February 20, 2025
【前日の為替概況】ドル円、反落 日銀の早期追加利上げ観測や株安が重し
19日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。
終値は151.47円と前営業日NY終値(152.06円)と比べて59銭程度のドル安水準だった。
日銀の早期追加利上げ観測が改めて台頭する中、全般円買いが先行。
ダウ平均が一時240ドル超下落し、ナイト・セッションの日経平均先物が420円下げたことも相場の重しとなり、一時151.25円と日通し安値を更新した。
ただ、前日の安値151.24円が目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。
対ユーロなどでドル高が進んだ影響も受けて、151.83円付近まで下げ幅を縮める場面があった。
もっとも、米連邦準備理事会(FRB)が公表した1月28日-29日分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で「債務上限問題解決までバランスシート縮小の一時停止や減速が必要になる公算」との見解が示されると、米長期金利が低下。
ドル円にも売りが出て151.39円付近まで押し戻された。
ユーロドルは3日続落。
終値は1.0423ドルと前営業日NY終値(1.0446ドル)と比べて0.0023ドル程度のユーロ安水準だった。
しばらくは狭いレンジでのもみ合いが続いていたが、ロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに向けてユーロ売り・ドル買いが強まると弱含む展開に。
ウクライナ情勢を巡る不透明感がくすぶる中、欧州時間に付けた1.0419ドルを下抜けると一時1.0401ドルまで値を下げた。
ただ、FOMC議事要旨公表後に米長期金利が低下すると、1.0433ドル付近まで下げ渋った。
なお、トランプ米大統領は自身のSNSに「ウクライナ戦争終結へ向けロシアとうまく交渉」と投稿した一方、ウクライナのゼレンスキー大統領については「選挙をしない独裁者、迅速に行動しないと国がなくなる」と指摘した。
市場では「トランプ氏とゼレンスキー氏の関係は間違った方向に向かっている」との声が聞かれた。
ユーロ円は下落。
終値は157.88円と前営業日NY終値(158.84円)と比べて96銭程度のユーロ安水準。
日銀の早期追加利上げ観測が根強い中、全般円買いが進んだ流れに沿った。
ウクライナ情勢を巡る不透明感からユーロ売りも出やすく、1時30分前に一時157.72円と本日安値を付けた。
【本日の東京為替見通し】欧米間摩擦拡大の円買いもドル円の重しか、豪からは雇用統計発表
本日の東京時間でドル円は、米金利の低下や日銀の早期利上げ観測もあり上値が限られそうだ。
もっとも、本日は5・10日(ゴトー日)で相応のドル買いが出る可能性があることや、明日に全国1月消費者物価指数(CPI)の発表を控えて、様子見ムードが広がるかもしれない。
昨日の宮城県で行われた金融経済懇談会に出席した高田日銀審議委員は、2%の物価安定の目標に近づいているとの認識を示し、「過度な緩和継続期待が醸成され、物価上振れリスクや金融の過熱リスクが顕在化しないよう、1月に実施した追加利上げ以降も、ギアシフトを段階的に行っていくという視点も重要」とタカ派発言だった。
ただし、高田審議委員はこれまでもタカ派的な発言を繰り返していたこともあり、想定の範囲内と受けとめられて円買いの勢いは限られた。
ここから先の日銀の動向を占うのは、今後発表される経済指標や春闘の結果などで、ほかの審議委員がどの程度まで追加利上げへと傾くかが市場の注目となる。
日米の金融政策以外では、欧州と米国の経済及び政治的な摩擦の拡大が顕著なことで、リスク回避的な動きで円が買われやすい地合いでもある。
第1次政権時からトランプ米大統領は、北大西洋条約機構(NATO)の防衛費を巡る拠出金に不満を示し、欧州連合(EU)の通商政策に対しても強硬姿勢を見せていた。
第2次トランプ政権が発足すると、ウクライナとロシアをめぐる停戦協議が、トランプ大統領が思い描いていたような簡単な合意には達することができないことで、ウクライナや欧州各国を排除してロシアとの交渉を進めようとしている。
このため、欧州各国が強い懸念を表明し欧米間の摩擦が拡大している。
トランプ大統領は昨日、ウクライナがロシアとの戦争を始めたと虚偽の非難をした。
ウクライナのゼレンスキー大統領についても、「選挙のない独裁者」とロシアが主張していることを米国の大統領が追認するなど異常事態に陥っている。
欧州と米国との溝は拡大する一方であり、和平交渉が進むのは難しいだけでなく、米露の接近により欧州リスクが再燃する可能性が高い。
更に、23日にはドイツで議会選挙が実施される。
こちらも結果次第で欧州の政治が再び混迷を深めるリスクもあり、ユーロの重しになるだけではなく、避難通貨としての円買い意欲も増えそうだ。
