桁外れの投資家たち|FX中級者向け書籍
大物投資家はどのように考えるか
この書籍は、著名な投資家であるウォーレン・バフェットやニック・スリープ、チャーリー・マンガー等の思考法を紹介している書籍です。
桁外れの成功を収めた投資家の考え方は一般の投資家と異なる傾向があり、その違いを知ることできれば、彼らに一歩近づけるかもしれません。
あるCEOがウォーレン・バフェットに自分の会社を15億ドルで買ってくれるよう頼んだとき、なぜ、ウォーレン・バフェットは5分で投資判断を下したのか、ある投資家がチャーリー・マンガーにアップル株をどう思うかと尋ねたとき、なぜ、チャーリー・マンガーは自分はアマゾンの事業を理解していないと答えたのか等の事例を通し、大きな成功を収めた投資家がどのように考えたかを学ぶことができます。
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目次
監修者まえがき
まえがき
第1部 桁外れの投資家たちは利益をどのように評価するか
第1章 だれもコカ・コーラを理解していない
第2章 コンピタンスの第2層
第3章 80%パストルールに従え
第4章 年次報告書の問題点
第2部 桁外れの投資家たちのリスク管理戦略
第5章 安全域だけではない
第6章 隠れたリスクを見つけだせ
第7章 知らないということを知っている
第8章 第一原理に基づいて投資する
第3部 桁外れの投資家たちのように考える
第8章 第一原理に基づいて投資する
第9章 5分間のルーブリック
付録――枠組み
マオ・イエのアドバイス
監修者まえがき
本書は、Strategy&社(旧ブーズ・アレン・ハミルトン)のアソイエイトで、投資関連の著作があるダニアル・ジワニの著した“Outlier Investors : What Successful Investors Do (That Everyone Else Doesn't)”の邦訳である。これは投資対象の企業を評価するときの桁外れの投資家たちのモノの見方・考え方を解説したものである。
優れた投資家は、同じ状況や対象でも一般投資家とは異なった視点で判断し、ほかとは違った結論を下す。だから普通の人から見ると、彼らの思考過程は異様に思えるし、一般に受け入れられる機会も少ない。その行動が理解され称賛を浴びるのはずっとあとになって、結果が出てからのことだ。彼らは永遠の異邦人なのである。だが、市場での資産運用やトレードは少数派に有利なゲームだから、それは賢者の必要条件でもある。
本書は株式投資の本としては異質かもしれないが、紹介された技法自体は社会科学上の調査・分析の方法論の範囲内にあり、MBA(経営学修士)やMOT(技術経営)の課程で学んだことのある方ならば、すでになじみのあるものだ。考えてみれば、本書で名前が挙がった高名な投資家の多くはビジネススクール出身であり、彼らが大学院で修めたメソッドを投資活動でも使っているという理解は自然なことなのかもしれない。
著者の功績は、それらのエッセンスを一般投資家にも分かりやすい形で解説したこと、そして特異な投資家とは、科学的に確立された技法を使うという当たり前のことを普通にできる人間のことであるということを暗に示したことである。
ところで、本書は「投資はとても難しいものである」という主張から始まっている。私は昔、資産運用会社の社長をされていた尊敬する先達に「投資なんて、そう簡単に失敗するものではないよ」と言われて戸惑ったことをよく覚えている。だが、あれから長い年月がたった今、投資はけっして難しいものではないと私も思う。それは例えて言えば、自動車の運転のようなもので、素のままでできるほど簡単ではないが、正しく学べばだれにでも習得できる技術であって、自分自身の性格や属性をよく理解し、客観的に物事が捉えられる人ならば、だれでも問題なく行うことができる。本書で紹介されたモノの見方・考え方は、そのためのヒューリスティクス(世界を理解するための経験に基づいたおおよそのルール)を身に付けるための第一歩である。
翻訳にあたっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。著者の若い文章にもかかわらず本書の内容が素晴らしく感じられるのは、豊富な経験と知識のある金融マンで、かつ探求心旺盛な教養人でもある翻訳者の藤原玄氏による丁寧な訳文の貢献が大きい。そして阿部達郎氏は丁寧な編集・校正を行っていただいた。また本書が発行される機会を得たのはパンローリング社社長の後藤康徳氏のおかげである。
2024年1月
長岡半太郎
まえがき
