フィボナッチブレイクアウト売買法 | FX/CFD中級者〜上級者向け書籍
お勧めポイント
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フィボナッチブレイクアウト売買法
高勝率トレーディングの仕掛けから手仕舞いまで
長い時間軸と短い時間軸のチャートを併せて分析
本書の題名からはフィボナッチに関する内容が中心のように見えますが、ストキャスティクスなどのオシレーター系のインジケーターを用いたモメンタムの強さの分析やエリオット波動を用いた分析などにフィボナッチ比率を用いたエントリーからターゲットの設定までの具体的な分析の方法について書かれています。
長い時間枠と短い時間枠の双方のチャートを用いてどのような場合に買いのエントリーポイントを探るか、売りのエントリーポイントを探るかを丁寧に説明しています。
一部、エリオット波動の基本的な知識を理解していることを前提にした記述もあるため、やや上級者向けの書籍という印象です。終盤には過去の相場におけるトレードの例を多く紹介しているため、参考になると思います。
ストキャスティクスを用いた分析方法
本書で紹介している分析方法の一つにストキャスティクスを用いた長い時間枠と短い時間枠のチャートを用いた分析方法があります。
長い時間枠のチャートを用いて大きな流れを見て短い時間枠でエントリーポイントを探るという方法は一般的なものですが、ここで紹介されているような方法を用い、4つのパターンに分けて考えると効率よく相場の状況、売買どちらを中心に売買を組み立てるかをイメージしやすくなると思います。
エリオット波動とフィボナッチ
本書ではエリオット波動とフィボナッチ比率を組み合わせて価格のターゲットを探る多数の方法が紹介されています。フィボナッチリトレースメントやエクステンションなどを用いながらリスクに対しリターンの大きくなりそうなエントリーポイントを探っていきます。
下のチャートの例は単純なものですが、第4波に対してのフィボナッチエクステンションを用い、第5波の水準を探っています。ちょうど1.272の水準付近で下落が一段落する動きとなった後に大きな反発となっています。このようなポイントを狙うことでストップ注文までの距離を短く、大きな利益を狙うことが可能となります。
もちろん、いつもフィボナッチの水準で価格が動くという訳ではありませんので資金管理等をしっかりと行う必要があります。
ポジションサイズなどの資金管理
本書では具体的なエントリーポイント、手仕舞いの水準などをどのように探っていくかを中心に書かれていますが、ポジションのサイズなど、トレードを行う上で重要な点についても丁寧に説明がされています。未決済のポジションで最大どの程度までのリスクを取るべきか、保有するポジションの量はどの程度までとするのかは参考になると思います。
ちなみに、FXに置き換えて考えて見ると次のようになります。
口座資産100万円
1ドル=100円の場合
1回のトレードで失うことができる金額:3万円(100万×3%)
ドル円のストップ注文を50Pipsとした場合
6万ドルまで保有できる。
(6万通貨の場合の1pipsの損失額=600円、600×50=30,000)
このようにストップまでの距離に応じてポジション量を調整することで、1回のトレードの損失を一定額にコントロールすることができるようになると、相場が思わぬ変動になった際でも口座資産を一度に大きく減らすというリスクを大幅に減らすことができます。
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。
フィボナッチブレイクアウト売買法
高勝率トレーディングの仕掛けから手仕舞いまで
フィボナッチとブレイクアウトの運命的な出合い!
黄金比率だけでもなく、ブレイクアウトだけでもない!
フィボナッチの新たな境地!
従来のフィボナッチの利用法をブレイクアウト戦略まで高めた実践的手法
株式、先物、FXなど、今日のマーケットでトレードするのは大変困難なチャレンジになっている。しかし、トレードの仕掛けから手仕舞いまでの完全なトレード計画を学べば、この分野での成功も夢ではない。
本書では、トレーダーであり著名なトレーディング講師であるロバート・マイナーが実践的なトレード計画のすべての要素を非常に分かりやすく説明している。これは、彼が20年以上をかけて開発したトレード計画で、仕掛けから手仕舞いまでを網羅している。このフィボナッチとブレイクアウト手法を融合させた「トレイリング・ワン・バー戦略」と「スイングエントリー戦略」を学べば、あらゆるマーケットのあらゆる時間枠で自信を持ってトレードするための一貫性が身につくだろう。
本書では、①高勝率のトレーディングチャンスを見つける方法、②具体的な仕掛けと損切り(仕切り)の価格、③手仕舞うまで完璧にトレードを管理する方法――などを学ぶための方法を伝授してくれる。ここには、2つの時間枠を使った指標とパターンと価格と時間という4つのカギとなるファクターを用いてトレーディングで利益を上げるための手法が示されている。本書で紹介するフィボナッチとブレイクアウトを融合させた戦略とテクニックを学べば、具体的なトレーディング判断を下すために必要な情報や、そのトレーディングを最初から最後まで自信をもって執行するための方法が理解できるだろう。
マイナーは本書で、完全なトレード計画が完成するまでの過程を実践的かつ丁寧に教え説いていく。トレーディングの成功に不可欠なこれらの教えを学ぶための最善の方法は、実例を見ることである。そこで彼は昔の教え子たちから集めた実際のトレード例を紹介した「実在のトレーダーによるリアルタイムのトレード」と題した章を設けている。この章では、本書で学んだ戦略が世界中のあらゆるマーケットで機能していることを知ることができるだろう。
真剣で自立を目指すトレーダーに向けて書かれた本書は、トレーダーの資金を維持し増やしていくために、マーケット動向を分析し、利益の上がるトレードのセットアップを探し、それを執行し、仕掛けから手仕舞いまでを管理するための実践的な方法を細かく明らかにしている。今日のマーケットでその努力を十二分に反映させたい人にとって、本書を読み込み、理解をすれば、それだけで十分だろう。
目次
日本語版への序文
監修者まえがき
まえがき
序論
パート1 あらゆるマーケットとあらゆる時間枠に使える高勝率トレード戦略
第1章 あらゆるマーケットとあらゆる時間枠に使える高勝率トレード戦略
あらゆるマーケット、あらゆる時間枠
高勝率の結果を出すための条件
先行指標と遅行指標
本書で学ぶ内容
さあ、始めよう
第2章 複数の時間枠を使ったモメンタム戦略――高勝率トレードのセットアップを探すための客観的なフィルター
モメンタムとは何か
複数の時間枠を使ったモメンタム戦略
2つの時間枠を使った基本のモメンタム戦略
モメンタムの転換
価格指標の大部分はROCを示している
モメンタムトレンドと価格のトレンドはダイバージェンスすることが多い
2つの時間枠を使ったモメンタム戦略の仕組み
複数の時間枠を使ったモメンタム戦略にはどの指標を使うべきか
指標の最高の設定は何か
2つの時間枠を使ったモメンタム戦略の規則
2つの時間枠を使ったモメンタム戦略のフィルター
第3章 トレンドと調整を確認するための実践的なパターン――トレードの可能性を探るためにトレンドの位置と転換するかどうかを確認する
なぜトレンド途上か調整かを見極めることが重要なのか
エリオット波動に基づいた単純なパターン認識
トレンド途上なのか調整なのか――オーバーラップする指針
ABC調整波動
複雑な調整
調整を見極めるカギとなるオーバーラップ
トレンドと5つの波動のパターン
期間と値幅が上回る
カギとなる第5波
モメンタムとパターンの位置
モメンタムとパターンだけでは十分ではない
第4章 フィボナッチ・リトレースメントの先にあるもの――支持線や抵抗線やトレンドの転換点を高い確率で示す目標値
内部リトレースメントと調整
内部リトレースメントと代替価格予想
代替価格予想のさらなる利用
トレンドや調整の最後のスイング探しを助ける外部リトレースメント
パターン別の目標値
価格とパターンとモメンタム
言い訳はできない
