テクニカル分析解説

エリオット波動解説(第一回)用語説明と基本的な見方・使い方について解説

一般的にテクニカル分析の一つとして認識されているエリオット波動ですが、正式には「波動原理」または、「エリオット波動原理」といいます。1938年にアメリカ人のラルフ・ネルソン・エリオットが「Wave Principle」という論文にまとめたのが始まりです。

エリオットの死後、ハミルトン・ボルトン、ロバート・プレクターなどの研究者によってその内容は加筆修正され現在に至っています。研究者によってさまざまな解釈がある他、グレン・ネリーが提唱する「Neo Wave」などの亜流も多数存在しますがここではロバート・プレクターによる解釈をベースに解説していきます。

エリオット波動というと(以下、エリオット波動原理と記述)、次のように5つの波で上昇して、3つの波で下落するものと理解している人が多いかも知れません。

図1

エリオット波動原理

しかし、エリオット波動原理には次のように、3つの波で下がって、3つの波で上がって、5つの波で下がるものや、

図2

フラット

次のように、3つの波が5つ連続して上下しながら上がっていくものも存在します。

図3

エリオット波動原理3

では、エリオット波動原理における「波の形」とは一体何なのか。ここから分かり易く説明していきます。

まず、エリオット波動原理における、基本的な波の形は次のインパルスになります。

図4

インパルス

このインパルスは必ず次のような構成になっています。例外はありません。

図5

インパルス2

ここで「推進波」と「修正波」という名前が出てきましたが、それぞれ次の波の形の総称になります。

図6

「推進波」と「修正波」

※「あなたのトレード判断能力を大幅に鍛える エリオット波動研究 パンローリング刊」P61より抜粋

次のチャートはニューヨークダウ(DJIA)の1920年代からの月足チャートですが、IIIとナンバリングした波動の中に①-②-③-④-⑤とナンバリングしたインパルスがあるのが分かります。

図7

ニューヨークダウ

※波の数え方には必ず複数の解釈が存在し、あくまで一例の提示になります。

④の「複合修正」とは、修正波が2つまたは3つ連結して構成される修正波の形を言います。

インパルスをはじめ、全ての形の波(これを波形という)には、それぞれの波形特有の「ルールとガイドライン」が存在します。「ルール」とは、その波形であると認めるにあたって絶対に守られていなければならない条件のことです。また、「ガイドライン」とは、ある波がどの波形であるかを判断する際のヒントのようなものです。ここではまず、インパルスの「ルール」をしっかり確認しておきましょう。

  • ルール①:必ず5つの波で構成される。
  • ルール②:インパルスの1波目は推進波、2波目はトライアングル以外の修正波、3波目は推進波のインパルス、4波目は修正波、5波目は推進波に必ずなっている。
  • ルール③:2波が1波の始点を超える(または割り込む)ことはない。
  • ルール④:1波、3波、5波の中で3波が一番小さくなることはない。(一番大きい波である必要はない)
  • ルール⑤:1波と4波は重ならない。

このうちルール③、④、⑤は三大ルールとも呼ばれていてエリオット波動原理における最も重要と言っていい決まりです。もちろん①や②も「ルール」ですから絶対に守られていなければなりません。これらを先ほどのニューヨークダウのチャートで確認してみましょう。

図8

ニューヨークダウのチャート

では、冒頭で触れたつぎの波のパターンは一体何だったのでしょうか。

図2

フラット

実は、これは修正波の中のフラットという波形だったのです。図8のニューヨークダウのチャートにある「IV」の部分がこの形になっているのがお分かりいただけるでしょうか。また、図3で描いた次のパターンは推進波の中のダイアゴナルという波形でした。

図3

エリオット波動原理3

第一回はここまでです。

続く第二回では、「エリオット波動解説(第二回)片対数目盛りチャートを使う理由」について、また第三回ではエリオット波動原理の重要概念である「フラクタル」について、そして、第四回では波動の名称についてと順を追って詳しく解説していきます。

一般社団法人エリオット波動研究所代表理事 有川和幸氏監修


この記事を監修してくださった有川和幸氏と小泉秀希氏の共著「あなたのトレード判断能力を大幅に鍛えるエリオット波動研究 基礎からトレード戦略まで網羅したエリオット波動の教科書(パンローリング社) 」には更に詳しくエリオット波動について説明されています。

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