投資に興味を持ち始めた中学1年生のとき、私は初めて買う株式を探していた。当時は銘柄をスクリーニングする方法を知らなかったので、投資アイデアを生み出そうとオンラインの記事を読んでばかりいた。
ある記事が、GE(ゼネラル・エレクトリック)と呼ばれる企業は2つの理由から健全な投資対象だと伝えていた。第1に、株価が下落していた。それまでGEは250ドルほどで取引されていたが、1年後は190ドルとなっていた。記事によれば、株価の下落で、「安く買い、高く売る」チャンスが生まれていた。第2は、GEは素晴らしい企業だった。同社は1000億ドルを超える売上高を誇る巨大ブルーチップ企業だった。100年を超える歴史もあった。したがって、安全な投資対象に違いないというわけだ。
私はGEを190.48ドルで数株買うことにした。
その後、株価は180ドルまで下落した。「心配ない」と自らに語りかけた。おそらく、株価はすぐに回復するだろう。
その後、株価は140ドルとなった。「たぶん、市場は少しばかり感情的になっているんだ」と自らを慰めた。
それから、株価は100ドルまで下落した。「皆が恐れを抱いているときこそ貪欲であれ」
そして、60ドルまで下がった。「自分は何をやっているのか分かっていないかもしれない」と思った。
私は、GEに投資しなかったお金を使って、投資に関する本を何冊か買うことにした。そうすれば、投資について学べるだろう。
それら多くの本のまえがきには、気前の良い約束が記されていた。 投資は簡単だと記したものもあった。彼らはこう言っていた。「人々は、銘柄選択は難しいと考えている。だが、実際にはそうではない。私のシンプルな戦略に従い、PER(株価収益率)が低く、利益率の高い大手有名企業を買いさえすれば良い」
投資には少しばかりの時間を割けば十分だと言うものもあった。「はるか昔、投資には多くの作業が必要だった。投資家たちはコンピューターを持っていなかったので、何百もの銘柄を手作業でスクリーニングしなければならなかった。だが、今日、われわれには最も魅力的な投資機会のリストを生み出すことができる株式スクリーナーがある。買いたいと思う銘柄の簡単なデューデリジェンスさえすれば良い。それだけだ。それであなたはS&P500をアウトパフォームすることができるだろう」
当初、私はこれらの主張を信じていた。投資は簡単だと主張する本を何冊も読み、投資に手間はかからないと主張する広告に出くわし、そしてウォーレン・バフェットの成功を容易に再現できると主張する権威あるメディアに遭遇したら、そのような考えは社会的証明を得ることになる。そのため、信じるようになってしまうのだ。「だれもが投資は簡単だと言うならば、難しいわけがない」
だが、時が経つとともに、私は人々が言うほど投資は簡単ではないことを学んだ。考えてみればよい。株式市場には何千、何万もの投資家があふれている。この投資家たちが絶えず市場を観察している。彼らの多くは何十年にもわたり銘柄選択を行ってきた経験を持つ。彼らは割安な銘柄を探すために、自分よりもはるかに多くの時間を費やしているかもしれない。つまり、投資で成功するためには、競争力あるウォール街のプロたちよりも優れていなければならない。そうでないならば、彼らは自分よりも先に最良の投資機会を見いだすだろうし、自分たちを圧倒することだろう。私の大学の教授であるエクセル氏はかつて学生たちに次のように語った。「市場をアウトパフォームするのは容易ではない。なぜなら、競争が極めて厳しいからだ」
投資は容易ならざるものであるにもかかわらず、インフルエンサーやメディア各社やウェブサイトや本など多くの情報源が、投資は経営目標の達成を手助けするのだから簡単だと主張している。 少し考えてみればよい。
「投資はとても難しく、時間がかかる」と主張するウェブサイトなどだれも見ないだろう。それは魅力的なストーリーではない。メディア企業にお金をもたらすストーリーは次のようなものだ。「昨年、私は1つのトレーディングパターンに従い、どのようにバフェットをアウトパフォームしたか」。これなら、人々はクリックするだろう。
インフルエンサーの売り込み文句が「優れた投資を行うためには十分な時間をかける必要がある」のだとしたら、だれも彼らの講座にお金を払ったりしない。売れるのは「昨年資金を2倍にした公式がある」というものだ。
同じ現象が出版業界でも起こっているが、こちらはもっと分かりにくい。読者たちは「シンプルな戦略」を教え、「簡単に市場をアウトパフォームする」ことを約束する投資本に魅了される。そして、著者にしてみれば、読者に「一獲千金をもたらす」戦略を示すことが合理的となる。そうすれば読者を幸せにでき、肯定的な書評を得て、売り上げも伸びるのだ。
