新装版 マーケットのテクニカル百科 入門編・実践編|FX中級者向け書籍
テクニカル分析の王道を体系的に学ぶ
この「マーケットのテクニカル百科」は50年以上前に初版が刊行されて以来、現在もアップデートを続けている歴史あるテクニカル分析の書籍です。ダウ理論とはどのような理論なのか、ヘッド&ショルダーズや三角形、ダブルトップ、ダブルボトムのほか、ダイアモンド、ウェッジ、フラッグ、ペナント、ギャップ等のパターンの紹介、トレンドライン、チャネルのラインの描画についてなどテクニカル分析の基本から体系的に紹介しています。
原書は50年以上前に書かれたものですが、時代が変わってもマーケットに関わる人間の行動は共通するものがあり、現代の市場分析を行う場面でも参考になる部分も多いので、初心者の方がテクニカル分析の基本を学んだり、中級者以上の方が基本を再度見直すときなどに役立つと思います。
様々なパターンが紹介されていますが、単純にパターンの形を丸暗記するのではなく、なぜそのような値動きになるかをしっかりと理解すると、今後のチャートの見方が変わってくるかもしれません。
実践編では、入門編の内容を踏まえて、株式市場を中心に、より実践的な分析方法を紹介しています。銘柄の選択から具体的な売買戦略など、参考になりそうです。
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目次
入門編
監修者まえがき
第1部 テクニカル分析の理論
第1章 株式の売買と投資に対するテクニカルなアプローチ
第2章 チャート
第3章 ダウ理論
第4章 ダウ理論の実践
第5章 ダウ理論の欠点
第5.1章 20~21世紀におけるダウ理論
第6章 重要な反転パターン
第7章 重要な反転パターン(続き)
第8章 重要な反転パターン――三角形
第9章 重要な反転パターン(続き)
第10章 その他の反転パターン
第10.1章 潜在的な重要性を持つ短期パターン
第11章 保ち合いパターン
第12章 ギャップ
第13章 支持線と抵抗線
第14章 トレンドラインとチャネル
第15章 メジャートレンドライン
第15.1章 21世紀における平均株価の売買
第16章 商品先物チャートのテクニカル分析
第17章 第1部の要約と結論としての解説
第17.1章 21世紀のテクニカル分析とテクノロジー
第17.2章 投資分野の拡大
実践編
第2部 トレード戦術
第18章 トレード戦術の問題
第18.1章 長期投資家のための戦略と戦術
第19章 極めて重要な細かいこと
第20章 われわれが求める株式――投機家の見方
第20.1章 われわれが求める株式――長期投資家の見方
第21章 チャートをつける株式の選択
第22章 チャートをつける株式の選択(続き)
第23章 ハイリスク株の選択と売買
第24章 株式の予想される動き
第25章 2つの厄介な質問
第26章 単元株と端株の取引(各トレードの規模)
第27章 ストップオーダー
第28章 底とは何か――天井とは何か
第29章 トレンドラインの実践
第30章 支持と抵抗圏の使い方
第31章 ひとつの籠にすべての卵を盛るな
第32章 テクニカルなパターンによる値幅の測定
第33章 戦術的な観点からのチャートパターンの再検討
第34章 トレード戦術の要約
第35章 テクニカルな売買が株価の動きに及ぼす影響
第36章 自動化されたトレンドライン――移動平均
第37章 「よくあるパターン」
第38章 バランスと分散化
第39章 試行錯誤
第40章 投資資金
第41章 投資の実践
第42章 ポートフォリオリスク・マネジメント
訳者あとがき
監修者まえがき
本書はアメリカで長年にわたって多くの投資家に読み継がれてきた古典的名著”Technical Analysis of Stock Trends”の邦訳である。原書の旧版は『アメリカの株価分析――チャートによる理論と実際』として、1981年に東洋経済新報社から刊行されていたが、内容をアップデートした第8版が本国で出版されたのに伴い、日本でも新たに翻訳書が刊行されることになった。
さて、本書で述べられているテクニカル分析は主にダウ理論を主としたシンプルなもので、すでに伝説的な手法と言ってもいいかもしれない。しかし、ここに述べられている内容が現在でも数十年前と変わらず依然として価値あるものであることは、本書が数十年に長きにわたって、マーケットに参加する多くの人々に支持され、実際のトレードでダウ理論が堅実な成果を上げ続けてきたことで証明されていると言ってよいだろう。いやそれよりもむしろ、だれにでも理解でき、実践可能な単純な理論だからこそ、時の試練を経て今もなお有効性を保ち続けていられるのであろう。
さらに、マーケット全体の動向を把握するために、すでに数十年前の段階でダウ平均株価に注目したことはきわめて優れた着眼であったと言えるが、スタイル別に多くの指数が開発された現在においては、その価値はさらに高まっているといえる。つまり、ここから分かることは、市場とそれに参加する人々のメンタリティに基本的な変化がない以上、必ずしも新しい分析手法のほうが優れているというわけではないということなのである。少なくとも、泡のように生まれては消えていく新奇をてらった「テクニカル分析」よりは、本書に示されているような伝統的な手法のほうがはるかに信頼性が高く、長期的な成功を約束してくれるのである。
