エリオット波動解説(第五回)波の形とは?
今回は「波の形」に関する用語について解説していきます。ここで第一回に登場した表に再登場願いましょう。
エリオット波動解説(第一回)用語説明と基本的な見方・使い方について解説
図6
※「あなたのトレード判断能力を大幅に鍛える エリオット波動研究 パンローリング刊」P61より抜粋
このように、推進波にはインパルスとダイアゴナルが、修正波にはジグザグとフラットとトライアングル(と、ここには書いていませんが複合修正もあります)があります。 そして、それぞれの波形はインパルスの次の場所に出現します。
図40
では、それぞれの波形が一体どういうものであるのかをじっくり見て行きましょう。まずは、インパルスです。インパルスの大まかなルールは第一回で説明しましたので、もう一度読み直してみてください。ここでは更に詳しくインパルスの特徴(特徴=エリオット波動原理では「ガイドライン」という)を解説していきます。
①オルタネーション
インパルスにおいて、2波と4波に違う波形の修正波が出ることをオルタネーションといいます。オルタネーションは必ず起こるわけではありませんが「起こりやすい」とされています。たとえば、2波にジグザグが出現すると4波はフラットやトライアングルまたは複合修正になることがしばしば観察されています。
②オルタネーションとは別に、インパルスの2波はジグザグやダブルジグザグに、4波はフラットやトライアングルや複合修正になることがよくあります。
※ダブルジグザグや複合修正の説明は第七回および第八回で行います。
図41 ジグザグのC波に現れたインパルス(225CFD・5分足)
上のチャートでも、インパルスの2波がジグザグに、4波がトライアングルになっています。(チャートには、2波を(ii)、4波を(iv)とナンバリング)
③トランケーション(フェイラー)
図42
上の模式図のように、インパルスの3波が急激で行き過ぎた動きになった場合、5波が3波の終点を超えられずに終わることがあり、これをトランケーションまたはフェイラーと言います。フェイラーとは3波の終点を超えることに「失敗した」という意味です。
④チャネリングとスローオーバー
インパルス全体が凡そ2つの平行線の中に収まることをチャネリングまたはチャネルになっていると言います。中でも、インパルスの2波終点と4波終点を結んだ線と、1波終点と3波終点を結んだ線が平行になることがよくあります。
図43(225CFD・5分足)
図43のインパルスでは5波は(図では(v)とナンバリング)僅かにラインを超えていますが、このようにインパルスの5波がトレンドラインを超えることをスローオーバーと言い、これもしばしば起こる現象です。ダイアゴナルの5波にもよく見られます。
チャネルを引く手順は次の通りです。まず3波まで終了したら1波終点と3波終点を結ぶラインを引きます。次にそのラインと平行な線を2波終点から引きます。そのライン上が4波終点のターゲットになります。4波が行き過ぎたときは、改めて2波終点と4波終点を結ぶラインを引きます。
そして、そのラインと平行になるようなラインを3波終点から引きます。そのライン上が5波終点のターゲットになります。このようなラインの引き方が必ず機能するわけではありません。その際は波動全体が大まかにチャネルに収まるかを確認することでその波動がインパルスであるかどうかの判断に活用します。
⑤波の延長(エクステンション)
インパルスにおいて、アクション波の一つまたは二つが、他の波よりも明らかに大きくなることを「波の延長」またはエクステンションと言います。
※DVD「エリオット波動原理の基本 vol.1」 パンローリング株式会社刊より抜粋
延長した波は、その副次波(その波を構成する波動という意味で一回り小さな波を副次波と言う)が、延長していないほかのアクション波と同じくらいの大きさになることも珍しくありません。そのため、しっかり観察してナンバリングしないと、どの波動とどの波動が同じディグリーなのか分からなくなってしまいます。
最も延長しやすいのは3波で、次に延長しやすいのは5波です。1波が延長することはほとんどありません。また、3波が大きく延長したときは、その副次波3波もしばしば延長します。その結果、3波の大きさが1波の3倍近くになることも珍しくありません。図43のインパルスも3波が延長しています。
当然ですが、延長した波動は必ずインパルスになります。また、スーパーサイクル級やサイクル級などの大きなディグリーの波動の5波ではその副次波の3波と5波の両方が延長することが稀にあると言われています。
⑥修正波の深さ
インパルスにおいて、2波は1波を深く修正し、4波は3波を浅く修正すると言われています。
図44(225CFD・5分足)
このインパルスでも、(ii)波が(i)波の大半を修正しているのに対し、(iv)波は(iii)波を僅かにしか修正していません。通常、4波では一つ前の3波の副次波4波が動いた範囲での修正が起きると言われています。その中でも「一つ前の3波の副次波4波終点」までの修正が起きることがよく観察されています。
図45(日経平均・週足)
※DVD「エリオット波動原理の基本 vol.1」 パンローリング株式会社刊より抜粋
このように日経平均の週足チャートでも4波は一つ前の3波の副次波4波の動いた範囲まで修正していることが分かります。
⑦黄金分割
インパルスにおいて、凡そ4波終点の位置でインパルス全体が黄金分割されることがしばしば観察されています。
※黄金分割に関しては第九回で解説します。
図46(日経平均・週足)
⑧波の均等性
インパルスにおいて、3波が延長した時に1波と5波が大きさと継続時間の両面で(どちらか一方だけの場合もあります)同じまたはフィボナッチ比率になることを言います。これも必ず起きるわけではありませんがしばしば見られる現象です。次のチャートでは、③波が延長していますが、①波と⑤波がほぼ同じ大きさになっています。
図47(日経平均・週足)
以上、ガイドラインと呼ばれているインパルスによく現れる特徴についてお話ししました。
第五回は以上になります。次の第六回では、もう一つの推進波であるダイアゴナルについて解説します。
※記事中のチャートにある波動カウントは一例に過ぎません。エリオット波動原理では一つのチャートに対して必ず複数のカウント案が存在しどのカウントが正しいかは事後的にしか分からず波動の進行によってカウント案自体も更新されていきます。
一般社団法人エリオット波動研究所代表理事 有川和幸氏監修
この記事を監修してくださった有川和幸氏と小泉秀希氏の共著「あなたのトレード判断能力を大幅に鍛えるエリオット波動研究 基礎からトレード戦略まで網羅したエリオット波動の教科書(パンローリング社) 」には更に詳しくエリオット波動について説明されています。
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