第5章 従来のサイクル分析を超える手法
時間のリトレースメントと調整
代替時間予想で時間リトレースメントの範囲を絞り込む
そのほかの時間のファクター
時間の目標範囲
タイムバンド
さらなる時間の要素
結論
第6章 仕掛け戦略とポジションサイズ
仕掛け戦略1――トレイリング・ワン・バー戦略
仕掛け戦略2――スイングエントリー戦略
ポジションサイズ
結論
第7章 手仕舞い戦略とトレード管理
複数ユニットのトレード
リスク・リワード・レシオ
手仕舞い戦略
トレード管理
高勝率のトレードのみ実行するための最適なセットアップ
パート2 計画に沿ってトレードする
第8章 実在のトレーダーによるリアルタイムのトレード
アダム・ソウィンスキー(ポーランド、スロルジェボ)
ジャジール・シン(イギリス、ロンドン)
シーズ・バン・ハセルト(オランダ、ブレダ)
ケリー・シマンスキー(アリゾナ州ツーソン)
デリク・ホブス(インディアナ州ウォーソー)
キャロリン・ボロディン(アリゾナ州スコッツデール)
ジェイム・ジョンソン(カリフォルニア州エンシニータスとコロンビアのボゴタ)
本章のまとめ
第9章 トレーディングという仕事やそのほかのこと
手順とトレード記録
勝つトレーダーと負けるトレーダーがいる理由
技術、時間枠、マーケット、レバレッジ
ティック単位ではなくポイント単位のトレードを
成功はお金では買えない
トレーダーとしての成功は可能だ
用語集
参考書籍
■日本語版への序文
本書は完全なトレード計画を学ぶためのもので、活発に売買されているマーケットであればデイトレードから長期のポジショントレードまで、あらゆる時間枠のトレードに応用できる。例として使ったトレードは、すべてアメリカの株価指数や株式や為替のマーケットのものになっている。ただ、本書で紹介した分析方法やトレード戦略はすべて日本のマーケットでも有効で、もちろん日経平均株価指数や日本株や為替市場にも応用できる。
本書で紹介する戦略のなかには読者がすでに知っているものもあるかもしれない。しかし、本書の目的は、読者がトレードしているマーケットで仕掛けから手仕舞いまでの判断を下せるように、これらの戦略を総合的なトレード計画に組み込んでいく独自の方法を紹介することにある。
国やマーケットが違っても、トレーダーの目的は変わらない。自分のトレードしているマーケットにおいて、限られた資金で高勝率の結果が期待できるトレードチャンスを探すことだ。私が開発したダイナミック・トレーダー・ソフトウエアは多くの日本人トレーダーも利用しており、過去24年間、日本のマーケットで使われてきた。本書の手法を学べば、あなたもきっと彼らのように有利なトレーディングができるようになる。
私は1970年代後半の約3年間、アメリカ海軍の一員として日本に駐在していた。当時はさまざまな都市に旅行をしたり、日本の生活様式や文化を学んだりして、非常に素晴らしい時を過ごすことができた。できればまた日本を訪れて、今度は日本のトレーダーからも学びたいと思っている。
敬意をこめて
ロバート・マイナー
コロラド州スチームボートスプリングスにて
■監修者まえがき
本書は“Dynamic Trading”の著者としても有名なロバート・C・マイナーが著した新刊“High Probability Trading Strategies : Entry to Exit Tactics for the Forex, Futures, and Stock Markets”の邦訳である。マイナーはエリオット波動やギャン理論、フィボナッチ比率といったいわゆる古典的なテクニカル分析を用いたトレード手法に造詣が深く、長らく個人投資家向けのトレード講師も務めている。このため、米国ではファンも多いようで、『フィボナッチトレーディング――時間と価格を味方につける方法』(パンローリング)の著者であるキャロリン・ボロディンもマイナーの教えを受けてトレードに開眼した一人である。本書はこのようにこの分野のエキスパートが長年の経緯を踏まえて書いたものであり、必要な要素が過不足なくまとまっていて、初心者にとっても読みやすく理解しやすい構成になっている。非常に無駄がないと言えよう。 ところで、ここ20年ほどの間にトレードの世界で起こった変化によって、テクニカル分析は大きな試練にさらされることになった。テクニカル分析はもともと科学ではなかったものの、少なくとも技術であると従来みなされてきた。しかし、近年マーケットのデータやコンピューターがだれの手にも簡単に手に入るようになると、テクニカル分析のすべてが統計的な検証の洗礼を受けることになり、その結果、それまで役に立つと信じられてきた売買手法のほとんどがインチキであると分かってしまったのである。現に機関投資家の世界ではテクニカルアナリストはほぼ絶滅してしまったのである。
これは、マイナーが本書で何度も嘆いているように、旧来存在したテクニカルアナリストのほとんどが不誠実でペテン師同然の輩であったことによる反動である。やはり時間はかかるかもしれないが、悪貨は良貨に駆逐されるということだ。だが、そうした浄化によってニセモノたちはその活動の場を失っていったが、まっとうな活動をしている人たちにとっては、彼らの活動に光が当たる可能性が高くなってことによりむしろそれは良かったのだとも言える。
ここで言うまっとうとはマイナーが書いているように、テクニカル分析のなかでもちゃんとマーケットの未来を説明することができるファクターや技術を抽出し、それを解説できる人たちのことである。本書のなかでマイナーはしばしばその重要性について触れ、いまだに根拠のない分析手法を喧伝する連中を非難している。テクニカル分析を標榜する人のなかで、しかも業界のベテランと目されるマイナーがそうした見解を述べることは勇気がいることであろうが、これは彼の誠実な人柄をうかがわせるものである。
本書はマイナーが長年の体験から実際にマーケットで役に立つと判断したテクニカル分析の技術の解説によって構成されている。この分野に興味のある方は、よき先達の書いた手引書としてじっくり読んでいただきたい。
最後に、翻訳に当たっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。翻訳者の井田京子氏は正確な翻訳を実現してくださった。阿部達郎氏にはいつもながら丁寧な編集・校正を行っていただいた。また本書が発行される機会を得たのはパンローリング社社長の後藤康徳氏のおかげである。
2010年4月
長尾慎太郎
■まえがき
私がロバート・マイナーに初めて会ったのは、1987年10月の大暴落の少しあとだった。彼は、私がしぶしぶ出かけたシカゴのトレーディング会議で彼は大勢の講演者のひとりとして登場した。私は当時、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で法人顧客向けに金融先物のフロアトレーディングを統括する仕事を失ったばかりで、会議に出席する気分ではなかった。失ったばかりの仕事が気に入っていたからだ。しかし、この会議に出席したことで、トレーディング業界のまったく新しい扉が開かれ、幸運がもたらされた。
私はそれまでフィボナッチ・リトレースメントについて聞いたことはあったが、価格の目安として使う方法しか知らなかった。マイナーがこの講演でフィボナッチ数列を時間に応用した手法と簡単な例を紹介したときのことは、自分の席の場所まではっきりと思い出すことができる。私は頭上から光がさし込むのを感じ、これが自分の将来のカギを握ると確信した。私にとって、これはまさに「アハ」体験だった。
マイナーの講演に大いに興味を引かれた私は、彼のブースに行って直接そのことを伝えた。それがきっかけで一緒に飲みに行ってビリヤードをするようになり、長年の友情はそれ以来続いている。
マイナーの手法を学び始めた私はすぐにこれに魅了された。しかし、当時はパソコンを持っていなかったため、鉛筆と電卓とコンパスを使って価格を追い始めた。毎日手書きのチャートを更新していくなかで、私はこの戦略の威力を確認し、この結果を友人や顧客に話してみた。すると、この素晴らしい結果を見て、分析にお金を出すという申し出があった。私はマイナーの長年の研究をすべて学び、自分のトレード戦略を完成させた。そしてこれが私独自のマーケット分析と推奨トレードのニュースレター「シンクロニシティ・マーケット・タイミング」の発行などにつながっていった。
