本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、今夜の12月米雇用統計を控えて動きづらい展開か(2025年1月10日)

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January 10, 2025

【前日の為替概況】ドル円、4日ぶり反落も157円半ばでは下げ渋る ユーロドルは3日続落

9日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4営業日ぶりに反落。
終値は158.14円と前営業日NY終値(158.35円)と比べて21銭程度のドル安水準だった。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.64%台まで低下すると円買い・ドル売りが先行。
23時前に一時157.58円と日通し安値を付けた。

ただ、下値は堅かった。
7日の安値157.38円や一目均衡表転換線が位置する157.29円がサポートとして意識されると買い戻しが優勢に。
米10年債利回りが4.69%台まで戻したことも相場を下支えして、3時過ぎには158.16円付近まで下げ渋った。

なお、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するコリンズ米ボストン連銀総裁は「現在の見通しでは、利下げには段階的かつ忍耐強いアプローチが必要」と述べたほか、シュミッド米カンザスシティー連銀総裁は「さらなる利下げは段階的かつデータに基づいて行うべき」などと話した。

ユーロドルは3日続落。
終値は1.0300ドルと前営業日NY終値(1.0318ドル)と比べて0.0018ドル程度のユーロ安水準だった。
ただ、NY市場に限れば大きな方向感は出なかった。
22時30分過ぎに一時1.0319ドル付近まで値を上げたものの、アジア時間に付けた日通し高値1.0321ドルが目先レジスタンスとして意識されると失速。
1時30分過ぎには1.0291ドル付近まで下押しした。

本日はカーター元米大統領の国葬で米株式市場が休場、米債券市場が短縮取引となったため、市場参加者が減少。
積極的な売買が手控えられた面もあったようだ。

ユーロ円も3日続落。
終値は162.87円と前営業日NY終値(163.40円)と比べて53銭程度のユーロ安水準。
21時30分過ぎに一時162.38円と本日安値を付けたものの、売り一巡後はじりじりと下値を切り上げた。
ドル円につれた動きとなった。

【本日の東京為替見通し】ドル円、今夜の12月米雇用統計を控えて動きづらい展開か

本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される米12月雇用統計を控えて動きづらい展開か。

昨日発表された日本の11月の実質賃金は4カ月連続のマイナスだったものの、基本給に相当する所定内給与は32年ぶりの高い伸びとなった。
また、日銀支店長会議での賃上げに関する報告では、全体としては継続的な賃上げが必要との認識が幅広い業種・規模の企業に浸透してきているものの、2025年の賃金設定に関して慎重な姿勢が示された。

植田日銀総裁は、春闘に向けた賃上げのモメンタムを確認するために、「もうワンノッチ(1段階)情報を待ちたい」と述べていたが、「ワンノッチ」は満たされなかった。
オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場が示す今月の日銀金融政策決定会合での追加利上げ確率は47%となっている。

米12月の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比+16.0万人と予想され、11月の同比+22.7万人からの増加幅の減少が見込まれており、失業率は4.2%で11月と変わらずと予想されている。
12月の米国の雇用関連市場は、ISM製造業、非製造業雇用指数、ADP全米雇用報告などは、11月に比べて悪化していたことで、市場予想は整合的だと思われる。

12月の米雇用統計の数字が予想から大幅に外れていない限り、20日のトランプ次期米大統領の就任式に向けて、現在の米金利上昇やドル高基調には変化はないと思われる。
しかし、米国の雇用統計に関する懸念材料としては、2月7日に公表予定の年次ベンチマーク改定の確定値が、昨夏の速報値(81万8000人の下方修正)からさらなる下方修正が警戒されていることが挙げられる。

また、今後はパウエルFRB議長やウォラーFRB理事が言及している「市場ベースインフレ(Market-Based Gauge)」にも注視せざるを得ない状況となっている。
このインフレ指標は昨年の5月からずっと前年同月比2.4%の上昇率付近でほぼ変わらないらしく、今年の追加利下げ継続を支持している。

日米の金融政策に関する今月の日程は以下の通り。
14日:氷見野日銀副総裁講演
20日:トランプ次期米大統領就任
23-24日:日銀金融政策決定会合(利上げ確率 47%)
28-29日:米連邦公開市場委員会(FOMC)(据え置き確率 93%)

本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に関しては、過去の介入実施時間帯から、本日の金曜日のニューヨーク市場や来週月曜日の東京市場休場に警戒しておきたい。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:30 ◇ 11月家計調査(消費支出、予想:前年比▲0.9%)
○08:50 ◇ 12月外貨準備高
○14:00 ◇ 11月景気動向指数速報値(予想:先行107.2/一致115.3)

