本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):日銀利上げ地ならし相場で円買い意欲強い、副総裁の講演に注目(2025年1月14日)

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January 14, 2025

【前日の為替概況】ドル円、3日続落 ユーロドルは22年11月以来の安値更新後に持ち直す

13日のニューヨーク外国為替市場でドル円は小幅ながら3日続落。
終値は157.48円と前営業日NY終値(157.73円)と比べて25銭程度のドル安水準だった。

時間外のダウ先物やシカゴ日経平均先物の下落を背景にリスク回避の円買い・ドル売りが先行。
22時30分前に一時156.92円と日通し安値を付けた。

ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり、5時前には157.82円付近まで持ち直した。
前週末に発表された12月米雇用統計が予想を上回ったことで、週明けのNY市場でも米利下げ観測の後退を背景に円売り・ドル買いが出やすい地合いとなった。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.8026%前後と2023年11月以来の高水準を付けたことも相場の支援材料。

市場では「ドル高に対する方向性に変化はなく、値固めをしながらの動きとなっている」との声が聞かれた。

ユーロドルはほぼ横ばい。
終値は1.0245ドルと前営業日NY終値(1.0244ドル)と比べて0.0001ドル程度のユーロ高水準だった。
前週末の米雇用統計を受けて米利下げ観測が一段と後退する中、ユーロ売り・ドル買いが出た。
欧州市場序盤には一時1.0178ドルと22年11月以来約2年2カ月ぶりの安値を更新した。
市場では「米国とユーロ圏の経済の強さや金融政策の差を意識したユーロ売り・ドル買いが出やすい」との声も聞かれた。

ただ、売り一巡後はショートカバーが優勢となり、取引終了間際には1.0247ドル付近まで持ち直した。

ユーロ円は5日続落。
終値は161.32円と前営業日NY終値(161.59円)と比べて27銭程度のユーロ安水準。
日本時間夕刻に一時160.04円と昨年12月19日以来の安値を付けたものの、同日安値159.86円や12月18日の安値159.82円がサポートとして意識されると買い戻しが優勢に。
ドル円の下げ渋りやユーロドルの持ち直しにつれた買いが入り、取引終了間際には161.37円付近まで下値を切り上げた。

【本日の東京為替見通し】日銀利上げ地ならし相場で円買い意欲強い、副総裁の講演に注目

本日の東京時間では、東京仲値までにかけては、前日の米金利上昇や値ごろ感からのドル買いが優勢になりそうだ。
しかし、先週の米雇用統計後から米長期金利が上昇過程を辿っているが、対円でのドル買いは限定的になっている。
英国を中心に欧州圏も財政不安が懸念されていることで欧州通貨も買いにくい状況であり、消去法的にドル以外の通貨では円が買われやすくなっていることや、日銀の利上げ観測が燻っていることは引き続きドル円の上値を抑えそうだ。

本日の東京市場で最も注目されるのは、氷見野良三日銀副総裁の講演になる。
氷見野副総裁は横浜市で金融経済懇談会に出席し、午後に記者会見を行う予定になっている。

昨年末の12月25日に日本経済団体連合会審議員会(経団連)で植田日銀総裁が講演を行って以後は、日銀関係者からは市場を動意づけるような発言はほぼ無かった。
この間に、本邦から日銀の利上げを促す発言や報道は複数伝わっている。
先週末9日の日銀支店長会議では「相応の数の企業が賃上げに前向き」などと春闘を前にして、賃上げを確認できているとの認識を示した。

また、翌10日に日銀の事情に詳しい複数の関係者からの話として、コメを中心とした食料品価格の上振れが主因で「今月開く金融政策決定会合では、コアコアCPIについて、2024年度と25年度の見通しが上方修正となる公算が大きい」と報じられている。
市場ではインフレ圧力の警戒を示唆し、賃上げが確認できているとの認識を市場に示し、利上げへの地ならしを行っているとの声もある。

欧米長期金利の上昇の影響もあるとはいえ、先週は新発10年物国債の利回りは2011年5月以来の水準まで上昇した。
この状況下で氷見野副総裁がどのような発言をするかが円相場の最大の注目になるだろう。
なお、氷見野副総裁は昨年7月の利上げ後の8月の会見では、「経済・物価の見通しが実現する確度が高まっていく、ということであれば、金融緩和の度合いを調整していく、というのが基本的な姿勢」と発言。
また、10月には「明らかに実質金利はかなり低い水準にある」「来年の賃金動向に関する情報などが重要」などと発言している。

一方で、利上げに対して否定的なのは、先週9日には11月毎月勤労統計で発表された実質賃金は4カ月連続でマイナス(10月は横ばいから-0.4%に下方修正)になった。
過去最大の26カ月連続のマイナスから抜け出せたのが、昨年の6、7月の僅か2カ月であったことで、賃上げにも関わらず実質賃金が減少しているという現状は変わらないことだ。

