February 18, 2025
【前日の為替概況】ドル円、3日続落 日銀の追加利上げを巡る思惑が広がる
17日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続落。
終値は151.51円と前営業日NY終値(152.31円)と比べて80銭程度のドル安水準だった。
東京時間に発表された10-12月期実質国内総生産(GDP)速報値が好調な内容だったと受け止められ、日銀の追加利上げを巡る思惑が広がった。
米国がプレジデンツデーの祝日で休場となる中、円買い・ドル売りがじわりと強まると1時前に一時151.34円と日通し安値を更新した。
ただ、売り一巡後は151円台半ばでのもみ合いに転じた。
欧州引け後は極端に市場流動性が低下し、狭いレンジ取引に終始した。
ユーロドルは5営業日ぶりに小反落。
終値は1.0484ドルと前営業日NY終値(1.0492ドル)と比べて0.0008ドル程度のユーロ安水準だった。
前週末にユーロ高・ドル安が進んだ反動でポジション調整目的のユーロ売り・ドル買いが先行すると、22時30分前に一時1.0467ドルと日通し安値を付けた。
ただ、売り一巡後は1.04ドル台後半でのもみ合いに転じた。
米国が休場となる中、市場参加者が少なく積極的な売買は手控えられた。
「欧州主要国と欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)の首脳が非公式で開く緊急会合の成り行きを見極めたいとの雰囲気もあった」ようだ。
NY時間の値幅は0.0022ドル程度と小さかった。
ユーロ円は3日続落。
終値は158.85円と前営業日NY終値(159.83円)と比べて98銭程度のユーロ安水準。
日銀の追加利上げ観測を背景に円買い・ユーロ売りが先行すると、1時前に一時158.53円と本日安値を付けた。
ただ、そのあとは158円台後半で値動きが鈍った。
ドル円と似た動きとなった。
【本日の東京為替見通し】円高地合い継続、豪ドルはRBA・ユーロは米露協議と欧米の溝が焦点
本日の東京時間でドル円は上値の重さが続くか。
昨日発表された10-12月期実質GDP速報値は年率換算で+2.8%まで上昇し、市場予想の+1.0%を大幅に上回る結果となった。
また、7-9月期も速報値の+1.2%から+1.7%へと上方修正された。
24年通年の名目成長率は前年比で+2.9%、実額で609兆2887億円と過去最高を記録。
賃金と物価の好循環が強まっているとの判断で、3月の日銀利上げ予想の高まりや、その後の更なる利上げ期待で円が買われやすくなりそうだ。
ただ、米国ではハーカー米フィラデルフィア連銀総裁やボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事が昨日行われた講演で、利下げ再開には慎重な姿勢を示した。
米金利に対する思惑から、ドル円の下げ幅は大きく広がりにくいだろう。
円以外の通貨でも本日はボラタイルに動く可能性がある。
まずは豪ドルの値動きに注目。
昨日から行われている豪準備銀行(RBA)理事会が、日本時間12時半に政策金利を発表する。
1月末に公表された豪州の10-12月消費者物価指数(CPI)は前年比では+2.4%、RBAが重視する基調インフレ率(トリム平均値)はこの3年間では最低水準の+3.2%まで減速した。
インフレ率の低下で、豪州の4大銀行全てが25ベーシスポイント(bp)利下げを予想し、政策金利は4.10%まで引き下げられる見込み。
ただ、4大銀行のうちNABは今後5回の利下げで政策金利を3.10%まで引き下げるという予想だが、CBAとウェストパックは4回利下げの3.35%まで、ANZに至っては2回利下げの3.85%までという見通しだ。
各行によって今後の利下げ予想幅にバラツキがある。
今回の理事会で予想通りの25bp引き下げだった場合でも、声明文がタカ派になるのかハト派になるのかが、豪ドルにより重要となる。
更にユーロの動きにも引き続き警戒が必要。
ウクライナを巡り本日、ルビオ米国務長官とラブロフ露外相の協議がサウジアラビアで行われる。
15日にミュンヘンで開かれた安全保障会議でウクライナとロシア担当のケロッグ米特使は、欧州の停戦交渉の参加を拒否した。
この件に関してウクライナをはじめ欧州各国が懸念を表明し、昨日急遽パリで緊急首脳会議が行われた。
歴史を振り返ると、1938年に同じミュンヘンにて話し合われたドイツのズデーテン併合問題についても、当事国だったチェコスロヴァキアが会議に招かれず国土の割譲が決定された。
今回も米露が当事国のウクライナを無視し、欧州の意向も聞かずに、二国間で割譲や分割統治の話し合いがされるのではと懸念されている。
また欧州各国はナチスによるオーストリア併合から宥和政策をとったことで、その後のナチスの領土拡大を進めた苦い過去を経験している。
それだけに、ウクライナ問題を米露だけで交渉を進めるのを断固として反対し、欧米間の摩擦が更に強まる可能性もありそうだ。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○08:00 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○12:30 ☆ 豪準備銀行(RBA)政策金利発表(予想:4.10%に引き下げ)
○16:00 ◎ 1月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○16:00 ◎ 10-12月英失業率(ILO方式、予想:4.5%)
○16:30 ◇ 10-12月期スイス鉱工業生産
○16:45 ◇ 1月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比▲0.1%/前年比1.4%)
○18:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○18:30 ◎ 10-12月期南アフリカ失業率
○18:30 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○19:00 ◎ 2月独ZEW景況感指数(予想:20.0)
○19:00 ◎ 2月ユーロ圏ZEW景況感指数
○22:30 ◎ 1月カナダCPI(予想:前月比0.1%/前年比1.9%)