ロバート・マイナーがいなければ、今日の私の成功はなかった。私はテクニカル分析とトレード戦略の大部分をマイナーから学んだ。彼の教えによって心から愛する仕事と出合い、そこから報酬まで得ることができるきっかけを与えてくれたことに永遠の感謝を捧げたい。ありがとう。
キャロリン・ボロディン(フィボナッチクイーン)
■第1章 あらゆるマーケットとあらゆる時間枠に使える高勝率トレード戦略
本書は少し変わっている。というのも、ほかのトレード本とは違って、仕掛けから手仕舞いまでを網羅する完全なトレード計画を紹介しているからだ。また、ここに挙げたトレード例も厳選したケースを個別に扱ってセットアップや戦略を示すのではなく、最適なトレード条件や、具体的な仕掛けと手仕舞いの価格を含めた客観的な仕掛け戦略と、損切りを調整しながら手仕舞うまでの管理方法を含めて紹介している。
多くのトレード本はいくつかのテクニックとその有効性を示す厳選した例で構成されている。そして、「この辺りで買って、この辺りで利食えばよい」「トレーダーが積極的か保守的かによって……したり……したりできる」「マーケットは通常このボラティリティバンドの周辺で変動するため、この辺りで買う(または売る)とよい」などといったあいまいな書き方がしてある。
しかし、ブローカーに対して「この辺りの価格水準」と言うわけにはいかない。彼らは価格を指定しなければ注文を受けてくれないからだ。また、トレーダーを保守的か積極的かに分けるのは無意味で、世の中にはトレード計画に従うトレーダーか、トレード計画に従わないトレーダーしかいない。ちなみに、ボラティリティバンドやそれ以外の指標やチャートの場所の「辺り」で実行するかもしれないというのはトレード戦略ではない。トレード戦略というのは特定の行動を実行することであり、このなかには具体的な買いと売りの特定の価格が含まれている。つまり、何をいつどのようにすべきかを、正確に教えてくれるのが価値ある指示なのである。
トレード本の多くは便利で具体的なトレードテクニックや研究に値するアイデアを教えてくれるが、本書のように高勝率のトレードチャンスを探して仕掛けと手仕舞いの価格を具体的に示し、手仕舞うまでの管理方法を教えている本やセミナーはあまりない。なかでも重要なのはモメンタム、パターン、価格、時間という4つのカギとなる要素に対する考え方で、これらを学べばどのマーケット情報がどのトレード判断を下すのに適切で役立つのかを見極め、その判断を仕掛けから手仕舞いまでどのように実行していくのかが分かる。
本は静的媒質であるため、どのようなマーケットや時間枠の例でも、トレードを仕掛けから手仕舞いまで示そうとすると、たくさんのチャート画面が必要となる。そのため、本書には大量のチャートが出てくる。各チャートは、情報がすぐに理解できるように手を加えたうえで、本書の教えに基づいて注目すべき情報にはコメントを書き込んである。
あらゆるマーケット、あらゆる時間枠
本書で学ぶトレード戦略は、活発な動きがあればどのマーケットでもどの時間枠でも利用できるため、トレード例も株式市場、上場投信(ETF)、先物、為替など、さまざまな分野に及んでいる。これらのマーケットでは時間枠に関係なく、数カ月にわたるトレードでもデイトレードでも、すべて同じマーケット構造になっている。もし本書で挙げた例が読者が通常トレードしているマーケットや時間枠と違っていても、銘柄は無視して学習のポイントに集中してほしい。本書の戦略はすべてのマーケットのあらゆる時間枠に応用できる。
高勝率の結果を出すための条件
トレード戦略の目的は、許容可能なエクスポージャーで高勝率の結果が出せる条件を見つけだすことにある。本書では、どのマーケットにも存在する4つの主な要素と、それらが高勝率の結果をもたらす条件に当てはまるかどうかを探す方法を学んでいく。マーケットが4つの異なった観点から変化を示唆していることが分かれば、トレーダーにとっては非常に優れたエッジ(優位性)となる。これは1つか2つの要素が一致した場合よりもはるかに強力だ。どのような仕事にも言えることだが、トレーディングで勝つためにもエッジを持っていなければならない。本書で学ぶエッジとは、調整やトレンドがいつ終わるのかを見つけることで、それが分かれば調整の最後でトレンドの方向に仕掛けたり、新しいトレンドの非常に早い段階で買って最終段階(最後かその前の足)まで待って売ったりすることが可能になる。
農民が種をまいたり収穫したりするためにはその最適な時期を知っておく必要があるように、トレーダーもトレードする最適な時期を知っておく必要がある。トレードが早すぎたり遅すぎたりすれば最大のリターンが得られないばかりか、最悪の場合は許容範囲を超えた損失を被る可能性もある。トレーダーはトレードの最適な条件を探すために、ポジションに関する情報をよく理解しておかなければならない。
マーケットは非常に複雑に見えるかもしれない。それは比較的安いトレーディングソフトが大量に出回り、何百もの研究や指標に圧倒され、おまけにそれらの情報が互いに矛盾していることもよくあるからだ。これでは自信を持って判断を下すために必要な情報を見極めるのは難しい。
本書で教える高勝率の手法は、複数の時間枠のモメンタム、単純なパターン認識、価格が転換する目標価格と目標時間という4つの視点でマーケットを見ていく。4つの視点はそれぞれに膨大な量の関連情報があるが、本書では各要素の重要情報に絞って高勝率トレードが可能な状態かどうかを素早く判断する方法を学んでいく。
私はあまりセミナーを開催しないが、開催したセミナーの最後に特別な演習を行う。まず、私の手法が株式にもETFにも先物にも為替にも応用できることや、3分以内に必要な情報を処理してそのマーケットで高勝率トレードが可能な状態かどうかを判断したり、そのマーケットが高勝率トレードの条件を満たすためには何が必要かを見極めたりできることを説明したうえで、各生徒に任意の銘柄をひとつ紙に書いてもらうのだ。そしてその紙を集め、私がそれまで教えたことを踏まえて3分以内にその銘柄が有望かどうかと、その銘柄のためにはどのトレード戦略が最適かを1つずつ判断していくのだ。
必要な情報だけに絞って高勝率トレードの判断を下していけば、成功する可能性はずっと高くなる。
先行指標と遅行指標
多くのトレーダーは遅行指標のみに基づいたトレード戦略を使っている。また、トレーディング用のプラットフォームやチャートプログラムの指標やオシレーターにも遅行指標が使われている。しかし、遅行指標は現在のマーケットと期間のデータの関係は示しても、予測能力はほとんどない。もちろんモメンタム指標はトレンドの方向を見極める助けにはなるし、本書で学ぶ複数の時間枠のモメンタム戦略と一緒に使えばトレードを実行する指針にはなる。ただ、モメンタム戦略も先行指標を用いたトレード計画の一部として使わなければ役には立たない。
先行指標があれば、有望なトレードの条件を見極める準備が事前にできる。私が20年をかけて独自に開発したダイナミックプライス戦略とダイナミックタイム戦略を使えば、価格と時間の有望な目標ゾーンを支持線と抵抗線だけでなく、トレンドの転換についても事前に設定できる。この高勝率の条件を事前に見極めることができる価格と時間の戦略を、われわれは先行指標と呼んでいる。この戦略では、マーケットがこの条件を満たせばセットアップが整ったとみなす。トレンドが転換する目標値として具体的な価格と時間を事前に準備しておくことの威力が分かれば、これがトレード計画の中核になることは間違いない。
本書で学ぶ内容
本書では、最初にマーケットポジションの4つの局面である複数の時間枠のモメンタム、パターン、価格、時間について学ぶ。4つの要素はそれぞれがトレード判断を下すための重要な情報を提供してくれる。これらを含まないトレード計画は大きなピースが欠けたパズルのようなもので、4つがすべてそろった計画よりも効力ははるかに劣る。
