FX 5分足スキャルピング プライスアクションの基本と原則
短期売買を考えている人にお勧め
この書籍は「FXスキャルピング」の著者ボブ・ボルマン氏による書籍です。
前作の70ティックチャートを用いたトレードを一般的なチャートでも表示できる5分足チャート用にアレンジしたもので、チャート画像を多数用いて5分足におけるプライスアクションの分析方法を紹介しています。
ここで紹介されている手法でそのまま勝てるかはわかりませんが、プライスアクションの考え方をしっかりと学ぶことで、どのような状況になったら、均衡が崩れ、方向感が出やすいのかを理解できるようになり、エントリーや決済のタイミングなど、トレード戦略を考える上で参考になると思います。
外国人の書籍ということもあり、用語や言い回しに多少の癖があるため、最初は違和感を感じると思いますが、読み進めていくうちに徐々に慣れてくると思います。
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(本テキストは再校時のものです)
監修者まえがき
序章
第1部 実践的な分析
第1章 トレードするとき、勉強するとき
第2章 プライスアクションの原則――理論
ダブルの圧力
支持線と抵抗線
ダマシのブレイク、ティーズブレイク、適切なブレイク
ダマシの高値、ダマシの安値
プルバックの反転
天井への試し
切りの良い数字の効果
第3章 プライスアクションの原則――実践編
第4章 注文と目標値と損切り
第5章 トレードのセットアップ
パターンブレイク
パターンブレイクプルバック
パターンブレイクコンビ
プルバックの反転
第6章 手動による手仕舞い
ニュースで手仕舞う
抵抗線で手仕舞う
反転で手仕舞う
第7章 トレードを見送るときと、失敗ブレイクからのトレード
典型的な間違い
第8章 第1部のまとめ
第2部 評価と管理
第9章 連続した日中チャート
2012年3月
2012年4月
2012年5月
2012年6月
2012年7月
2012年8月
第10章 トレードサイズ――複利で増やす
第11章 ボラティリティが低いときのトレード
第12章 最後に
監修者まえがき
本書はボブ・ボルマンによる“Understanding Price Action : Practical Analysis of the 5-Minute Time Frame”の邦訳で、FX市場におけるプライスアクションのパターンを分かりやすく整理してまとめたものである。
ところで、トレードではエントリー(仕掛け)とエグジット(手仕舞い)のどちらが重要だろうか、という議論がある。これはどちらかが必ず正解であるというわけはないのだが、本書におけるエグジットは、ほかの多くの個人投資家向けのFX指南書と同様に、利食いは20ピップスの指値、損切りは10ピップスの逆指値のブラケット注文を使用することが推奨されている。このエグジットについては、どの本を読んでもこれでリスク・リワード比が1対2となると書いてある。だが、利食いの値幅を損切りの値幅の2倍にしても、現実にはそれぞれの値幅に到達する確率は等しくはないので、真のリスク・リワードは必ずしも1対2ではない。
ここで、思考の単純化のために価格変化の対数正規性を仮定し、例えば利食いを2σ(標準偏差)、損切りを1σに設定すると、ランダムに取ったポジションが利食い目標値に到達する確率は、損切り目標値に到達する確率の約7分の1しかない。8回に1回しか勝てないのでは、利食いで値幅が2倍取れてもトータルで利益を出すことは難しい(この場合の、確率密度を考慮したリスク・リワード比は4対1と絶望的だ)。逆に、利食いを0.5σ、損切りを0.25σに設定すると、利食い目標値に到達する確率は、損切り目標値に到達する確率の約4分の3である。このように7回に3回勝てれば、利食いの値幅が2倍であればトータルで利益を出せる(リスク・リワード比は2対3と有利になる)。
このため、こうした目標値を設けるエグジットを用いる場合には、期待リターンのボラティリティに対し小さめの値幅を設定するか、もしくは期待リターンの正規性が破壊された有利な局面でポジションを建てる必要がある。それらはどちらも、勢いのある値動きが発生する直前にマーケットに入るべきであることを意味する。結論として、ここではエグジットよりもエントリーのほうがはるかに重要になる。著者が本書の大半をエントリーのタイミングの解説に充てているのはそのためで、プライスアクションのパターン認識によってその見極めが可能であるというのが彼の主張である。
