January 17, 2025
【前日の為替概況】ドル円、続落し155.10円まで下げ幅拡大 ユーロドルは小反発
16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落。
終値は155.16円と前営業日NY終値(156.47円)と比べて1円31銭程度のドル安水準だった。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.68%台まで上昇すると円売り・ドル買いが先行。
22時30分過ぎに一時156.35円付近まで値を上げた。
ただ、アジア時間に付けた日通し高値156.52円が目先レジスタンスとして意識されると失速した。
ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が「3月利下げの可能性が排除されるとは考えていない」「インフレの動向次第では今年最大3-4回の利下げがあり得る」などと発言すると、米10年債利回りが4.58%台まで低下。
全般ドル売りが優勢となり、一時155.10円と昨年12月19日以来約1カ月ぶりの安値を付けた。
本日アジア時間には「日銀は来週の金融政策決定会合でトランプ次期米政権の影響が限定的なら利上げの公算大」との一部報道が伝わった。
日銀による追加利上げ観測の高まりを背景に円買いが入りやすい面もあった。
ユーロドルは小反発。
終値は1.0301ドルと前営業日NY終値(1.0289ドル)と比べて0.0012ドル程度のユーロ高水準だった。
欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(12月12日分)をきっかけにユーロ売り・ドル買いが先行すると一時1.0261ドルと日通し安値を付けたものの、前日の安値1.0260ドルが目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。
ウォラーFRB理事が「インフレ抑制傾向が続く場合、早期利下げの可能性がある」との考えを示すと、米長期金利の低下とともにドル売りがさらに強まった。
2時30分前には一時1.0315ドルと日通し高値を更新した。
なお、この日発表の12月米小売売上高や前週分の米新規失業保険申請件数は予想より弱い内容となった一方、1月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数は予想を大幅に上回るなど、強弱入り混じる結果となった。
ユーロ円は続落。
終値は159.85円と前営業日NY終値(160.99円)と比べて1円14銭程度のユーロ安水準。
日銀による追加利上げへの思惑から円買い・ユーロ売りが進行。
取引終了間際には一時159.77円付近まで値を下げ、アジア時間に付けた日通し安値159.75円に迫った。
【本日の東京為替見通し】観測記事への反応は徐々に鈍化も強い円買いトレンド変わらず
本日の東京時間でドル円は上値が重いだろう。
昨日の東京時間で一部通信社が「米新政権の影響が限定的であれば、来週の日銀会合で利上げの可能性が高い」と報じたことで155.21円まで急落。
その後は1円以上買い戻しが入り「セリングクライマックスを確認できた」との声もあった。
しかしながら、再び欧米時間に入ると上値が抑えられ、NY時間には米金利の低下とともに155.10円まで下値を広げている。
米金利の低下では欧州通貨や新興国通貨に対するドル売りは限定的だったことを見れば、円が買える通貨として際立っているとも言え、あらためて円買いの地合いの強さ(ドル円の地合いの弱さ)を示している。
本日も本邦実需勢が水準的にドル円を買う場面もあるだろうが、依然としてドル円を買っておけばよいという妄信的な動きを繰り返している投資家もいることで、下落時は再びドル売り・円買いになる局面もありそうだ。
ただ、今週に入り本邦2年債などは16年ぶりの水準まで利回りが上昇するなど、市場ではすでに23-24日に行われる日銀金融政策決定会合での利上げを織り込みつつある。
これまでのように観測報道だけでは、市場が大きく動意づくことが徐々に減ってきそうだ。
ここから気を付けたいのは政策決定会合に参加しているメンバーが再び発言することか。
他国の中央銀行では会合の投票権を有するメンバーは、1週間程度のブラックアウト期間(金融政策等に関する発言をしてはいけない期間)があるものの、日銀は2営業日前からブラックアウト期間が始まることで、来週21日までは様々な報道が流れる可能性もあるだろう。
本日は本邦からは対外対内証券売買契約等の状況以外は、市場を動意づけるような経済指標の発表は予定されていない。
ただ、中国からは10-12月期中国国内総生産(GDP)や12月鉱工業生産、同月小売売上高が発表される。
市場の材料が乏しいときは人民元(CNH)の動きが他のドル相場にも影響を与えることもあることで、注目しておきたい。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○11:00 ☆ 10-12月期中国国内総生産(GDP、予想:前期比1.6%/前年同期比5.0%)
○11:00 ◎ 12月中国鉱工業生産(予想:前年比5.4%)
○11:00 ◎ 12月中国小売売上高(予想:前年比3.5%)
○16:00 ◎ 12月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比0.4%/前年比4.2%)
○16:00 ◎ 12月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比0.1%/前年比3.6%)
○18:00 ◇ 11月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○19:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○19:00 ☆ 12月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比2.4%)