だが、そのような本が必ずしも成功に必要な見識をもたらすわけではない。筆者はシンプルかつ容易に実行できるアイデアを提示したいだけなので、中身のない投資哲学を伝えるばかりとなることが多い。だが、結局のところ売れるのはそのような本だ。
もちろん、読者にとって良いことではない。中身のない情報を学んでも投資判断を下す能力は改善しない。さらには、意思決定のプロセスを改善する投資手法の多くはそれを実践する読者に努力を求めるものなので、それについては語らない本もある。それらの著者たちは物事をなるべくシンプルにしたいので、成功に必要な情報を共有しないことがある。
だが、本書は中身のない投資の枠組みを提供するものではない。本書は売り上げを上げるために情報を過度に簡略化することはしない。その代わり、できるかぎり分かりやすくしたいと思う。投資に関する見識がシンプルで実践しやすいものであっても、それが投資の能力を真に改善するものではないとしたら、取り上げるつもりはない。読者に努力を求めるものであっても、銘柄選択の能力を大いに改善する見識であれば、たとえ書評を犠牲にしてでも取り上げるつもりだ。投資が難しいものならば、本書は明確にそう伝える。それこそが読者のためになることであり、正しい行動だと私は信じているからだ。
本書の目的
ほとんどの投資家が市場を一貫してアウトパフォームすることはない。 これは個人投資家だけでなく、プロの投資家にも言える。
CNBCによれば、過去10年余りで、大型株のアクティブ運用を行うファンドの85%ほどが市場をアンダーパフォームしていたという。 実際に、これはほとんどの投資家が知っている統計データだ。
だが、彼らは、自分たちは市場をアウトパフォームできる少数派だと信じているので、市場をアウトパフォームしようと試みる。 彼らは、バフェットのような市場をアウトパフォームしてきた投資家の戦略を学んでいるので、自分たちは少数派に属していると考えている。例えば、そのような投資家の多くは『賢明なる投資家』(パンローリング)などの有名な本を読み、ピーター・リンチやレイ・ダリオやモニッシュ・パブライのような世界的に知られた投資家たちの講演の記録を視聴し、バフェットの投資哲学の原理を理解しようとする。要するに、「最も偉大な投資家たちのレッスンを学べば、必ず彼らの成功を再現できるはずだ」というわけだ。
だが、ほとんどの投資家が世界のバフェットの成功を再現できない。 これについて考えてみよう。私はいくつかの主要な投資信託のパフォーマンスに注目した。これらすべてのファンドの投資哲学がバフェットの哲学を基礎としている。実際に、それらファンドのいくつかは、『賢明なる投資家』と、バフェットが株主に宛てた手紙をすべて読んでいる者しか採用していないと言われている。
だが、概して彼らはほかの者たちと同じようにアンダーパフォームしていることが分かる。アウトパフォームしているとしても、手数料を差し引き後ではそれほど大きなアウトパフォームではない。
例えば、ファンドAは集中型のファンドだ。つまり、最良の投資アイデアにより多くの資金を投じ、リターンを最大化するべく分散を抑えている。また、ファンドAはバフェットの投資哲学を熱心に学んでいる者しか採用しないと言われている。
彼らは手数料を考慮する以前にアンダーパフォームしていた。多額の手数料を差し引く前で、彼らは過去10年間に年率12.29%のリターンを上げたが、同期間のS&P500(金融業界のベンチマーク)のリターンは12.96%だった。
では、ファンドBについて考えてみよう。これは有名な「バリュー型ファンド」で、ファンドAと同様に集中型のファンドだ。さらに、投資業界では、バフェットの忠実な信奉者たちを引きつけていることで知られている。実際に、私はこの会社で働くことが夢だという人物を何人か知っている。だが、彼らの国内型ファンドのすべてが市場にアンダーパフォームしてきた。最良のパフォーマンスを上げた国内型ファンドの過去10年間のリターンは巨額の手数料を差し引く前で10.70%だったが、S&P500のリターンは12.96%だった。
これらの例はアノマリーではない。同じようなファンドがほかにもたくさんある。図表I.1に、いくつかの大手運用会社のパフォーマンスを取り上げた。これらの運用会社はバフェット同様の投資哲学を持っていると自らを売り込んでいる。だが、ご覧のとおり、彼らはS&P500をほとんどアウトパフォームしていない。