円やユーロ以外では、本日は豪州から1月雇用統計が発表されるため豪ドルの動きにも注目。
一昨日には豪準備銀行(RBA)、昨日はNZ準備銀行(RBNZ)とオセアニア国が相次いで政策金利を引き下げたが、声明文を含めてある程度織り込まれていたことで、市場が期待したほどの値動きにはならなかった。
前回(昨年12月分)発表された豪州の失業率は4.0%と、RBAの四半期金融政策報告における2024年末見通し4.4%よりも好結果となった。
先日のRBA理事会後にブロック総裁が「雇用市場の強さに驚いている」と発言したが、雇用情勢が引き続き強固だった場合にはRBAの追加利下げのペースが緩やかになる可能性もありそうだ。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○07:00 ◎ ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○09:30 ◎ 1月豪雇用統計(予想:失業率4.1%/新規雇用者数2.00万人)
○16:00 ◇ 1月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.6%)
○17:30 ◎ 1月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比1.8%)
○19:00 ◇ 12月ユーロ圏建設支出
○22:00 ◎ マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○22:30 ◇ 1月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比0.8%)
○22:30 ◇ 1月カナダ原料価格指数(予想:前月比2.6%)
○22:30 ◎ 2月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:20.0)
○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.5万件/187.1万人)
○23:35 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、質疑応答
○24:00 ◎ 2月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲14.0)
○24:00 ◎ 1月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.1%)
○21日01:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○21日02:00 ◇ EIA週間在庫統計
○21日02:05 ◎ ムサレム米セントルイス連銀総裁、講演
○21日04:30 ◎ バーFRB副議長、講演
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
19日06:21 トランプ米大統領
「自動車の関税率は25%前後の可能性」
「ロシアとの協議は非常に良好だった」
20日00:55
「ウクライナ戦争終結へ向けロシアとうまく交渉」
「ゼレンスキー氏は迅速に行動しないと国がなくなる」
19日10:34 高田日銀審議委員
「個人消費をみると、物価上昇の影響などがみられるものの、緩やかな増加基調」
「物価上昇が賃金上昇に先行してきたが、足もとでは、昨年の春季労使交渉を受けた名目賃金のはっきりとした上昇を背景に、実質賃金のプラス転化に向けた動きが生じている」
「物価と賃金のギャップが縮小することで、個人消費も緩やかな増加を続けると考えている」
「輸入物価上昇率をみると、足もとは落ち着いており、2022年以降のように急な価格転嫁をもたらす大きさではない」
「一段のギアシフト、金融緩和度合いの更なる調整を進めることが必要だと考えてきました」
「1月にかけて米国経済の堅調さが改めて確認され、日米の金融政策スタンスの違いも縮小したといえる」
「2%の物価安定の目標に近づいているとの認識のなか、過度な緩和継続期待が醸成され、物価上振れリスクや金融の過熱リスクが顕在化しないよう、1月に実施した追加利上げ以降も、ギアシフトを段階的に行っていくという視点も重要」
19日14:43
「ギアシフト、金融緩和の度合い調整の意味で使っている」
「企業、前向きな動きが続いている」
「米経済の先行き、不確実性は低下している」
「実質金利のマイナス幅はまだある」
「経済の実態に沿った思惑で長期金利は動く」
「保有ETF売却はすぐの議論ではなく、時間かけた対応が必要」
「物価の2つの変動要因、どちらかといえば上昇方向」
「生鮮食品の価格、家計のマインドや物価予想には当然影響」
「中立金利は虹のようなもの、近づけばわからなくなる」
「先行きの利上げは、予断持って対応することではない」
19日11:12 オアNZ準備銀行(中央銀行、RBNZ)総裁
「インフレ見通しはさらなる利下げに自信を与える」
