January 30, 2025
【前日の為替概況】ドル円、反落 FOMC前の調整やロンドンフィキシングに絡んだ売り先行
29日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。
終値は155.22円と前営業日NY終値(155.54円)と比べて32銭程度のドル安水準だった。
米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表を前にポジション調整目的の売りが先行。
ロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに絡んだ円買い・ドル売りのフローが観測されると一時154.94円と日通し安値を付けた。
米連邦準備理事会(FRB)は今日まで開いたFOMCで市場予想通り政策金利を4.25-4.50%で据え置くことを決めたと発表。
声明では、労働市場についての認識を「概して緩みつつある」から「堅調」に修正。
インフレに関しては前回と同様に「幾分高止まりしている」としたものの、「2%の目標に向けて進展してきた」との表現を削除した。
FRBが今後の利下げに慎重な姿勢を示したとの受け止めから、米長期金利の上昇とともにドル買いが入ると155.61円付近まで値を上げる場面があった。
ただ、パウエルFRB議長がFOMC後の記者会見で、インフレに関する文言削除について「特に何かを示唆するものではない」と説明すると再び上値が重くなった。
なお、パウエル氏は「経済が堅調であるため、政策スタンスの調整を急ぐ必要はない」とし、「追加利下げにはさらなるデータが必要だとの見方は変わっていない」と話した。
ユーロドルは小幅ながら3日続落。
終値は1.0421ドルと前営業日NY終値(1.0430ドル)と比べて0.0009ドル程度のユーロ安水準だった。
欧州中央銀行(ECB)が明日30日の定例理事会で利下げを決めるとの観測を背景にユーロ売り・ドル買いが進行。
22時30分前に一時1.0383ドルと日通し安値を付けた。
売り一巡後は買い戻しが優勢となり1.0429ドル付近まで下げ渋ったものの、大きな方向感は出ず。
FOMCの結果やパウエルFRB議長の発言後も売買が交錯し、相場はもみ合いとなった。
ユーロ円は反落。
終値は161.76円と前営業日NY終値(162.24円)と比べて48銭程度のユーロ安水準。
22時30分過ぎに一時161.31円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢となり161.84円付近まで下げ渋った。
ユーロドルと似た動きとなった。
【本日の東京為替見通し】ドル円、FOMC通過で株・長期金利ながめ方向感模索か
本日の東京市場でのドル円は、日米の金融イベントを通過したこともあり、米長期金利や株式市場の反応を見ながら方向感を探る展開が見込まれる。
昨日のFOMC声明は「今後の利下げに慎重な姿勢を示した」との受け止めが広がったことで、米国株の主要3指数はそろって反落する展開となった。
米株安が東京市場でも意識されるようならば、クロス円主導でドル円の上値を重くする可能性がある。
また、米10年債利回りは声明を受けて上昇する場面が見られたが、上昇が一服すると押し戻されるなど方向感が定まらなかった。
ただ、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループの「フェドウオッチ」が示す次回3月の金利据え置き観測は8割と前日の7割弱から上昇しており、早期利下げ観測は一段と後退している。
このことを背景として米長期金利が上昇する場面では、ドル円を押し上げることも考えられる。
15時10分頃からになるが、氷見野日銀副総裁の講演が予定されている。
前週末に日銀会合を消化したほか、28日に日銀が発表した12月の基調的なインフレ率を捕捉するための指標では、「刈込平均値」が+1.9%、「加重中央値」も+1.0%といずれも2カ月連続で前月を上回った。
インフレ見通しを始め金融政策への言及があれば材料視されるかもしれない。
そのほか引き続き注意が必要なのは、トランプ米政権の政策だろう。
昨日はトランプ政権当局者が「エヌビディアの中国販売抑制の厳格化を協議」との報道が伝わると、エヌビディア株とナスダック総合が一時急落し、クロス円も下押す場面が見られた。
トランプ氏が「アメリカ・ファースト」を掲げている以上、関税を始めとした政策を受けて神経質な展開を迫られることには備えておきたい。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○15:10頃 ◎ 氷見野良三日銀副総裁、講演
<海外>
○09:00 ◇ 1月ANZ企業信頼感
○09:30 ◇ 10-12月期豪輸入物価指数(予想:前期比1.5%)
○15:30 ◎ 10-12月期仏国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比横ばい)
○15:30 ◇ 12月仏消費支出(予想:前月比0.2%)
○16:00 ◇ 12月独輸入物価指数(予想:前月比0.3%/前年比1.9%)
○17:00 ◇ 1月スイスKOF景気先行指数(予想:100.2)
○18:00 ☆ 10-12月期独GDP速報値(季節調整済、予想:前期比▲0.1%/前年同期比横ばい)
○18:00 ☆ 10-12月期独GDP速報値(季節調整前、予想:前年同期比▲0.3%)
