本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、米インフレ率下げ止まりは買い要因、トランプ関税は波乱要因(2025年2月3日)

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February 3, 2025

【前日の為替概況】トランプ関税への警戒感からドル高 対円155.22円、対ユーロ1.0350ドル

31日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3営業日ぶりに反発。
終値は155.19円と前営業日NY終値(154.29円)と比べて90銭程度のドル高水準だった。
米国でのインフレ再燃や米関税政策への警戒感が高まる中、全般ドル買いが先行。
22時30分過ぎに一時155.02円まで値を上げた。

ただ、一目均衡表転換線が位置する155.24円や前日の高値155.25円がレジスタンスとして働くと失速し、154.53円付近まで下押しした。
2時前には再び155円台まで上昇したものの、「トランプ米大統領は2月1日の発動を警告していたカナダとメキシコに対する25%の関税措置を3月1日に延期する見通し」との一部報道が伝わると154.67円付近まで押し戻された。

もっとも、レビット米ホワイトハウス報道官が「カナダとメキシコに25%、中国に10%の追加関税を2月1日から課す」と改めて表明すると再びドル買いが優勢に。
3時30分過ぎには155.22円と日通し高値を更新した。

ユーロドルは5日続落。
終値は1.0362ドルと前営業日NY終値(1.0391ドル)と比べて0.0029ドル程度のユーロ安水準だった。
欧州中央銀行(ECB)の利下げ継続観測を背景にユーロ売り・ドル買いが先行すると、24時過ぎに一時1.0360ドルまで値を下げた。

ただ、月末のロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに絡んだユーロ買いのフローが観測されると持ち直した。
一部通信社が「米国の関税発動は3月1日になる見通し」と報じると全般ドル売りが活発化し、2時過ぎには1.0434ドルと日通し高値を更新した。

もっとも、レビット報道官が「カナダ・メキシコ・中国への関税は2月1日発動。延期の報道は誤り」と発言すると再びユーロ売り・ドル買いが優勢に。
6時過ぎには1.0350ドルと日通し安値を更新した。

ユーロ円は3日ぶりに反発。
終値は160.78円と前営業日NY終値(160.32円)と比べて46銭程度のユーロ高水準。
24時過ぎに160.21円付近まで下押しする場面もあったが、月末のロンドン・フィキシングに絡んだユーロ買いが入ると強含んだ。
2時過ぎには一時161.50円と日通し高値を更新した。

米ドルカナダドルは米政権による関税を巡る報道を受けて荒い値動きとなった。
23時過ぎに1.4550カナダドルまで上げたものの、2時過ぎに1.4373カナダドルの本日安値まで下落。
ただ、引けにかけては1.4559カナダドルの本日高値まで一転上昇した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、米インフレ率下げ止まりは買い要因、トランプ関税は波乱要因

本日の東京外国為替市場のドル円は、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している12月のPCEデフレーターが前年比+2.6%となり、11月の+2.4%、10月の+2.3%、9月の+2.1%から上昇基調にあることやトランプ関税の発動を受けて底堅い展開が予想される。

しかし、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ確率は、6月FOMCが46%台(-0.25%=4.00-25%)、12月FOMCが33%前後(-0.25%=3.75-4.00%)とほぼ変わらずとなっており、上値は限定的だと思われる。

トランプ関税がカナダとメキシコに対して発動されたが、トランプ米大統領は「欧州連合(EU)に対しても何らかの非常に重要な関税を賦課する意向」と述べている。

EUも報復関税を示唆しており、米国を軸にした貿易戦争が勃発しつつある。

米国のピーターソン国際経済研究所によれば、トランプ関税のコストは米国内総生産(GDP)の1.8%となり、第1次トランプ米政権での米中貿易戦争でのコスト0.4%を大幅に上回るとのことで、貿易戦争での勝者はいない。
すなわち、貿易戦争はリスク回避要因となる可能性があることに警戒しておきたい。

今週は、7日に日米首脳会談が予定されている。
これまでトランプ米大統領は、日本に対する関税やドル高・円安に関する言及はなかった。
しかし、昨年4月に、ドル円が34年ぶりの高値を更新して154円台に乗せた際に、「アメリカの製造業にとって大惨事」と述べており、同様の見解が示される可能性があることで、ドル円の上値は限定的だと思われる。

8時50分に発表される日銀金融政策決定会合における主な意見(1月23-24日分)では、ターミナルレート(利上げの最終到達点)が議論されたのか否かに注目したい。

9時30分に発表される12月豪小売売上高の予想は前月比▲0.7%となっている。

先週発表された10-12月期豪消費者物価指数(CPI)は前年比+2.4%と前期の+2.8%から鈍化し、価格変動の大きい品目を除いたトリム平均も同様に前期の前年比+3.6%から+3.2%へと低下し、豪州のインフレ鈍化傾向が改めて確認された。

