2022/06/17 12:13
3.先行きのわが国経済を展望すると、ウクライナ情勢等を受けた資源価格上昇によ る下押し圧力を受けるものの、新型コロナウイルス感染症や供給制約の影響が和らぐもとで、外需の増加や和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、 回復していくとみられる。その後は、資源高のマイナスの影響が緩み、所得から 支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まっていくなかで、わが国経済は、ペースを純化させつつも潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。
消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、当面、エネルギーや食料品の価格上昇の影響によ り、2%程度で推移するとみられるが、その後は、エネルギー価格の押し上げ寄与 の減衰に伴い、プラスをしていくと予想される。この間、消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー)の前年比は、マクロ的な需給ギャップが改善し、中長期的 な予想物価上昇率・賃金上昇率も高まっていくもとで、原材料コスト上昇の価格転 の動きもあって、プラス幅を緩やかに拡大していくとみられる。
4.リスク要因をみると、引き続き、内外の感染の動向やその影響、今後のウクラ イナ情勢の展開、資源価格や海外経済の動向など、わが国経済を巡る不確実性はきわめて高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響 を、十分注視する必要がある。
5.日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続 するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。 マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の 実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を続する。
当面、新型コロナウイルス感染の影響を注視し、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準または、それを下回る水 準で推移することを想定している。