テクニカル分析解説

ゴールデンクロスとは|意味・具体例・注意点などを詳しく解説


ゴールデンクロスは、短期移動平均線が中・長期移動平均線を下から上へ突き抜けることです。

本記事では、ゴールデンクロスの意味や使用方法・注意点を解説していきます。

ゴールデンクロスとは

ゴールデンクロスの一般的な意味や組み合わせ、計算式について解説します。

一般的な意味

ゴールデンクロスとは、短期移動平均線が中・長期移動平均線の下から上へ突き抜けることを言います。

一般的に上昇トレンドが始まるサインと考えられており、買いシグナルとして利用されます。

ゴールデンクロス一般的な意味 20240828

一般的な組み合わせ

FX取引や株式投資で移動平均線を使う場合、日足では「25日線・75日線」が広く用いられています。

より短期の値動きを測る場合は、「5日線・20日線」を用いるケースも見られます。

週足の場合だと、四半期と半期に該当する「13週線・26週線」が好んで用いられる傾向があります。

FX取引では、短期線・中期線・長期線を、以下のように大別する考え方が知られています。

短期線 中期線 長期線
日足 5日 25日 75日・100日・200日
週足 9週 13週 26週・52週
月足 12か月 24か月 60か月・120か月

これらのうち、短期線が「中期線」を突き抜けるパターンを「ミニゴールデンクロス・ミニデッドクロス」と呼ぶことがあります。

なお、移動平均線の組み合わせに絶対的な正解はありません。

自分の取引スタイルや好みに合わせて設定することが推奨されます。

一般的な計算式

ゴールデンクロスは、チャートツール上だと2本の線がクロスするというビジュアルから判断できますが、その線のもととなる数値の変化で考えると理解がより深まります。

日足チャートの場合、2本の線がクロスするということは、次の条件を満たします。

  • ・①:当日終値の短期移動平均値>当日終値の中・長期移動平均値
  • ・②:前日の短期移動平均値<前日の中・長期移動平均値

①と②で、短期線と中・長期線の位置関係が逆(線がクロス)になったことを表します。

2つの計算式(条件)を満たした直近の日付が、ゴールデンクロス達成日となります。

ゴールデンクロスの具体例

ゴールデンクロスの具体例を、実際のチャートとともに解説します。

下のチャートはゴールデンクロスが発生した例で、赤ラインが25日移動平均線で緑ラインが75日移動平均線を表します。

ゴールデンクロス具体例_20241225

出典:TradingView

短期線(赤ライン)が中・長期線(緑ライン)を上抜けるゴールデンクロスをきっかけに、下降トレンドから上昇トレンドに転じていることが分かります。

ゴールデンクロスとデッドクロスの違い

デッドクロスとは、ゴールデンクロスとは逆に短期移動平均線が中・長期移動平均線を上から下に突き抜ける動きのことです。

一般的に、デッドクロスが発生すると相場が下降する傾向があるため、売りシグナルとして利用されます。

ゴールデンクロスデッドクロス違い_20241225

出典:TradingView

上のチャートでは、デッドクロスが出現した後に下降トレンドに転じていることが分かります。

ゴールデンクロスのシグナル

ゴールデンクロスのシグナルとして、主に以下の3つが挙げられます。

それぞれのシグナルを図で示していきます。

買いシグナル①

【ゴールデンクロス】買いシグナル①

出典:TradingView

2本の移動平均線の上にローソク足が位置する相場環境です。

その環境において、横ばい、もしくは上昇し始めている長期線(緑ライン)を、短期線(オレンジライン)が、下から上に突き抜けています。

このようなパターンは典型的な買いシグナルです。

買いシグナル②

【ゴールデンクロス】買いシグナル②

出典:TradingView

こちらも2本の移動平均線の上にローソク足が位置する相場環境です。

買いシグナル①と異なるのは、短期線(オレンジライン)が長期線(緑ライン)を下回る状態が続きながら、ジワジワと接近しつつあるという点です。

このような環境では、近いタイミングでゴールデンクロスが発生し、上昇トレンドに転じる可能性が考えられます。(画像の例では、クロスした後に安定的な上昇トレンドが発生しています)