○19:00 ☆ 12月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比2.7%)
○19:30 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○22:30 ◇ 11月対カナダ証券投資
○22:30 ◎ 12月米住宅着工件数(予想:132.5万件、前月比2.9%)
◎ 建設許可件数(予想:146.0万件、前月比▲2.2%)
○23:15 ◎ 12月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.3%)
◇ 設備稼働率(予想:77.0%)
○18日06:00 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○18日06:00 ◎ 11月対米証券投資動向
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
16日09:51 ベッセント次期米財務長官
「ドルが世界の準備通貨であり続けるようにする必要がある」
17日01:56
「ロシア石油大手に対する制裁を支持する」
16日12:30 植田日銀総裁
「展望リポートのもと来週会合で利上げを行うか議論する」
「今年も経済物価情勢の改善続くなら、金融緩和を調整する」
「調整をどう進めるかは経済・物価・金融情勢次第」
「昨年の日本経済、好循環強まり物価目標の持続的実現に向けて着実に進んだ」
「米新政権を巡る状況や春季交渉は重要なポイント」
16日16:36 林官房長官
「今後の利上げ含め金融政策の具体的な手法は日銀に委ねている」
16日21:30 ECB理事会議事要旨(12月12日分)
「インフレの基本的な見通しが今後数カ月から数四半期にわたって確認された場合、政策の制限性を段階的に緩和することが適切」
「インフレ見通しには依然として多くの上振れリスクと下振れリスクがあるため、ディスインフレ過程の最終段階で警戒を緩めるべきではない」
「現在の不確実性と、インフレーション動向の進展を妨げる可能性のある多くの要因の存在を考慮すると、慎重なアプローチが依然として必要」
「一部のメンバーは0.50%利下げの可能性について議論する余地があり、そのような可能性についてより多くの検討を支持」
17日00:17 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「今週発表されたCPIデータは非常に良好」
「3月利下げの可能性が排除され得るとは考えていない」
17日03:51 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「労働市場が安定しつつあることに安心」
「失業率が悪化していることにあまり懸念はない」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=155.60円台の基準線が目先の上値めどに>
大陰線引け。
156円半ばを頭に155円台で下値を試した。
日足一目・基準線割れで下げ渋る場面はあったものの、結局155.10円まで昨年12月19日以来の安値を更新した。
基準線は155.67円まで水準を切り上げてきた。
揺り戻した場合は同線付近での攻防が注目される。
重しとなるようだと先月19日安値154円半ばを目指す展開か。
徐々にではあるが、152円後半の200日線も視野に入ってきた。
レジスタンス2 156.99(日足一目均衡表・転換線)
レジスタンス1 156.09(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 155.16
サポート1 154.44(2024/12/19安値)
サポート2 153.16(2024/12/17安値)
<ユーロドル=下向き転換線を巡る攻防に注視>
小陽線引け。
1.02ドル台で下押す場面でも前日安値の手前で支えられて、1.03ドル台を回復した。
日足一目・転換線超えでは伸び悩むも2手ぶりの陽線引け。
転換線は1.0306ドルとやや水準を下げ、本日も同線を巡る攻防を注視。
13日に1.01ドル後半まで下落した以降は下値を切り上げており、転換線から上放れも想定しておきたい。
1.0350ドル台の基準線や8日高値が目先の抵抗帯となるか。
レジスタンス1 1.0358(1/8高値)
前日終値 1.0301
サポート1 1.0239(1/14安値)
<ポンド円=下値警戒感は維持、12/4が目先の下値めど>
大陰線引け。
191円半ばで上値を抑えられて再び売り圧力を強めた。
昨年12月初旬以来の190円割れで一旦下げ渋るも戻りも限られ、189.70円台まで下値を広げた。
2手連続の大幅下落の後で反動の買い戻しには注意しながらも、190円割れで引けたことで下方向への警戒感は維持したい。
12月4日安値189.36円が目先の下値めどだが、割り込むようだと同月3日の安値圏188円前半が意識される。
レジスタンス1 191.05(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 189.90
サポート1 188.62(ピボット・サポート2)
<NZドル円=約1カ月ぶりの87円割れで下値試すか>
陰線引け。
88円前半の日足一目・基準線が結果として抵抗水準として働き、下値を試す展開に。
約1カ月ぶりの87円割れでは下げ止まるも、2手連続の陰線引け。
転換線は来週初にも基準線を下回り、均衡表の逆転が起きる見込み。
下値警戒感が高まるなか、目先の下値めど先月19日安値86.73円を念頭に置いた取引となりそうだ。
クリアに割り込むと8月以来の86円割れが視野に入ってくる。
レジスタンス1 88.09(1/16高値)
前日終値 87.00
サポート1 86.27(2024/9/16安値)
Provided by
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