○18:30 ◇ 12月英消費者信用残高(予想:10億ポンド)
○18:30 ◇ 12月英マネーサプライM4
○18:30 ◇ 12月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比0.7%)
○19:00 ☆ 10-12月期ユーロ圏GDP速報値(予想:前期比0.1%/前年比1.0%)
○19:00 ◎ 1月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:94.1)
○19:00 ◎ 1月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲14.2)
○19:00 ◎ 12月ユーロ圏失業率(予想:6.3%)
○21:00 ◎ 10-12月期メキシコGDP速報値(予想:前期比▲0.2%/前年比1.2%)
○未定 ☆ 南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:7.50%に引き下げ)
○22:15 ☆ 欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:2.90%へ引き下げ)
○22:30 ☆ 10-12月期米国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比年率2.6%)
◎ 10-12月期米個人消費(速報値、予想:前期比年率3.2%)
◎ 10-12月期米コアPCE(速報値、予想:前期比年率2.5%)
○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.0万件/189.0万人)
○22:45 ☆ ラガルドECB総裁、定例記者会見
○24:00 ◎ 12月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比横ばい/前年比4.2%)
○香港、シンガポール、韓国、中国(旧正月)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
29日15:12 石破首相
「為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要」
「デフレ脱却に向けた歩み着実に進んでいる、日銀と認識の相違ない」
「昨年来の日銀政策変更、賃金と物価の好循環などの広がりが背景」
29日16:43 加藤財務相
「ベッセント米財務長官と為替について緊密に協議することを確認した」
「地政学な諸課題についても議論した」
29日23:50 カナダ銀行(BOC、カナダ中央銀行)声明
「理事会は政策金利を0.25%引き下げ、バランスシートの正常化を完了し、量的引き締めを終了する計画を発表」
「3月初めに資産購入を再開する。バランスシートが安定し、その後経済成長にあわせて緩やかに増加するよう徐々に開始する」
「急速に変化する政策環境、特に米新政権による貿易関税の脅威により、通常よりも不確実性にさらされている」
「世界経済は今後2年間で約3%の成長を続けると見込む」
「米国の成長率は、主に消費の伸びにより上方修正された」
「米国の債券利回りは、力強い成長とより持続的なインフレにより上昇」
「カナダの利回りはわずかに低下している」
「カナダドルは、主に貿易の不確実性と米ドルの全般的な強さを反映して、米ドルに対して大幅に下落」
「カナダでは、過去の金利引き下げが経済を押し上げ始めている」
「労働市場は依然として軟調で、12月の失業率は6.7%である」
「雇用の伸びは、1年以上労働力の伸びに遅れをとった後、ここ数カ月で強まっている」
「GDPは2025年に強まると予測している」
「CPIインフレ率は2%近くで推移している」
「CPIインフレ率が今後2年間で2%の目標付近になると予測」
「米国の関税の脅威を除けば、見通しに関する上振れリスクと下振れリスクは十分にバランスが取れている」
「本日発表された見通しでは、経済は徐々に回復し、インフレは目標に近い水準にとどまると見込まれている」
「しかし、広範囲かつ大幅な関税が課された場合、カナダ経済の回復力が試されることになる」
「我々は動向を注意深く見守り、カナダの経済活動、インフレ、金融政策への影響を評価していく」
「国民の物価安定を維持することに尽力する」
30日01:04 マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁
「関税の脅威がなければ、インフレ見通しに対するリスクはほぼ均衡」
「これまでのカナダドルの下落は貿易の不確実性によるところが大きい」
「カナダドルの下落は何らかの影響を及ぼし始めるだろう」
「関税の脅威が我々の決定に重くのしかかったことは間違いない」
30日01:16 ラトニック米商務長官候補
「関税は公平性を生み出すために利用できる 」
「一律関税の方が望ましい」
30日04:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)声明
「最近の指標は、経済活動が引き続き堅調なペースで拡大していることを示している」
「失業率はここ数カ月、低水準で安定しており、労働市場の状況は引き続き堅調」
「インフレ率はやや高止まりしている」
「委員会は雇用最大化と長期的な2%のインフレ率の達成を目指す」
「委員会は、雇用とインフレ率の目標達成に対するリスクがほぼ均衡していると判断」