金利先物市場では17-18日に開催される豪準備銀行(RBA)理事会での利下げ確率が90%程度まで上昇しているが、小売売上高が予想通りに悪化していた場合、利下げ確率がさらに上昇すると思われる。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 日銀金融政策決定会合における主な意見(1月23-24日分)

<海外>
○09:30 ◎ 12月豪小売売上高(予想:前月比▲0.7%)
○09:30 ◎ 12月豪住宅建設許可件数(予想:前月比1.0%)
○10:45 ◎ 1月Caixin中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:50.6)
○16:00 ◎ 1月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月4.40%/前年比41.15%)
○16:00 ◇ 1月トルコ製造業PMI
○17:00 ◎ シムカス・リトアニア中銀総裁、記者会見
○17:30 ◇ 1月スイス製造業PMI(予想:49.1)
○17:30 ◎ 10-12月期香港域内総生産(GDP)速報値(予想:前期比●%/前年比2.7%)
○17:50 ◎ 1月仏製造業PMI改定値(予想:45.3)
○17:55 ◎ 1月独製造業PMI改定値(予想:44.1)
○18:00 ◎ 1月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:46.1)
○18:30 ◎ 1月英製造業PMI改定値(予想:48.2)
○19:00 ☆ 1月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比2.4%)
○19:00 ☆ 1月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比2.6%)
○23:45 ◎ 1月米製造業PMI改定値(予想:50.1)
○24:00 ☆ 1月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:49.3)
○24:00 ◇ 12月米建設支出(予想:前月比0.2%)
○4日02:30 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○中国(旧正月)、メキシコ(憲法記念日)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

31日05:44 トランプ米大統領
「フェンタニル巡り対カナダとメキシコ関税発表へ」
「カナダとメキシコに25%の関税賦課」
「BRICSがドルにとって代わる可能性はない」
「BRICSがドルを代替しようとするなら100%の関税を課す」
「石油・天然ガスへの関税は2月18日発動の可能性」
「欧州連合(EU)に対しても何らかの非常に重要な関税を賦課する意向」

31日14:44 植田日銀総裁
「基調的な物価は2%をまだ下回っている」
「基調的物価2%に向けて徐々に高まるよう緩和環境を維持」
「コストプッシュによる物価上昇、国民に多大な負担と認識」
「為替レートを特定水準に誘導する政策はしていない」
「為替変動がインフレ率に様々な影響を与えることは十分認識」
「経済・物価見通しが実現していけば金利引き上げ緩和度合いを調整」
「見通し実現なら利上げで緩和調整の考え、市場に伝わっている」
「財政の健全性に留意しつつ適切な政策運営に努める」

31日19:21 ロンバール仏財務相
「予算協議は正しい方向に進んでいるが、不信任案可決の可能性残る」

31日19:55 レーン・フィンランド銀行(中央銀行)総裁
「インフレは2%に向かって一段と安定している」
「金融政策の方向性は明確」
「金利引き下げのペースと規模は各会合ごとに決定される」

31日20:49 マクルーフ・アイルランド中央銀行総裁
「政策金利の方向は決まっているが、前もってコミットはしない」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=基準線を目処に戻り売りスタンス>

ドル円0203

パラメータ0203

陽線引け。
一目・転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けているものの、売りシグナルが優勢な展開となっている。
孕み線で反発したものの、転換線155.24円に届かなかったことで、反落の可能性が示唆されている。

本日は基準線を目処に戻り売りスタンスで臨みたい。

レジスタンス1 156.30(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 155.19
サポート1 153.92(1/31安値)
サポート2 153.37(日足一目均衡表・雲の下限)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=雲の下限を抵抗に戻り売りスタンス>

ユーロドル0203

パラメータ0203

陰線引け。
一目・転換線は基準線を上回っているものの、本日時点では同値となり、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、売りシグナルが優勢な展開となっている。
5手連続陰線で転換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。

本日は雲の下限を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.0457(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 1.0362
サポート1 0.9936(2022/11/10安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=1/30高値を抵抗に戻り売りスタンス>

ポンド円0203

パラメータ0203

陽線引け。
一目・転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
孕み線で反発したものの、転換線に届かなかったことで、反落の可能性が示唆されている。

本日は、1月30日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 193.30(1/30高値)
前日終値 192.38
サポート1 189.34(1/17安値)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=三役逆転が継続、基準線を目処に戻り売り>

NZドル円0203

パラメータ0203

陽線引け。
一目・転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
孕み線で反発したものの、転換線に届かなかったことで、反落の可能性が示唆されている。

本日は、基準線を目処に戻り売りスタンスで臨みたい。

レジスタンス1 88.03(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 87.49
サポート1 85.36(2024/8/6安値)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

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