この古典的名著を日本で刊行できることは、関係者一同にとっても大変な喜びであり、私たちの努力の成果が読者の成功の一助になることができればまた望外の幸せである。本書はテクニカル分析に関して多くの範囲を網羅しており、したがって原書は非常に大部なものである。このため翻訳書の刊行に当たっては読みやすさを考慮し、「入門編」と「実践編」の上下2分冊で刊行されることになった。また、版を重ねてきた本書の特徴として、歴史的に初期のころの図表においては、一部に少し見にくいものも掲載されているが、なによりそれは本書で述べられている分析手法が時を超えて普遍的なものであることの証明でもある。なお、図表の番号は継続性を持たせるために、原書どおり上下で通番とし、巻末の付録と用語解説は「実践編」にまとめられている。
最後になったが、本書の翻訳にあたっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。関本博英氏は本書にふさわしい、読みやすい翻訳を実現してくださった。そして阿部達郎氏にはいつもながら丁寧な編集・校正を行っていただいた。また、本書が出版される機会を得たのはパンローリング社社長の後藤康徳氏の慧眼によるところが大きい。
2004年7月
訳者あとがき
1948年の初版刊行から今回で8版を重ね、50年以上にわたって世界中の投資家の間で読み継がれてきた本書は、すでに株式市場のテクニカル分析の「バイブル」となっている。グレアムとドッドの『証券分析』(パンローリング)がファンダメンタルズ分析の原点であるとすれば、エドワーズとマギーのこの『Technical Analysis of Stock Trends』はテクニカル分析の原点である。
『証券分析』は1930年代半ばからほぼ50年間に、その時代の証券問題を分析した独立したシリーズ本として5冊が出版されたが、本書はこの50年間にその時代に応じた改訂を加えただけで現在に至っている。これは実に驚くべきことである。しかし、読者の皆さまが本書を手にとってここに書かれていることを熟読されるならば、そうした事実は何ら驚くべきことではなく、むしろ当然のことだと納得されるだろう。
アメリカにおける株式市場のテクニカル分析の歴史はかなり長い。ウォール・ストリート・ジャーナルの設立者であり、また1884年にダウ平均株価を開発したチャールズ・ダウのダウ理論に始まり、ダウの同僚だったウィリアム・P・ハミルトンなどがダウ理論に基づくテクニカル分析をさらに発展させた。そして1930年代にはフォーブス誌の編集長だったリチャード・シャバッカーが、平均株価の重要なパターン(各種チャートパターン、トレンド、反転・保ち合いパターンなど)は個別株式にも出現することを突き止め、それらをテクニカル分析の理論として体系化した。シャバッカーの義弟だったロバート・エドワーズは、こうしたテクニカル分析の研究の流れをさらに広く深いものにした。経済・統計学者であり、また農業・気象・鳥類学の造詣も深かったエドワーズは、人間性の深い研究者でもあった。ジョン・マギーの同僚であり、また生涯の友であったエドワーズは1965年に亡くなったが、それまでアメリカに蓄積されたテクニカル分析のアプローチを科学的に集大成したのが本書である(このあたりの経緯については本書の序文に詳述されている)。
本書では「歴史は繰り返す」ということが大きな前提になっている。それならば、歴史に精通すればするほど、将来に起こりうる結果を正確に予想できるのだろうか。その答えはある程度までは「イエス」であるが、完全にとなれば「ノー」である。それは歴史がまったく正確にまたは同じく繰り返されることはないからである。しかし、ある時期のある株式と別の株式の動き、まったく異なる時期のいくつかの株式には多くの類似点が見られる。すなわち、昨年、5年前さらには50年前の株価のパターン、トレンド、支持・抵抗圏などがかなり似ていることも少なくない。そうであれば、それらを形成する株価のパターンに何らかの原則やルールを探すことができるのではないか。
こうした視点を念頭に置きながら、本書の読み方についてマギーの次のような言葉を引用しておこう。
「この本はちょっと目を通すといった性質のものではないし、また簡単に金儲けできるような内容が書いてあるわけではない。読者の皆さんはこの本を何度も熟読し、株式投資の参考書として利用すべきである。最も重要なことは皆さん自身が成功と失敗の両方を実際に経験することである。そうすれば自分のしていることは、さまざまな状況の下で自分ができる唯一のロジカルな行為であることが分かるだろう。このような心構えを持てば、皆さんはそれに見合った程度に成功するだろう。そして失敗も株式投資というビジネスの一環としてうまく切り抜けられるようになれば、投資資金も投資意欲もなくなることはないだろう。本書を通じて詳述・分析されているのは、株式投資の手法というよりはむしろ株式投資の哲学なのである」