「経済の見通しは不確実で、委員会は2つの使命の両面に対するリスクを注視している」
「目標を支援するため、委員会はFF金利の目標誘導レンジを4.25-4.50%で据え置くことを決定した」
「FF金利の目標誘導レンジに対する追加調整の程度と時期を検討するに当たり、委員会は今後もたらされるデータ、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に評価する」
「委員会は保有する米国債およびエージェンシーローン担保証券の削減を続ける」
「委員会は雇用最大化を支援し、インフレ率を2%の目標に戻すことに強く取り組む」
「金融政策の適切な姿勢を評価するに当たり、委員会は今後もたらされる経済見通しに関する情報の意味を引き続き監視する」
「もしも委員会の目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある」
「委員会の評価は、労働市場の状況、インフレ圧力、インフレ期待、金融と世界の動向を含む幅広い情報を考慮する」
「今回の金融政策決定は全会一致」
30日04:36 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「経済は全体的に堅調」
「インフレ率は2%の目標に近づいたが、依然としてやや高い」
「失業率は4.1%で低水準を維持」
「政策スタンスの調整を急ぐ必要はない」
「インフレへのリスク、雇用目標はほぼ均衡」
「FRBは金融政策のフレームワーク見直しの議論を開始」
「FRBは夏の終わりまでに見直しを終える予定」
「インフレ目標は見直しの焦点にはならない」
「政策見直し後もFRBの2%インフレ目標は維持される」
「金利についてトランプ大統領と連絡を取っていない」
「金利に関するトランプ大統領の発言についてコメントを控える」
「FRBの政策は適切」
「労働市場は実に幅広く安定している」
「さらなる金利変更を検討するにはインフレの実質的な進展、または労働市場の弱さを確認する必要がある」
「インフレに関する文章を短縮することを選択しただけ」
「インフレに関する文言はシグナルを送るためのものではない」
「移民、関税、財政政策で何が起こるか分からない」
「FOMCはどのような政策が施行されるか見守っている」
「現状よりかなり多くのことが分かるまで行動しない」
「FRBは12カ月間のインフレの進展を確認する必要がある」
「政策金利は中立水準を有意に上回ると言える」
「追加利下げはインフレ2%達成を待つ必要ない」
「現在の資産価格は高水準にあると多くの指標が示している」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=低下余地を残す転換線付近の重い推移想定>
陰線引け。
引き続き一目均衡表・転換線155.24円を上回った水準が重く、155.22円へ押し戻されてNYを引けている。
低下余地を残す転換線付近の重い推移を想定。
一方、28日安値水準まで切り上がってきた一目・雲の上限前後で底堅さを示すことは期待できる。
レジスタンス2 156.30(日足一目均衡表・基準線)
レジスタンス1 155.79(1/29高値)
前日終値 155.22
サポート1 154.49(1/28安値、日足一目均衡表・雲の上限)
<ユーロドル=転換線付近の底堅い推移が続くか>
小陰線引け。
1.0399ドルに位置していた一目均衡表・転換線を割り込む場面もあったが、1.0383ドルを下値に1.04ドル台へ戻す底堅さを示した。
本日1.0400ドルへ小幅に切り上がった転換線付近での底堅い推移が続くか。
ただ、一目・雲の下限1.0461ドル前後に抵抗が感じられ、動きにくさがある。
レジスタンス1 1.0461(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 1.0421
サポート1 1.0356(日足一目均衡表・基準線)
<ポンド円=転換線の押し上げ効果が今後期待できる状態>
下影小陰線引け。
前日28日の下振れ水準192.71円を割り込んだものの下落は加速せず、192.49円を下値に193円台へ戻してNYを引けている。
一目均衡表・雲の下限が抵抗となるものの、切り上がりが想定される転換線192.33円の押し上げ効果が今後期待できる状態。
目先は193.43円前後て低下中の21日移動平均線付近で動きを停滞させる可能性はあるものの、底堅さを維持するとみる。
レジスタンス1 193.95(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 193.28
サポート1 192.49(1/29安値)
<NZドル円=転換線上抜けの流れを生かせるか>
下影陰線引け。
今週に入り一目均衡表・雲下限を下抜けると、一目・基準線が目先の抵抗に。
昨日は87.54円まで下落した。
本日、一目・転換線は基準線を上抜き「好転」している。
この流れを生かし、両線が位置する88.20円台を超えると、雲の下限88.53円突破が見えてきそう。
ただし、引き続き基準線88.20円が抵抗となる場合は17日安値86.69円に向けた下値模索もあり得る。
レジスタンス1 88.53(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 87.80
サポート1 87.21(1/20安値)
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