■目次
監修者まえがき
謝辞
序章 あなたはもうすでに商品トレーダー
私が最も重視する市場に対する信念
私の投機家としての人生はここから始まった
生涯を賭す仕事
第1章 短期のカオスのなかに秩序を見いだす
私はどのようにして市場を学んだか
市場のチャート化
市場はランダムではない
市場の構造を理解する
市場の構造は変わらない
空売りパターン
目標とする手仕舞いポイントとトレイリングストップ
まとめ
第2章 重要なのは価格と時間
サイクルを理解するために必要不可欠なこと
価格変化の自然なサイクル
あなたに有利なトレンド――パワープレーを生む2番目の価格パターン
まとめ
第3章 短期トレーディングの真実
最も重要なのは時間
敏腕トレーダーへの資金提供
私の理論の証明
利益を最大化するためには
まとめ
第4章 ボラティリティブレイクアウト――モメンタムブレイクスルー
真の値幅のブレイクアウト
S&P500のボラティリティ
市場スイングを使ってボラティリティの拡大を見つけるには
買い手と売り手を分けて考えよ
結果
もう一歩進めて考えてみよう
まとめ
第5章 短期トレーディングの理論
情報化時代の落とし穴
E・H・ハリマンの金儲けのルール
まとめ
第6章 真理の探究
市場はコイン投げとは違う――
ランダムウォーク理論家のクートナー対コーエン(この勝負はコーエンの勝ち)
金の取引日(TDM)ごとのトレード調査
Tボンドの取引日(TDM)ごとのトレード調査
各月のロードマップ(TDMロードマップ)
まとめ
第7章 勝つためのパターン
ベストパターンに共通する要素
疑問点を考えてみよう
スマッシュデイ・パターン
スマッシュデイ・パターンの利用方法
スペシャリストのワナ
重要事項――これは短期の時間枠でも機能する
ウップス! これは間違いなんかじゃない
ウップスによるS&P500のトレード
まとめ
第8章 買い手と売り手を分離せよ
GSV
GSVによる株価指数のトレード
見た目以上に素晴らしい結果
成功のためのアドバイス
まとめ
第9章 気配値スクリーンによる短期トレーディング
気配値スクリーンを見ながらトレーディングする人たちはどうやって儲けているのだろうか
トレンドの変化を示唆するスイングポイント
3期間の高値や安値を使ったシステム
短期トレーダーのための新しいインディケーター――ウィルスプレッド
ウィルスプレッドとS&P500株価指数
まとめ
第10章 短期的に発生する特殊な状況
株価指数の月末トレーディング
トレードを回避すべき月
改善してみよう
Tボンドの月末トレーディング
パフォーマンスの詳細
さらなる改善
売る時期について
まとめ
第11章 手仕舞いのルール
第12章 投機ビジネスについての考察
仕掛けよりも手仕舞いが大事
投機とは何なのか
重要なのはタイミング
投機における重要なポイント
システムや戦略に従うことができないのなら、持っていても仕方がない
まとめ
第13章 マネーマネジメント――王国へのカギ
行き当たりばったりの方法ではうまくはいかない
自分に合ったマネーマネジメント
マネーマネジメントの長所と短所と厄介な部分
新たな視点――ドローダウンを資産と考える
2011年、画期的なマネーマネジメントアプローチを引っさげてビンスが帰ってきた
ケリーの公式の幻想
まとめ
第14章 ケネディからオバマまで――50年のトレード経験から得た教訓
トレーディングと蜂蜜の採集
頭を垂れた果実
飛ぶ前に見よ(慎重に行動せよ)
スティック崩しという遊び
そして、さらに悪化することもある
思考が停止するとき
強欲についてはもう十分に議論した。次は恐れについて考えてみよう
マラソンとトレーディングと負けトレード 間違ったことをする――これほど簡単なことはない
それはトレードではなく、戦いなのだ
フライフィッシングについての再考
恐れと強欲についてもう一度じっくり考えてみよう
いつも負けてばかりのトレーダーが多いのはなぜ?
