January 31, 2025
【前日の為替概況】ユーロドル、4日続落 ユーロ圏GDP弱く、ECB前に調整売りも
30日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは4日続落。
終値は1.0391ドルと前営業日NY終値(1.0421ドル)と比べて0.0030ドル程度のユーロ安水準だった。
欧州時間発表の10-12月期ユーロ圏域内総生産(GDP)速報値が予想を下回ったことを受けてユーロ売り・ドル買いが先行。
欧州中央銀行(ECB)定例理事会の結果公表を前にポジション調整目的の売りも出ると一時1.0390ドルまで値を下げた。
ただ、前日の安値1.0383ドルが目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。
市場では「月末が近づく中、ユーロ買いのフローが観測された」との声も聞かれ、23時過ぎには1.0467ドルと日通し高値を更新した。
ECBはこの日、市場予想通り政策金利を0.25%引き下げることを決めたと発表。
声明では「ディスインフレのプロセスは順調に進んでいる」「理事会は特定の金利経路を事前にコミットしない」と表明した。
ラガルドECB総裁が理事会後の会見で「インフレ目標への持続的な回帰に向けた指標が進展」「2025年のうちにインフレ率2%の達成に自信」と述べたこともユーロ買い戻しにつながった。
もっとも、ラガルド総裁が「利下げを止める議論は時期尚早」と述べ、利下げ継続を示唆するとユーロ買いの勢いは弱まった。
その後、トランプ米大統領が合成麻薬フェンタニルを含む複数の理由を挙げて、「カナダとメキシコに25%の関税措置を発動する」と再表明すると、米インフレ再加速への懸念が高まりドル買いが活発化。
5時30分過ぎに一時1.0386ドルと日通し安値を更新した。
トランプ米大統領の関税を巡る発言をきっかけに、米ドルカナダドルは一時1.4595カナダドル、ドルメキシコペソは20.7582ペソまで急伸した。
ドル円は続落。
終値は154.29円と前営業日NY終値(155.22円)と比べて93銭程度のドル安水準だった。
もっとも、NY市場に限れば大きな方向感は出なかった。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.48%台まで低下すると円買い・ドル売りが先行。
0時30分前に一時153.79円と日通し安値を付けた。
ただ、米10年債利回りが4.53%台まで低下幅を縮めるとドル円にも買い戻しが入り、4時前には154.50円付近まで下げ渋った。
5時30分前には154.00円まで下押ししたものの、トランプ米大統領が「2月1日にカナダとメキシコに25%の関税賦課」と改めて表明したことで154.46円付近まで強含んだ。
ユーロ円も続落。
終値は160.32円と前営業日NY終値(161.76円)と比べて1円44銭程度のユーロ安水準。
22時30分前に一時160.24円まで下げたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢となり161.09円まで下値を切り上げた。
もっとも、引けにかけては160.21円の本日安値まで押し戻された。
ユーロドルにつれた動きとなった。
ブラジルレアルは買い戻しが優勢。
対ドルでは一時1ドル=5.8480レアルまでドル安・レアル高が進んだ。
ブラジル中銀は29日、市場予想通り政策金利を1.00%引き上げて13.25%にすることを決めたと発表。
声明では「次回の会合でも同規模の調整を実施することが見込まれる」と再利上げの必要性を示唆した。
これを受けて、市場ではレアル買いの動きが広がった。
【本日の東京為替見通し】東京都区部CPIに注目、月末要因には注意
本日は本邦で多数の経済指標の発表を控えているが、その中で最も注目が集まりそうなのが、全国消費者物価指数(CPI)の先行指標とされる、1月東京都区部CPIだろう。
市場予想はコアが前年比+2.5%と12月の+2.4%よりわずかに伸びが加速する見通し。
予想よりも伸びが加速する結果となれば、日銀の早期利上げ期待が浮上して円が買われる展開もあり得る。
結果と共に、本邦株式市場や長期金利の反応にも注目したい。
午後には植田日銀総裁が衆院予算委員会に出席し、立憲民主党の階猛委員の質問に答える予定となっている。
自身のX(旧ツイッター)によると、円安物価高対策などについて質疑をするとのことである。
昨日の氷見野副総裁の講演内容は想定されたほどタカ派的ではなかったことからドル円を押し上げる場面も見られた。
答弁次第では相場に影響を与えることも考えられる。
また、本日は月末日につき、仲値公示やロンドンフィキシング(日本時間25時)などのタイミングでの実需主導の動きには注意が必要だろう。
