エリオット波動解説(第四回)エリオット波動原理の波の名前の種類
今回はエリオット波動原理で使う波の名前についてお話します。多くの方が勘違いしていることなので、どうぞしっかり覚えてください。
エリオット波動原理で使う波の名前には2つの種類があります。1つは、波の方向性を示すもの。もう一つは波の形を示すものです。それを簡単にまとめたものが次の表になります。
図31
※「あなたのトレード判断能力を大幅に鍛える エリオット波動研究 パンローリング刊」P43より抜粋
ここで初めて出てきたのが、アクション波とリアクション波という2つの用語ということになります。
これらをインパルスを使って説明すると次のようになります。
図32
簡単ですね。
これを第一回(エリオット波動解説(第一回)用語説明と基本的な見方・使い方について解説)の図5と比較してみると
図5
推進波=アクション波、修正波=リアクション波と解釈しそうになりますが、そうではありません。
ここで、第一回でさらっと触れた図2のフラットという波に再登場してもらいましょう。
図2
図31の表を見ていただくと分かる通り、フラットは修正波です。修正波ということは、インパルスでは2波や4波に出現します。たとえば、2波にフラットが出現すると次のようになります。
図33
紫の楕円部分がフラットです。ここでは2波を②とナンバリングしてあります。そして、②のフラットは次のように(A)(B)(C)という3つの波動で構成されています。
図34
図34と図2を合体させると次のようになります。
図35
ここで、②波の方向は紫矢印です。そして、一回り小さな波動である(A)と(C)も②と同じ方向を向いています。
図36
ここで図32を参照すると、②において、(A)と(C)がアクション波で(B)がリアクション波だということが分かります。(A)、(C)はともにフラットにおけるアクション波ということになりますが、波の形を見ると、(A)はジグザグという修正波、(C)はインパルスという推進波になっています。このように、アクション波=推進波ではないこともあることがお分かりになっていただけるでしょう。
さらに、第一回で登場したダイアゴナルのアクション波とリアクション波についても確認してみましょう。これが第一回の図3に登場したダイアゴナルでした。
図3
このダイアゴナルは推進波ですから次のように5波動になっています。(図31参照)
図37
次の図はダイアゴナルがインパルスの5波に出た時の模式図です。(3波の途中から描いています。また3波を③、5波を⑤とナンバリングしています。)
図38
ここで、⑤波部分に注目すると、⑤波は紫矢印の方向を向いていることが分かります。
図39
紫矢印と同じ方向を向いているのは(1)と(3)と(5)ですから、ダイアゴナルでは1波、3波、5波がアクション波であることが分かります。(2)と(4)はリアクション波です。そして、ダイアゴナルではアクション波もリアクション波も全て同じ3波動の修正波であるジグザグ形になっていることが分かると思います。
以上見てきたように、アクション波=推進波、リアクション波=修正波というのは間違いです。アクション波はあくまでも「一回り大きな波動と同じ方向を向いている波」、リアクション波は「一回り大きな波動と反対の方向を向いている波」ということになります。
では、ここで一覧にしてまとめましょう。
アクション波とは
- インパルスの1波、インパルスの3波、インパルスの5波
- ダイアゴナルの1波、ダイアゴナルの3波、ダイアゴナルの5波
- ジグザクのA波、ジグザクのC波
- フラットのA波、フラットのC波
- トライアングルのA波、トライアングルのC波、トライアングルのE波、
- 複合修正のW波、複合修正のY波、複合修正のZ波
これで全てです。
また、リアクション波とは
- インパルスの2波、インパルスの4波
- ジグザグのB波
- フラットのB波
- トライアングルのB波、トライアングルのD波
- 複合修正のX波
これで全てになります。
第四回では、波の方向を示す用語について詳しく説明しました。次の第五回では、波の形を示す用語について解説していきます。だんだん複雑になってきましたが一つ一つ確実に覚えていってください。
一般社団法人エリオット波動研究所代表理事 有川和幸氏監修
この記事を監修してくださった有川和幸氏と小泉秀希氏の共著「あなたのトレード判断能力を大幅に鍛えるエリオット波動研究 基礎からトレード戦略まで網羅したエリオット波動の教科書(パンローリング社) 」には更に詳しくエリオット波動について説明されています。
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