エリオット波動解説(第六回)ダイアゴナルの使い方
今回はダイアゴナルの説明です。
ダイアゴナルは第四回で説明したように次のような形をした推進波です。
エリオット波動解説(第四回)エリオット波動原理の波の名前の種類
図37
推進波ですからインパルスと同じように5つの波で構成されています。副次波である5つの波は基本的にジグザグまたはジグザグの複合形です。そして、1波と4波が原則として重なるのがダイアゴナルの特徴です。
ダイアゴナルには全体がくさび型(ウェッジ)になっている収縮型ダイアゴナルと末広がりになっている(逆ウェッジ)になっている拡大型ダイアゴナルの2種類があります。共に下値のトレンドラインと上値のトレンドラインが同じ方向を向いています。
図48
※DVD「エリオット波動原理の基本 vol.2」 パンローリング株式会社刊より抜粋
ダイアゴナルは推進波ですから、副次波をカウントするときの記号は数字を使います。(第三回を参照)
エリオット波動解説(第三回)全ての波動はより大きな波動の一部の具体例
ダイアゴナルは出現する位置によって、リーディングダイアゴナルとエンディングダイアゴナルの2つに分けられます。この2つは収縮型、拡大型に関わらず、少し性質が違います。
まず、リーディングダイアゴナルとエンディングダイアゴナルがどの位置に出現するのかを見てみましょう。
図49
※DVD「エリオット波動原理の基本 vol.2」 パンローリング株式会社刊より抜粋
ダイアゴナルが出現する位置はこれで全てです。
また、リーディングダイアゴナルはアクション波がジグザグではなくインパルスになることがあると言われています。パンローリング株式会社から出ている『エリオット波動研究』にも「リーディングダイアゴナルは基本的には5-3-5-3-5という副次波の構成となりますが、例外的に3-3-3-3-3となることもあります」という記述があります。
ここで「3」とは修正波を「5」とは推進波を指しています。しかし、一般社団法人日本エリオット波動研究所のその後の調査で2018年1月以降、少なくとも225CFDのチャートに現れるミニスキュール級以上のリーディングダイアゴナルの全てが3-3-3-3-3構成であることが分かっています。
よって、実際にはリーディングダイアゴナルの副次波も原則的に全てジグザグまたはジグザグの複合形であると考えて問題ありません。ただ、エンディングダイアゴナルにもリーディングダイアゴナルにも、まれにフラットなど他の修正波が出現することが観察されています。
では、ダイアゴナルの説明を続けますね。
図50
ここに3つのダイアゴナルが描いてあります。
①は普通の収縮型ダイアゴナルです。一般に5波は1-3ラインで終わるのが目安となりますが、1-3ラインを超えてスローオーバーすることもあるし、未達で終わることも珍しくありません。
②は5波がフェイラーになった収縮型ダイアゴナルです。エンディングダイアゴナルでは稀に出現しますが、リーディングダイアゴナルでは原則として出現しません。
③は拡大型ダイアゴナルです。拡大型では5波は1-3ラインまで届かずに終わることが多いようです。なお、拡大型にフェイラーはありません。
では、ダイアゴナルが出るとそのあと株価はどのように動くでしょうか。
図51
これは、2018年10月の高値を付けた時の225CFDの1時間足チャートです。5波の(v)波にエンディングダイアゴナルが出現しています。
エンディングダイアゴナルが完成すると株価はその始点まで急反転すると言われています。
図52
この場合エンディングダイアゴナルの始点は(iv)の終点ですが、完成後はその始点となる株価までダイアゴナル完成に掛った時間の半分ほどの短期間で急落しています。
次にリーディングダイアゴナル完成後の動きを見てみましょう。
図53
これは2018年12月から2019年1月にかけての225CFD3時間足のチャートです。
ジグザグの(A)波がリーディングダイアゴナルになっています。その完成後には(B)波によって修正されますが、修正の深さは(A)の5波の途中ほどまでにとどまっています。
このようにリーディングダイアゴナルが完成した後は続くリアクション波によって比較的浅い修正が見られることが多いです。最もよくあるパターンはリーディングダイアゴナルの4波終点までの修正です。また、インパルスの1波にリーディングダイアゴナルが出現すると3波は延長する傾向にあります。
ダイアゴナルは頻発する波形です。図53で(A)とナンバリングしたリーディングダイアゴナルの中にも次のようにたくさんのダイアゴナルが観察されます。
図54
※DVD「エリオット波動原理の基本 vol.2」 パンローリング株式会社刊より抜粋
なお、ダイアゴナルは推進波なので、複合修正のアクション波として出現することはありません。
第六回は以上です。
続く第七回では、修正波のうちジグザグとフラットを、第八回ではトライアングルと複合修正について解説します。
※記事中のチャートにある波動カウントは一例に過ぎません。エリオット波動原理では一つのチャートに対して必ず複数のカウント案が存在しどのカウントが正しいかは事後的にしか分からず波動の進行によってカウント案自体も更新されていきます。
一般社団法人エリオット波動研究所代表理事 有川和幸氏監修
この記事を監修してくださった有川和幸氏と小泉秀希氏の共著「あなたのトレード判断能力を大幅に鍛えるエリオット波動研究 基礎からトレード戦略まで網羅したエリオット波動の教科書(パンローリング社) 」には更に詳しくエリオット波動について説明されています。
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