モメンタムについては多くの読者が知っていると思う。指標、オシレーターなどと呼ばれることもあるモメンタムは、単独ではあまり実用性がない。これはモメンタムがすべて遅行指標だからで、現在のマーケットを過去と比較して示すのには優れているが、第2章で紹介する特殊な方法で使わないかぎり将来のトレンドの位置を予測する助けにはならない。第2章では、遅行指標であるモメンタムをトレードの方向性と仕掛けのセットアップを見極めるためのフィルターとして使う強力なテクニックを学ぶ。この方法を使っているトレーダーはほんの一握りしかいない。これは複数の時間枠を使ったモメンタム戦略で、もっとも便利で実践的なモメンタムの応用方法としてトレード計画に組み込むことができる。
エリオット波動のパターンは必要以上に複雑になって誤解されてきたため、多くのトレーダーはまるで災難のようにこれを避けてきた。そのことは仕方がないだろう。しかし、第3章ではすべてのマーケットや時間枠でよく現れる3つのパターンを探すため、エリオット波動に基づいた簡単な指針を学んでいく。例えば、トレンドやカウンタートレンドが始まるのかどうかがすぐに分かる単純な指針は、これだけでもトレード結果を大いに改善してくれるだろう。トレーダーにとって現在の状態が調整なのかそれともトレンドの一部なのかを知ることは不可欠であり、その調整やトレンドが終わりかけているかどうかはさらに重要だ。この情報はトレード計画の重要な一部になり得るもので、どの時間枠でもマーケットの転換に対する備えになってくれる。そして、第3章でパターンによる指針を学べば、どのマーケットのどの時間枠でも有望なセットアップをすぐに見つけだすことができるようになる。
フィボナッチ・リトレースメントについては大部分のトレーダーが知っていると思う。しかしこれもひとつの時間枠のモメンタムと同じで、単独ではトレード判断を下す実践的な助けにはならない。第4章では、あらゆる時間枠で調整が終わる可能性が高いリトレースメントの水準を事前に見極める方法を学んでいく。また、トレンドが終了する可能性が高い目標水準を事前に予測する方法も紹介する。ここでは、調整やトレンドの目標値となるフィボナッチ比率以外の比率も学んでいく。さらに第4章で私が考案したダイナミックプライス戦略を学べば、一時的な支持線や抵抗線だけでなく、トレンドやカウンタートレンドが転換する可能性が高い具体的な価格水準にも備えることができる。
マーケットタイミングを本当の意味(あらゆる時間枠においてトレンドが変化する具体的な目標時間を見極めること)で使っているトレーダーはあまりいない。何年も前にW・D・ギャンは「時間が尽きれば変化は避けられない」と説いた。第5章では、トレンドが転換する目標時間ゾーンの最大値と最小値を推定するために私が20年かけて開発したダイナミックタイム戦略も学んでいく。ここでは、どの時間枠においてもトレンドが変化する確率が高い時間帯を比較的狭いレンジで予想するタイムバンドも紹介する。実践的なマーケットタイミングの手法もトレード計画の重要な一部として欠かせない。
カギとなる4つの要素を学んで最適なトレード条件が見つけられるようになったあとは、第6章で極めて客観的な2つの仕掛け戦略と、最大のポジションサイズを素早く判断する方法を学ぶ。ちなみに、第6章の戦略における仕掛けや損切りの指定価格に推測はまったく含まれていない。どのセットアップのどの時間枠でも適切なポジションサイズを知ることが、トレーディングで長期にわたって成功するためのもっとも重要なポイントのひとつであり、このことは成功したトレーダーならばだれでも知っている。
最初に、本書ではトレードを仕掛けから手仕舞いまで管理する方法を学ぶことができると約束した。その意味では、第7章がその核心部分となる。ここで、高勝率のトレードセットアップから具体的な仕掛け戦略、損切りの調整、手仕舞い戦略まですべての実践的な戦略を適用する方法を学んでいく。言い換えれば、第7章を読めばトレードを仕掛けから手仕舞いまで管理していく方法が分かる。また、この過程では論理的な判断を自信を持って下すことも学んでいく。 第8章では、この20年間に私が制作にかかわったトレーディングに関するセミナー(オンラインを含めて)、CD、教材などを通じて知り合った生徒たちの実際のトレード例を紹介する。さまざまなトレーダーが提供してくれた実例は、本書の教えがさまざまなマーケットやさまざまな時間枠で毎日実際に使われていることを教えてくれる。 第9章はトレーディング自体に関する洞察を深め、成功するために必要なさまざまな点について書いてある。トレーディングについては、誤解を招きやすい情報や、ときには間違った情報が数多く流れているが、ここでは私の考えをかなり率直に述べている。それまでの章でも私を頑固だと感じるかもしれないが、第9章ほどではない。読者にはぜひトレーディングで成功してほしい。第9章を読めば、成功するための道をそれることなく進んでいけるだろう。
さあ、始めよう
前置きはこのくらいにして、高勝率トレード戦略の勉強を始めよう。まずはモメンタムを独自の方法で使った複数の時間枠のモメンタム戦略(第2章)から見ていこう。
第2章 複数の時間枠を使ったモメンタム戦略
複数の時間枠を使ったモメンタム戦略とは、私が過去20年間に発見したもっとも強力なフィルターで、あらゆるマーケットのあらゆる時間枠でトレードの方向と実行のタイミングを見極めることができる。最小限のエクスポージャーで実行可能な高勝率トレードのセットアップを探すことができる複数の時間枠を使ったモメンタム戦略は、トレード計画のカギとなる要素と言える。
第3章 トレンドと調整を確認するための実践的なパターン
本章では、マーケットが現在、トレンド途上か調整の時期にあるのかどうかと、そのなかでどのような位置にあるのかを見極めるのに役立つ簡単なパターン認識の方法を学んでいく。マーケットが転換点やその近くにあることを事前に知っておくことはトレーダーにとって大きな強みになり、これはすべてのトレード計画の重要な一部となるだろう。
第4章 フィボナッチ・リトレースメントの先にあるもの
本章では、どのようなマーケット状況でも事前に非常に狭い目標レンジを予想できる新しくて独自の方法を学んでいく。ここで紹介するダイナミックプライス戦略を使えば、典型的なフィボナッチ・リトレースメントのみを使うトレーダーたちよりもはるか先を行くことができる。
第5章 従来のサイクル分析を超える手法
本章では、どのようなマーケット状況でも支持線や抵抗線やトレンドの転換点の目標日や目標時間を非常に狭い範囲で事前に予測する方法を学んでいく。このダイナミックタイム戦略を学べば、実践的なトレード戦略のタイミングツールとともに従来のサイクル分析よりもはるかに優位に立つことができるからだ。
第6章 仕掛け戦略とポジションサイズ
本章では、2つのまったく客観的な仕掛け戦略を紹介する。ここでは、あらゆるマーケットの状況で使える具体的な仕掛けと最初の損切りポイントや、あらゆるトレードの最大のポジションサイズなども学んでいく。客観的な仕掛け戦略は、トレードが成功するためのカギとなり、いったん判断を下したあとは感情や決断力のなさを排除してくれる。また、どのようなトレードでも最大のポジションサイズが分かっていることは、トレーディングで成功するための重要な要素となる。
第7章 手仕舞い戦略とトレード管理
理論的かつ適切なトレード管理と手仕舞い戦略は、すべてのトレードのリターンを最大にするためのカギとなる。本章では、トレードを仕掛けから手仕舞いまで管理する方法を学んでいく。このなかには、損切りを調整して仕舞う方法も含まれている。
第8章 実在のトレーダーによるリアルタイムのトレード
本章では、さまざまなタイプのトレーダーが本書で学んできた高勝率トレード戦略を用いてリアルタイムでトレードした例から学んでいく。彼らは、この戦略をさまざまなマーケットのさまざまな時間枠に応用し、トレードごとに論理的な判断を下しながら仕掛けから手仕舞いまでを管理している。
第9章 トレーディングという仕事やそのほかのこと
トレーディングもほかの仕事と何ら変わらない。
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。
黄金比率だけでもなく、ブレイクアウトだけでもない!
