目次
まえがき ジョエル・グリーンブラット
はじめに
第1部 市場とリターンとリスク
第1章 専門家のアドバイス
コメディ・セントラルかCNBCか
エルブス指数
有料アドバイス
投資の知恵
第2章 非効率的市場仮説
効率的市場仮説と観察から得られる証拠
価格は必ずしも正しくない
相場暴落中、ニュースはどうなっている?
ファンダメンタルズの変化と値動きとのずれ
値動きに市場のニュースは追随する
運か手腕か? 証拠1―ルネッサンス・メダリオンの運用実績
効率的市場仮説の前提にある欠陥―チェスの例え
勝とうとしない市場参加者もいる
欠けた材料
理由は間違っているが正しい―市場に打ち勝つのが難しいわけ
効率的市場仮説の欠陥を突き止める
効率的市場仮説が経済理論のごみ箱行きになる理由
投資の知恵
第3章 過去のリターンの圧力
リターンが高かった期間と低かった期間の後のS&Pのパ フォーマンス
より長期的な投資期間で見たリターンが高かった期間と 低かった期間の意味
最も良いセクターを選ぶと得をするのか?
ヘッジファンド―最もリターンが高かったファンドを 選ぶ戦略のパフォーマンス
最も良かったセクターやファンドを選ぶ戦略のパフォー マンスはなぜ劣るのか?
ちょっと待った。言いたいことは……
投資の知恵
第4章 間違ったリスク評価
何も測らないほうがまし
リスク尺度としてのボラティリティ
何が問題なのか
隠れたリスク
隠れたリスクの評価
ボラティリティとリスクの混同
VaRの問題点
資産リスク―どうして見かけにだまされるのか、ある いは価格が重要なのか
投資の知恵
第5章 リスク以外にも関係するボラティリティ、 レバレッジ型ETFの場合
レバレッジ型ETF―期待したリターンが得られるとは 限らない
投資の知恵
第6章 運用実績の落とし穴
隠れたリスク
データに関連する落とし穴
過去の良いパフォーマンスが望ましくないとき
比較できないものの落とし穴
より長期の運用実績のほうが不適切なこともある
投資の知恵
第7章 試算(プロフォルマ)による運用成績の意味と無意味
投資の知恵
第8章 過去のパフォーマンスの評価法
リターンだけでは無意味な理由
リスク調整済みリターン尺度
チャートで見るパフォーマンス評価
投資の知恵
第9章 相関係数―事実と誤解
相関係数の定義
相関係数は線形関係
決定係数(r)
見せかけの(無意味な)相関関係
相関関係についての誤解
リターンがマイナスの期間に焦点を合わせる
相関係数とベータ
投資の知恵
第2部 投資対象としてのヘッジファンド
第10章 ヘッジファンドの起源
第11章 ヘッジファンド入門
ヘッジファンドと投資信託の違い
ヘッジファンドのタイプ
株式との相関関係
第12章 ヘッジファンドへの投資―外見と実際
ヘッジファンドに投資する根拠
ポートフォリオにヘッジファンドを組み込む利点
マネージドフューチャーズの特殊性
個々のヘッジファンドのリスク
投資の知恵
第13章 ヘッジファンドに対する警戒―人間であるが故の誤謬
例え話
ヘッジファンドは恐ろしい
第14章 ファンド・オブ・ヘッジファンズのパフォーマンスが単一のヘッジファンドに劣るという矛盾
投資の知恵
第15章 レバレッジの誤った考え
根拠のない投資ルールの愚かさ
レバレッジと投資家の好み
レバレッジが危険なとき
投資の知恵
第16章 マネージドアカウント―投資家が利用しやすい代替手段
マネージドアカウントとファンドの重要な違い
マネージドアカウントの主な利点
専用のマネージドアカウントか、マネージドアカウントへの 間接的な投資か
マネジャーはなぜマネージドアカウントに同意するのか?
マネージドアカウントに向かない戦略はあるか?
