損益計算書(P/L)とは|見方や企業分析のポイントをわかりやすく解説
損益計算書とは、企業の財務諸表(決算書)の1つで、企業が一定期間に行った事業の売上、費用、利益を表します。
上場企業には有価証券報告書の開示義務があり、投資家はこれらの財務諸表を分析して投資判断を行うことができます。
この記事では、損益計算書の意味や見方、企業分析のポイントを初心者にもわかりやすく解説します。
損益計算書とは
ここでは損益計算書の意味や特徴、上場企業の損益計算書を調べる方法について解説します。
- ・意味
- ・財務三表それぞれの特徴
- ・上場企業の損益計算書を調べる方法
意味
損益計算書とは、企業の財務諸表(決算書)の1つで、事業の売上、費用、利益を表す書類のことです。
黒字か赤字か、どんな費用がどれくらいかかったのかといった企業の経営成績がわかります。
英語ではProfit and Loss Statement(プロフィット・アンド・ロス・ステートメント)というため、「P/L(ピーエル)」とも呼ばれます。
上場企業には有価証券報告書(財務諸表)の開示義務があり、この財務諸表のうち特に重要な貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書は、財務三表と呼ばれます。
一般的には事業年度(通常は1年)ごとにまとめられます。
財務三表それぞれの特徴
貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書は、以下の特徴があります。
貸借対照表と損益計算書は会計帳簿をもとに作られ、またキャッシュフロー計算書は両者の数値や補足情報をもとに作られることから、財務三表は関連し合っているといえます。
貸借対照表 | 財政状態(資産、負債、純資産の状態)を表す |
損益計算書 | 経営成績を表す |
キャッシュフロー計算書 | 現金の出入りを表す |
上場企業の損益計算書を調べる方法
上場企業の損益計算書は、各社のホームページ、さまざまなウェブサービス、証券会社のツールなどで確認できます。
以下は、金融庁、東京証券取引所が運営するシステムです。
・EDINET(エディネット)- 金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム(金融庁が運営)。
年次報告書や有価証券報告書など中長期的な財務分析向け。 - http://disclosure.edinet-fsa.go.jp/
- 適時開示情報閲覧サービス。東京証券取引所が運営するシステム。
四半期ごとの速報性の高い開示情報(決算短信など)向け。 -
- https://www.release.tdnet.info/inbs/I_main_00.html
損益計算書の見方
損益計算書では、売上高から最終的な利益までを求める課程が示され、5つの利益を確認できます。
- ・5種類の利益
- ・利益計算の流れ
5種類の利益
下図の通り、売上高および各利益から費用を段階的に差し引いていくことで、最終的に当期純利益が求められます。
売上総利益 | 売上高から、売上原価(売上を作るために要した費用)を差し引いた金額。粗利(あらり)とも呼ばれる。 ・売上総利益=売上高−売上原価 |
営業利益 | 売上総利益から、販売費及び一般管理費(販管費。人件費、水道光熱費など、営業活動に要した費用)を差し引いた金額。 本業による利益を表す。 ・営業利益=売上総利益−販管費 |
経常利益 | 営業利益に、営業外収益(本業以外で得た利益。不動産収入、株式の配当など)、営業外費用(株の売却損、支払利息など、本業以外で発生する費用)を加減した金額。 ・経常利益=営業利益+営業外収益−営業外費用 |
税引き前当期純利益 | 経常利益に、特別利益(固定資産売却益など)及び特別損失(災害損失、減損損失など)といった臨時的な損益を加減した金額(特別損益=特別利益−特別損失)。 ・税引き前当期純利益=経常利益+特別利益−特別損失 |
当期純利益 | 税引き前当期純利益から法人税等を差し引いた、最終的な会社の利益であり、株主に帰属する利益として注目される数値。これがマイナスなら、赤字を意味する。 ・当期純利益=税引き前当期純利益−税金 |
利益計算の流れ
下図のように、売上高から当期純利益に至るまで、各利益段階で費用を差し引く計算が順に行われます。
Aは営業損益の計算、Bは経常損益の計算、Cは純損益の計算を意味します。
5種類の利益のうち、特に重要視されるのは営業利益(本業の利益)です。
前年比や、過去からの推移を見ることで、成長度合いがわかります。
営業利益が安定して増えていれば、事業の競争力や継続的なキャッシュ創出力が高いと評価されます。
一方、経常利益や当期純利益は、臨時的な損益が反映されるため、一過性の要素が含まれているかどうか、持続的な成長が見られるかなどを確認することが大切です。
損益計算書で企業分析する主なポイント
損益計算書の各数値を用いて、企業の収益性を分析する指標を算出できます。
- ・売上高総利益率
- ・売上高営業利益率
- ・総資本利益率(ROA)
- ・自己資本利益率(ROE)
売上高総利益率
売上高総利益率は、売上高に対する売上総利益の割合で、いわゆる粗利率のことです。
粗利とは売上高から売上原価を差し引いた利益であり、粗利率からは企業の販売力や商品力の強さがわかります。
業種によって粗利率の平均は異なりますが、基本的に数値が高いほど収益性が高いと考えられます。
売上高営業利益率
売上高営業利益率は、売上高に対する営業利益の割合で、本業での稼ぎの効率性を表します。
数値が高いほど収益性が高いと考えられます。
なお、分子を経常利益に置き換えることで「売上高経常利益率」が求められます。
総資本利益率(ROA)
ROAは、総資産に対してどれだけの当期純利益を得られたかを表し、企業全体としての収益効率を意味します。
数値は高めが望ましいですが、業種や業態、企業体質によって異なります。
また、ROEとのバランスを見ることも大切です。
自己資本利益率(ROE)
ROEは、自己資本に対してどれだけの当期純利益を得られたかを表し、株主から見た資本効率を意味します。
ROAが負債を含む総資産を分母とするのに対して、ROEは負債を考慮しない自己資本のみを分母とします。
数値は高めが望ましいですが、自己資本比率が高い企業はROEが低めになります。
また、ROAとのバランスを見ることも大切です。
【まとめ】損益計算書(P/L)とは|見方や企業分析のポイントをわかりやすく解説
損益計算書とは、企業の一定期間における売上、費用、利益の状況を示す財務諸表(決算書)の1つです。
英語では「Profit and Loss Statement(プロフィット・アンド・ロス・ステートメント)」と呼ばれ、略して「P/L(ピーエル)」と表記されることもあります。
売上高から最終利益までの流れが明確に示されており、5つの利益(売上総利益・営業利益・経常利益・税引き前当期純利益・当期純利益)を確認できるのが特徴です。
損益計算書を見ることで、利益が出ているか損失が出ているか、どの費用にどれくらいお金が使われたか、など企業の経営成績を把握できます。
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