金(ゴールド)価格と株式市場の関係性から金へ投資する必要性について解説
1.さまざまな資産における金の立ち位置
投資という観点で金について考えてみましょう。
一般的に、投資家は保有している資金をどの資産に振り向けるかを考えます。
その際に、投資先として真っ先に思い浮かべるのは株式です。
株式への投資は、世界的に最も重視されている投資先だといえます。
次に思い浮かべるのは債券です。
債券とは、発行者の債務の証書です。
ある一定の期間、債券への投資者から資金を借り、償還日には金利をつけて返還する必要があります。
債券で最も規模が大きいのは国債です。
また、企業も同様に社債を発行し、資金を調達することがあります。
このように、国や企業は債券を発行することで資金調達を行い、自身の成長に結び付けようとします。
一方、金はどうでしょうか?金については「誰の債務でもない」という有名な言葉があります。
金そのものは、誰の債務でもなく、それ自体に価値があるという考え方です。
これは以前、金が通貨の代替として認識され、通貨のように扱われていた歴史が背景にあるからだと考えられます。
このように、金には普遍的な価値があるように思われているのが実態です。
しかし、その金もいまや市場で取引され、多くの市場参加者の思惑で価格が決められています。
したがって、金価格は金そのものの価値とは別に、株式や債券、為替や金利などとの比較の中で最終的に決まります。
もちろん、金が保有していると考えられている「無形の価値」も価格に織り込まれていると考えるのが自然でしょう。
2.富裕層はポーフォリオに金を組み込む
そのような金を、世界の多くの投資家が購入しています。
この傾向は欧米の投資家や富裕層に顕著な投資行動です。
彼らは株式や債券にも投資していますが、それだけでなく金にも投資をしています。
なぜならば、金は株式や債券とは違う値動きをして、保有している資産価値の変動を小さくしてくれると信じているからです。
保有している金融資産の組み合わせのことを「ポートフォリオ」といいますが、ポートフォリオに金を組み込むことで、資産価値の変動は実際に小さくなると言われています。
超富裕層を顧客に抱える、スイスのプライベートバンクなどは、ポートフォリオの5%程度を金で保有することを実際に行っているそうです。
これにより、資産を安定的に運用することを目指すわけです。
3.金による資産保全
値動きの背景などの違いから、株式や債券への投資を行うと同時に、金への投資を行うことは、理にかなっているといえます。
特に長期的に投資する場合には、金への投資により、ポートフォリオバランスを整えます。
ただし、金が株式や債券の価格変動のリスクを完全に緩和できるわけではありません。
この点には注意が必要です。
下チャートは金価格(青)とS&P500(オレンジ)の値動きを比較していますが、期間によっては同じ方向で推移しているときもあります。
その際には、金は株式や債券のヘッジ(リスク回避)の役割を果たすことはできません。
とはいえ、長い目で見れば、金への投資が果たす役割は極めて大きいというのが、金融市場での常識となっています。
金価格とS&P500の推移
金は誰の債務でもないので、株式のように企業が倒産した際に紙屑になったり、債券の償還ができなくなってデフォルト(債務不履行)になることはあり得ません。
だからこそ、金をポートフォリオに入れておけば、資産保全が可能になるといえます。
この点も、富裕層たちが金を保有する理由に挙げられるでしょう。
4.金融パニックと金の関係
このように、投資家は金を一般的な投資対象と同じように扱い、実際に投資を行っています。
したがって、価格が下げた場合には、買いを入れてくる可能性があります。
もっとも、株式が大きく下落した場合には、金も売られることがあります。
これは、ポートフォリオバランスを整え、株式の比率が下がった分、金も売却することがあるからです。
このような動きは、2008年のリーマンショック時にも見られました。
当時は株式・債券・金など、あらゆる資産が同時に売られました。
また、2020年のコロナショックの際にも、主要資産は同時に売られました。
いわゆる現金化の売りが出たといえます。
しかし、その後の回復局面では、いずれも金価格が最初に立ち直り、上昇し始めています。
このように、金融市場がパニック売りに見舞われたときには、金も一緒に売られることがありますが、一方で回復も早いのです。
したがって、金にこのような習性があることを知っていれば、金価格の動きを見ながら、株式への投資のタイミングを計ることもできます。
すなわち、金が立ち上がり始めれば、即座に買いを入れることで、収益機会を得ることも可能です。
5.セオリーと、その時々のテーマが重要
このように、金の特性を理解しておくと、さまざまな市場環境でも対応が可能です。
短期的なトレードや長期的な投資においても、金は重要な役割を果たすことになるでしょう。
株式と金は、価格が上昇する背景が実は似ています。
例えば、米国株は低金利でドル安の際に上昇しやすい傾向があります。
これは金にとっても価格の上昇要因です。
一方で、金利が低下していても、株価が下げる中で金価格が上昇しているときもあります。
もちろん、その逆のケースもあります。
したがって、セオリーを抑えつつも、その時々の市場環境や市場テーマなどをよく理解したうえで、対処することが肝要です。
Provided by
池水 雄一(Bruce Ikemizu)
1986年上智大学外国語学部英語学科卒業後、住友商事株式会社。
1990年クレディ・スイス銀行、1992年三井物産株式会社で貴金属チームを率いる。
2006年スタンダードバンクに移籍、2009年同東京支店支店長就任。
2019年9月日本貴金属マーケット協会代表理事。
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