負けトレードを見直すことで先が見えてくる
損失を出す最大の理由
トレーディングにおける最も重要な信念
ダメ犬ほど金のかかるものはない
トレーディングはスポーツに似ている
株式市場や商品市場にトレンドを生みだすもの
一般大衆とプロとの違い
それは不可能なのだ
トレーディングがもたらす高揚感
先手を打つ
ちっとも理解できない
恐れと強欲を真正面から見据える
何があっても途中でゲームを降りてはならない
折れた鼻、つぶれた耳、そして最悪のトレード
お金の正しい失い方を学ぶ
ヒラリーの大きな期待と心痛
心配性の臆病者――良い行いをして天国を目指せ
システム開発とトレーディングの秘訣
勝者と敗者との違い
まとめ
第15章 何が株式市場を上昇させるのか
論理学入門
侍に二言なし
データAとデータB
悪習を断ち切ろう
悪習を断ち切るには
損切りの設定について――損失額と予測不可能性
私のトレーディング手法の総まとめ
私のトレーディング戦略とその実績
まとめ
第16章 トレーディングはハードなゲーム――その厳しい現実
それは人生と同じ
あなたはもしかするとトレーディングには向かないかもしれない
解決すべき問題
あと少しお付き合いを
あなたに贈る最後の言葉
■監修者まえがき
本書は、ラリー・ウィリアムズが著した“Long-Term Secrets to Short-Term Trading”(『ラリー・ウィリアムズの短期売買法――投資で生き残るための普遍の真理』[パンローリング])の改定第2版である。初版の発行から12年の歳月を経てもなお、1990年当時にラリーが紹介した投資戦略のほとんどがいまだに有効であることには驚きを禁じえない。そして、この第2版では新たな技術や分析法がいくつか紹介されている。これらは以前なら数千ドルのセミナー受講料を払ってラリー自身から直接聞く以外に知る方法はなかったたぐいの技術である。私も10数年前の受講時には守秘義務契約にサインした記憶があるが、どうやら非公開だった知見の一部は本書で解禁にしたようだ。
ところで、数学→物理学→化学→生物学→心理学→社会科学と続く近代科学のパラダイムは、要素還元主義と決定論から成り立っており、上位の階層のシステムは構成要素である下位の階層の持つ性質や原理によって説明可能であると従来は考えられてきた。しかし、近年の研究によれば、必ずしもそれが成り立たない例も多いことが明らかになってきた。各階層には下位層から独立した固有の秩序や法則が存在しているのである。
さて、ここからも分かるように、さまざまな学問体系のアナロジーや援用によってマーケットを完全に解釈しようと試みることは、知的な遊びとしては興味深いものの、永遠に成功することはない。より具体的に言えば、心理学や数学(だけ)を用いて価格変化のダイナミズムを説明することは不可能なのである。
だが一方で、マーケットが創発を伴う自己組織である以上、近代科学の大きな成果のひとつであるダーウィンの自然淘汰という概念はそこでは成立しえない。つまり、マーケットの組織原理はいつまでも進化せず、時間の経過によっても変わらないということになる。ゆえに翻って言えば、この世界では過去を研究することは未来を知ることにつながる。一般にマーケットのような複雑さを持った系は通常は潜在的にしか認識されないが、優れた暗黙知は言葉にできること以上の理解を可能にする。そして人類は長きにわたり、暗黙知の能力に言語や書物といった媒体を付加することで、個人の能力の範囲を超えて知識の世界を拡げてきたという歴史を持っている。 まさにここに、本書のような優れた書籍を読む意義や価値の本質がある。最初に書いたように、ラリーが本書の初版で世に問うた概念がマーケットの本質を見事にとらえていたことを私たちは知っている。そして、今回新たに紹介された概念についても同様であることは、それを10年以上前に聞いていた私が喜んで証言する。第3版が将来出版されるかどうかは未定だが、私はその日を今からとても楽しみにしている。
翻訳にあたっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。山下恵美子氏は訳出するにいささか難のある原書を大変な努力を払って翻訳していただいた。そして阿部達郎氏にはいつもながら丁寧な編集・校正を行っていただいた。また、本書が発行される機会を得たのは、謝辞にあるとおり社長である後藤康徳氏をはじめパンローリング社のスタッフ一同とラリー・ウィリアムズの良好な関係に負うところが大きい。
2012 年6月
長尾慎太郎
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