February 19, 2025
【前日の為替概況】ユーロドル、続落 ウクライナ停戦に向けた前向きな結果が出ず
18日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは続落。
終値は1.0446ドルと前営業日NY終値(1.0484ドル)と比べて0.0038ドル程度のユーロ安水準だった。
米露両政府はこの日、サウジアラビアの首都リヤドでウクライナ戦争の停戦交渉について話し合う初の高官会合を開催。
戦争の終結への道筋を模索することで合意した。
ただ、米露首脳の対面形式での会談の日程は現時点で決まっておらず、市場では「ウクライナ停戦に向けた前向きな結果が出なかった」との受け止めからユーロ売り・ドル買いで反応した。
米長期金利の上昇も相場の重しとなり、3時過ぎには一時1.0435ドルと日通し安値を更新した。
なお、ゼレンスキー・ウクライナ大統領は戦争終結に向けた取り組みには「トルコも含めた欧州が参加すべきだ」と訴え、19日に予定していたサウジアラビア訪問を取りやめ、3月10日に延期すると明らかにした。
ドル円は4営業日ぶりに反発。
終値は152.06円と前営業日NY終値(151.51円)と比べて55銭程度のドル高水準だった。
日銀の早期追加利上げ観測を背景に円買い・ドル売りが入ると、1時前に一時151.53円付近まで値を下げた。
ただ、アジア時間に付けた日通し安値151.24円が目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。
予想を上回る2月米NY連銀製造業景気指数や米長期金利の上昇も相場の支援材料となり、6時30分前には152.13円付近まで持ち直した。
ユーロ円はほぼ横ばい。
終値は158.84円と前営業日NY終値(158.85円)と比べて1銭程度のユーロ安水準。
ウクライナ戦争の停戦実現が依然として不透明な中、ユーロドルの下落につれた売りが先行。
日銀の早期追加利上げ観測も相場の重しとなり、23時過ぎに一時158.37円と本日安値を付けた。
ただ、売り一巡後はじりじりと下値を切り上げ、158.92円付近まで値を戻す場面があった。
【本日の東京為替見通し】高田審議委員の発言に注目、RBNZは50bpの利下げ予想
本日の東京時間でドル円では、宮城県で行われる金融経済懇談会に出席する高田日銀審議委員の発言内容に動意づけられるか。
高田審議委員はタカ派スタンスが目立ち、昨年の政策金利引き上げ後も「緩和的な金融環境はなお継続している」「経済物価の見通し実現なら緩和度合い調整が基本姿勢」と更なる利上げを促す発言をしていた。
17日に発表された本邦の10-12月期実質国内総生産(GDP)が日銀の展望レポートよりも上回る結果になっていることもあり、6日に講演をした田村審議委員に続いて高田審議委員の発言が連続してタカ派となった場合には、円買いになるだろう。
高田審議委員は、これまでの講演で為替の「水準」については話すべきではないとの前提だったが、過去には為替市場の影響を注視する発言もしている。
今月に入り円安はやや修正されているものの、先週発表された12月輸入物価指数が円安の影響もあり2.3%増まで上昇していることで、円安及び為替市場についても言及する可能性があるので警戒したい。
なお、審議委員のあいさつ文は通常日銀のホームページに詳細が掲載され、本日は10時半の予定。
もっともその後に質疑応答も行われ、あいさつ文が掲載されるタイミング以外でも発言が伝わることにも注視する必要がある。
ところで、早朝にトランプ米大統領が、記者会見時に自動車関税が25%前後となる可能性を示唆した。
今後、SNSのTruthSocialなどで更なる関税について発表されることもあるため、こちらも要警戒となる。
円以外では、昨日に続きオセアニア通貨に注目が集まる。
昨日は豪準備銀行(RBA)が25ベーシスポイント(bp)利下げし政策金利を4.10%まで引き下げた。
声明文はサプライズが少なく、豪ドルの値動きは限られたものだった。
ただ、本日は豪州から10-12月期の賃金指数が発表され、賃金の上昇率の結果次第では豪ドルが動意づくだろう。
また、本日はニュージーランド準備銀行(RBNZ)の金融政策委員会(MPC)が政策金利を発表することで、NZドルの動きも注目。
NZは高失業率と低成長(GDPは7-9月期1.0%減)などが経済の重しとなっており、3会合連続で50bpの利下げ予想が優勢。
豪州の賃金指数が日本時間9時半、RBNZの政策金利が10時と短時間で重要指標が発表されるため、豪ドル/NZドルの値動きが激しくなるか。
また、引き続き欧州通貨の値動きにも目を向けておきたい。
昨日は米露間の高官協議が行われたが、ロシアはドネツク、ルハンシク、ヘルソン、ザポリージャの各州全体の管理権を譲渡することを望んでいると述べたようだ。