フィボナッチの新たな境地!
従来のフィボナッチの利用法をブレイクアウト戦略まで高めた実践的手法
株式、先物、FXなど、今日のマーケットでトレードするのは大変困難なチャレンジになっている。しかし、トレードの仕掛けから手仕舞いまでの完全なトレード計画を学べば、この分野での成功も夢ではない。
本書では、トレーダーであり著名なトレーディング講師であるロバート・マイナーが実践的なトレード計画のすべての要素を非常に分かりやすく説明している。これは、彼が20年以上をかけて開発したトレード計画で、仕掛けから手仕舞いまでを網羅している。このフィボナッチとブレイクアウト手法を融合させた「トレイリング・ワン・バー戦略」と「スイングエントリー戦略」を学べば、あらゆるマーケットのあらゆる時間枠で自信を持ってトレードするための一貫性が身につくだろう。
本書では、①高勝率のトレーディングチャンスを見つける方法、②具体的な仕掛けと損切り(仕切り)の価格、③手仕舞うまで完璧にトレードを管理する方法――などを学ぶための方法を伝授してくれる。ここには、2つの時間枠を使った指標とパターンと価格と時間という4つのカギとなるファクターを用いてトレーディングで利益を上げるための手法が示されている。本書で紹介するフィボナッチとブレイクアウトを融合させた戦略とテクニックを学べば、具体的なトレーディング判断を下すために必要な情報や、そのトレーディングを最初から最後まで自信をもって執行するための方法が理解できるだろう。
マイナーは本書で、完全なトレード計画が完成するまでの過程を実践的かつ丁寧に教え説いていく。トレーディングの成功に不可欠なこれらの教えを学ぶための最善の方法は、実例を見ることである。そこで彼は昔の教え子たちから集めた実際のトレード例を紹介した「実在のトレーダーによるリアルタイムのトレード」と題した章を設けている。この章では、本書で学んだ戦略が世界中のあらゆるマーケットで機能していることを知ることができるだろう。
真剣で自立を目指すトレーダーに向けて書かれた本書は、トレーダーの資金を維持し増やしていくために、マーケット動向を分析し、利益の上がるトレードのセットアップを探し、それを執行し、仕掛けから手仕舞いまでを管理するための実践的な方法を細かく明らかにしている。今日のマーケットでその努力を十二分に反映させたい人にとって、本書を読み込み、理解をすれば、それだけで十分だろう。
目次
日本語版への序文
監修者まえがき
まえがき
序論
パート1 あらゆるマーケットとあらゆる時間枠に使える高勝率トレード戦略
第1章 あらゆるマーケットとあらゆる時間枠に使える高勝率トレード戦略
あらゆるマーケット、あらゆる時間枠
高勝率の結果を出すための条件
先行指標と遅行指標
本書で学ぶ内容
さあ、始めよう
第2章 複数の時間枠を使ったモメンタム戦略――高勝率トレードのセットアップを探すための客観的なフィルター
モメンタムとは何か
複数の時間枠を使ったモメンタム戦略
2つの時間枠を使った基本のモメンタム戦略
モメンタムの転換
価格指標の大部分はROCを示している
モメンタムトレンドと価格のトレンドはダイバージェンスすることが多い
2つの時間枠を使ったモメンタム戦略の仕組み
複数の時間枠を使ったモメンタム戦略にはどの指標を使うべきか
指標の最高の設定は何か
2つの時間枠を使ったモメンタム戦略の規則
2つの時間枠を使ったモメンタム戦略のフィルター
第3章 トレンドと調整を確認するための実践的なパターン――トレードの可能性を探るためにトレンドの位置と転換するかどうかを確認する
なぜトレンド途上か調整かを見極めることが重要なのか
エリオット波動に基づいた単純なパターン認識
トレンド途上なのか調整なのか――オーバーラップする指針
ABC調整波動
複雑な調整
調整を見極めるカギとなるオーバーラップ
トレンドと5つの波動のパターン
期間と値幅が上回る
カギとなる第5波
モメンタムとパターンの位置
モメンタムとパターンだけでは十分ではない
第4章 フィボナッチ・リトレースメントの先にあるもの――支持線や抵抗線やトレンドの転換点を高い確率で示す目標値
内部リトレースメントと調整
内部リトレースメントと代替価格予想
代替価格予想のさらなる利用
トレンドや調整の最後のスイング探しを助ける外部リトレースメント
パターン別の目標値
価格とパターンとモメンタム
言い訳はできない
第5章 従来のサイクル分析を超える手法
時間のリトレースメントと調整
代替時間予想で時間リトレースメントの範囲を絞り込む
そのほかの時間のファクター
時間の目標範囲
タイムバンド
さらなる時間の要素
結論
第6章 仕掛け戦略とポジションサイズ
仕掛け戦略1――トレイリング・ワン・バー戦略
仕掛け戦略2――スイングエントリー戦略
ポジションサイズ
結論
第7章 手仕舞い戦略とトレード管理
複数ユニットのトレード
リスク・リワード・レシオ
手仕舞い戦略
トレード管理
高勝率のトレードのみ実行するための最適なセットアップ
パート2 計画に沿ってトレードする
第8章 実在のトレーダーによるリアルタイムのトレード
アダム・ソウィンスキー(ポーランド、スロルジェボ)
ジャジール・シン(イギリス、ロンドン)
シーズ・バン・ハセルト(オランダ、ブレダ)
ケリー・シマンスキー(アリゾナ州ツーソン)
デリク・ホブス(インディアナ州ウォーソー)
キャロリン・ボロディン(アリゾナ州スコッツデール)
ジェイム・ジョンソン(カリフォルニア州エンシニータスとコロンビアのボゴタ)
本章のまとめ
第9章 トレーディングという仕事やそのほかのこと
手順とトレード記録
勝つトレーダーと負けるトレーダーがいる理由
技術、時間枠、マーケット、レバレッジ
ティック単位ではなくポイント単位のトレードを
成功はお金では買えない
トレーダーとしての成功は可能だ
用語集
参考書籍
■日本語版への序文
本書は完全なトレード計画を学ぶためのもので、活発に売買されているマーケットであればデイトレードから長期のポジショントレードまで、あらゆる時間枠のトレードに応用できる。例として使ったトレードは、すべてアメリカの株価指数や株式や為替のマーケットのものになっている。ただ、本書で紹介した分析方法やトレード戦略はすべて日本のマーケットでも有効で、もちろん日経平均株価指数や日本株や為替市場にも応用できる。
本書で紹介する戦略のなかには読者がすでに知っているものもあるかもしれない。しかし、本書の目的は、読者がトレードしているマーケットで仕掛けから手仕舞いまでの判断を下せるように、これらの戦略を総合的なトレード計画に組み込んでいく独自の方法を紹介することにある。
国やマーケットが違っても、トレーダーの目的は変わらない。自分のトレードしているマーケットにおいて、限られた資金で高勝率の結果が期待できるトレードチャンスを探すことだ。私が開発したダイナミック・トレーダー・ソフトウエアは多くの日本人トレーダーも利用しており、過去24年間、日本のマーケットで使われてきた。本書の手法を学べば、あなたもきっと彼らのように有利なトレーディングができるようになる。
