下のコンテンツで詳しく解説しています。
また、OANDA証券ではテクニカル分析で役立つ「OANDA_Multi_Candle」や、オリジナルのインジケーターなどのツールを提供しています。
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