「7月までに50ベーシスポイント(bp)の利下げを予想」
「利下げは25bpずつ行われると予想」
「経済には大きな余力がある 」
「4月と5月に25bpの引き下げを想定 」
「3.75%は中立金利のレンジの上限」
「信頼感が回復すれば、NZ成長率が加速する可能性がある」
「長期的なリスクは、世界的な成長を鈍化させる米国の関税」
20日04:19
「年末までに政策金利は3%程度になると予想」
「NZドルの為替レートは概ね適正な水準」
19日17:23 パネッタ伊中銀総裁
「ユーロ圏経済の弱さの兆候は予想以上に続いている」
「消費者支出による回復を期待していたが実現しなかった」
19日20:20 シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事
「利下げの一時停止、または中止する地点に近づいている」
「制限は大幅に緩和され、もはや政策が制限的であると自信を持って言うことはできなくなった」
19日22:58 プーチン露大統領
「米露対話に仲介者は不要」
「リヤドで議論された議題は経済やエネルギーなど」
「サウジ、米国、ロシアによるエネルギーに関する議論が求められている」
「トランプ米大統領との会談がいつ行われるかはまだ発表できない」
「喜んでトランプ氏と会うが、会談の準備は必要」
20日03:37 欧州連合(EU)のシェフチョビッチ欧州委員(通商担当)
「米国との貿易について不公平なことは何もない」
「米国の突然の関税引き上げは正当性がない」
「EUは米国の関税に応じるしか選択肢はないが、関税引き上げは避けたい」
20日04:03 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1月28日-29日分)
「当局者は経済が好調であれば、政策を抑制的な水準に維持可能と認識」
「当局者は金利調整の前にインフレのさらなる進展を希望」
「不確実性が高いため、慎重なアプローチが必要」
「インフレ率は不均一な進捗で2%に向かうと予想」
「インフレリスクは概して上向きに偏っている」
「金融安定に関するさまざまな要因を監視する必要」
20日04:22 メキシコ中銀
「2025年のGDP成長率予測を1.2%から0.6%に引き下げ」
「2026年の成長率は約1.8%と予測」
「今年のコアインフレ率は、前回の3.0%から3.3%に修正」
「インフレに対するリスクのバランスは引き続き上振れ傾向」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=目先の転換線上昇に追随できず>
陰線引け。
明日にも153円台へ切り上がる見込みの一目均衡表・転換線を追うように200日移動平均線を回復する展開を期待していたが失速気味となった。
転換線152.98円も、明日153.02円へわずかに上昇したところで頭打ちとなる公算。
低下へ転じることが予想される同線に押されるように200日線から下放れる展開が想定できる。
レジスタンス1 152.31(2/19高値)
前日終値 151.47
サポート1 150.93(2/7安値)
サポート2 150.62(ピボット・サポート2)
<ユーロドル=上昇見込まれる転換線前後の下げ渋り想定>
小陰線引け。
21日移動平均線1.0410ドルを割りこみ、一目均衡表・転換線1.0397ドルを試すような動きとなった。
今後の上昇が見込まれる転換線前後の下げ渋りを想定する。
下抜けた場合は一目・基準線1.0337ドルや雲の下限1.0332ドルが目標となる。
レジスタンス1 1.0486(2/18高値)
前日終値 1.0423
サポート1 1.0373(2/13安値)
<ポンド円=転換線が下値に控えるなか下げ渋る展開期待>
大陰線引け。
1週間ぶりの安値190.46円まで下落幅を広げている。
ここからは、しばらく上昇が続く見込みの一目均衡表・転換線190.09円を下値に控えるなか下げ渋り、戻りを試す展開が期待できるところ。
ただ、早急に持ち直すことができなければ、来週前半25日にも上昇が頭打ちになる公算の転換線の動向へ沿うように下向きの流れを強めるだろう。
レジスタンス1 191.32(2/19レンジ半値水準)
前日終値 190.65
サポート1 190.09(日足一目均衡表・転換線)
<NZドル円=転換線を支えに21日線を上抜くことできるか>
陰線引け。
一目均衡表・転換線86.33円前後を試す展開となった。
上昇余地を残す転換線を支えに、まずは87.05円前後で低下中の21日移動平均線を上抜くことができるか見定める局面か。
ただ、21日線をこなしても、一目・基準線87.27円が次の抵抗として控えている。
レジスタンス1 87.03(2/19高値)
前日終値 86.38
サポート1 85.67(ピボット・サポート2)
Provided by
DZH Finacial Research
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