モメンタムとは|意味・活用方法・設定方法などを解説
モメンタム(momentum)はテクニカル指標の一種で、相場の方向性や転換点を見極めるのに役立ちます。
本記事では、モメンタムの使い方や、使用時の注意点について詳しく解説していきます。
目次
- 1.モメンタムとは
- 2.モメンタムの計算方法
- 3.モメンタムの使い方
- 4.モメンタムの活用方法
- 5.モメンタムの設定方法
- 6.モメンタムを使用する際の注意点
- 7.モメンタムに関するQ&A
- 8.【まとめ】モメンタムとは|意味・活用方法・設定方法などを解説
モメンタムとは
ここではモメンタムの概要を、以下の内容に分けて解説します。
- ・意味
- ・見方
意味
モメンタムとは、相場の勢いを判断するテクニカル指標のことです。
英語のmomentum(モメンタム)には「勢い・はずみ」などの意味があり、投資の世界でも同じ意味で用いられます。
モメンタムはラインで示され、0を上回っていれば上昇トレンド、下回っていれば下落トレンドと判断します。
プラスの数値が大きいほど強い上昇トレンド、マイナスの数値が大きいほど強い下落トレンドを示します。
「テクニカル指標」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
見方
モメンタムは、「当日の終値」と「n日前の終値」を比較して、その差がどれくらいあるかを表します。
現在と過去の価格差をグラフ化することで、相場に勢いがあるかどうかを判断することができます。
モメンタムの角度が急なほど、トレンドの勢いが強いことを表します。
基準となる0ライン(または100ライン)より上にあると強気相場、下にあると弱気相場と考えられます。
出典:TradingView
モメンタムの計算方法
ここでは、モメンタムの計算方法を以下の内容に分けて解説します。
チャートソフトによって計算式が異なり、基準となるのが0ラインか100ラインかに分かれます。
- ・一般的な計算式
- ・MT4/MT5の計算式
一般的な計算式
一般的なモメンタムの計算式は下図のようになります(※基準は0ライン)。
TradingViewはこちらの計算式です。例えば、米ドル/円の当日の終値が150円、n日前の終値が145円なら、モメンタムは「150-145=5」となります。
逆に当日の終値が145円、n日前の終値が150円なら「-5」となります。
モメンタムの数値のプラスとマイナスが意味する内容は、以下の通りです。
モメンタム | 数値の大小 | 意味 |
---|---|---|
プラス | 当日の終値>n日前の終値 | 上昇トレンドの可能性 |
マイナス | n日前の終値>当日の終値 | 下落トレンドの可能性 |
なお、nの値は任意ですが、「9〜14」を用いるのが一般的です。
MT4/MT5の計算式
MT4/MT5に標準搭載されているMomentum(モメンタム)は、比率を求めるのが特徴です(※基準は100ライン)。例えば、米ドル/円の当日の終値が150円、n日前の終値が140円なら、モメンタムは「(150÷140)×100=約107.14」となります。
逆に、当日の終値が140円、n日前の終値が150円なら、「(140÷150)×100=約93.33」となります。
MT4/MT5でも、nの値として「9〜14」を用いるのが一般的です。
モメンタムの使い方
モメンタムの使い方は、以下の通りです。
- ・相場の勢いを確認する
- ・相場のトレンドを確認する
相場の勢いを確認する
出典:TradingView
上画像のように、モメンタムの角度が急な場合はトレンドに勢いがあることが分かります。
一方、緩やかになっていたり横ばいの場合は、トレンドに勢いがなくなっていると判断できます。
また、相場が高値・安値を更新したタイミングで、モメンタムが高値・安値を更新できていない時(ダイバージェンス)は、相場の転換期となる可能性が考えられます。
相場のトレンドを確認する
モメンタムは、0ライン(100ライン)からどれだけ離れているかで、相場のトレンドがどちらに傾いているのか把握することができます。
上方向に離れるほど「強い上昇トレンド」、下方向に離れるほど「強い下落トレンド」を示します。
ただし、0ライン(100ライン)から上方向に離れていても、横ばいの状態であれば、下落トレンドへの転換が近づいている可能性が考えられます。
反対に、低い位置で横ばいの状態であれば、上昇トレンドへの転換が近づいている可能性が考えられます。
モメンタムの活用方法
モメンタムには、以下のような活用方法があります。
- ・トレンドフォロー分析
- ・先行指標分析
トレンドフォロー分析
トレンドフォロー分析とは、トレンドに追随する際の指標として用いる分析方法です。
出典:TradingView
①のようにモメンタムがボトムをつけ、②の時点で反発を確認できたら、買いエントリーします。
その後は、③のように上昇トレンドが継続しています。
出典:TradingView
