ATRを活用した利益確定目標や損切りの幅を決めるトレードアイデア
ATRは決済の目安として活用できる
テクニカル指標を使ってエントリーのタイミングを見極めるアイデアはいくつもありますが、同じテクニカルによるドテンサインで決済すると、うまく利益にならない場合も多いです。そのため、決済のアイデアを別途用意したいという人もいるでしょう。そんなときに役立つのが、ATR(Average True Range)です。このテクニカル指標は、利益確定や損切りの値幅を決めるのに重宝します。
ATRは相場のボラティリティ(変動率)を示すテクニカル指標で、日本語では「真の値幅の平均」と訳されます。現在の相場の変動率は大きいのか小さいのか、その度合いや傾向を把握することができます。
ATRの計算式に用いるのは、日足であれば前日の終値、当日の高値、当日の安値の三つの価格です。これらからTR(True Range)を求め、そのTRを直近の価格に重きを置いて平均化することでATRは算出できます。
- ATRの計算式(日足の場合)
- ATR=TRのn日指数平滑移動平均
- ※TRは「当日高値-前日終値」「当日高値-当日安値」「前日終値-当日安値」のうち最大の値幅のものを採用
ATRの計算式は少し複雑ですが、簡単に説明すると「今日はこれくらい相場が動くだろう」という値幅を表します。相場はいつも同じボラティリティであることはなく、大きな変動をするときもあれば、穏やかな変動に終始することもあります。そんな相場の表情に応じて、いま(今日)の相場がどれくらい動くかを予想できるのが最大の特徴です。
その特徴を活かして、利益確定や損切りの目標を設定する際に利用されることが多いです。ボラティリティが大きな相場の傾向が続いていれば利益幅を大きく狙え、逆の傾向が続いていれば利益幅を控えめにしたトレード計画を立てることができます。この記事では、そんなATRを用いた実践的なトレードアイデアを紹介します。
利確および損切り幅の設定で利用するアイデア
ATRを利益確定幅や損切り幅の設定で利用する場合、リスクリワードを考慮すると良いでしょう。リスクリワードとは、一度の取引における利益と損失の比率のことで、「勝ちトレードの平均利益÷負けトレードの平均損失」で求めることができます。
この比率が「1」を超えると勝ちトレードの平均利益が上回って利益が出る状態、「1」を下回ると負けトレードの平均損失が上回って損失が出る状態を意味します。ATRで利益確定幅と損切り幅を決める際は、リスクリワードが「1」を上回るように設定するのが基本です。
例えば、リスクリワードが「1.5」となるように考えると、単純に損切り幅が「1」で、利益確定幅が「1.5」です。下画像は、ATRの値が0.7(70pips)を示しています。この場合、損切り幅として70pips、利益幅として105pipsを狙う戦略を立てることができます。
ちなみに損切り幅「0.5」で、利益確定幅が「0.75」の組み合わせでも、リスクリワードは「1.5」となります。値幅の設定は、通貨ペアや時間軸の性質に合わせて調整する必要があるでしょう。
ADXとATRを組み合わせたトレードアイデア
FXでは、相場に勢いがあって値幅を稼げるときにトレードするのがセオリーです。ここでは、相場の勢いをADXというテクニカル指標で判断のうえエントリーし、ATRで利益確定幅と損切り幅を設定するトレード例を紹介します。
ADXを見るポイントとしては、20~30を超える動きとなる場合に大きなトレンドに発展する可能性が高いと考えます。下画像では、チャートで上昇傾向が見て取れ、ATRが30を上抜いたタイミングでエントリーしました。
なお、MT5のADX(Average Directional Movement Index)では3本のラインが表示されますが、デフォルト設定にて実線で描かれるラインがADXです(破線は+DIと-DI)。
エントリー時のATRの値は約1.6(160pips)だったので、その1.5倍となる240pipsを利益確定目標にします。また、1倍の160pipsを損切り幅に設定(値幅が広すぎる場合は直近安値を目標にするなどのアレンジも可)しました。
エントリー | エントリーから+240pipsのところで利益確定(-160pipsのところで損切り) |
---|---|
決済 | チャートで上昇トレンドを確認し、ADXが30を超えたところでエントリー |
この例では、エントリーしたあとも勢いのある上昇が続き、目標値幅の240pipsを獲得することに成功しました。
本記事の監修者・平野朋之
ネット証券で、FX業務全般、自己売買部門のディーラー、投資情報室の情報発信、セミナー講師などの業務に携わる。現在は独立して株式会社トレードタイムを設立。マーケット情報の発信や投資教育を行うかたわら、オリジナル手法での自己売買も精力的に行う。
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