自社株買いとは|目的やメリット・デメリットなどをわかりやすく解説
自社株買いとは、企業が自社の株式を買い戻すことです。
主に、株主への利益還元方法の1つとして実施されます。
本記事では、自社株買いを行う目的やメリット、デメリットについてわかりやすく解説します。
※OANDA証券では株式取引をサービスとして提供していません。本記事は株式取引に関する一般的な知識を提供することを目的としています。
目次
- 1.自社株買いとは
- 2.自社株買い【発表企業一覧】
- 3.自社株買いの主な目的
- 4.自社株買いのメリット・デメリット
- 5.自社株買いで株価が上がる仕組み
- 6.【まとめ】自社株買いとは|目的やメリット・デメリットなどをわかりやすく解説
自社株買いとは
自社株買いとは、自社が発行した株式を、自らの資金で買い戻すことです。
市場から発行済み株式が減少し、また企業から自己資本(買付け代金)が減少することで、財務指標の改善による株価上昇が期待され(後述)、株主への利益還元方法の1つとして行われます。
近年、東京証券取引所が上場企業に対して資本効率の改善を要請した背景もあり、株主還元を目的とした自社株買いが増えています。
三菱UFJフィナンシャル・グループや三井物産、住友不動産などの大企業も自社株買いを行っており、投資家も各企業における自社株買いの動向に注目しています。
自社株買い【発表企業一覧】
以下は、直近で自社株買いを発表した企業の一覧です。
実施日 | 銘柄名 | 価格 | 買付数量 | 約定数量 |
---|---|---|---|---|
2025/02/19 | 原田工業 | 501円 | 658,600株 | 598,800株 |
2025/02/18 | 林兼産業 | 491円 | 53,200株 | 53,200株 |
2025/02/18 | JPMC | 1,118円 | 900,000株 | 900,000株 |
2025/02/18 | オークネット | 2,471円 | 1,430,000株 | 1,430,000株 |
2025/02/18 | トスネット | 1,446円 | 77,400株 | 67,000株 |
2025/02/18 | ミクロン精密 | 1,665円 | 130,000株 | 124,000株 |
2025/02/18 | 大日光・エンジニアリング | 481円 | 160,000株 | 140,000株 |
2025/02/18 | ヤマハ | 1,097.5円 | 27,000,000株 | 23,799,000株 |
2025/02/18 | 大分銀行 | 3,450円 | 240,000株 | 240,000株 |
2025/02/17 | 東京エネシス | 1,119円 | 200,000株 | 199,000株 |
2025/02/17 | オリエンタルコンサルタンツホールディングス | 5,500円 | 16,000株 | 16,000株 |
2025/02/17 | ナフコ | 1,846円 | 2,200,000株 | 2,193,700株 |
2025/02/17 | ケンコーマヨネーズ | 1,846円 | 1,070,000株 | 1,066,800株 |
2025/02/17 | 帝国繊維 | 2,351円 | 500,000株 | 500,000株 |
2025/02/17 | アルプス技研 | 2,527円 | 300,000株 | 267,000株 |
※2025年2月18日時点の数値
市場区分や企業規模に関係なく、全ての企業において自社株買いが行われる可能性があります。
自社株買いの主な目的
ここでは自社株買いの目的について、以下の3点を解説します。
- ・株主へ利益還元できる
- ・ストックオプションへ活用できる
- ・財務体質の改善が期待できる
株主へ利益還元できる
自社株買いを行うと、発行済み株式数が減少するため、EPS(1株あたり純利益)が増加します。
また、自己資本を使って購入することで、ROE(自己資本利益率)が増加します。
EPSやROEが増加した結果、投資家の期待感も上がり、株価が上昇しやすくなります。
株価が上昇しやすくなると、株主の利益が増える可能性が高まるため、株主への利益還元につながると考えられます。
ストックオプションへ活用できる
自社株買いをした株式は、ストックオプションとして社員へ還元する方法もあります。
ストックオプションとは、従業員や取締役が自社の株式を将来の決められた期間に定められた価格で購入できる制度です。
株価が上がるほど利益になるため、従業員のモチベーション向上や人材確保などの効果があります。
財務体質の改善が期待できる
自社株買いにより市場に流通する株式総数が減少することで、企業が配当金として支払う額も減少します。
配当金の原資は基本的にその期に稼いだ利益か、過去から積み上げてきた利益剰余金であり、配当金支払い額が減った分を会社に残すことができます。
その結果、財務体質が改善しやすくなります。
自社株買いのメリット・デメリット
企業が自社株買いを行った場合の、投資家側、企業側のメリット・デメリットについて、解説します。
- ・メリット
- ・デメリット
メリット
自社株買いにより株価上昇が期待できることは、投資家にとってメリットとなります。
配当金によるインカムゲインよりも、株価上昇によるキャピタルゲインの方が大きな利益となる可能性が考えられるため好感されます。
一方、企業にとっては株式総数の減少に伴って配当金の支払い総額も減少し、財務改善につながることがメリットです。
デメリット
自社株買いによって株価が必ず上昇するわけではないことが、投資家にとってのデメリットです。
また、株価が上昇したとしても、多くの株主が利益確定売りに動くことで株価が下落する可能性も考えられます。
一方、企業にとっては自己資本比率が低下し、他人資本の影響を受けやすくなることがデメリットです。
自社株買いで株価が上がる仕組み
自社株買いによってなぜ株価が上昇しやすくなるのかを、各指標から解説します。
- ・EPS(1株あたり純利益)が向上する
- ・ROE(自己資本利益率)が向上する
- ・PER(株価収益率)が低下する
EPS(1株あたり純利益)が向上する
EPS(1株あたり純利益)は、1株あたりの利益がどれくらいなのかを示す指標です。
前述の通り、自社株買いによって市場に流通する発行済み株式総数が減少すれば、計算式の分母が小さくなりEPSは上昇します。
一般的に、EPSが高い企業は収益力が高いと判断されるため、EPSが高くなることで株価上昇が期待されます。
ROE(自己資本利益率)が向上する
ROE(自己資本利益率)は、自己資本を元手に、どのくらい効率良く利益を上げているのかを示す指標です。
前述の通り、自社株買いによって自己資本が減少すれば、計算式の分母が小さくなりROEは上昇します。
一般的に、ROEが高い企業は収益力が高いと判断されるため、ROEが高くなることで株価上昇が期待されます。
PER(株価収益率)が低下する
PER(株価収益率)は、株価がEPSの何倍になっているかを示す指標です。自社株買いによってEPSが上昇すれば、計算式の分母が大きくなりPERは低下します。
一般的に、PERが低下すると株価が割安と判断されて買われることで、株価上昇が期待されます。
【まとめ】自社株買いとは|目的やメリット・デメリットなどをわかりやすく解説
自社株買いとは、自社が発行した株式を、自らの資金で買い戻すことです。
市場から発行済み株式が減少し、また企業から自己資本が減少することで、EPS(1株あたり純利益)やROE(自己資本利益率)が向上します。
それらによって株価上昇が期待されるため、株主への利益還元方法の1つとして行われます。
一方で、自社株買いが行われたからといって、株価が必ず上昇するわけではなく、下落する場合もあるので注意が必要です。
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