そのほか、米大統領が発言している「2月1日にカナダとメキシコに25%の関税賦課」の期限が迫る中、引き続き関連報道には目を配らせておきたい。
他方、オーストラリアでは10-12月期四半期卸売物価指数(PPI)も発表予定。
前回7-9月期は前期比+1.0%、前年比+3.9%であった。
29日に発表された10-12月期消費者物価指数(CPI)の前年比が予想や前回を下回る伸びに留まっただけに、こちらの結果も気になるところである。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◎ 12月完全失業率(予想:2.5%)
○08:30 ◎ 12月有効求人倍率(予想:1.25倍)
○08:30 ◎ 1月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合、予想:前年比2.5%)
○08:50 ◎ 12月鉱工業生産速報(予想:前月比0.3%/前年比▲2.2%)
○08:50 ◇ 12月商業販売統計速報(小売業販売額、予想:前年比3.2%)
○14:00 ◇ 12月新設住宅着工戸数(予想:前年比▲3.9%)
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
<海外>
○09:30 ◎ 10-12月期豪卸売物価指数(PPI)
○16:00 ◎ 12月独小売売上高(予想:前月比横ばい/前年比2.6%)
○16:00 ◇ 1月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.3%)
○16:00 ◇ 12月トルコ貿易収支(予想:88.0億ドルの赤字)
○16:30 ◇ 12月スイス小売売上高
○16:45 ◇ 1月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比横ばい/前年比1.5%)
○16:45 ◇ 12月仏PPI
○17:55 ◎ 1月独雇用統計(予想:失業率6.2%/失業者数変化1.40万人)
○21:00 ◎ 12月南アフリカ貿易収支(予想:304億ランドの黒字)
○22:00 ◎ 1月独CPI速報値(予想:前月比0.1%/前年比2.6%)
○22:30 ☆ 11月カナダ国内総生産(GDP、予想:前月比▲0.1%/前年比1.6%)
○22:30 ◎ 12月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.5%)
◎ 12月米個人所得(予想:前月比0.4%)
☆ 12月米PCEデフレーター(予想:前年比2.6%)
☆ 12月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.2%/前年比2.8%)
○22:30 ◇ 10-12月期米単位労働コスト・速報値(予想:前期比0.9%)
○22:30 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○23:30 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○23:45 ◎ 1月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:40.0)
○香港、中国(旧正月)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
30日08:43 ジョリー・カナダ外相
「関税協議について慎重で楽観的」
30日15:15 氷見野・日銀副総裁
「経済・物価見通し実現していけば、それに応じて金融緩和の度合い調整」
「実質金利のある世界には距離がある」
「0.5%への利上げ後も実質金利は大幅なマイナス、緩和的な環境は維持される」
「今後もプラス成長続けることは可能ではないか」
「実質金利マイナスがずっと続くことはないという議論、日本についても成り立つ」
「ショックやデフレ的諸要因が解消された状態なら、実質金利がはっきりマイナスの状態が続くのは普通の姿とは言えない」
30日22:19 欧州中央銀行(ECB)声明
「ディスインフレのプロセスは順調に進んでいる」
「インフレはスタッフの予測とほぼ一致した推移を継続。今年中に理事会の中期目標である 2%に戻る見込み」
「インフレは依然として高いままだが、これは主に特定のセクターの賃金と物価が過去のインフレの急上昇にかなり遅れて適応しているため」
「しかしながら、賃金の伸びは予想通り緩やかになっており、インフレへの影響を部分的に緩和している」
「最近の金利引き下げにより、企業や家計の新規借り入れコストは徐々に低下している」
