ストップ安とは|初心者向けに制度の仕組み・制限値幅などを解説
ストップ安とは、株式市場が定める制限値幅いっぱいまで株価が下落することです。
当日の立会時間中、ストップ安を下回る価格で取引されることはありません。
本記事では、ストップ安の意味、特徴、よくある質問などを解説します。
ストップ安とは
ストップ安の仕組みや理由などについて解説します。
なお、特に言及がない限り、当記事は東証(東京証券取引所)の現物株について紹介します。
- ・意味
- ・仕組み
- ・株にストップ安がある理由
意味
ストップ安とは、株価が制限値幅(値動き可能な範囲)の下限まで下落することです。
当日中の株価は制限値幅を下回りませんが、翌営業日には新たに制限値幅が設定され、売り圧力が継続する場合は、その範囲内でさらに下落する可能性があります。
市場が驚くような売り材料が出た場合には、連日にわたってストップ安を記録することがあります。
なお、2営業日連続で下のいずれかを満たす場合には、その翌日から制限値幅が最大4倍まで拡大されます。
- ・ストップ安となり、かつ、ストップ配分も行われず売買高が0株の場合
- ・売買高が0株のまま午後立会終了を迎え、午後立会終了時に限りストップ安で売買が成立し、かつ、ストップ安に売呼値の残数がある場合
ストップ配分とは、ストップ高またはストップ安で大引けを迎える場合の、特別な約定方法を意味します。
仕組み
ストップ安の値幅は、前日終値の価格水準を基にして決まり、株価が制限値幅の下限まで下落するとストップ安になる仕組みです。
東証は終値ごとに制限値幅の大きさ(値幅)を決めており、一部を抜粋すると以下の通りです。
基準値段 | 制限値幅 |
---|---|
100円未満 | 30円 |
200円未満 | 50円 |
500円未満 | 80円 |
700円未満 | 100円 |
・ ・ ・ |
・ ・ ・ |
5,000万円以上 |
1,000万円 |
例えば、前日の終値が300円の場合は、基準値段「500円未満」に該当するため、制限値幅は「80円」です。
よって、翌日の株価のストップ安水準は、300円-80円=220円に設定されます。
- ストップ安の計算式:
- ストップ安の株価=前日終値-制限値幅
株にストップ安がある理由
株にストップ安がある理由は、株価の暴騰や暴落を一定範囲に制限することで、過度な価格変動を緩和し、投資家と市場を保護することです。
一般的に、株価は自由な売買で形成されますが、何らかの理由で株価が大きく下落すると、投資家は適切な判断が難しい状況になります。
適切に判断できないまま取引すると、意図しない大きな損失を計上する可能性があります。
投資家を保護するために、ストップ安の制度が採用されています。
なお、東証の先物取引やオプション取引では、類似の仕組みとしてサーキットブレーカー制度を採用しています。
ストップ安の具体例
ストップ安の事例を2件紹介します。
上場企業で不祥事や経営状態の悪化などが起きると、ストップ安が発生しやすい傾向があります。
企業の不祥事は事前に把握できない場合が少なくないため、1つの銘柄に自己資産の多くを投入するのは大きな損失リスクを伴う行動だといえます。
- ・(株)アンビスホールディングス(証券コード:7071)
- ・日本電解(株)(証券コード:5759)
(株)アンビスホールディングス(証券コード:7071)
2025年3月、アンビスホールディングスによる不正な診療報酬請求の疑いが報道されました。
これを受けて週明けの取引では売り注文が膨らみ、ストップ安で取引を終えています。
日付 | 終値 |
---|---|
2025年3月21日(金) | 614円 |
2025年3月24日(月) | 514円 |
報道直前(3月21日)の終値は614円のため、制限値幅は100円です。
報道後の株価は、制限値幅の下限に達しました。
日本電解(株)(証券コード:5759)
2024年11月、日本電解(株)は経営状況の悪化を受けて、上場廃止申請に踏み切りました。
報道翌日の11月28日(木)、株価はストップ安の437円まで急落しています。
その翌日には、整理銘柄に指定され、市場での適正価格形成を促進するために、制限値幅が通常よりも拡大されました。
この影響で、株価は一気に73円まで急落しました。
日付 | 終値 |
---|---|
2024年11月27日(水) | 537円 |
2024年11月28日(木) | 437円 |
2024年11月29日(金) | 73円 |
その後、日本電解(株)は2024年12月28日に上場廃止となりました(証券コード:5759は欠番)。
ストップ安に関するQ&A
ストップ安に関するよくある質問は、主に以下の通りです。
- ・ストップ安になるとどうなりますか?
- ・ストップ安になった翌日は?
- ・ストップ安の対処方法はありますか?
ストップ安になるとどうなりますか?
ストップ安になっても、立会時間中は売買が継続します。
しかし、売り注文が買い注文よりも大幅に上回り、特別売気配となった場合、通常の取引が一時的に停止し、気配値だけが表示される状態になります。
特別売気配のまま大引けを迎えると、ストップ配分で約定する(抽選的な配分方式で、限られた注文のみ約定する)仕組みです。
ストップ安になった翌日は?
ストップ安の株価で大引けを迎えた場合、翌日のストップ安水準はストップ安で引けた当日の終値を基準にして設定されます。
ストップ安後に株価を戻して大引けを迎えた場合も、その日の終値が基準になります。
なお、特別売気配のまま大引けを迎えても、翌営業日の制限値幅は、最終的な終値(約定があった場合)を基準に設定されます。
終日売買不成立で終値がつかない(1日を通して1件も売買が成立しない)場合には、原則として前営業日の終値が再度基準になります。
ストップ安の対処方法はありますか?
ストップ安の対処方法に関して、損失を確実に回避したり、利益を確実に得たりする方法は存在しません。
このため、株式投資は自己資産総額に比べて十分に小さい金額で取り組むことが推奨されます。
十分に小さい金額ならば、ストップ安のあおりで損失を被っても、市場から退場することなく投資を続けられると期待できます。
【まとめ】ストップ安とは|初心者向けに制度の仕組み・制限値幅などを解説
ストップ安とは、株式市場が定める制限値幅いっぱいまで株価が下落することです。
当日の立会時間中、ストップ安を下回る価格で取引されることはありません。
翌営業日には新たに制限値幅が設定され、売り圧力が継続する場合は、その範囲内でさらに下落する可能性があります。
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