上の画像では、①でモメンタムがトップをつけ、反落を確認できた②で売りエントリーをしています。
その後、③のように下落トレンドが継続しています。
モメンタムがボトムやトップをつけたことを確認してから売買すると、相場のトレンドフォローを的確に行いやすくなります。
先行指標分析
先行指標分析とは「モメンタムを相場の先行指標とする分析」です。
出典:TradingView
上画像の①でチャートは上昇を続けていますが、同じタイミングでモメンタムは②のように下落しています。
その後、③のようにチャートも下落していきました。
このように、モメンタムは相場に先行(先取り)する指標となることがあります。
実際の価格とモメンタム(指標)の動きが逆行する状態を、ダイバージェンスといいます。
このダイバージェンスが発生しているとき、モメンタムは特に相場の先行指標として機能しやすくなる傾向があります。
モメンタムの設定方法
ここでは、モメンタムの設定方法を、以下の3つに分けて解説します。
- ・MT4
- ・MT5
- ・TradingView
MT4
MT4でモメンタムを設定する方法・手順は以下の通りです。
- ・①:「Momentum」を起動する
- ・②:「パラメーター」を設定する
- ・③:「レベル表示」を設定する
- ・④:「表示選択」を設定する
①:「Momentum」を起動する
出典:MT4
まず、画面上部のメニューの「挿入」から「インディケータ>オシレーター>Momentum」の順番で選択します。
選択すると、設定画面が表示されます。
②:「パラメーター」を設定する
「Momentum」を選択すると、以下の「パラメーター」の画面が表示されます。
出典:MT4
この①〜⑤で、以下の内容をカスタマイズできます(カスタマイズなしでも使えます)。
①:期間 | 算出期間 |
②:適用価格 | 算出価格 |
③:スタイル | 線の色・種類・太さ |
④:下限設定 | サブチャートの下限値 |
⑤:上限設定 | サブチャートの上限値 |
③:「レベル表示」を設定する
出典:MT4
同じ画面で、左上の「レベル表示」を選びます。
①の「追加・削除」で、水平線を追加・削除できます。
②の「スタイル」で、水平線の色・種類・太さを指定します。
④:「表示選択」を設定する
出典:MT4
同じ画面で「表示選択」を選びます。
①は、モメンタムをどの時間足に表示するかの設定です。
②は、モメンタムの値をデータ・ウィンドウ内に表示するかどうかの設定です。
出典:MT4
設定が完了して「OK」を押すと、モメンタムがこのように表示されます(目立つように線の色・太さ・画面の高さを調整しています)。
MT4でのモメンタムの設定方法は、以下の記事でより詳しく解説しています。
MT4(メタトレーダー4)でモメンタムを設定する方法MT5
MT5でモメンタムを設定する方法・手順は以下の通りです。
- ・①:「Momentum」を起動する
- ・②:「パラメータ」を設定する
- ・③:「レベル」を設定する
- ・④:「スケール」を設定する
- ・⑤:「表示選択」を設定する
①:「Momentum」を起動する
出典:MT5
まず、画面上部のメニューの「挿入」から「インディケータ>オシレーター>Momentum」の順番でクリックします。
クリックすると、設定画面が表示されます。
②:「パラメータ」を設定する
「Momentum」をクリックすると、以下の「パラメータ」の画面が表示されます。
出典:MT5
この①〜③で、以下の内容をカスタマイズできます(カスタマイズなしでも使えます)。
①:期間 | 算出期間 |
②:適用価格 | 算出価格 |
③:スタイル | 線の色・種類・太さ |
③:「レベル」を設定する
出典:MT5
同じ画面で、左上の「レベル」を選びます。
①の「追加・削除」で、水平線を追加・削除できます。
②の「スタイル」で、水平線の色・種類・太さを指定します。
④:「スケール」を設定する
出典:MT5
同じ画面で「スケール」を選びます。
①〜③で、それぞれ以下の内容を設定できます。
①:スケールの継承 | 有効にすると、1つ前に設定したインジケーターのスケールを引き継ぐ |
②:ラインによるスケール | 有効にすると、スケールパーセントやスケール値を指定できる |
③:最小値・最大値の固定 | 有効にすると、最小値や最大値を指定してその範囲を表示できる |
⑤:「表示選択」を設定する
出典:MT5
同じ画面で「表示選択」を選びます。
①は、モメンタムの値をデータウィンドウ内に表示するかどうかの設定です。
②は、モメンタムをどの時間足に表示するかの設定です。
「すべての時間足」のチェックを外すと、特定の時間足だけに表示できます。
出典:MT5
設定が完了して「OK」を押すと、モメンタムがこのように表示されます(目立つように線の色・太さ・画面の高さを調整しています)。
MT5でのモメンタムの設定方法は、以下の記事でより詳しく解説しています。