しかしながら、希少な鉱物資源のある地域の獲得をウクライナが認めることは考えられず、停戦協議が進む可能性は少ない。
欧州各国も米露主導の和平協議には深い懸念を示しており、欧州各国の反応でユーロは引き続き神経質な動きを見せそうだ。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 12月機械受注(予想:船舶・電力除く民需 前月比0.1%/前年比6.9%)
○08:50 ◎ 1月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前2兆1005億円の赤字、季節調整済2436億円の赤字)
○10:30 ◇ 高田創日銀審議委員、あいさつ
○未定 ◇ 2月月例経済報告
<海外>
○06:45 ◎ 10-12月期ニュージーランド(NZ)卸売物価指数(PPI)
○09:30 ◎ 10-12月期豪賃金指数(予想:前期比0.8%)
○10:00 ☆ ニュージーランド準備銀行(RBNZ)、政策金利発表(予想:3.75%に引き下げ)
○11:00 ◎ オアRBNZ総裁、記者会見
○16:00 ◎ 1月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.3%/前年比2.8%)
○16:00 ◎ 1月英CPIコア指数(予想:前年比3.7%)
○16:00 ◇ 1月英小売物価指数(RPI、予想:前月比▲0.1%/前年比3.7%)
○18:00 ◇ 12月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○20:00 ◇ 12月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比4.1%)
○21:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○22:30 ◎ 1月米住宅着工件数(予想:139.0万件、前月比▲7.3%)
◎ 建設許可件数(予想:146.0万件、前月比▲1.5%)
○20日03:00 ◎ 米財務省、20年債入札
○20日04:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1月28日-29日分)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
18日08:23 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「関税が物価に与える影響は限定的かつ一時的であり、FRBは政策決定においてそれを無視すべき」
「直近のCPIは期待外れだったが、季節調整の問題が原因である可能性」
「今年のインフレ鈍化と利下げの再開を予想」
「寒波の影響を考慮すると、1月の小売売上高は重視していない」
18日08:49 マクロン仏大統領
「欧州委員会の提案に基づき、ウクライナ支援と防衛への投資・開発を継続」
「トランプ大統領、ゼレンスキー大統領と今話をしたところ」
「ウクライナに関する議論を今後数日間続ける」
18日11:57 中国国家発展改革委員会(NDRC)
「民間企業を支援する」
「民間経済促進法の実施準備を加速」
「民間企業の資金調達の困難さとコスト高の問題解決を継続」
18日12:33 オーストラリア準備銀行(RBA)声明
「引き続き、データとリスク評価の変化に基づいて決定」
「インフレを目標に戻す決意を固めており、その結果を達成するために必要なことを行う」
「政策の引き締めを若干緩和することで、見通しに対して慎重な姿勢を示している」
「インフレを持続的に目標に戻すことが最優先事項」
「今回の利下げ後も引き締め的な状態が続く」
「ディスインフレーションが以前の予想よりもやや速く進んでいる兆候」
「両方向にリスクが存在」
「長期的なインフレ期待はインフレ目標と一致」
「基礎インフレ率は、インフレ圧力の緩和が予想よりも若干早いペースで進んでいることを示唆」
「インフレ率が目標レンジ2-3%の中間値に向けて持続的に推移していると確信を深める」
「インフレの上振れリスクは残る」
「さらなる政策緩和の見通しについては慎重な姿勢を維持」
18日13:35 ブロック豪準備銀行(RBA)総裁
「インフレに対する勝利宣言はまだできない」
「高金利が想定通り機能していることは明らか」
「雇用市場の強さに驚いている」
「市場が示唆する追加利下げは保証されていない」
「利下げは難しい判断だった」
「市場の金利見通しが実現するかどうかはデータ次第」
「さらなるインフレに関する証拠を待っている」
18日16:20 植田日銀総裁
「付利しないとコールレートが低下し、日銀の誘導目標が実現しない」
「日銀の考え方が市場に十分伝わっていなかったとの批判は認識している」