○22:30 ◎ 2月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:▲1.0)
○23:00 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、イベントに参加
○24:00 ◎ 2月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:47)
○19日00:20 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○19日03:00 ◎ バーFRB副議長、講演
○19日06:00 ◎ 12月対米証券投資動向
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
17日06:61 トランプ米大統領
「プーチン露大統領はウクライナ戦争の早期終結を望んでいる」
「平和実現に向けて懸命に取り組んでおり、ゼレンスキー大統領も関与」
「プーチン露大統領との会談が近々行われる可能性」
「ロシアが欧州での戦争を望んでいるとの見方に同意せず」
17日19:12 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「金利への段階的で慎重なアプローチを再確認」
「労働市場の軟化が認められる」
「経済は昨年春から極めて不活発」
17日21:17 ナーゲル独連銀総裁
「インフレ目標2%に到達する可能性が高まりつつある」
「トランプ関税は、ドイツに打撃を与える可能性が高い」
18日00:20 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁
「現在の経済状況では、今のところ政策金利を据え置くべき」
「今後の金融政策の選択は、データに基づいて行われる」
「FRBの政策スタンスは、引き続きインフレ率を低下させるだろう」
「インフレ率は高く、ここ数カ月は上昇傾向にある」
「労働市場は概ね均衡している」
「労働市場はかなり堅調に見える」
「インフレはゆっくりと低下しているが、リスクはある」
「バランスシート縮小の終点については依然として不透明」
18日00:24 ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事
「インフレは低下すると予想するが、上昇リスクは残る」
「利下げを再開する前に、インフレ低下に対するより強い確信が必要」
「利下げを控えることで、政権の政策の影響についてより明確になるだろう」
「雇用減速により労働市場はひっ迫していないが、失業率は完全雇用の推定値を下回ったまま」
「賃金上昇率は、FRBのインフレ目標と一致する水準を上回っている」
「資産価格の高騰がインフレの進展を遅らせている可能性」
「インフレリスクとして、サプライチェーンや繰延需要の兆候も監視」
18日01:28 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「3月利下げの可能性はある程度ある」
「さらなる利下げへの支持はますます困難になっている」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=200日線を下回る水準でさえない>
陰線引け。
相場の強弱を判断する上での節目200日移動平均線を下回る水準でさえない推移だった。
同線は本日152.68円前後で推移している。
一目均衡表・転換線152.87円が、底打ちから週後半にもいったん上昇する可能性を残しており、緩やかに上昇する同線へ近づく格好で200日線を回復する展開への期待もある。
しかし目先は152.51円前後で低下中の5日線付近が重く、昨日の下落幅回復も難しそうに感じられる。
レジスタンス1 152.39(2/17高値)
前日終値 151.51
サポート1 150.93(2/7安値)
サポート2 150.24(2024/12/3高値)
<ユーロドル=90日線前後の重さ、より気になる状態>
小陰線引け。
1.05ドル前半で低下中の90日移動平均線付近で戻りが重かった。
1.0461ドル前後で上昇中の5日線付近で底堅さを示し、戻りを試す展開も見込める。
しかし、やはり本日1.0514ドル付近で推移する90日線前後の重さがより気になる状態といえる。
レジスタンス1 1.0533(1/27高値=年初来高値)
前日終値 1.0484
サポート1 1.0412(21日移動平均線)
<ポンド円=基準線を割り込むも回復してNYを引ける>
下影陰線引け。
一時190.63円と、一目均衡表・基準線190.91円を割り込む場面もあった。
しかし昨日同水準まで低下したところから横ばいが続く見込みの基準線を回復してNYを引けている。
同線前後のレンジを維持して、現水準190.06円からやがて191円台へ上昇することが予想される一目・転換線のサポートを後押しに上値を試すことができるか注視したい。
レジスタンス1 192.00(2/17高値)
前日終値 191.27
サポート1 190.63(2/17安値)
<NZドル円=転換線付近へ低下したところでは底堅さ示すか>
陰線引け。
一目均衡表・基準線87.27円前後に重さが感じられる状態だった。
昨日86.33円へ低下した一目・転換線付近まで下値余地を探る展開も想定して臨みたい。
しかし底打ちから週末にも上昇へ転じる見込みがある転換線付近では底堅さを示すとみる。
レジスタンス1 87.34(2/17高値)
前日終値 86.89
サポート1 86.33(日足一目均衡表・転換線)
Provided by
DZH Finacial Research
「投資を面白く、投資家を笑顔に」をスローガンに、株式や為替など様々な金融マーケットの情報を提供。
豊富な経験を持つエキスパートが多数在籍し、スピーディー且つオリジナルな視点からの情報をOANDA Labに配信しています。
会社名:株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
所在地:東京都中央区明石町8番1号 聖路加タワー32階
商号等:【金融商品取引業者】投資助言業/【登録番号】関東財務局長(金商)907号
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。