「経済は依然として逆風に直面しているが、実質所得の増加と引き締め的な金融政策の影響が徐々に薄れつつあることから、時間の経過とともに需要が回復するだろう」
「理事会はインフレが中期目標の2%で持続的に安定することを確実にする決意」
「理事会は、データに依存し、会合ごとに適切な金融政策スタンスを決定するアプローチを採用」
「理事会の金利決定は入手する経済・金融データ、基調的なインフレの動向、金融政策の波及の強さを考慮したインフレ見通しの評価に基づいて行われる」
「理事会は、特定の金利経路を事前にコミットしない」
30日22:23 南アフリカ準備銀行(SARB、中央銀行)声明
「第4四半期は経済成長の回復が見込まれる」
「インフレ率は2025年前半まで目標レンジの下半分にとどまるだろう」
「インフレ見通しに対するリスクは上方」
「貿易戦争シナリオは世界的なインフレと金利の上昇を示す」
30日22:56 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「経済は短期的に低迷が続く見通し」
「労働市場は依然として堅調」
「回復の条件は整っている」
「具体的な構造的措置を講じる必要がある」
「サービスインフレは高止まり」
「インフレ率の上昇は予想通り」
「賃金圧力は引き続き緩和される見込み」
「インフレ率は2%の目標で落ち着くだろう」
「経済見通しに対するリスクは下振れ方向」
「大半の長期的な物価指標は引き続き2%前後」
「関税は世界経済を弱める可能性がある」
「賃金上昇、利益上昇はインフレ上昇リスク」
「地政学、気候もインフレ上昇リスク」
「世界の貿易摩擦はインフレ見通しを不確実にする」
「利下げをどこで止めるかの議論は時期尚早」
「次の措置は今後のデータ次第」
「0.50%の利下げは全く議論されなかった」
「2025年のうちにインフレ率2%の達成に自信」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=雲の中で引ける>
下影陰線引け。
今後の低下余地を残す一目均衡表・転換線155.24円前後で戻りを鈍らせ、一時153.79円へ下振れた。
この水準は27日に下振れた際の安値153.72円を想起させる。
153.70円台で2度下げ渋って戻した底堅さへの期待もできるが、サポートと目された一目・雲の上限154.49円を下回って引けたことはネガティブな要因。
雲の中で戻りの鈍い展開となりそう。
レジスタンス1 154.75(5日移動平均線)
前日終値 154.29
サポート1 153.64(ピボット・サポート1)
サポート2 153.16(2024/12/17安値)
<ユーロドル=戻り期待も雲が重し>
上影陰線引け。
一目均衡表・転換線前後から1.0467ドルまで戻りを試す底堅さを示した。
しかし一目・雲の下限1.0461ドルを上回った同水準では相応の売り圧力にさらされ反落。
NY終値は1.0391ドルと、1.04ドル台で推移する転換線を下回っている。
本日1.0438ドルに切り上がった転換線の流れに沿って再び戻す展開を期待するが、雲が引き続き重しとなる。
レジスタンス1 1.0461(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 1.0391
サポート1 1.0334(ピボット・サポート2)
<ユーロ円=雲のねじれ発生に先立ち下振れ>
大陰線引け。
本日から明日にかけて相場の変わり目となりやすい一目均衡表・雲のねじれが発生するのを目前に、先立って雲を下抜けた。
17日以来の安値160.21円まで急落している。
地合いの変化が感じられ、雲を回復して再び上抜くことは困難に見える。
急落の反動は昨日下落した値幅の半分程度の161円前後かそれ以下にとどまりそうだ。
レジスタンス1 160.96(1/21安値)
前日終値 160.32
サポート1 159.73(1/17安値)
<豪ドル円=三役陰転が継続、昨年12月安値割れに注意>
陰線引け。
一目均衡表・転換線まで戻せず上値の重い中、95.69円まで下落して2カ月弱ぶりの安値を付けた。
すでに三役陰転が点灯する中、昨日の下げで転換線や一目・基準線も下向きとなっており、昨年12月6日安値95.52円を割り込むと昨年9月以来の安値水準となり、下値模索の機運が一段と高まりそうだ。
25日以降は上値を切り下げる動きが続いており、仮に戻しても昨日高値96.84円が抵抗となろう。
レジスタンス1 96.48(1/29安値)
前日終値 95.80
サポート1 94.96(ピボット・サポート2)
Provided by
DZH Finacial Research
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