February 12, 2025
【前日の為替概況】ユーロドル、4日ぶり反発 ドル円は続伸
11日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは4営業日ぶりに反発。
終値は1.0361ドルと前営業日NY終値(1.0307ドル)と比べて0.0054ドル程度のユーロ高水準だった。
マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員が「将来も継続的な引き締めを支持」などと発言したことを受けてポンドドルが一時1.2455ドルまで上昇すると、ユーロドルにも買いが波及。
英独株価指数が連日で史上最高値を更新する中、リスク・オンのユーロ買い・ドル売りも入った。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はこの日、米上院銀行委員会で「政策スタンスの調整を急ぐ必要はない」「米経済は総じて好調」などと話し、1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の定例記者会見とほぼ同じ見解を示した。
トランプ米政権の関税政策については「貿易政策についてコメントすることはFRBの役割ではない」として言及を避けた。
市場では「パウエル議長の議会証言前にドル買いが一定程度進んでいたため、ユーロやポンドに対してドル売りが優勢となった」との声も聞かれ、前日の高値1.0343ドルを上抜けると一時1.0381ドルまで上値を伸ばした。
ドル円は続伸。
終値は152.49円と前営業日NY終値(152.00円)と比べて49銭程度のドル高水準だった。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.54%台まで上昇すると円売り・ドル買いが先行。
前日の高値152.54円を上抜けて一時152.61円まで値を上げた。
ただ、200日移動平均線が位置する152.76円がレジスタンスとして意識されると上昇は一服し、152円台半ばでのもみ合いに転じた。
クロス円の上昇につれた買いが入った半面、対欧州・オセアニア通貨でドル売りが進んだ影響を受けたため、相場は方向感が出なかった。
ユーロ円も続伸。
終値は158.01円と前営業日NY終値(156.67円)と比べて1円34銭程度のユーロ高水準。
英独株価指数が連日で史上最高値を更新する中、リスク・オンの円売り・ユーロ買いが優勢となり一時158.19円まで値を上げた。
【本日の東京為替見通し】ドル円、トランプ関税やパウエルFRB議長議会証言で底堅い展開か
本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ米大統領による鉄鋼・アルミニウムへの25%の関税賦課やパウエルFRB議長の議会証言でのタカ派的な見解を受けて底堅い展開が予想される。
ドル円の攻防の分岐点としては、200日移動平均線が控える152.75円になっている。
トランプ米大統領が、昨日、米国に輸入される全ての鉄鋼・アルミニウムへの25%の関税賦課の大統領令に署名したことで、物価上昇圧力への警戒感からドル買い要因となっている。
今後は、貿易相手国が米製品に課しているのと同率の関税が賦課される相互関税の詳細を見極めることになる。
パウエルFRB議長の上院銀行委員会での議会証言では、1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でのタカ派的据え置きの時と同様の見解、すなわち、利下げを急ぐ必要はない、ことが再表明された。
本日は、米1月消費者物価指数(CPI)を確認した後、パウエルFRB議長の米下院金融サービス委員会での議会証言を待つことになる。
トランプ米大統領は、米国の通商政策面で公約の実現を打ち出しつつあるが、米連邦準備理事会(FRB)への利下げ圧力に関しては、パウエルFRB議長を屈服させることは困難だと思われる。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、追加利下げ(-0.25%=4.00-25%)の時期は7月米連邦公開市場委員会(FOMC)のままであり、12月末時点を見据えても1回の利下げに留まっている。
ドル円の上値を抑える要因としては、日銀による中立金利水準1.0%に向けた追加利上げ観測、トランプ米大統領による対日貿易赤字を削減したい意向などが挙げられる。
ベッセント米財務長官は、日米首脳会談の前に、おそらく日本を念頭に置いた発言だと思われるが、貿易黒字国に対し為替レートや金利抑制がその要因となっている国もある、と述べていた。
トランプ米政権による対日貿易赤字削減の具体策にも警戒しておきたい。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 1月マネーストックM2
<海外>
○19:00 ◎ エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○19:30 ◎ 12月インド鉱工業生産(予想:前年同月比3.9%)
○19:30 ◎ 1月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比4.60%)
○21:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○22:30 ☆ 1月米CPI(予想:前月比0.3%/前年比2.9%)
☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比3.1%)
○24:00 ◎ グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○24:00 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米下院金融サービス委員会で金融政策や経済情勢に関する半期に一度の証言
○13日00:30 ◇ EIA週間在庫統計
○13日02:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○13日02:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○13日03:00 ◎ 米財務省、10年債入札
○13日04:00 ◎ 1月米月次財政収支(予想:955億ドルの赤字)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