私は1970年代後半の約3年間、アメリカ海軍の一員として日本に駐在していた。当時はさまざまな都市に旅行をしたり、日本の生活様式や文化を学んだりして、非常に素晴らしい時を過ごすことができた。できればまた日本を訪れて、今度は日本のトレーダーからも学びたいと思っている。
敬意をこめて
ロバート・マイナー
コロラド州スチームボートスプリングスにて
■監修者まえがき
本書は“Dynamic Trading”の著者としても有名なロバート・C・マイナーが著した新刊“High Probability Trading Strategies : Entry to Exit Tactics for the Forex, Futures, and Stock Markets”の邦訳である。マイナーはエリオット波動やギャン理論、フィボナッチ比率といったいわゆる古典的なテクニカル分析を用いたトレード手法に造詣が深く、長らく個人投資家向けのトレード講師も務めている。このため、米国ではファンも多いようで、『フィボナッチトレーディング――時間と価格を味方につける方法』(パンローリング)の著者であるキャロリン・ボロディンもマイナーの教えを受けてトレードに開眼した一人である。本書はこのようにこの分野のエキスパートが長年の経緯を踏まえて書いたものであり、必要な要素が過不足なくまとまっていて、初心者にとっても読みやすく理解しやすい構成になっている。非常に無駄がないと言えよう。 ところで、ここ20年ほどの間にトレードの世界で起こった変化によって、テクニカル分析は大きな試練にさらされることになった。テクニカル分析はもともと科学ではなかったものの、少なくとも技術であると従来みなされてきた。しかし、近年マーケットのデータやコンピューターがだれの手にも簡単に手に入るようになると、テクニカル分析のすべてが統計的な検証の洗礼を受けることになり、その結果、それまで役に立つと信じられてきた売買手法のほとんどがインチキであると分かってしまったのである。現に機関投資家の世界ではテクニカルアナリストはほぼ絶滅してしまったのである。
これは、マイナーが本書で何度も嘆いているように、旧来存在したテクニカルアナリストのほとんどが不誠実でペテン師同然の輩であったことによる反動である。やはり時間はかかるかもしれないが、悪貨は良貨に駆逐されるということだ。だが、そうした浄化によってニセモノたちはその活動の場を失っていったが、まっとうな活動をしている人たちにとっては、彼らの活動に光が当たる可能性が高くなってことによりむしろそれは良かったのだとも言える。
ここで言うまっとうとはマイナーが書いているように、テクニカル分析のなかでもちゃんとマーケットの未来を説明することができるファクターや技術を抽出し、それを解説できる人たちのことである。本書のなかでマイナーはしばしばその重要性について触れ、いまだに根拠のない分析手法を喧伝する連中を非難している。テクニカル分析を標榜する人のなかで、しかも業界のベテランと目されるマイナーがそうした見解を述べることは勇気がいることであろうが、これは彼の誠実な人柄をうかがわせるものである。
本書はマイナーが長年の体験から実際にマーケットで役に立つと判断したテクニカル分析の技術の解説によって構成されている。この分野に興味のある方は、よき先達の書いた手引書としてじっくり読んでいただきたい。
最後に、翻訳に当たっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。翻訳者の井田京子氏は正確な翻訳を実現してくださった。阿部達郎氏にはいつもながら丁寧な編集・校正を行っていただいた。また本書が発行される機会を得たのはパンローリング社社長の後藤康徳氏のおかげである。
2010年4月
長尾慎太郎
■まえがき
私がロバート・マイナーに初めて会ったのは、1987年10月の大暴落の少しあとだった。彼は、私がしぶしぶ出かけたシカゴのトレーディング会議で彼は大勢の講演者のひとりとして登場した。私は当時、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で法人顧客向けに金融先物のフロアトレーディングを統括する仕事を失ったばかりで、会議に出席する気分ではなかった。失ったばかりの仕事が気に入っていたからだ。しかし、この会議に出席したことで、トレーディング業界のまったく新しい扉が開かれ、幸運がもたらされた。
私はそれまでフィボナッチ・リトレースメントについて聞いたことはあったが、価格の目安として使う方法しか知らなかった。マイナーがこの講演でフィボナッチ数列を時間に応用した手法と簡単な例を紹介したときのことは、自分の席の場所まではっきりと思い出すことができる。私は頭上から光がさし込むのを感じ、これが自分の将来のカギを握ると確信した。私にとって、これはまさに「アハ」体験だった。
マイナーの講演に大いに興味を引かれた私は、彼のブースに行って直接そのことを伝えた。それがきっかけで一緒に飲みに行ってビリヤードをするようになり、長年の友情はそれ以来続いている。
マイナーの手法を学び始めた私はすぐにこれに魅了された。しかし、当時はパソコンを持っていなかったため、鉛筆と電卓とコンパスを使って価格を追い始めた。毎日手書きのチャートを更新していくなかで、私はこの戦略の威力を確認し、この結果を友人や顧客に話してみた。すると、この素晴らしい結果を見て、分析にお金を出すという申し出があった。私はマイナーの長年の研究をすべて学び、自分のトレード戦略を完成させた。そしてこれが私独自のマーケット分析と推奨トレードのニュースレター「シンクロニシティ・マーケット・タイミング」の発行などにつながっていった。
ロバート・マイナーがいなければ、今日の私の成功はなかった。私はテクニカル分析とトレード戦略の大部分をマイナーから学んだ。彼の教えによって心から愛する仕事と出合い、そこから報酬まで得ることができるきっかけを与えてくれたことに永遠の感謝を捧げたい。ありがとう。
キャロリン・ボロディン(フィボナッチクイーン)
■第1章 あらゆるマーケットとあらゆる時間枠に使える高勝率トレード戦略
本書は少し変わっている。というのも、ほかのトレード本とは違って、仕掛けから手仕舞いまでを網羅する完全なトレード計画を紹介しているからだ。また、ここに挙げたトレード例も厳選したケースを個別に扱ってセットアップや戦略を示すのではなく、最適なトレード条件や、具体的な仕掛けと手仕舞いの価格を含めた客観的な仕掛け戦略と、損切りを調整しながら手仕舞うまでの管理方法を含めて紹介している。
多くのトレード本はいくつかのテクニックとその有効性を示す厳選した例で構成されている。そして、「この辺りで買って、この辺りで利食えばよい」「トレーダーが積極的か保守的かによって……したり……したりできる」「マーケットは通常このボラティリティバンドの周辺で変動するため、この辺りで買う(または売る)とよい」などといったあいまいな書き方がしてある。
しかし、ブローカーに対して「この辺りの価格水準」と言うわけにはいかない。彼らは価格を指定しなければ注文を受けてくれないからだ。また、トレーダーを保守的か積極的かに分けるのは無意味で、世の中にはトレード計画に従うトレーダーか、トレード計画に従わないトレーダーしかいない。ちなみに、ボラティリティバンドやそれ以外の指標やチャートの場所の「辺り」で実行するかもしれないというのはトレード戦略ではない。トレード戦略というのは特定の行動を実行することであり、このなかには具体的な買いと売りの特定の価格が含まれている。つまり、何をいつどのようにすべきかを、正確に教えてくれるのが価値ある指示なのである。
