加重移動平均線(WMA)とは?計算方法や単純移動平均線(SMA)との違い
単純移動平均線(Simple Moving Average:SMA)と加重移動平均線(Weighted Moving Average:WMA)の違い
単純移動平均線は「n期間の終値の平均」を求めるものであり、n期間中の各取引日(日足の場合)を同等に扱っている点が特徴です。つまり、直近の終値もn日前の終値も等しい比重で計算されるわけで、例えば75日移動平均線の場合、直近の終値と約3か月前の終値が平等に扱われます。
この計算では、価格変動への追従性が十分ではあるとは言えません。その弱点を補うために、直近の価格にウェイトをかける加重移動平均線が生まれました。計算対象期間の価格について、直近の価格ほど重みをかける(重視する)ことで、単純移動平均線よりも直近の変動への感応度が高くなります。
ちなみに、MT4(Meta Trader4)/MT5(Meta Trader5)では、「Linear Weighted Moving Average」(線形加重移動平均線)という名で用いられ、その略語としてLWMAと呼ばれます。
表1/単純移動平均と加重移動平均の計算方法の違い(期間5日) |
---|
単純移動平均=(5日前終値+4日前終値+3日前終値+2日前終値+1日前終値)÷5 |
加重移動平均線=(5日前終値×1+4日前終値×2+3日前終値×3+2日前終値×4+1日前終値×5)÷15 |
加重移動平均線は直近レートに重みをかけることで追従性、感応度が増す
画像1は、加重移動平均線(赤、桃)と、単純移動平均線(青、水色)を表示したチャートです。短期線は期間5、中期線は期間75を表します。それぞれを比較してみると、値動きに方向性が出ている部分では、加重移動平均線の方が素早く反応し、そしてローソク足に近い推移を見せていることが分かります。上記の計算により、直近の値動きにウェイトがかかっているからこそ、このような差異が生まれます。
画像1/加重移動平均線と単純移動平均線の比較
5LWMA(赤) 75LWMA(桃) 5SMA(青) 75SMA(水色)
加重移動平均線の弱点として考えられるのは、移動平均線の本来の目的である「平均を取ることで価格変動を平滑化する」ことから若干離れてしまうことです。そのことを把握した上で、この感応度の良さを利用することが重要です。
古いデータを計算から外さない指数平滑移動平均線
加重移動平均線は、直近のレートにウェイトをかける計算はしているものの、n期間を計算対象にするという意味においては、単純移動平均線と同じです。計算期間を過ぎれば、古いデータが外れていくので、それが弱点だと指摘されることもあります。その弱点を補うために開発されたのが、指数平滑移動平均線です。
これは過去全ての価格を計算対象とする点が、単純移動平均線や加重移動平均線と大きく異なります。では、指数平滑移動平均線が最も優れているかと言えば、そうとも限りません。移動平均線の種類は、それぞれ一長一短あるため、その性質をしっかりと理解した上で使うことが大切です。
監修:山中康司氏
移動平均線についてもっと学びたい方へのオススメコンテンツ
移動平均の基本的な知識や使い方などのOANDAオリジナルのコンテンツのほか、長く為替トレーディングの第一線で活躍されてきた山中康司(やまなかやすじ)氏監修のもとMT4/5での移動平均線インジケーターの使用方法、トレーディングアイデアをご紹介します。またOANDAオリジナル・インジケーター「OANDA_Multi_MA」・「OANDA_Multi_5MA」・「OANDA_MA_PO_Alert」・「OANDA_Multi_Trendmeter」を無料配布中。このインジケーターはOANDAの口座をお持ちのお客様だけがお使いいただけます。
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。