押しや戻りの水準を予測するフィボナッチ・リトレースメント
1.フィボナッチ比率を表示する
チャート分析では、フィボナッチ比率が用いられることがあります。フィボナッチ比率とは、フィボナッチ数列(1から始めて前の数字を加算していく数列。1、1、2、3、5、8、13…と続く)の数字の間に現れる特徴的な比率のことです。
その比率が用いられる代表的なテクニカルツールが、フィボナッチ・リトレースメントです。これは任意の波動(起点と終点)を選ぶと、その間にフィボナッチ比率が示されるものです。
画像1/フィボナッチ・リトレースメント
フィボナッチ・リトレースメントで利用されるのは、フィボナッチ数列を下表のルールで計算した比率です。MT4(Meta Trader4)/ MT5(Meta Trader5)では、これらの比率がデフォルトのレベルとして採用されています。なお、フィボナッチ比率に加えて、起点は0、終点は1、その半値は0.5としてレベルラインが引かれます。
任意の数字を、二つ飛ばしの次の数字で割る | 0.236 |
任意の数字を、一つ飛ばしの次の数字で割る | 0.382 |
任意の数字を、次の数字で割る | 0.618 |
任意の数字を、前の数字で割る | 1.618 |
任意の数字を、一つ飛ばしの前の数字で割る | 2.618 |
任意の数字を、二つ飛ばしの前の数字で割る | 4.236 |
またこの他、0.618の平方根である0.786、1.618の平方根である1.272も利用されます。デフォルトにないレベルを追加するには、フィボナッチ・リトレースメントのプロパティ画面を呼び出して、「レベル」タブにて追加を行います。
画像2/プロバティ画面
2.フィボナッチ・リトレースメントは値幅観測に用いられる
フィボナッチ・リトレースメントは、任意の波動がどれくらい押し/戻しするかを予測するのに役立ちます。言い換えると、値動きはそれぞれのレベルラインをターゲットにする傾向があるということです。つまり上昇波動なら、その押しは23.6%、38.2%、50.0%…といったレベルを目指し、そこから再び上昇に回帰すると予想することができます。
画像2は、AとBを結んだ上昇波動にフィボナッチ・リトレースメントを引いた例です。38.2%ラインが押し目となり、そこから再上昇している様子が分かります。
画像3/38.2%が押し目となった例
フィボナッチ・リトレースメントは、複数の波動に対して引くと、ターゲットの予想がしやすくなります。複数のターゲットが重複するレートが、重要視されるわけです。画像3は、画像2と同じチャートに、もう一段階小さいフィボナッチ・リトレースメント(青色)を引いています。
画像4/2本のフィボナッチ・リトレースメントを利用
前述の38.2%ライン(赤色)は、追加した方の50.0%(青色)と、同水準であることが分かるでしょう。そのため、この重複した水準が押し目となりやすいということが、事前に予想可能となるのです。
3.MT4/ MT5でフィボナッチ・リトレースメントを使う場合のポイント
フィボナッチ・リトレースメントをデフォルトで使う場合、ラインの水準は見た目から分かるものの、そのレートまでは分かりません。正確にレートを知るためには、プロパティ画面の「レベル」にて、数値の後ろに「 %$」と追加します。すると、フィボナッチ比率の後ろにレートも表示されるようになります。
画像5/数値の後ろに「 %$」を追加
また、複数のフィボナッチ・リトレースメントを引く場合は、同じ色だと見づらくなってしまうので、色分けすると良いでしょう。MT4/ MT5の場合、フィボナッチ・リトレースメントのライン上で右クリックすると、プロパティ画面が呼び出せます。ここで各ラインの色、ラインの延長の有無、レベルラインの追加・削除などが行えます。
監修:山中康司氏
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