マネージドアカウントに反対する4つの一般的な意見について
投資の知恵
第2部に対するあとがき―ヘッジファンドのリターンは幻想か?
第3部 重要なのはポートフォリオ
第17章 分散投資―銘柄では不十分な理由
分散投資の利点
分散投資―どれだけ増やせば十分か?
偶然性のリスク
銘柄固有のリスク
分散投資の条件
投資の知恵
第18章 分散投資―増やすほど劣るとき
投資の知恵
第19章 ロビン・フッド流の投資
新しい検証
リバランスはなぜうまくいくのか
誤解を防ぐために
投資の知恵
第20章 ボラティリティが高いことは常に悪いのか?
投資の知恵
第21章 ポートフォリオ構築の原則
ポートフォリオ最適化の問題点
ポートフォリオ構築の8原則
相関行列
相関関係を超えて
投資の知恵
終わりに
付録A オプション―基本を理解する
付録B リスク調整済みリターン尺度の公式
監修者まえがき
本書は、マーケットの魔術師シリーズの著者であるジャック・D・シュワッガーの手による“Market Sense and Nonsense : How the Markets Really Work (and How They Don’t)”の邦訳である。シュワッガーはマーケットの魔術師シリーズにおいて、トレーダーやファンドマネジャーに対するインタビューアーとして超一流であることを証明して見せたが、彼の現在の本業はファンド・オブ・ヘッジファンズ(FoHFs)のマネジャーである。本書には著者がファンド・オブ・ヘッジファンズの運用を通じて学んだ知見が惜しみなく開示されている。特にリスクの正しい測定方法やレバレッジの使い方、パフォーマンスの評価についての解説は本当に素晴らしい。これらを含み本書を通じて展開されているのは、「良い投資戦略とは何か?」「パフォーマンスの良し悪しを判断するには何を基準にして評価すべきか?」という疑問に対する明快かつ精確な回答である。
一般に、トレードシステムのリビューにおいても、投資先ファンドの選定においても、対象となる検証結果やトラックレコードを、相対的にあるいは絶対的に評価する必要がある。だが、それを客観的に判断する方法については、ファンド・オブ・ヘッジファンズに関連する業務に従事する関係者を除き、これまでは明確な指針が一般には知られていなかったのである。私の知るかぎり、個人投資家向けの書籍でこうした問いに正面から答えたのはシュワッガーが初めてである。
さらに、彼の解答は同時に「どうすればこの不確実性の高いマーケットで手堅く利益を上げることができるのか?」という、投資家にとっての最大の悩みについてもひとつの見事な解決法を示している。本書13ページの「まえがき」で、『グリーンブラット投資法』や『株デビューする前に知っておくべき「魔法の公式」』(パンローリング)の著者であるジョエル・グリーンブラットが「彼がもっと早くこの本を書いてくれたら……」と述べているが、私もまったく同感である。
ここで、シュワッガーが本書で示した、優れた投資戦略やファンドをロジカルに選択する方法が画期的なのは、それが使い手の努力や経験を一切必要としないところにある。通常、自分自身の裁量でトレードする場合には、マーケットに打ち勝つために相当の努力や期間を要する。現に私たちはそのためにこれまで多くの犠牲を払ってきた。しかし、他者が運用するファンドに投資したり、良いトレードシステムを選択するだけなら、ただ単に本書を読むだけで良いのである。こんな楽な話はないではないか。今日では、良いトレーダーになるための方法論や理論モデルはすでに存在するものの、それでも必ずしもだれもがマーケットの魔術師になれるわけではない。しかし、少なくとも合理的で堅実な投資家となって資産を増やすことは、シュワッガーの教えによってだれでも可能になったのだ。
翻訳にあたっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。翻訳者の山口雅裕氏は分かりやすい翻訳を、そして阿部達郎氏は丁寧な編集・校正を行っていただいた。また本書が発行される機会を得たのはパンローリング社社長の後藤康徳氏のおかげである。
2013年6月
長尾慎太郎
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