これらのデータから得られる論理的な結論は、市場をアウトパフォームするのは不可能だということだろう。これは効率的市場仮説――割安な銘柄を見いだし、市場をアウトパフォームするのは本質的に不可能だとする金融理論――を支持する者たちが主張するところである。
表面上、この結論はまったく非合理ではない。市場をアウトパフォームするのはほとんど不可能であることを示すデータはたくさんある。プロの投資家の多くが市場にアンダーパフォームしている。バフェットの信奉者でさえもその多くはアンダーパフォームしている。「バフェットの哲学を実践するプロも含めた皆がアンダーパフォームするならば、アウトパフォームするのは不可能に違いない」
だが、例外が存在する。一部の投資家、桁外れの投資家たちは一貫して市場をアウトパフォームしている。そのような例外の1人がルー・シンプソンだ。1979年、バフェットはガイコのファンドマネジャーとしてルー・シンプソンを採用した。その後、ルー・シンプソンは驚異的なトラックレコードを残した。1980年から2004年までに、ルー・シンプソンは年20.3%のリターンを上げたが、一方でS&P500は年13.5%だった。言い換えれば、彼は年7%ほどS&P500をアウトパフォームしたのだ。そのうえ、これほどのアウトパフォームを20年以上にわたって続けた。これは統計的にも有意なトラックレコードだ。
では、バフェットが経営するバークシャー・ハサウェイについて考えてみよう。1964年から2021年までに、バークシャー・ハサウェイは全体で364万1613%のリターンを上げたが、一方でS&P500はたった3万0209%だった。その間、バフェットとチャーリー・マンガーは個人資産のほとんどをバークシャー・ハサウェイの株式として保有していたので、2人とも市場をアウトパフォームできた。
もう1つの例が、フィデリティのマゼラン・ファンドを13年にわたり運用したピーター・リンチだ。その間、彼は年29.2%のリターンを上げたが、これはS&P500の2倍以上だ。
したがって、市場を一貫してアウトパフォームするのは不可能だというのは正しくないだろう。ルー・シンプソン、バフェット、ピーター・リンチといった市場を一貫してアウトパフォームする例外が存在する。
市場をアウトパフォームするために、世界のバフェットたちはほかの者たちとは異なるやり方をしている。例えば、バフェット、シンプソン、ビル・アックマン、モニッシュ・パブライ、ピーター・リンチといった多くの著名投資家たちは、ほとんどの投資家は分散をしすぎていると考えている。そのため、彼らは集中した株式ポートフォリオを保有することを推奨している。とりわけ、バフェットはポートフォリオに3銘柄だけあれば完全に安心していられると述べている。そうすることで、彼は最良のアイデアに資金を集中させ、長期的なリターンを高めている。これは、あらゆるセクターや業界にイクスポージャーをとった分散したポートフォリオを保有したがる多くの投資家とは異なる哲学だ。
もう1つ、桁外れの投資家たちのやり方が異なることで知られているのが、ボラティリティとリスクの区別だ。とりわけ学界には、ボラティリティ(株価がどの程度上下動するか)が株式のリスクを決めるという者がいる。簡単に記せば、彼らは、株価の変動が大きければ大きいほど結果の幅は広くなるので、ボラティリティの高い銘柄ほど不確実性が高まると言う。つまり、株価の変動が大きいと、大きく上昇することもあれば、大きく下落することもある、と。したがって、彼らは、ボラティリティはリスクと同じであると言うわけだ。だが、桁外れの投資家たちは異なる考え方をする。バフェットやリンチなどの投資家は、リスクをボラティリティで測るべきではないと主張する。そうではなく、事業のリスク、つまり企業の競争力が弱まるリスクをもって測るべきだと彼らは述べている。
ほかの者たちとは異なる成功している投資家の方法論を学ぶために、ほとんどの人々が主要な投資本をたくさん読んでいる。『賢明なる投資家』『週15分の株式投資で大金持ちになる!――ルールNo.1投資法』(アスペクト)『ピーター・リンチの株で勝つ――アマの知恵でプロを出し抜け』(ダイヤモンド社)『ダンドーのバリュー投資――低リスク・高リターン銘柄の発見術』(パンローリング)といった類いだ。「要するに、成功している投資家がアウトパフォームする方法が詳細に分かれば、自分も容易にアウトパフォームできるだろう。リンチの『ピーター・リンチの株で勝つ』やバフェットの投資哲学を形作った『賢明なる投資家』を読めば、間違いなく自分も彼らと同じようにアウトパフォームできるはずだ」
