株式分割とは|目的・メリット・デメリットなどをわかりやすく解説
株式分割とは、株式をいくつかに分割(細分化)し、発行済み株式数を増やすことです。
本記事では、株式分割を行う目的やメリット、デメリットについてわかりやすく解説します。
※OANDA証券では株式取引をサービスとして提供していません。本記事は株式取引に関する一般的な知識を提供することを目的としています。
目次
- 1.株式分割とは
- 2.株式分割の予定銘柄一覧
- 3.株式分割の主な目的
- 4.【企業】株式分割のメリット・デメリット
- 5.【投資家】株式分割のメリット・デメリット
- 6.株式分割に関するQ&A
- 7.【まとめ】株式分割とは|目的・メリット・デメリットなどをわかりやすく解説
株式分割とは
株式分割とは、発行済みの株式を分割(細分化)することです。
1株を2株に分割する場合は、分割比率「1:2」「1対2」などと表されます。
分割した分だけ発行済み株式が増加しますが、1株あたりの株価は下がり、結果として株式全体の価値は変わりません。
株式を保有している場合は、分割比率に応じて株数が増加します。
例えば、ある企業で1株を2株に分割すると決定された場合、100株保有していれば200株に増加します。
なお、株主全員の保有している株数が均等に増加するので、持株比率の変更や資本金の増加はありません。
株式分割の予定銘柄一覧
近年はNISA制度の拡充もあり、個人投資家が取引をしやすい環境作りとして東京証券取引所が株式分割の促進など最低投資金額を引き下げる取り組みを行っています。
株式分割を予定している主な銘柄は以下の通りです(2025年2月時点の情報を基に構成)。
銘柄名 | 権利落ち日 | 分割比率 |
---|---|---|
ライフコーポレーション | 2025/02/27 | 1:2 |
フェスタリアホールディングス | 2025/02/27 | 1:2 |
シンメンテホールディングス | 2025/02/27 | 1:2 |
ミガロホールディングス | 2025/02/27 | 1:2 |
グロービング | 2025/02/27 | 1:5 |
売れるネット広告社グループ | 2025/02/27 | 1:2 |
TONE | 2025/02/27 | 1:2 |
構造計画研究所ホールディングス | 2025/02/27 | 1:2 |
大本組 | 2025/02/27 | 1:2 |
SUMINOE | 2025/02/27 | 1:2 |
ホウライ | 2025/03/28 | 1:3 |
JBCCホールディングス | 2025/03/28 | 1:4 |
野村不務産ホールディングス | 2025/03/28 | 1:5 |
味の絵 | 2025/03/28 | 1:2 |
KDDI | 2025/03/28 | 1:2 |
ニチレイ | 2025/03/28 | 1:2 |
全国保証 | 2025/03/28 | 1:2 |
イエローハット | 2025/03/28 | 1:2 |
キムラユニティー | 2025/03/28 | 1:2 |
日本電気 | 2025/03/28 | 1:5 |
エスビー食品 | 2025/03/28 | 1:2 |
ダイト | 2025/05/29 | 1:2 |
※2025年2月11日時点のデータ
株式分割の主な目的
ここでは企業が株式分割を行う主な目的について、解説していきます。
- ・株式の流動性を高める
- ・配当や株主優待の方針を変更する
- ・上場市場の変更準備
株式の流動性を高める
株式分割が行われると、1株あたりの株価が下がります。
株価が下がることで、個人投資家が株式を購入しやすくなり、流動性の高まりが期待できます。
例えば、2022年に株式分割した任天堂の場合、分割前は取引するのに約600万円の資金が必要でしたが、「1:10」の株式分割によりこれが約60万円に引き下げられ、個人投資家が購入しやすくなりました。
配当や株主優待の方針を変更する
すでに株式を保有している銘柄で株式分割が行われると、自動的に保有数が増加します。
一般的に、配当金は比例して下がりますが、企業によっては配当金を据え置く場合もあります。
利益を還元する目的で行われ、増配と同じ意味となります。
株式優待も同様で、投資家にとって有利な条件への変更が行われる場合があります。
上場市場の変更準備
上場には各種の条件が定められており、条件の中に株主数や流通株式数が含まれています。
例えば、プライム市場であれば流通株式数2万単位以上、流通株式時価総額100億円以上、流通株式比率35%以上と定められています。
新規上場や市場変更の条件を満たすために株式分割を行い、株主数や流通株式数を増加させる場合があります。
また、上場維持にも、株主数や流通株式数の基準が定められています。
各市場区分における株式数の条件
株主数 | 流通株式数 |
流通株式 時価総額 |
流通株式比率 | 時価総額 | |
---|---|---|---|---|---|
プライム | 800人以上 | 2万単位以上 | 100億円以上 | 35%以上 | 250億円以上 |
スタンダード | 400人以上 | 2000単位以上 | 10億円以上 | 25%以上 | なし |
グロース | 150人以上 | 1000単位以上 | 5億円以上 | 25%以上 | なし |
【企業】株式分割のメリット・デメリット
企業側からみた株式分割のメリットとデメリットは、主に以下の通りです。
- ・【企業側のメリット1】より多くの株主を集められる可能性が高まる
- ・【企業側のメリット2】上場基準を満たせる
- ・【企業側のデメリット1】株価が下落する可能性がある
- ・【企業側のデメリット2】株主対応などのコストや手間が増える
【企業側のメリット1】より多くの株主を集められる可能性が高まる
株式分割により株価水準が引き下がるため投資家が取引しやすくなり、より多くの株主が誕生する可能性が高まります。
株主が増えて流動性が高まると、株価の安定性が高まります。