このようにクロスを先読みできる状況が、買いシグナル②です。

買い継続

買い継続

出典:TradingView

上から順に「ローソク足>短期線(オレンジライン)>長期線(緑ライン)」の順に並び、いずれも右肩上がりの上昇トレンドを示しています。

このような形は「パーフェクトオーダー」または「順パターン」などと呼ばれ、買い継続のシグナルとされます。

ゴールデンクロスを使用する際の注意点

ゴールデンクロスを使用する際の注意点は、以下の通りです。

ダマシに気をつける

ゴールデンクロスが発生したからといって、必ず相場が上昇していくわけではない点に注意が必要です。

ダマシと呼ばれ、売買シグナルと逆の方向へ相場が動いてしまう場合もあります。

特にミニ・ゴールデンクロスのような短い時間軸ではダマシが多くなりやすい傾向があります。

ゴールデンクロスダマシ_20241226

出典:TradingView

上のチャートでは、ゴールデンクロスが発生しているにもかかわらず、相場は下落しています。

こうしたダマシを見抜く方法の1つとして、クロスの角度を見ることが有効です。

クロスの角度が深いということは、短期のトレンドが強力であることを表します。

下図のように長期移動平均線と短期移動平均線の角度がどちらも上方向に伸びており、クロスの角度が深ければ期待度が高いと考えられます。

一方で、クロスの角度が浅ければダマシの可能性に注意が必要です。

ゴールデンクロス ダマシに気をつける 図解202408

遅行性に気をつける

ゴールデンクロスは相場の動きよりも遅行する性質を持っています。

特に、長期の移動平均線はローソク足が示すトレンドよりも遅れてサインを発する傾向があります。

ゴールデンクロスが発生した時点で、トレンドはすでに終わっている可能性もあるため、注意が必要です。

ゴールデンクロスの遅行性_20241226

出典:TradingView

上のチャートでは、上昇トレンド発生後に遅れてゴールデンクロスが発生していることが分かります。

レンジ相場に気をつける

レンジ相場ではゴールデンクロスが発生した場合もダマシになる可能性が高いため注意が必要です。

レンジ相場とは、一定の範囲で上下を繰り返す相場です。

トレンドがはっきりしないため、トレンド系の指標はダマシが多くなりやすい傾向があります。

ゴールデンクロスレンジ相場に気をつける_20241225

出典:TradingView

上のチャートでは、レンジ相場でゴールデンクロスが発生しているのにもかかわらず、相場は上昇トレンドに転じていません。

レンジ相場で活用しやすいインジケーターについては、以下の記事で解説しています。

レンジ相場とは|相場の見分け方・活用しやすいインジケーターを詳しく解説

ゴールデンクロスに関するQ&A

ゴールデンクロスに関して、よくある質問に回答します。

ゴールデンクロスは意味がないって本当ですか?

ゴールデンクロスにはいくつかの弱点や、苦手な相場環境があります。

それらの影響が大きい場面では、クロスがダマシに終わってしまう可能性は十分にあります。

一方、相場が停滞している状態からトレンドの始まりや終わりを見つけるのは得意です。

どんな場面でゴールデンクロスが発生し、どんな意味を示唆するのかを判断できるようになると、分析の精度が高まると考えられます。

ゴールデンクロスと相性の良いテクニカル指標は何ですか?

レンジ相場ではゴールデンクロスが機能しにくいため、レンジ相場を見抜けるRSIボリンジャーバンドなどと組み合わせることでダマシを減らせる可能性があります。

また、移動平均線よりも先にクロスが出やすいMACDを先行指標にすることで、相場の転換をより早く判断できることもあります。

移動平均線は何日のものを使いますか?

日足の移動平均線としては、25日線と75日線を用いるのが王道とされます。

より短期的な値動きを測りたい場合には、5日線と20日線を用いることもあります。

ゴールデンクロスよくある質問_20241226

出典:TradingView

上の画像は2024年1月19日〜2月9日の米ドル/円相場(1時間足)で、25日線(オレンジライン)と75日線(緑ライン)を表示したチャートです。

そして、青い+がゴールデンクロス・デッドクロスの発生した部分です。

チャートが表す21日間に7回(3日に1回)のペースで、クロスが発生したことが分かります。

一方、全く同じ相場で、短期を5日線(オレンジライン)、長期を20日線(緑ライン)に設定すると、下図のようになります。

ゴールデンクロスの例2_20241226

出典:TradingView

この画像で見ると、同じ21日間でも23回のゴールデンクロス・デッドクロスが発生しています。

1日に平均1回以上のペースでクロスが発生したことになり、短期的な売買のチャンスを、より見つけやすくなることが分かります。

後者のように、移動平均線の計算期間が短い場合、通常のクロスと区別して「ミニゴールデンクロス・ミニデッドクロス」と呼ぶこともあります。

「ミニ」と通常のクロスの分類については、主に以下の2パターンが見られます。

通常 ミニ
パターン①「短期」線が「長期」線を抜ける 「短期」線が「中期」線を抜ける
パターン②「中期」線が「長期」線を抜ける

通常のクロスについては、長期線とペアになる線が「短期線・中期線」の2通りに分かれます。

クロスオーバーとの違いは何ですか

クロスオーバーとは、ゴールデンクロスとデッドクロスを合わせた総称です。

ゴールデンクロスで買い、デッドクロスで売りという戦略やルールを「クロスオーバー戦略」「クロスオーバールール」と呼びます。

また、一般的なクロスオーバーは2本の移動平均線を用いますが、3本の線を用いる場合には「トリプルクロスオーバー」と呼ぶこともあります。

クロスオーバーは、DMI(方向性指数)MACD(移動平均線収束拡散法)など、さまざまな指標でも発生します。

【まとめ】ゴールデンクロスとは|意味・具体例・注意点などを詳しく解説

ゴールデンクロスとは、短期移動平均線が中・長期移動平均線を下から上へ突き抜けることです。

一般的に上昇トレンドが始まるサインと考えられ、買いシグナルとして利用されています。

反対に、短期移動平均線が中・長期移動平均線を上から下へ突き抜けることをデッドクロスと言います。

ゴールデンクロスやデッドクロスは必ず機能するわけではなく、レンジ相場などではダマシになる可能性もあるので注意が必要です。

クロスの角度に注目したり、RSIボリンジャーバンドなど他のテクニカル指標と組み合わせることで、より分析の精度を高められます。

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