だが、そのようにはならない。ほとんどの投資家がそれらの本の多くを読んでいる。だが、データが示すように、彼らが大きくアウトパフォームすることはない。1~2%アウトパフォームすることはあるが、バフェットやリンチのような人たちのアウトパフォーマンスの水準には遠く及ばない。
著名な投資本のすべてを読んでも多くの投資家はアウトパフォームできないという事実から、投資に関する重要な考えはいまだ書き記されてはいないことが分かる。これらの本にアウトパフォームするための鍵のすべてが記されていたならば、そこから得られる教訓を用いさえすれば、簡単にアウトパフォームしただろう。だが、ご承知のとおり、ほとんどの投資家はそれらの本を読んだあとでもアウトパフォームしていない。
そこに本書の目的がある。私は本書で成功している投資家が(ほかの者たちがしていない)何をしているかを説明することを目的にしている。特に、主要な投資本が十分に取り上げてこなかった、桁外れの投資家たちがほかの者たちとは異なるやり方をしていることを説明することを目的にしている。
成功している投資家が行っていて、ほかの者たちが行っていないすべてのことを取り上げるのだろうか。おそらく、そのようにはならない。
桁外れの投資家たちの異なる考え方についてすべてを学ぶのは不可能だ。当然ながら、成功している投資家の多くが自分たちの知っていることのすべてを共有したがらない。例えば、バフェットは最近、どうしてファンドマネジャーのテッド・ベルヒャーやトッド・コームはバークシャー・ハサウェイの年次総会に姿を現さないのかと問われた。それに対してバフェットは彼らがすべての者たちに銘柄選択について教えることを望んではいないと述べた。 テッド・ベルヒャーとトッド・コームの2人はものすごく忙しい。それが1つの理由だ。私は人々に株式のことで彼らを煩わせてほしくない……彼らが自分たちと競争する方法をほかの人たちに教えに出向く理由などない。
そのため、たとえ私が世界のバフェットたちが過去に書いたことや話したことのすべてを調べても、投資に関する細かいことは分からないだろう。 本書は、たった15分の努力で次なるホームラン銘柄を選び出すことを可能にするような魔法の公式を共有するのだろうか。間違いなくそうではない。前述のとおり、優れた投資を行うにはちょっとした努力では足らない。投資がそれほど簡単なのだとしたら、ほとんどすべてのアクティブ運用のファンドがアンダーパフォームすることはないだろう。 だが、本書は賢明な投資判断を下す能力を大幅に改善することはできる。本書では成功している投資家がやっているが、ほかの者たちはやっていないことのいくつかを分析する。
第1章では、なぜマンガーがアップルのようなシンプルな事業を「理解」していないと言うのか、そして、なぜバフェットはホックシールド・コーン(シンプルな百貨店)を理解していないと言うのかを説明する。
第2章では、ニック・スリープがどのように「コンピタンスの第2層を構築」し、当時まだ創業まもない時期にあったアマゾンがやがて世界を変えることを見いだしたのか、そして、どのようにして安心してアマゾンに純資産の70%を集中させ、自らのファンドが900%を超えるリターンを獲得することを可能にしたのかを説明する。
第3章では、市場で何が起きているのかを詳しく調査するのは、潜在的に後ろ向きの投資手法となる理由を説明する。
第4章では、桁外れの投資家たちが株式を調査するために年次報告書や業界のリポートや決算説明会の記録を読むだけではない理由、そして、彼らが行っていることを取り上げる。
第5章では、リスクを最少化するために、「安全域」だけでは不十分な理由を明らかにする。
第6章では、徹底したデューデリジェンスを行っても、投資のリスクはおおよそ明らかにはならない理由を説明する。
第7章では、バフェットがよくマクロ経済の情報を無視する理由、その代わりに彼が注意していることを説明する。
第8章では、優れた経歴書には「多くの数字や能動態」がある必要はないことを、私がどのように学んだか、そして、私がそこから、桁外れの投資家たちが市場に関するコントラリアン的な意見を構築する方法について学んだことを説明する。
第9章では、どうしてバフェットは「たった5分」で投資判断を下すことができるのか、そして、同様のテクニックをどのように投資に適用できるかを明らかにする。
要するに、本書を読めば、読者の方々は桁外れの投資家たちに一歩近づけるのだ。
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。