トレード本の多くは便利で具体的なトレードテクニックや研究に値するアイデアを教えてくれるが、本書のように高勝率のトレードチャンスを探して仕掛けと手仕舞いの価格を具体的に示し、手仕舞うまでの管理方法を教えている本やセミナーはあまりない。なかでも重要なのはモメンタム、パターン、価格、時間という4つのカギとなる要素に対する考え方で、これらを学べばどのマーケット情報がどのトレード判断を下すのに適切で役立つのかを見極め、その判断を仕掛けから手仕舞いまでどのように実行していくのかが分かる。
本は静的媒質であるため、どのようなマーケットや時間枠の例でも、トレードを仕掛けから手仕舞いまで示そうとすると、たくさんのチャート画面が必要となる。そのため、本書には大量のチャートが出てくる。各チャートは、情報がすぐに理解できるように手を加えたうえで、本書の教えに基づいて注目すべき情報にはコメントを書き込んである。
あらゆるマーケット、あらゆる時間枠
本書で学ぶトレード戦略は、活発な動きがあればどのマーケットでもどの時間枠でも利用できるため、トレード例も株式市場、上場投信(ETF)、先物、為替など、さまざまな分野に及んでいる。これらのマーケットでは時間枠に関係なく、数カ月にわたるトレードでもデイトレードでも、すべて同じマーケット構造になっている。もし本書で挙げた例が読者が通常トレードしているマーケットや時間枠と違っていても、銘柄は無視して学習のポイントに集中してほしい。本書の戦略はすべてのマーケットのあらゆる時間枠に応用できる。
高勝率の結果を出すための条件
トレード戦略の目的は、許容可能なエクスポージャーで高勝率の結果が出せる条件を見つけだすことにある。本書では、どのマーケットにも存在する4つの主な要素と、それらが高勝率の結果をもたらす条件に当てはまるかどうかを探す方法を学んでいく。マーケットが4つの異なった観点から変化を示唆していることが分かれば、トレーダーにとっては非常に優れたエッジ(優位性)となる。これは1つか2つの要素が一致した場合よりもはるかに強力だ。どのような仕事にも言えることだが、トレーディングで勝つためにもエッジを持っていなければならない。本書で学ぶエッジとは、調整やトレンドがいつ終わるのかを見つけることで、それが分かれば調整の最後でトレンドの方向に仕掛けたり、新しいトレンドの非常に早い段階で買って最終段階(最後かその前の足)まで待って売ったりすることが可能になる。
農民が種をまいたり収穫したりするためにはその最適な時期を知っておく必要があるように、トレーダーもトレードする最適な時期を知っておく必要がある。トレードが早すぎたり遅すぎたりすれば最大のリターンが得られないばかりか、最悪の場合は許容範囲を超えた損失を被る可能性もある。トレーダーはトレードの最適な条件を探すために、ポジションに関する情報をよく理解しておかなければならない。
マーケットは非常に複雑に見えるかもしれない。それは比較的安いトレーディングソフトが大量に出回り、何百もの研究や指標に圧倒され、おまけにそれらの情報が互いに矛盾していることもよくあるからだ。これでは自信を持って判断を下すために必要な情報を見極めるのは難しい。
本書で教える高勝率の手法は、複数の時間枠のモメンタム、単純なパターン認識、価格が転換する目標価格と目標時間という4つの視点でマーケットを見ていく。4つの視点はそれぞれに膨大な量の関連情報があるが、本書では各要素の重要情報に絞って高勝率トレードが可能な状態かどうかを素早く判断する方法を学んでいく。
私はあまりセミナーを開催しないが、開催したセミナーの最後に特別な演習を行う。まず、私の手法が株式にもETFにも先物にも為替にも応用できることや、3分以内に必要な情報を処理してそのマーケットで高勝率トレードが可能な状態かどうかを判断したり、そのマーケットが高勝率トレードの条件を満たすためには何が必要かを見極めたりできることを説明したうえで、各生徒に任意の銘柄をひとつ紙に書いてもらうのだ。そしてその紙を集め、私がそれまで教えたことを踏まえて3分以内にその銘柄が有望かどうかと、その銘柄のためにはどのトレード戦略が最適かを1つずつ判断していくのだ。
必要な情報だけに絞って高勝率トレードの判断を下していけば、成功する可能性はずっと高くなる。
先行指標と遅行指標
多くのトレーダーは遅行指標のみに基づいたトレード戦略を使っている。また、トレーディング用のプラットフォームやチャートプログラムの指標やオシレーターにも遅行指標が使われている。しかし、遅行指標は現在のマーケットと期間のデータの関係は示しても、予測能力はほとんどない。もちろんモメンタム指標はトレンドの方向を見極める助けにはなるし、本書で学ぶ複数の時間枠のモメンタム戦略と一緒に使えばトレードを実行する指針にはなる。ただ、モメンタム戦略も先行指標を用いたトレード計画の一部として使わなければ役には立たない。
先行指標があれば、有望なトレードの条件を見極める準備が事前にできる。私が20年をかけて独自に開発したダイナミックプライス戦略とダイナミックタイム戦略を使えば、価格と時間の有望な目標ゾーンを支持線と抵抗線だけでなく、トレンドの転換についても事前に設定できる。この高勝率の条件を事前に見極めることができる価格と時間の戦略を、われわれは先行指標と呼んでいる。この戦略では、マーケットがこの条件を満たせばセットアップが整ったとみなす。トレンドが転換する目標値として具体的な価格と時間を事前に準備しておくことの威力が分かれば、これがトレード計画の中核になることは間違いない。
本書で学ぶ内容
本書では、最初にマーケットポジションの4つの局面である複数の時間枠のモメンタム、パターン、価格、時間について学ぶ。4つの要素はそれぞれがトレード判断を下すための重要な情報を提供してくれる。これらを含まないトレード計画は大きなピースが欠けたパズルのようなもので、4つがすべてそろった計画よりも効力ははるかに劣る。
モメンタムについては多くの読者が知っていると思う。指標、オシレーターなどと呼ばれることもあるモメンタムは、単独ではあまり実用性がない。これはモメンタムがすべて遅行指標だからで、現在のマーケットを過去と比較して示すのには優れているが、第2章で紹介する特殊な方法で使わないかぎり将来のトレンドの位置を予測する助けにはならない。第2章では、遅行指標であるモメンタムをトレードの方向性と仕掛けのセットアップを見極めるためのフィルターとして使う強力なテクニックを学ぶ。この方法を使っているトレーダーはほんの一握りしかいない。これは複数の時間枠を使ったモメンタム戦略で、もっとも便利で実践的なモメンタムの応用方法としてトレード計画に組み込むことができる。
