本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、相互関税が即時発動されなかったことで上値が重い展開か(2025年2月14日)

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February 14, 2025

【前日の為替概況】ドル円、4日ぶり反落 米相互関税の即時発動見送りが重し

13日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4営業日ぶりに反落。
終値は152.80円と前営業日NY終値(154.42円)と比べて1円62銭程度のドル安水準だった。

1月米卸売物価指数(PPI)が予想よりも強い内容だったことが分かると全般ドル買いが先行し、一時154.01円付近まで値を戻す場面もあったが、買い一巡後は再び弱含んだ。
米長期金利の低下などが相場の重し。
市場では「米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を判断するうえで重視する米個人消費支出(PCE)物価指数の構成要素となる部分が控えめの数字と受け止められ、前日急上昇していた米長期金利が低下した」との声が聞かれた。

トランプ米大統領はこの日、外国が米国製品にかけている関税と同水準まで米国の税率を引き上げる「相互関税」の導入を指示する大統領令に署名。
米政府高官は記者団に「戦略的な競争相手である中国であろうが、日本や欧州連合(EU)などの同盟国であろうが関係ない」と述べた。

ただ、今後は米通商代表部(USTR)や米商務省が国ごとに調査したうえで個別の対応を取るとしており、調査は4月1日までに終える見込み。
発動までには猶予があり、交渉次第では関税が回避されるとの期待があるため、マーケットは株高・債券高(金利低下)・ドル安で反応。
ドル円は6時前に一時152.70円と日通し安値を更新した。

ユーロドルは3日続伸。
終値は1.0465ドルと前営業日NY終値(1.0383ドル)と比べて0.0082ドル程度のユーロ高水準だった。
1月米PPI発表直後に一時1.0376ドルまで値を下げたものの、トランプ米大統領の相互関税に関する記者会見を前に「トランプ氏が同日発表する関税は発効が今日ではなく数カ月先になる」との報道が伝わると一転買い戻しが優勢に。
アジア時間の高値1.0440ドルを上抜けて一時1.0445ドルまで値を上げた。

その後、トランプ米大統領の記者会見が始まると一時1.0373ドルの本日安値まで急落する場面もあったが、すぐに持ち直した。
米相互関税の即時発動が見送られたため、インフレや貿易摩擦を巡る過度な懸念が後退。
米株高と米金利低下が進み、ドル売りにつながったようだ。
取引終了間際には1.0467ドルと日通し高値を更新した。

ユーロ円は4日ぶりに反落。
終値は159.90円と前営業日NY終値(160.33円)と比べて43銭程度のユーロ安水準。
ドル円の下落につれた円買い・ユーロ売りが優勢になると、3時30分過ぎに一時159.02円と日通し安値を付けたものの、ユーロドルの上昇につれた買いが入ると159.93円付近まで下げ渋った。

【本日の東京為替見通し】ドル円、相互関税が即時発動されなかったことで上値が重い展開か

本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ米政権が打ち出した「相互関税」が即時発動されなかったことで、200日移動平均線152.73円付近での上値が重い展開が予想される。

ドル円は154.80円まで上昇し、年初来の高値158.87円(1/10)から安値150.93円(2/7)までの下落幅の半値戻しである日足一目均衡表・基準線154.90円に迫っていた。
しかし、昨日は、トランプ米政権の「相互関税」が即時発動されなかったことで、200日移動平均線付近まで反落している。

トランプ米大統領は昨日、米国の輸入品に関税を課している全ての国に対する「相互関税」を課すと発表した。
しかしホワイトハウス当局者は、相互関税は各国の関税措置や貿易関係を精査した上で、数週間以内に発動される可能性があると述べている。
4月1日を目安とする精査次第では、適用除外の可能性が残されているため、ドルの失速要因となった。

「半値戻しは全値戻し」の相場格言を念頭に、ドル円の売り買い要因を整理しておきたい。

ドル買い要因は以下の通りとなる。
・トランプ関税25%(鉄鋼&アルミニウム)の大統領令署名。
・相互関税(※4/1の調査期限まで即時発動が回避されたことでドル買い圧力後退)
・米1月失業率が4.0%に低下、1月CPIやPPIが上昇。
・パウエルFRB議長が議会証言で「利下げを急ぐ必要はない」と改めて表明した。

さらに、「関税を含めたトランプ大統領の政策案が、景気見通しに一定の不確実性をもたらしている」とも述べ、インフレ抑制のための利上げの可能性を示唆した。
・「フェドウオッチ」での、追加利下げの時期は9月FOMCまで先送りされている。

