本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、トランプ関税に関するヘッドラインに要警戒か(2025年2月4日)

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February 4, 2025

【前日の為替概況】ドル円、反落も154円手前では下げ渋る ユーロドルは下げ幅縮小

3日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは6日続落。
終値は1.0344ドルと前営業日NY終値(1.0362ドル)と比べて0.0018ドル程度のユーロ安水準だった。
トランプ米政権によるカナダ、メキシコ、中国に対する関税や、各国の報復関税など対抗措置による貿易戦争激化への懸念を背景に、アジア市場では一時1.0141ドルと2022年11月以来の安値を付けた。

ただ、NY市場に入ると急ピッチで下落した反動でショートカバーが進んだ。
シェインバウム・メキシコ大統領が「同国に対して米国が表明した25%の関税の発動が1カ月延期される」と明らかにしたほか、トルドー・カナダ首相が「米国の関税は少なくとも30日間停止」と発言すると、トランプ関税による貿易戦争激化への懸念が和らぎユーロ買い・ドル売りが広がった。
取引終了間際には一時1.0350ドルと日通し高値を更新した。

なお、米政権の対メキシコ・カナダ関税延期を受けて、メキシコペソとカナダドルは急伸。
ドルペソは一時20.3078ペソ、ペソ円は7.62円までペソ高に振れたほか、米ドルカナダドルは一時1.4390カナダドル、カナダドル円は107.51円までカナダドル高に振れた。

ドル円は反落。
終値は154.73円と前営業日NY終値(155.19円)と比べて46銭程度のドル安水準だった。
トランプ米政権による関税発動が米経済や企業収益に悪影響を与えるとの懸念が高まると、ダウ平均が一時660ドル超下落。
リスク・オフの円買い・ドル売りが優勢となり、0時30分前には一時154.02円と日通し安値を更新した。

ただ、前週末の安値153.92円が目先サポートとして意識されると下げ渋る展開に。
米政府による対メキシコ関税が1カ月先送りになったことが伝わると、株価の下げ渋りとともにドル円にも買い戻しが入り、155.01円付近まで下げ幅を縮めた。

なお、この日発表の1月米ISM製造業景況指数は50.9と予想の49.6を上回り、12月米建設支出は前月比0.5%増と予想の0.2%増より強い内容となった。

ユーロ円も反落。
終値は160.06円と前営業日NY終値(160.78円)と比べて72銭程度のユーロ安水準。
0時30分前に一時157.97円と昨年12月9日以来の安値を付けたものの、米国の対メキシコ・カナダ関税延期をきっかけに買い戻しが強まると、週明け早朝取引で付けた159.98円を上抜けて一時160.15円まで値を上げた。

【本日の東京為替見通し】ドル円、トランプ関税に関するヘッドラインに要警戒か

本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ米大統領によるトランプ関税に関する発言を見極めながらの相場展開が予想される。

昨日は、トランプ米政権の対メキシコ・カナダに対する関税延期が報じられ、メキシコとカナダは国境に1万人の警備隊を配置することで合意した。
今回のカナダとメキシコへの関税発動の先送り決定は、トランプ米大統領が関税をあくまで交渉の材料と考えており、米国経済への痛みを伴うトランプ関税には消極的との見方を強めるものとなっている。

トランプ米大統領は、中国に対する10%の追加関税をさらに引き上げる可能性があると警告し、24時間以内に中国と協議する可能性があると述べたが、協議内容次第では、関税先送りの可能性があることで、関連ヘッドラインに警戒しておきたい。

トランプ関税による相場への影響は、ベッセント米財務長官は「貿易赤字が減少することでドル高要因」と述べているが、米国のコストや株価下(株価低下)落懸念によるリスク回避要因とも捉えられる。
第1次トランプ米政権(2017年~2020年)のドル円は、2017年1月の高値118.60円が全期間中の高値となっていた。
ドル・人民元(オフショア)は、米中貿易不均衡の是正により、最終年の2020年5月に7.1965元まで上昇していた。

米国のピーターソン国際経済研究所によれば、トランプ関税のコストは米国内総生産(GDP)の1.8%となり、第1次トランプ米政権での米中貿易戦争でのコスト0.4%を大幅に上回るとのことで、貿易戦争での勝者はいない。
米国の2024年10-12月期の国内総生産(GDP)は29.7兆ドルだったので、コストは5300億ドル程度となる。

トランプ関税の負担者は米国の消費者だが、トランプ政権の高官は、ドルが上昇すれば、輸出国が負担することになるとのことである。

7日予定されている日米首脳会談では、日本に対するトランプ関税の有無、ドル高・円安への牽制などに要注目となる。
昨年4月に、ドル円が34年ぶりの高値を更新して154円台に乗せた際に、トランプ氏は「アメリカの製造業にとって大惨事」と述べていた。

米国の貿易赤字は以下の通りとなっている。

【日本】 【中国】 【カナダ】 【メキシコ】
トランプ関税: 10% 25% 25%
2024年1-11月: 625億ドル 2704億ドル 549億ドル 1572億ドル
2023年: 715億ドル 2791億ドル 642億ドル 1524億ドル
2022年: 677億ドル 3821億ドル 781億ドル 1278億ドル
【第1次トランプ米政権】
2020年: 3079億ドル
2019年: 3426億ドル
2018年: 4182億ドル
2017年: 3751億ドル