実際、FXの値動きの変化はきれいな正規分布をしているわけではないし、株式や商品と言ったほかのアセットクラスと比較すると、保ち合いとトレンドとの2つの異なった位相が際立っている。したがって、著者の意見は荒唐無稽でもなんでもなく、むしろFXの特性を踏まえた試みであり、読み手はエントリーの重要性を認識したうえで相場に臨めばよいことになる。定性判断で行うトレード手法の常で、本書の解説はルール化が荒削りなところもあるが、幸い第9章には多岐にわたる実例が極めて豊富に収録されている。ほかの章とあわせて活用していただきたい。
翻訳にあたっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。翻訳者の井田京子氏は分かりやすい翻訳を、そして阿部達郎氏は丁寧な編集・校正を行っていただいた。また本書が発行される機会を得たのはパンローリング社社長の後藤康徳氏のおかげである。
2015年7月
長尾慎太郎
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■序章
ハイテク機器でトレードでき、ボタンをクリックすれば最新のガジェットが使える現代の時代に、プライスアクショントレーダーは、少し保守的に見えるかもしれない。使うのは価格チャートのみで、デジタル時代を示すようなものはほとんど見当たらない。彼らは消えつつある過去の名残りで、近いうちに絶滅するのだろうか。それともトレードの進化に頑固に抵抗し続けることに何かメリットがあるのだろうか。
そのひとつの答えとして、過去何年かにトレード業界で流行したさまざまな指標の利点を挙げてみてほしい。これがあまり思いつかない。もしかしたら、プライスアクショントレーダーに注目して、彼らの唯一のツールである価格のみのチャートをよく理解することのほうがずっと簡単なのかもしれない。
そこで、本書はプライスアクションという手法の長所を述べるだけでなく、その実践的な手引書となるように書かれている。本書でしっかりと学べば、喪失感に襲われたり困窮したりすることなく、近い将来必ず価格チャートのみを使い、自信を持ってトレードし、利益を上げることができるようになるだろう。
内容を説明するために使うチャートは、基本的に何でもよいのだが、ユーロ/ドルの5分足チャートは最適なひとつだと思う。これは長年、世界中で非常に多くのトレーダーが好んでトレードしているマーケットで、テクニカル分析について語るうえでこれ以上身近なチャートは考えられないからだ。
私は本書の執筆を決めたとき、いくつかの厳選したチャートでトレードの概念を並べるのではなく、日々、実際に利用できるということを示したいと思った。そのため、本書は2つのパートに分かれている。
第1部では、プライスアクションの原則を紹介したあと、仕掛けと手仕舞のテクニックをさまざまなチャートを使って学んでいく。そして、第2部ではこれらのことが継続的に有効かどうかを見ていく。この検証には、連続した6カ月分のユーロ/ドルのチャートを使っている。これは、膨大な量の教材であるだけでなく、これを見ればプライスアクションというテーマには、驚くべき継続性と効果が毎日のようにあるということが確信できると思う。
私の最初の著作である『FXスキャルピング』(パンローリング)が出版されたあと、最も多く寄せられた質問のひとつが、短期のスキャルピングチャート(70ティックチャート)で紹介したことが、それよりも長い日中の時間枠(例えば、2分足や5分足や1時間足)にも応用できるのかということだった。答えはひとつしかない。プライスアクションの原則も、需要と供給という普遍的な法則に基づいているため、あらゆる時間枠に応用することができる。特定の時間や特定のマーケットに限定されないのだ。銘柄が違っても、時間枠が変わっても、平均的な値幅や動きを調整するだけで、プライスアクショントレードの概念は、先物でも、指数でも、株でも商品でも、債券でもそれ以外の何でも、FXと同じように使えるのである。