円以外では、昨日ユーロドルが2022年11月以来、ポンドドルは2023年11月以来の水準まで弱含んだ。
ロサンゼルスの火災が欧州の保険大手に約10億ユーロの損失をもたらす可能性があると報じられるなど、欧州圏のネガティブな報道が多いこともあり、ユーロドルはパリティを目指すという声が依然として強い。
アジア時間での動意は限られるだろうが、欧州入り後の動きには引き続き警戒したい。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◎ 11月国際収支速報
     ◇  経常収支(予想:季節調整前2兆6911億円の黒字/季節調整済2兆5781億円の黒字)
     ◎  貿易収支(予想:346億円の赤字)
○10:30 ◎ 氷見野良三日銀副総裁、あいさつ
○14:00 ◇ 12月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数49.5/先行き判断指数49.9)

<海外>
○08:30 ◇ 1月豪ウエストパック消費者信頼感指数
○10:35 ◎ レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○16:35 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○17:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○17:30 ◎ ブリーデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○22:30 ◎ 12月米PPI(予想:前月比0.3%/前年比3.4%)
    ◎  食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比3.8%)
○24:00 ◎ シュミッド米カンザスシティー連銀総裁、あいさつ
○15日04:00 ◎ 12月米月次財政収支(予想:800億ドルの赤字)
○15日05:05 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

13日10:17 中国人民銀行
「クロスボーダー融資のマクロプルーデンシャル調整パラメータを1.5から1.75に引き上げる」
「人民元レートは合理的でバランスの取れた水準を維持」

13日11:14 潘功勝・中国人民銀行(PBOC)総裁
「十分な流動性を維持するために、金利と 預金準備率(RRR)ツールを活用する」
「中国は財政赤字を拡大する計画を再確認した」
「中国は今後も世界経済の原動力であり続けるだろう」
「政策の焦点は投資と消費に移るべき」
「中国の経済発展には課題が残っている」
「国民の消費需要の喚起に重点が置かれる」
「香港金融当局が外貨基金を使ってオフショア人民元市場を補充することを支持する」

13日16:21 レーン・フィンランド銀行(中央銀行)総裁
「インフレ率は想定通りに低下している」
「政策金利の方向性は明らか」
「ディスインフレは明白」
「利下げ幅やペースはデータ次第」
「ECBの利下げは、FRBの金融政策とは無関係に行うべき」
「利下げを継続することは理にかなっている」

13日17:47 ブイチッチ・クロアチア中銀総裁
「市場の欧州中央銀行(ECB)の利下げ見通しは正しい」
「ECBは利下げを加速させることはない」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=横ばいの転換線を睨みながらの取引>

ドル円0114

パラメータ0114

陰線引け。
158円手前で頭を抑えられ、10日安値を下抜けた。
157円割れから切り返し、下げ幅を縮小するも日足一目・転換線の上では伸び悩んだ。
3手連続の陰線引け。

転換線は157.56円で横ばいであり、目先は同線を睨みながらの取引となりそうだ。
3手連続の陰線引けとなったものの、基準線や中・長期の移動平均線は上向き。
下値を固めながら、再び10日高値158円後半を目指す展開か。

レジスタンス2 159.45(2024/7/12高値)
レジスタンス1 158.87(1/10高値)
前日終値 157.48
サポート1 156.92(1/13安値)
サポート2 156.24(1/6安値)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=転換線から9日高値が抵抗帯として意識>

ユーロドル0114

パラメータ0114

小陽線引け。
再び下値余地を探り、2022年11月以来の安値1.0178ドルまで下落幅を広げた。
ただ一巡後は1.02ドル台を回復し、この日の高値圏で5手ぶりの陽線引け。

昨日に下げ止まった水準から22年11月11日安値1.0163ドルまでが支持帯として働くかが下値のポイントだろう。
買い戻しが強まった場合は、転換線1.0308ドルから9日高値辺りが抵抗帯として意識される。

レジスタンス1 1.0321(1/9高値)
前日終値 1.0245
サポート1 1.0163(2022/11/11安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=雲の上限や基準線を中心に上下する展開か>

ユーロ円0114

パラメータ0114

下影陰線引け。
161円後半で伸び悩むと売り優勢となり、160.04円まで下げ足を速めた。
先月19日以来の160円割れは回避し、下値を切り上げるも5手連続の陰線引け。

昨日の買い戻し時に伸び悩んだ日足一目・雲の上限は161.44円に位置。
また、基準線が昨日高値161.79円まで上昇してくる。
本日はそれら水準を中心に上下する展開か。
上放れた場合でも162円前半の転換線辺りまでを想定する。

レジスタンス1 162.30(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 161.32
サポート1 160.04(1/13安値)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=基準線や転換線など上サイドに主要線控える>

豪ドル円0114

パラメータ0114

下影陽線引け。
97円を下抜けて売りが強まるも、96.40円割れで下落が一服。
その後は買い戻しが優勢となり、97円前半まで持ち直した。
4手ぶりの陽線引け。

日足一目・基準線は97.49円まで水準を切り上げ、転換線は97.70円台に位置している。
98円超えには雲の下限も位置し、気にすべき線は上サイドに多い。
それら水準をクリアに超えることができるかがポイントとなる。

レジスタンス1 97.78(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 97.28
サポート1 96.68(ピボット・サポート1)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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