目次
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監修者まえがき
免責事項
謝辞
はじめに
第1章 市場パフォーマンスとは無関係にリターンを向上させる
第2章 無相関のトレードシステムがうまくいくわけ
第3章 ブル相場でも、ベア相場でも、横ばいでも儲ける
第4章 成功するためには、まず自分の目標をはっきりさせよ
第5章 利益目標を達成するためのポジションサイジング
第6章 トレードシステムの12の要素
第7章 複数の無相関のシステムを組み合わせてリスク調整済みリターンを向上させる――システム1、2、3
第8章 同時にトレードするシステムを増やすほどリターンが高くなるのはなぜか
第9章 組み込む無相関のシステムの数を増やす――システム4とシステム5とシステム6
第10章 不測のリスク――システム7
結論
あなたへのプレゼント
著者紹介
監修者まえがき
本書は、トレーディング・マスタリー・スクールの創始者兼CEO(最高経営責任者)のローレンス・ベンスドープによる“Automated Stock Trading Systems : A Systematic Approach for Traders to Make Money in Bull, Bear and Sideways Markets”の邦訳である。もともと著者は投資やトレードと関係ない仕事をしていたが、家業の投資会社の状態が思わしくないことを受けて父親から経営を引き継ぎ、独学で株式トレードを学び、完全にメカニカルな運用によって成功を収めた。
著者が紹介しているトレードシステムはどれも単純で、パラメーターの調整による多少のアレンジのみでそのまま利用することも可能だろうし、一般のベンダーやブローカーの提供するトレードツールで、これらを簡単に実装することもできるだろう。システムの背景にある考え方も枯れた定番のものでロジックにまったく破綻はない。
ところで、機関投資家による運用は基本的にロングオンリー(買い持ち)で長期投資である。ここでは上場株式に投資する以上、たとえ投資対象の企業価値に変化はなかったとしても株価変動による時価評価の短期的な下落は避けられないし、事業の収益性そのものも環境の変化により影響を受ける。これらは投資において不可避的に伴うリスクである。しかし、それらの事業がきちんとキャッシュフローを生むものであれば、各種の外乱が加わって一時的にボラティリティが高まっても、いずれ評価額は回復することになる。このため、ポートフォリオを構築する際のファンドマネジャーの大きな関心の1つは、付随リスク管理の手段としてのレジリエンスの維持にある。
一方で、本書にあるような個人のトレードでは幸いなことにそうしたリスクはそもそも存在しない。したがって、重視すべきはレジリエンスではなく外乱による純資産の毀損を避けるための抗堪性である。本文に書かれているようにシステマティックなトレードの特徴の1つは、その執行がトレーダーの感情に左右されず機械的に行われるところにある。そして、そうしたシステムを安心して継続的に利用できるかどうかは、それが高いリターンをもたらすことよりも、抗堪性を持つかどうかにかかっている。そして、これに焦点を合わせられることは個人トレーダーの特権でもある。本書はリターンが互いに相関性を持たないトレードシステムを組み合わせることで、この抗堪性を確保することに徹底的にこだわった解説書であり、これからトレードシステムを構築する人たちにとって極めて重要な示唆を含んでいる。
翻訳にあたっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。まず山下恵美子氏には正確で読みやすい翻訳を、そして阿部達郎氏は丁寧な編集・校正を行っていただいた。また本書が発行される機会を得たのはパンローリング社社長の後藤康徳氏のおかげである。
2021年6月
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