エリオット波動のパターンは必要以上に複雑になって誤解されてきたため、多くのトレーダーはまるで災難のようにこれを避けてきた。そのことは仕方がないだろう。しかし、第3章ではすべてのマーケットや時間枠でよく現れる3つのパターンを探すため、エリオット波動に基づいた簡単な指針を学んでいく。例えば、トレンドやカウンタートレンドが始まるのかどうかがすぐに分かる単純な指針は、これだけでもトレード結果を大いに改善してくれるだろう。トレーダーにとって現在の状態が調整なのかそれともトレンドの一部なのかを知ることは不可欠であり、その調整やトレンドが終わりかけているかどうかはさらに重要だ。この情報はトレード計画の重要な一部になり得るもので、どの時間枠でもマーケットの転換に対する備えになってくれる。そして、第3章でパターンによる指針を学べば、どのマーケットのどの時間枠でも有望なセットアップをすぐに見つけだすことができるようになる。
フィボナッチ・リトレースメントについては大部分のトレーダーが知っていると思う。しかしこれもひとつの時間枠のモメンタムと同じで、単独ではトレード判断を下す実践的な助けにはならない。第4章では、あらゆる時間枠で調整が終わる可能性が高いリトレースメントの水準を事前に見極める方法を学んでいく。また、トレンドが終了する可能性が高い目標水準を事前に予測する方法も紹介する。ここでは、調整やトレンドの目標値となるフィボナッチ比率以外の比率も学んでいく。さらに第4章で私が考案したダイナミックプライス戦略を学べば、一時的な支持線や抵抗線だけでなく、トレンドやカウンタートレンドが転換する可能性が高い具体的な価格水準にも備えることができる。
マーケットタイミングを本当の意味(あらゆる時間枠においてトレンドが変化する具体的な目標時間を見極めること)で使っているトレーダーはあまりいない。何年も前にW・D・ギャンは「時間が尽きれば変化は避けられない」と説いた。第5章では、トレンドが転換する目標時間ゾーンの最大値と最小値を推定するために私が20年かけて開発したダイナミックタイム戦略も学んでいく。ここでは、どの時間枠においてもトレンドが変化する確率が高い時間帯を比較的狭いレンジで予想するタイムバンドも紹介する。実践的なマーケットタイミングの手法もトレード計画の重要な一部として欠かせない。
カギとなる4つの要素を学んで最適なトレード条件が見つけられるようになったあとは、第6章で極めて客観的な2つの仕掛け戦略と、最大のポジションサイズを素早く判断する方法を学ぶ。ちなみに、第6章の戦略における仕掛けや損切りの指定価格に推測はまったく含まれていない。どのセットアップのどの時間枠でも適切なポジションサイズを知ることが、トレーディングで長期にわたって成功するためのもっとも重要なポイントのひとつであり、このことは成功したトレーダーならばだれでも知っている。
最初に、本書ではトレードを仕掛けから手仕舞いまで管理する方法を学ぶことができると約束した。その意味では、第7章がその核心部分となる。ここで、高勝率のトレードセットアップから具体的な仕掛け戦略、損切りの調整、手仕舞い戦略まですべての実践的な戦略を適用する方法を学んでいく。言い換えれば、第7章を読めばトレードを仕掛けから手仕舞いまで管理していく方法が分かる。また、この過程では論理的な判断を自信を持って下すことも学んでいく。 第8章では、この20年間に私が制作にかかわったトレーディングに関するセミナー(オンラインを含めて)、CD、教材などを通じて知り合った生徒たちの実際のトレード例を紹介する。さまざまなトレーダーが提供してくれた実例は、本書の教えがさまざまなマーケットやさまざまな時間枠で毎日実際に使われていることを教えてくれる。 第9章はトレーディング自体に関する洞察を深め、成功するために必要なさまざまな点について書いてある。トレーディングについては、誤解を招きやすい情報や、ときには間違った情報が数多く流れているが、ここでは私の考えをかなり率直に述べている。それまでの章でも私を頑固だと感じるかもしれないが、第9章ほどではない。読者にはぜひトレーディングで成功してほしい。第9章を読めば、成功するための道をそれることなく進んでいけるだろう。
さあ、始めよう
前置きはこのくらいにして、高勝率トレード戦略の勉強を始めよう。まずはモメンタムを独自の方法で使った複数の時間枠のモメンタム戦略(第2章)から見ていこう。
第2章 複数の時間枠を使ったモメンタム戦略
複数の時間枠を使ったモメンタム戦略とは、私が過去20年間に発見したもっとも強力なフィルターで、あらゆるマーケットのあらゆる時間枠でトレードの方向と実行のタイミングを見極めることができる。最小限のエクスポージャーで実行可能な高勝率トレードのセットアップを探すことができる複数の時間枠を使ったモメンタム戦略は、トレード計画のカギとなる要素と言える。
第3章 トレンドと調整を確認するための実践的なパターン
本章では、マーケットが現在、トレンド途上か調整の時期にあるのかどうかと、そのなかでどのような位置にあるのかを見極めるのに役立つ簡単なパターン認識の方法を学んでいく。マーケットが転換点やその近くにあることを事前に知っておくことはトレーダーにとって大きな強みになり、これはすべてのトレード計画の重要な一部となるだろう。
第4章 フィボナッチ・リトレースメントの先にあるもの
本章では、どのようなマーケット状況でも事前に非常に狭い目標レンジを予想できる新しくて独自の方法を学んでいく。ここで紹介するダイナミックプライス戦略を使えば、典型的なフィボナッチ・リトレースメントのみを使うトレーダーたちよりもはるか先を行くことができる。
第5章 従来のサイクル分析を超える手法
本章では、どのようなマーケット状況でも支持線や抵抗線やトレンドの転換点の目標日や目標時間を非常に狭い範囲で事前に予測する方法を学んでいく。このダイナミックタイム戦略を学べば、実践的なトレード戦略のタイミングツールとともに従来のサイクル分析よりもはるかに優位に立つことができるからだ。
第6章 仕掛け戦略とポジションサイズ
本章では、2つのまったく客観的な仕掛け戦略を紹介する。ここでは、あらゆるマーケットの状況で使える具体的な仕掛けと最初の損切りポイントや、あらゆるトレードの最大のポジションサイズなども学んでいく。客観的な仕掛け戦略は、トレードが成功するためのカギとなり、いったん判断を下したあとは感情や決断力のなさを排除してくれる。また、どのようなトレードでも最大のポジションサイズが分かっていることは、トレーディングで成功するための重要な要素となる。
第7章 手仕舞い戦略とトレード管理
理論的かつ適切なトレード管理と手仕舞い戦略は、すべてのトレードのリターンを最大にするためのカギとなる。本章では、トレードを仕掛けから手仕舞いまで管理する方法を学んでいく。このなかには、損切りを調整して仕舞う方法も含まれている。
第8章 実在のトレーダーによるリアルタイムのトレード
本章では、さまざまなタイプのトレーダーが本書で学んできた高勝率トレード戦略を用いてリアルタイムでトレードした例から学んでいく。彼らは、この戦略をさまざまなマーケットのさまざまな時間枠に応用し、トレードごとに論理的な判断を下しながら仕掛けから手仕舞いまでを管理している。
第9章 トレーディングという仕事やそのほかのこと
トレーディングもほかの仕事と何ら変わらない。
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