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 1月マネタリーベース

<海外>
○06:45 ◎ 12月ニュージーランド(NZ)住宅建設許可件数
○08:30 ◎ ムサレム米セントルイス連銀総裁、あいさつ
○22:30 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○24:00 ◎ 12月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数(予想:800.0万件)
○24:00 ◎ 12月米製造業新規受注(予想:前月比▲0.7%)
○24:00 ◇ 1月メキシコ製造業PMI
○5日01:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○5日04:00 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○中国(旧正月)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

3日08:50 日銀金融政策決定会合における主な意見(1月23-24日分)
「『物価安定の目標』の持続的・安定的な実現という観点から、政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整することが適切である」
「利上げ後も、実質金利は大幅なマイナスであり、経済・物価がオントラックであれば、それに応じて、引き続き利上げをしていくことで、そのマイナス幅を縮小していく必要がある」
「今後、過度な緩和継続期待の醸成による円安進行や金融の過熱を避ける観点から、金融緩和度合いの調整を行うことも必要である」
「昨年前半までのような急激な円安の進行は決して望ましいものではない。一方で、円安是正が過度に進むといった逆のリスクにも相応に注意が必要と考える」
「上下双方向のリスクがかなり大きいことを考えると、利上げのペースやターミナル・レートを示唆することには極めて慎重であるべきである」

3日17:00 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「ECB、追加利下げの可能性はある」
「トランプ関税は懸念材料」

4日00:29 シェインバウム・メキシコ大統領
「関税は1カ月先送り」
「トランプ米大統領と良い会話、一定の合意に至る」

4日00:49 トランプ米大統領
「メキシコへの関税の1カ月先送りを確認」
「メキシコとの交渉はこの1カ月の間で行われる」
4日03:04
「まだメキシコと関税巡り合意していない」
「中国と恐らく今後24時間のうちに話すだろう」

4日01:15 コリンズ米ボストン連銀総裁
「大規模な関税は物価水準を押し上げ、二次的な影響を及ぼす可能性」
「米国経済は総じて好調だと見ている」
「労働市場は好調で、完全雇用に近い」
「金利を再度引き下げる緊急性はない」

4日01:31 カナダ政府高官
「メキシコのような関税延期、カナダは楽観視していない」

4日02:52 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「現在、不確実性は大幅に拡大している」
「FRBは依然としてインフレに重点を置いている」
「インフレは引き続き低下するとの見通し」
「雇用市場は引き続き堅調であるとの見通し」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=一目雲の上限や転換線を意識した値動き>

ドル円0204

パラメータ0204

陰線引け。
155円後半まで上昇するも、1月28日高値の手前から失速。
一時154円付近まで下げ足を速めた。
同月31日安値が支持となり持ち直すも2手ぶりの陰線引け。

日足一目・雲の上限は154.80円台まで水準を切り上げ。
一方で転換線は155.20円台で横ばい。
昨日に上下した水準ではあるが、目先は154円後半から155円前半を意識した値動きか。
反発した場合、156円前半の基準線を抵抗と見込む。

レジスタンス1 156.30(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 154.73
サポート1 153.72(1/27安値)
サポート2 152.81(200日移動平均線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=同値の転換線や基準線を念頭に置いた取引>

ユーロドル0204

パラメータ0204

下影陽線引け。
下方向に窓を開けて始まり、2022年11月以来の安値となる1.0141ドルまで下げ幅を拡大した。
もっとも一巡後は1.03ドル台を回復し、ロウソク足の形としては6日ぶり陽線を作った。

日足一目・転換線と同・基準線は1.0337ドルで同値。
昨日引けにかけて実線も同水準を超えてきた。
本日は両線を念頭に置きながらの取引だが、長い下ヒゲを頼りに買いスタンスで臨んでみたい。

レジスタンス1 1.0444(1/29高値=日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 1.0344
サポート1 1.0207(ピボット・サポート1)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=長い下ヒゲが支えとなるか注目>

ユーロ円0204

パラメータ0204

下影小陽線引け。
160円割れでギャップオープンし、一時158円を下回って昨年12月9日以来の安値を更新。
ただそこから切り返すと、引けにかけては160円台を回復した。
ロウソク足の形としては2手連続の陽線引け。

長い下ヒゲがどの程度まで支えとなるかに注目。
160円後半まで上昇すると昨日できた窓が埋められる。
ただ161円前半には日足一目・転換線や基準線が位置しており、その辺りでは買いの勢いが一旦緩みそうだ。

レジスタンス1 161.26(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 160.06
サポート1 158.64(ピボット・サポート1)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=96円後半の主要線を上抜けできるかがポイント>

豪ドル円0204

パラメータ0204

下影陽線引け。
96円割れから始まり、昨年9月半ば以来の安値94.62円まで売り込まれた。
そこから買い戻しが優勢となり、96円半ばまで上昇。
朝方に作った窓を埋めた。

96.60円台には日足一目・転換線、96.90円台には基準線や先月31日高値が位置している。
それらをクリアに上抜けるようだと、97円半ばの雲の下限が視野に入ってきそうだ。

レジスタンス1 97.60(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 96.37
サポート1 95.18(ピボット・サポート1)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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