MT5(メタトレーダー5)でモメンタムを設定する方法TradingView
TradingViewでモメンタムを設定する方法・手順は以下の通りです。
- ・①:「インジケーター」を選択する
- ・②:検索欄に「mom」と入力する
- ・③:候補から「MOM(モメンタム)」を選択する
- ・④:各種の設定をする
①:「インジケーター」を選択する
出典:TradingView
画面上部のメニューで「インジケーター」を選択します。
②:検索欄に「mom」と入力する
出典:TradingView
このような画面が表示されるので、検索欄に「mom」と入力します。
③:候補から「MOM(モメンタム)」を選択する
出典:TradingView
一番上に「MOM(モメンタム)」が表示されるので、これを選択します。
出典:TradingView
このようにモメンタムが表示されます。
④:各種の設定をする
出典:TradingView
各種の設定は、モメンタムの左上にある歯車アイコンからできます。
このアイコンは、左上にある文字にカーソルを合わせると表示されます。
TradingViewでのモメンタムの設定方法は、以下の記事でより詳しく解説しています。
TradingView(トレーディングビュー)でモメンタムを設定する方法モメンタムを使用する際の注意点
モメンタムを使用して売買する際の注意点は、以下の通りです。
- ・ダマシが存在する
- ・基準が曖昧である
それぞれの注意点について解説していきます。
ダマシが存在する
モメンタムが0ライン(100ライン)を上抜けしたり、下抜けしたタイミングで売買をする方法は基本的な考え方ですが、同水準で頻繁に交差することも多く、「ダマシ」となる可能性があります。
なお、モメンタムから移動平均線を作成することで、モメンタムの動きを滑らかにして0ライン(100ライン)との交差を少なくすることもできます。
MT5では、モメンタムのウィンドウに「ナビゲーター」から「Moving Average」をドラッグ&ドロップすることで、モメンタムの移動平均線を描画することができます。
基準が曖昧である
モメンタムが0ライン(100ライン)から極端に乖離した場合は、相場が反転する可能性が示唆されます。
ただし、乖離の度合いは主観的な判断になってしまうので、下記のようなテクニカル指標と組み合わせて判断すると効果的だと考えられます。
- ・RSI
- ・MACD
- ・移動平均線
参考までに、これら3つの指標とモメンタムを同時にチャートに表示すると、下画像のようになります。
出典:TradingView
モメンタムに関するQ&A
モメンタムに関して、よくある質問について回答します。
- ・ダイバージェンスとは何ですか?
- ・モメンタムとROCの違いは何ですか?
- ・モメンタムが強いとはどういう意味ですか?
ダイバージェンスとは何ですか?
ダイバージェンスとは、ローソク足の方向性と、オシレーター系指標の方向性が逆行する現象のことで、相場が反転する可能性を示すシグナルです。
ダイバージェンスには「弱気のシグナル」「強気のシグナル」があります。
- ・弱気のシグナル:ローソク足は高値を切り上げているが、オシレーターの高値は切り下がっている
- ・強気のシグナル:ローソク足は安値を切り下げているが、オシレーターの安値は切り上がっている
「ダイバージェンス」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
モメンタムとROCの違いは何ですか?
出典:TradingView
モメンタムとほぼ同じテクニカル指標に、ROC(Rate of Change)があります。
モメンタムがn期間前との差を表すのに対して、ROCは比率で表すのが特徴です。
つまり、MT4/ MT5で標準搭載のモメンタムと同じですが、ROCは0ラインが中心となります。
モメンタムが強いとはどういう意味ですか?
モメンタムが強いとは「相場の勢いが強く、上昇トレンドである」という意味です。
逆に、モメンタムが弱いとは「相場の勢いが弱く、下落トレンドである」ことを意味します。
出典:TradingView
モメンタムが0ライン(100ライン)より上の黄色のゾーンにあるときは「モメンタムが強い」状態です。
逆に、0ライン(100ライン)より下の水色ゾーンにあるときは「モメンタムが弱い」状態を示します。
【まとめ】モメンタムとは|意味・活用方法・設定方法などを解説
モメンタム(momentum)は「勢い」や「はずみ」などを意味する言葉で、相場の勢いを評価するオシレーター系のテクニカル指標です。
モメンタムを利用する場合、モメンタムが0ライン(100ライン)を上抜け、下抜けするタイミングで売買を検討することができます。
ただし、ダマシに注意する必要があります。
ダマシを減らすには、他のテクニカル指標と組み合わせて判断することが有効です。
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