テクニカル分析解説

MT4/ MT5が標準搭載する4種別の移動平均線を比較


移動平均線(MA)のパラメータ画面で選べる4つの種別


MT4/MT5でチャートに移動平均線(Moving Average:MA)を挿入する際、パラメータ設定画面では4つの種別「Simple」「Exponential」「Smoothed」「Linear Weighted」を選ぶことができます。つまり、SMA(単純移動平均線)、EMA(指数平滑移動平均線)、SMMA(平滑移動平均線)、LWMA(線形加重移動平均線)の中から、任意の種別を表示できるという標準機能が備わっています。

一般的に、SMAやEMAは広く知られているところで、愛用するトレーダーも多いでしょう。では、SMMAやLWMAは一体、どんな特徴を持っているのでしょうか?

MAのパラメータ画面で選べる4つの種別


4種別の形状と性質の違い


それぞれの計算式は別の記事に譲るとして、ここではチャートに挿入した見た目の比較をします。画像2~4は、4種別のMAを期間5、20、200で表示し、SMA(赤)との差異を視認しやすいようこれを最も太く、それ以外は細く描画しています。

見た目の特徴として、トレンド発生時には、LWMA(橙)>EMA(青)>SMA(赤)>SMMA(緑)の順でローソク足の近くを推移すること、またそれと同じ順番でトレンド転換に反応する傾向があることが分かります。つまり、この順番は価格変動への追従性や感応度の高低を表すといえます。

画像2/4種別の移動平均線の比較(期間5)

4種別のMAの比較(期間5)

画像3/4種別の移動平均線の比較(期間20)

4種別のMAの比較(期間20)

画像4/4種別の移動平均線の比較(期間200)

4種別のMAの比較(期間200)


それぞれの移動平均線のメリットとデメリット


MAの各種別には、メリットとデメリットがあり、どれか一つが突出して優れているというわけではありません。それぞれの特性を理解して、利用することが重要でしょう。なお、SMMAは、実はEMAと同様の性質(直近の値動きにウェイトを置いた平滑移動平均)を持つもので、メリット・デメリットもまた同様です。

                                                                                   
【それぞれのMAのメリットとデメリット】
移動平均線の種別 メリット デメリット
SMA
(単純移動平均線)
価格にウェイトをかけない計算方法なので分かりやすく、本来のスムージングという目的を実現しやすい価格変動に対しての追従が遅延しがち。翌日になると最も古いデータが落ちるため、そのデータが大きい場合は影響を受けやすい
EMA
(指数平滑移動平均線)
SMAよりも価格変動への追従性が良い。計算の際に古いデータを落とさないため、全てのデータが計算結果に含まれると考えることができる。直近のデータにウェイトをかける累積加重平均追従性、感応度が良い反面、ダマシも多くなる。計算を開始する起点が異なると、算出結果も異なる
SMMA
(平滑移動平均線)
EMAと同じEMAと同じ
LWMA
(線形加重移動平均線)
直近のデータにウェイトをかけ、古いデータは過去に向けて順次ウェイトを小さくするため、価格変動への追従性が良くなる感応度が高すぎるため、ダマシに遭うケースが多くなる。移動平均の本質(平均化)からは若干離れた存在であり、その性質をうまく使いこなす必要がある

一般的に市場参加者が移動平均線の話をする場合はSMAのことなので、目線を合わせるためにはSMAを使う必要があります。その一方で、価格変動への追従性や感応度の違いを利用したいという特別な意図がある場合には、EMA、SMMA、LWMAなどを利用すると良いでしょう。

監修:山中康司氏

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