「今後とも丁寧な情報発信の努力を続けていきたい」
18日18:40 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「ディスインフレ傾向が続いている」
「英国は弱い成長環境に直面している」
「リスクは両サイドにあり、どちらの可能性もある」
「賃金の伸びは想定していたほどではない」
「英国の労働市場は、英中銀の予想の範囲内」
18日20:10 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「3月の金利決定はデータ次第となる」
「中立水準が近づくにつれて利下げは困難に」
「利下げが経済戦略に取って代わることはできない」
18日21:14 ウシャコフ露大統領補佐官(外交担当)
「あらゆる問題について米国と真剣な会話をした」
「プーチン露大統領とトランプ米大統領の会談に関して議論があった」
18日22:49 ラブロフ露外相
「米露は直ちに大使を任命することで合意」
「地政学に関する協議に大きな関心」
「米国側は我々の立場をよりよく理解し始めている」
「話し合いは非常に有益だった」
18日23:06 チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事
「政策金利は引き続き金融政策を調整するための主な手段」
「バランスシート縮小によって引き起こされる引き締めを、金利決定が適切に補うようにする必要」
18日23:42 ゼレンスキー・ウクライナ大統領
「サウジアラビア訪問は中止、3月に訪問予定」
19日00:57 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「米国経済は好調」
「インフレは時間とともに低下しているものの、かなり不安定」
「FRBの政策は引き続き制限的」
「インフレに関して、実際に進展が続いていることがわかるまでは制限的姿勢を維持する必要」
「政策は非常に良い状態にあり、必要に応じて簡単に変更可能」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=依然として強弱の節目200日線を下回って推移>
陽線引け。
前日17日安値151.34円を割り込む151.24円までの下振れ場面もあった。
しかし10日安値151.16円や目先の下値の節目である7日安値150.93円といった水準を下抜くことなく152円台を回復した。
だが、相場の強弱の節目200日移動平均線を依然として下回っており、152.14円前後で低下中の5日線付近でも動きが重そう。
地合いの強さはまだ実感できない。
レジスタンス2 153.15(2/14高値)
レジスタンス1 152.67(200日移動平均線)
前日終値 152.06
サポート1 151.24(2/18安値)
<ユーロドル=上値に低下中の90日線を控えて動き重い>
陰線引け。
上値に低下中の90日移動平均線を控えるなか動きが重く、1.04ドル半ばで切り上がる5日線を割り込むさえない推移だった。
本日1.0467ドル前後へ上昇する5日線を追うような持ち直しを期待したいが、戻しても90日線1.0509ドル付近が引き続き抵抗となる。
下値1.0411ドル前後で推移する21日線や一目均衡表・転換線1.0397ドルを試すことになるか。
レジスタンス1 1.0509(90日移動平均線)
前日終値 1.0446
サポート1 1.0397(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロ円=転換線を支えとした底堅さ予想>
極小陰線引け。
17日に5日移動平均線を下抜け後つけた安値158.53円を割り込む158.37円まで下値を試した。
しかし一目均衡表・転換線前後に相当する同水準から下向きに相場が走ることなく下げ渋った。
気迷い気味だが、今後の上昇が見込まれる転換線を支えとした底堅さが続くとみる。
レジスタンス1 159.24(5日移動平均線)
前日終値 158.84
サポート1 158.40(日足一目均衡表・転換線)
<豪ドル円=上値試すにしても転換線の上昇待ってからか>
陽線引け。
一目均衡表・基準線96.54円を回復と、底堅い動きだった。
しかし13日高値97.28円や12日高値97.33円も位置する97円台を前に戻りの鈍さも感じられる。
96.58円前後へ低下した21日移動平均線も重しとなりそう。
上値を試すにしても、週末に96円台へ切り上がる見込みの一目・転換線の上昇を待ってからかもしれない。
レジスタンス1 97.28(2/13高値)
前日終値 96.60
サポート1 96.00(2/13安値)
Provided by
DZH Finacial Research
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