また、プライスアクションの原則はマーケットや時間枠を選ばないばかりか、あらゆるトレード環境にも応用できる。このことを示すため、本書の後半では低ボラティリティが続く状況に合わせて通常の方法にひねりを加えて対処する方法も紹介している。そのセクションでは、例としてユーロ/ドル以外の通貨ペアの日中の短い時間枠や、FX以外の人気のマーケットのチャートを使っている。
ちなみに、まったくの初心者の場合は、常に分析のみに集中するということを念頭に置いて読んでほしい。本書では説明のペースを乱さないために、一般的なトレード本やインターネットに書いてある初歩的な説明は省いてある。ただ、テクニカル的に言えば、本書は新人トレーダーと、経験を積んだトレーダーと、それ以外のプライスアクショントレードのメリットと可能性を追求したい人すべてに向けて書いている。
次のホームページから本書の一部を無料でダウンロードできる(http://www.upabook.wordpress.com/)。
■第1章 トレードするとき、勉強するとき
トレード指標の流行は自然に収まり、多くのトレーダーが「少ないほうが良い」という価値観に注目し始めている。そして、それには理由がある。不要なものをすべて取り払ったチャートは、とびきり穏やかだ。解読しなければならない謎もないし、矛盾するシグナルを避ける必要もないし、画面に情報を詰め込む必要もない。あるのは事実のみで、すべてが明らかになっている。チャートの足は何も隠していないし、情報が遅れることもない。これらのメリットが分かっていれば、プライスアクショントレーダーは単純に、「チャート上に高勝率のトレードが見つからなければ、仕掛けるべきトレードはない」という前提を順守することができる。
とはいえ、マーケットの仕組みを正確に理解していなければ、どんなトレーダーでもマーケットのよく知られた教訓と、それに伴う高いコストから逃れることはできない。しかし、何段階にもわたる学びの旅は簡単ではないし、その途中には痛みも困難もある。そして、多くの人が手ごわい最初の段階すら超えることができない可能性が高い。しかし、あまりコストをかけなくても生き残るためにトレーダーができることはたくさんある。要するに、正しい知識を学べばよいのだ。
ただ、トレードは黒板を使ってすべてを教えることができるものではなく、せいぜい準備の重要性を強調することくらいしかできない。しかし、多くの人たちが成功する前に散って行った戦場で生き残ることこそが目的ならば、そもそも十分な準備を整えないで参入することなど考えられないはずだ。
安全な脇道にどれくらい長くいるのかは、その人次第だ。おなじみの原則を、数カ月かけて何度も繰り返して覚える人もいれば、ずっと早く準備が整う人もいるだろう。しかし、すべての概念やテクニックが分かりかけてきたとしても、成功したければ、しっかりとした計画ができるまではマーケットにけっして飛び込まないでほしい。経験に学ぶことは大事だが、それを試すのに不当に高いコストをかけたり自滅的な体験をしたりする必要はない。
頭からダイビングする以外に、とにかくトレードを始めたくてあわてて他人の手法を導入する新人も多くいる。しかし、このような学びの近道をしても、その方法を仕事として継続して使うことはできない。特に、マーケット環境がその手法に合わない時期はどうにもならない。結局のところ、十分な時間と努力を重ねて、どのような時期にも適合できる自分に合う手法を作り上げ、予測不能な変化や他人の勝手な変更などに惑わされないトレーダーになるほうがはるかに効率的なのである。
これから紹介するのは十分機能的で独立した手法で、本書ではこれを「私たちの」手法と呼んでいるが、それは便宜的にそうしているだけで、これをすべてそのまま使ってほしいということではない。これらの概念やテクニックはあくまで構造的な基盤であり、必要に応じてカスタマイズしながら使っていってほしい。
自分に最も合うスタイルを見つけるには多少の時間と経験が必要かもしれない。しかし、個人の好みに関係なく、少なくともテクニックは、どれも繰り返す動きをとらえるという同じ目的のためにある。つまり、だれにとっても最初の課題はプライスアクションの原則のデータベースを頭に叩き込むことなのである。次の2章では、これらの必須事項を、理論的な観点と実践的な観点の両方から詳しく見ていく。そして、それ以降は5分足チャートを使ったトレードについて、さらに細かく見ていくことにする。
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。