また、取引しやすくなることで企業への注目度が高まる可能性もあります。
【企業側のメリット2】上場基準を満たせる
上場には株主数や流通している株数の基準が定められており、基準を満たさないと上場ができません。
グロース市場に上場する場合、株主数150人以上、流通株式数1000単位以上、流通株式時価総額5億円以上、流通株式比率25%以上が形式要件です。
株式分割をすることで、新規の株主が増加し、市場に流通する株式数も増え、上場基準を満たせる可能性があります。
【企業側のデメリット1】株価が下落する可能性がある
株価水準が引き下がって取引しやすくなると、これまでは高額で取引できなかった投資家も参加してきます。
また、株式を分割することで浮動株(市場で取引される可能性が高い株)も増加します。
一般的に、投資家の参加や浮動株が増えると取引が活発化し株価の安定に繋がりますが、需要と供給の悪化を招く可能性があります。
すでに株式を保有している投資家は、株式が増えることで売り注文が出しやすくなるため、株式分割が下落要因の1つとして作用する場合が考えられます。
【企業側のデメリット2】株主対応などのコストや手間が増える
株主が増えるということは、その分の管理コストも増えます。
例えば、これまでは1000人の株主に通知を送っていたところ、株主が5000人に増えたら5000人に通知を送る必要があります。
また、株主分割をした場合、登記申請が必要です。
株主の管理や登記申請など、コストや手間が増える点は企業側のデメリットです。
【投資家】株式分割のメリット・デメリット
企業側からみた株式分割のメリットとデメリットは、主に以下の通りです。
- ・【投資家側のメリット1】株価が下落し、取引しやすくなる
- ・【投資家側のメリット2】保有している株式が増える
- ・【投資家側のデメリット1】ボラティリティが大きくなる可能性がある
- ・【投資家側のデメリット2】単元未満株が発生する可能性がある
【投資家側のメリット1】株価が下落し、取引しやすくなる
株式分割による投資家の一番のメリットは、株価水準が引き下がって取引しやすくなることです。
例えば、2023年にNTTは「1:25」の株式分割を行いました。
株式分割前のNTT株は最低購入金額が約40万円だったのに対し、分割後は数万円での投資が可能になりました。
高額で投資しにくい銘柄でも、株式分割によって投資しやすくなるのが個人投資家にとって大きなメリットです。
【投資家側のメリット2】保有している株式が増える
株式分割が行われると保有株数も自動的に増え、企業による株主還元(増配や株主優待など)の条件で有利になる可能性があります。
また、1単元(100株)だけ保有していた場合には、保有し続けるか売却するかの選択肢になりますが、株式分割により単元が増えると半分を利益確定するなど取引の幅が広がるメリットもあります。
【投資家側のデメリット1】ボラティリティが大きくなる可能性がある
株価水準が引き下がって取引しやすくなると、短期取引が増え、株価のボラティリティが大きくなる可能性があります。
すでに株式を保有している株主は株数が増えることで、保有している一部を売却する動きも出てくるため、分割前よりも株価が下落しやすくなる場合も考えられます。
【投資家側のデメリット2】単元未満株が発生する可能性がある
株式分割は整数倍のみだけでなく、1.2や1.5などの倍数でも可能です。
小数点を含む倍数で株式分割が行われた場合、単元未満株(1単元=100株に満たない株)が発生する場合があります。
例えば、100株保有しているときに「1:1.5」の分割が行われた場合は、保有株数が150株に増え、50株は単元未満株として扱われます。
一般的に、単元未満株は取引所で取引することはできませんが、証券会社を通じて売却や、不足している単元分の買い増しをすることが可能です。
なお、単元未満株の取引サービスを提供している証券会社であれば、単元未満株を取引できる場合もあります。
株式分割に関するQ&A
株式分割に関するよくある質問は、主に以下の通りです。
- ・株式分割すると株価はどうなりますか?
- ・株式分割と会社分割の違いは何ですか?
株式分割すると株価はどうなりますか?
株式分割が行われると、分割比率に応じて株価は下がります。
例えば、1株につき5株の株式分割(「1:5」の分割比率)が行われると、株数は5倍になり、株価は5分の1になります。
例えば、100株保有している株価5000円の銘柄が「1:5」の株式分割をした場合、保有している100株は500株に増加し、株価は1000円に下がります。
なお、株式全体の資産価値は、分割前と変わりません。
株式分割と会社分割の違いは何ですか?
会社分割は、既存事業を別会社に承継させることです。
例えば、A社がX事業とY事業を手がけている場合に、Y事業をB社に承継させる場合を指します。
一方、株式分割は株式をいくつかに分割することです。
【まとめ】株式分割とは|目的・メリット・デメリットなどをわかりやすく解説
株式分割とは、株式をいくつかに分割(細分化)し、発行済み株式数を増やすことです。
株式分割が行われると分割比率に応じて株式が増えますが、株価は下がるため、株式全体の資産価値自体は変わりません。
投資家側のメリットは、株価水準が引き下がり取引しやすくなることです。
近年は東京証券取引所が最低投資金額の引き下げについての取り組みを行っており、今後も株価が高額な企業を中心に、株式分割が行われる可能性があります。
OANDA証券では株式取引サービスを提供していませんが、より少額から始められるFXやCFD取引ができます。
FXやCFD取引はレバレッジが利用できたり、24時間取引が可能であるなど、株式投資とは異なる魅力があります。
OANDA証券での取引に興味をお持ちいただけた方は、以下のボタンから口座開設をご検討ください。
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。