11日09:21 マン英MPC(金融政策委員会)委員
「英国のインフレの脅威は小さくなってきている」
「今後1年間で、物価が目標水準の2%に非常に近づくと予想」
「需要状況はこれまでよりもかなり弱くなっている」
11日17:54
「2%CPIに対する構造的な障害は、完全には消化されていない」
「主要金利は制限的な状態を維持する必要がある」
「英国の労働市場は、さらに緩和すると予想」
「長期均衡金利の推定範囲である3-3.5%の上限に近い」
「将来も継続的な引き締めを支持」
「0.5%の利下げを支持する決定は水準のシフトだ」
「関税の影響を評価するには時間がかかるだろう」
「私のアクティブな金利政策は利下げを意味するものではない」
「自身の前提が正しいことを確認する必要がある」
11日09:39 ウィリスNZ財務相
「米国とはバランスの取れた貿易関係を築いている」
11日11:29 トランプ米大統領
「鉄鋼・アルミ関税、オーストラリア免除を検討へ」
「豪州は米国が貿易黒字を計上している数少ない国の一つ」
11日15:00 カザークス・ラトビア中銀総裁
「米国と欧州連合(EU)が協議を重ねることで、関税問題は緩和できる」
11日17:18 欧州委員会のセフコビッチ委員(通商・経済安全保障・対外関係・透明性担当)
「EUは米国との交渉にオープン」
「EUは米国の関税に対して対抗措置を講じる」
「米国の関税に関する決定を深く遺憾に思う」
11日18:00 トルドー加首相
「米国のカナダ産鉄鋼・アルミニウムに対する関税は全く正当化されない」
「我々の対応は断固かつ明確であり、カナダの労働者のために立ち上がるだろう」
「容認できない関税の悪影響について、米国政府に強く訴えるつもり」
11日21:57 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「BOEの金融政策は国内の状況だけでなく、国際的なリスクや経済動向を考慮する必要」
「現在の低成長は金融危機後の長期的な供給力低下に起因し、単純な金融政策の変更だけでは解決が難しい」
11日22:45 ハマック米クリーブランド連銀総裁
「金利をしばらく据え置くのが適切だろう」
「金利に対する忍耐強いアプローチは、経済を評価する時間を与えるだろう」
「インフレに対するリスクは現在、上振れに傾いている」
「金融政策は現在、適度に抑制的」
「経済は好調で、雇用市場は堅調」
12日00:04 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「政策調整を急ぐ必要はない」
「政策はリスクや不確実性に対処するのに適切」
「米経済は総じて好調」
「経済が好調を維持し、インフレが2%に向かわなければ、政策をより長期間維持できる」
「労働市場が予想外に弱まるか、インフレが予想よりも急速に低下すれば緩和可能」
「大手銀行の資本水準はおおむね適正」
「長期金利が高い理由は金融政策と関係がない」
「景気後退ではない」
「インフレ対策をさらに進めたい」
「FRBは長期金利をコントロールできない」
「金利を引き下げれば、住宅ローン金利も下がるだろう。それがいつになるかは分からない」
「貿易政策についてコメントすることはFRBの役割ではない」
「大統領がFRB理事を解任することは法律で認められていない」
「中立金利の水準は従来より有意に上昇すると予想」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=200日線をめぐる攻防になるか>
陽線引け。
前日の欧米時間安値を割り込めず、2手連続の陽線引け。
前日高値を上抜けたが、依然として200日移動平均線が重しになっている。
本日も200日線を超えることができるかに注目。
超えた場合には、153円半ばの日足・雲下限や転換線を目指すことになるか。
下値は昨日安値や10日欧米時間安値の151円半ばを割り込めば、昨年12月10日安値を目指すか。
レジスタンス2 153.60(日足一目均衡表・雲の下限)
レジスタンス1 152.75(200日移動平均線)
前日終値 152.49
サポート1 151.57(2/10欧米時間安値)
サポート2 150.90(2024/12/10安値)
<ユーロドル=転換線と雲下限を抜けるまではレンジに>
陽線引け。
10日安値手前で下げ渋り、日足一目・基準線を上回り4手振りの陽線引け。
昨日は1.03ドル近辺の一目・転換線を挟んだ攻防が続いてたが、転換線が本日は昨日の安値水準まで切り下がってきた。
同水準や4・10日安値の1.02ドル後半が支えになる反面、依然として上値も雲下限や6・7日高値を超えるほどの上昇圧力もない。
ロングの場合は4日安値を割り込むか、ショートの場合は7日高値を超えるかまでは我慢する展開になりそうだ。
レジスタンス1 1.0409(2/7高値)
前日終値 1.0361
サポート1 1.0272(2/4安値)
<ユーロ円=5日線回復で転換線に注目>
大陽線引け。
10日に155円台で下げ渋ると、昨日は5日線157.42円を回復して158円台で終えた。
2手連続の陽線引け。
目先は底打ちの兆しが見られる中、日足・一目均衡表の転換線158.56円を明確に上抜けると、基準線159.85円に向けた続伸もあるだろう。
ただし、転換線が抵抗となる場合は再び売られる展開に注意したい。
レジスタンス1 159.85(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 158.01
サポート1 156.78(ピボット・サポート1)
<豪ドル円=転換線回復で下げ一服か>
陽線引け。
10日に94円台で下げ渋ると、昨日は日足・一目均衡表の転換線を回復して終えた。
2手連続の陽線引け。
転換線上抜けにより目先の底入れが示唆される中、基準線96.54円付近を突破すると97円台後半にかかる雲下限も視野に入りそうだ。
ただし、転換線95.63円を割り込むようならば下押し再開も予想される点には注意したい。
レジスタンス1 96.54(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 95.99
サポート1 95.08(2/11安値)
Provided by
DZH Finacial Research
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