テクニカル分析のバイブルとも言える本書の邦訳を決定された後藤康徳氏(パンローリング)、膨大なチャートや本文の編集・校正でお世話になった阿部達郎氏(FGI)、素敵な装丁の新田和子氏、皆さまのご尽力に感謝いたします。
2004年6月
第10.1章 潜在的な重要性を持つ短期パターン
1日または数日間の極めて短期のパターンは、ときにその後の短期のトレンドばかりでなく、長期の方向も示唆することがある。ギャップ(第12章で検討する)や1日の反転(第10章で検討)などはこのパターンに分類される。注目すべきその他の短期パターンには、スパイク、キーリバーサルデイ(単に「リバーサルデイ」とも呼ばれる)、ランナウエーデイ(「ワイドレンジングデイ」とも呼ばれる)などがある。
スパイク(Spike)
天井圏に現れるスパイクとは前後する日の高値よりも突出して高い日、底値圏のスパイクは前後する安値よりも突出して安い日であると定義されるため、スパイクが起こった日にそれであると判断することはできない。スパイクの日をランナウエーデイと区別するには、異常なレンジで変動した日に続く数日間の推移を見なければならない。この2つのパターンはいずれも強気筋と弱気筋の全面戦争を表しており、その日の終値が最終的な勝者を暗示している。スパイクのポイントは次のようなものである。
スパイクに先立つ一定期間の相場の基調はかなり強い(または弱い)。
株価はその日の値幅の上限または下限の近辺で引ける。
前後する数日間よりも突出して高い(または安い)。
長期の強気相場の最終局面で極めて大きな値幅で変動した日に、突出高したあとにその日に安値近くで引けたときは1日の反転シグナルと解釈できる。このパターンをトレードできるかどうかは、その投資家のトレーディングスタイル(長期保有、サヤ取りなど)や好みなどによって決まる。事実、スパイクは1日の反転にもなり(ギャップを付けて寄り付いたあと、大量の買いが入って急騰するが、その後に株価は崩れて始値より安く、またはその日の最安値近くで引ける)、このような値動きは撤退するかに見せかけた敵軍の反撃に遭って逆に敗走する軍隊の動きに似ている。このような状況を想起すれば、スパイクの特徴がよく分かるだろう。スパイクのあとに株価はそれまでとは反対方向に大きく逆行するのが普通である。図104.1は最近のスパイクの好例であり、また図1や図35にもスパイクのパターンが見られる。
ランナウエーデイ
ランナウエーデイとはその日の安値で寄り付き、その日の高値で引ける(またはその逆)など、異常な値幅で変動した日である。このパターンも敗走するかに見せた敵軍がこちらの軍隊を罠に陥れようとする動きに似ている。売り方は買い方からの買い注文を吸収しきれず、株価は2~3回もその日の高安値を行ったり来たりする。抜け目のない投機家はこの動いている電車に飛び乗って利ザヤを稼ごうとするが、最終的な損益が確定するのは数日後である。大きな揉み合いと高水準の出来高が続けばランナウエーデイの確認となるが、取引が細って値動きも小さくなればその有効性は疑わしい。この数日間に一時的に買いシグナルが出ても、株価がランナウエーデイの最安値に反落したときはダマシのシグナルと見られるのでドデンをすべきである。図39はギャップを伴ったランナウエーデイの一例。2000年のマイクロソフト株の値動きを示した図104.2も、強気の落とし穴のあとに株価が50%も急落したランナウエーデイの好例である。
キーリバーサルデイ
このパターンは上昇局面で新高値を付けたあと、前日の終値を下回って引けた日である。短期のトレーディングシグナルとして利用できるが、その他のテクニカルパターンと同様に、そこから利益を上げるには判断力とベストのタイミングが必要である。強気相場ではこのパターンの一時的な高値をうまく利用すれば、いくらかの利益は上げられるだろう。大天井のキーリバーサルデイではこの日の高値近辺に空売りのストップを入れ、終値で買い戻せば効果的である。このようなリバーサルデイでは反対側に利益目標値を設けて素早く手仕舞う。もっとリスクを取れるならば、まず最初にその後の反落を見越したポジションを建て、予想どおりのパターンが現れたときに、そして株価が支持線を下抜いたときに増し玉してもよい。
このパターンは2000年以降のインターネット関連株のように保ち合い相場でも有効であり、キーリバーサルデイをうまく利用したトレーダーは2000年初めのナスダックのミニクラッシュを無傷で乗り切ることができた(図104.3~104.4を参照)。忘れてならないのは、これ以外のすべての短期パターン(ギャップ、1日の反転、スパイク、ランナウエーデイ)のシグナルについても、その後の株価がパターン形成の最初の水準に戻ればそれはダマシのシグナルであり、そのようなときはドデンして利益を狙うべきである。こうした手法は利ザヤ稼ぎのトレーダーや投機家のトレード戦術であるが、長期投資家がこのような方法を知っておいてもけっして損はないだろう。
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。