原油に関するデータ・統計情報を知るには?各種統計について紹介
1.米API週間在庫統計
米国石油協会(API:American Petroleum Institute)は、米国の原油、ガソリンおよび留出油の在庫水準を毎週(原則火曜日)発表します。石油と製品の在庫量のほか、米国原油生産と原油・精製品の輸入、クッシング在庫、製品別在庫などが示されます。
2.米EIA週間石油在庫統計
米エネルギー省エネルギー情報局(EIA:Energy Information Administration)は、米国内の石油在庫状況を毎週(原則水曜日)発表します。原油、ガソリン、留出油など各種別に分かれて発表されるほか、米国全体の在庫だけでなく、東海岸や中西部地区など、地区ごとの在庫状況なども発表されます。WTI原油における原油の受け渡し拠点となっているオクラホマ州クッシング地区の原油在庫は特に注目されています。
なお、APIはサンプリング調査、EIAは全数調査のため、データの信頼性は公的機関である後者の方が高いとみられています。ただ、マーケットは火曜日発表のAPIデータに反応しやすいです。事前予想とのギャップが大きいほど、原油価格も大きく動きます。その翌日にEIAのデータが発表されます。事前予想だけではなく、APIのデータとのギャップの大きさにも注意が必要です。
3.米石油・ガス掘削リグ稼働数
米国のシェールオイルの動向を探るには、リグ稼働数が先行的な指標となります。リグ稼働数はシェールオイルの開発のために掘削を実施している装置の数を表し、米国の石油サービス会社ベーカー・ヒューズ(Baker Hughes)によって毎週発表されています。基本的には、リグ稼働数の増加は、将来的な供給増につながるとの見方から原油価格の下落要因となり、逆にリグ稼働数が減少すれば供給が減少するとの見方から上昇要因となります。
4.米CFTC建玉明細報告
原油価格の指標の一つであるWTI原油を上場しているニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)とICE Futures Europeにおける取引状況について、米国商品先物取引委員会(CFTC)が毎週カテゴリー別建玉(COT:Commitments of Traders Report)として発表しています。COTはトレーダーが注視している指標の一つで、非当業者(Non-Commercial)の建玉動向が注目されています。
5.その他
国際エネルギー機関(IEA)の需給見通し(年次、月次)や、石油メジャーの英BPが年1回発表するEnergy Outlookなどが注目されるほか、石油輸出国機構(OPEC)からも需給統計が発表されています。また、米国の石油専門誌のオイル&ガスジャーナル(OGJ)が四半期に1回、需給統計を発表しています。国内では、日本エネルギー経済研究所が年に1回、IEEJアウトルックを公表しています。
6.OANDAでは原油取引におすすめのオリジナルツールを豊富に提供
OANDA(以下、弊社)では、お客様の原油取引をサポートするオリジナルツールを豊富に提供しています。弊社の口座をお持ちであれば、すべて無料で利用できます。またゴールド会員なら、さらに一歩分込んだ分析をすることも可能です。
石油・天然ガス採掘装置(リグ)の稼働数の推移
Baker Hughes社が公開している、毎月の世界の石油・天然ガス採掘装置(リグ)の稼働数の推移をグラフで表示しています。稼働リグ数は将来の供給量を占う上でも重要なデータであり、エネルギー市場で注目されるデータの一つです。原油取引をするのであれば、参考にしたいツールです。
週間原油在庫と天然ガス貯蔵量(EIA)
米国エネルギー情報局(US Energy Information Administration、EIA)が公表している、週間の原油の在庫統計と天然ガスの貯蔵量の年間の推移をグラフで表示しています。在庫・貯蔵量の過去5年のレンジ、平均値を表示できるため、季節による傾向、平均に対しての現在の在庫、貯蔵量の状況を把握することも可能です。
また会員ランクがレギュラー、シルバー以上の場合は、原油・天然ガスのCFD価格を重ねて表示できます。原油取引をするのであれば、参考にしたいツールです。
本記事の監修者・佐藤りゅうじ
1968年生まれ。1993年米大卒業後、1995年2月株式会社ゼネックス入社。アナリストとしてマクロ経済分析をはじめ、原油、天然ゴム、小麦などの商品市場、また為替市場、株式市場のアナリストリポートの執筆、トレードに携わる。2010年1月エイチスクエア株式会社を設立。
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