ドル売り要因は以下の通りとなる。
・田村日銀審議委員発言「2025年度後半には、少なくとも1%程度まで短期金利を引き上げておくことが、物価上振れリスクを抑え、物価目標達成のうえで必要」
・新発10年物国債の利回りが1.37%まで上昇。
・氷見野日銀副総裁が注視していた1月の輸入物価指数が前年比+2.3%へ上昇していた。
・日米首脳会談の後、トランプ米大統領が「対日貿易赤字を解消したい」意向を示した。
・日米首脳会談の前、ベッセント米財務長官が「他国が自国通貨を弱くすることは望まない。多くの国が対米貿易黒字を抱えるなか、金利抑制による通貨安がその一因となっている可能性がある」と述べていた。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)

<海外>
○09:00 ◎ 10-12月期シンガポール国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比0.8%)
○16:00 ◇ 1月独卸売物価指数(WPI)
○16:30 ◇ 1月スイス生産者輸入価格
○19:00 ☆ 10-12月期ユーロ圏GDP改定値(予想:前期比横ばい/前年比0.9%)
○19:30 ◎ ロシア中銀、政策金利発表(予想:21.00%で据え置き)
○22:30 ◇ 12月カナダ製造業出荷(予想:前月比0.7%)
○22:30 ◇ 12月カナダ卸売売上高(予想:前月比0.2%)
○22:30 ☆ 1月米小売売上高(予想:前月比▲0.1%/自動車を除く前月比0.3%)
○22:30 ◇ 1月米輸入物価指数(予想:前月比0.4%)
○23:15 ◎ 1月米鉱工業生産(予想:前月比0.3%)
     ◇    設備稼働率(予想:77.7%)
○24:00 ◇ 12月米企業在庫(予想:前月比横ばい)
○15日01:00 ◎ 1月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比1.3%)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

13日13:57 石破首相
「政府・日銀の共同声明、現時点で見直す予定ない」

14日03:43 トランプ米大統領
「相互関税に関する措置に間もなく署名する」
「VAT税は関税として扱われる」
「VAT税制度を採用している国を検討する」
「彼らは我々が彼らに課すよりもはるかに高い関税を課している」
「インドは他のどの国よりも関税が高い」
「自動車輸入に対するセクター別関税が近々導入される」
「自動車関税には免除措置を設けない」
「プーチン露大統領をG7の場に復帰させたい」
「USスチールが日本とディールを結ぶのは望まない」

14日04:03 ラトニック米商務長官候補
「相互関税計画は4月2日までに開始が可能」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=基準線には届かず再び下げ基調に>

ドル円0214

パラメータ0214

大陰線引け。
上値トライも12日高値や日足一目・基準線には届かず、4手振りの大幅反落。
転換線や雲の下限など突き抜けたが、辛うじて200日移動平均線手前で引けた。

先週7日安値と12日高値のほぼ半値(152.87円)まで戻していることで、ここから更なる下攻めには勢いは緩やかになりそうだ。
本日、下値は12日安値をめど、上値は雲の下限をめどとし、レンジ内で神経質に上下するか。

レジスタンス2 154.90(日足一目均衡表・基準線)
レジスタンス1 153.76(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 152.80
サポート1 152.38(2/12安値)
サポート2 151.65(2/11安値)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=重要テクニカル集中の1.03ドル後半が支え>

ユーロドル0214

パラメータ0214

陽線引け。
日足一目・雲の下限近辺では支えられ、3手連続の陽線引け。

依然として追いかけて売買すると反転するパターンになる可能性はあるが、本日は転換線が昨日安値のすぐ下の1.03ドル後半まで大幅に上昇してきた。
近くには雲の下限もあり、下落時も相応の支えになる可能性がある。
同水準近辺まで引き付けて買いで臨み、基準線1.0337ドルを割り込んだら手仕舞いか。

レジスタンス1 1.0533(1/27高値=年初来高値)
前日終値 1.0465
サポート1 1.0370(日足一目均衡表・転換線)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=前日高安のどちらを目指すか見極め>

ユーロ円0214

パラメータ0214

陰線引け。
161円台に乗せた後に159円付近まで下押すなど荒い動きとなったが、日足一目・基準線を辛うじて維持して終えた。

本日も基準線159.85円を念頭に置いた取引となるか。
同線付近が底堅いようならば前日高値に向けた上伸も期待されるが、下抜けると前日安値割れを試す展開も想定される。

レジスタンス1 161.19(2/13高値)
前日終値 159.90
サポート1 159.02(2/13安値)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=基準線を念頭に置いた取引か>

豪ドル円0214

パラメータ0214

陰線引け。
97.28円まで上昇するも前日高値97.33円を前に伸び悩むと、96.00円まで下押すも前日安値95.87円を前に下げ渋るなど、神経質だが方向感が定まらなかった。

本日も日足一目・基準線96.54円を念頭に置き、方向感を模索することになるか。
基準線付近で底堅さを見せると97円台前半への上昇が見込まれる反面、下抜けると96円割れを試すことも考えられる。

レジスタンス1 97.33(2/12高値)
前日終値 96.53
サポート1 95.87(2/12安値)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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