<海外>
○15:45 ◇ 12月スイス失業率(季節調整前、予想:2.8%)
○16:00 ◇ 11月トルコ失業率
○16:00 ◇ 11月トルコ鉱工業生産
○16:00 ◎ 12月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%/前年比2.5%)
○16:45 ◇ 11月仏鉱工業生産(予想:前月比横ばい)
○16:45 ◇ 11月仏消費支出(予想:前月比0.2%)
○19:30 ◎ 11月インド鉱工業生産(予想:前年同月比4.1%)
○21:00 ◎ 12月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比4.88%)
○21:00 ◇ 11月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比横ばい)
○22:30 ◇ 11月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比1.4%)
○22:30 ☆ 12月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化2.50万人/失業率6.9%)
○22:30 ☆ 12月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化16.0万人/失業率4.2%/平均時給、前月比0.3%/前年比4.0%)
○24:00 ◎ 1月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:73.8)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

9日13:38 チポローネECB専務理事
「欧州中央銀行(ECB)はインフレリスクにのみ焦点を当てるのではなく、ユーロ圏経済が潜在成長を達成できるよう支援すべき」

9日15:47 日銀大阪支店長
「新卒採用への影響を踏まえて、早い時期から賃上げ方針を打ち出す大企業の動きがはっきりしてきた」
「中小企業も賃上げの必要性の認識それなりに浸透してきている」
「今年の賃上げ、昨年上回るかどうかは別として、しっかりとした数字になるのではないか」
「為替はどんどん円安に進んでいるわけではないことを好感する企業もある」
「全体として為替の安定を要望する声が引き続き多い」
「為替は将来の金融政策を織り込むので我々の行動で動く、適切な対応が必要」

9日16:40 堂野日銀名古屋支店長
「為替の過度な変動は良くない」
「一部企業で昨年並み、あるいはそれ以上の賃上げを今年実施するとの声聞かれる」

9日23:46 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁
「FRBの金利目標の長期的な道筋は不明確」
「不確実性の中で、FRBが少し立ち止まるのは適切」
「FRBはデータ依存であり、軽率に行動すべきではない」
「インフレをピークから低下させることに成功している」
「全体的な消費者支出の多くは高い所得に依存している」
「高い不確実性の中で、FRBはデータ依存であるべき」
「2%インフレ目標への回帰には予想以上に時間がかかっている」

10日00:09 コリンズ米ボストン連銀総裁
「現在の見通しでは、利下げには段階的かつ忍耐強いアプローチが必要」
「12月FOMCで利下げを支持したが、ぎりぎりの判断だった」
「現在の見通しは12月の予測と一致」
「経済は全体的に良好な状態にあるが、不確実性は顕著」
「2%のインフレ率に向けて段階的かつ不均一な軌道をたどっている」

10日03:37 シュミッド米カンザスシティー連銀総裁
「さらなる利下げは段階的かつデータに基づいて行うべき」
「金利政策は長期的に必要な水準に近い可能性がある」
「FRBは二つの責務の達成にかなり近い」
「インフレは目標に向かっており、成長は勢いを増している」
「雇用市場は弱まっているが依然として健全」
「成長と雇用の見通しに楽観的」
「インフレ圧力は引き続き緩和すると楽観的」

10日03:40 ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事
「選挙後の抑制された需要がインフレリスクをもたらす可能性がある」
「インフレへの懸念が10年物米国債利回りの上昇を部分的に説明している可能性がある」
「インフレは高止まりしており、上振れリスクがある」
「政策調整には慎重かつ段階的なアプローチを好む」
「次期政権の将来の政策を予断すべきではない」
「現在の政策スタンスは、他者が考えるほど制限的ではないかもしれない」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=7日安値から一目・転換線が支持帯として働く>

ドル円0110

パラメータ0110

陰線引け。
前日高値の手前で伸び悩み、158円を割り込んだ。
157円半ばで下落が一服して158円前半まで切り返すも、4手ぶりの陰線引け。

上昇は一服したが7日安値157.38円から日足一目・転換線157.29円が支持帯として働いている。
転換線を割り込むまでは買い目線で臨みたい。
上値めどは昨年7月16日高値158.86円をまずは想定する。

レジスタンス2 159.45(2024/7/12高値)
レジスタンス1 158.86(2024/7/16高値)
前日終値 158.14
サポート1 157.29(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 156.84(21日移動平均線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=一目・転換線は低下、8日高値までが抵抗帯>

ユーロドル0110

パラメータ0110

陰線引け。
1.03ドル前半で上値を抑えられ、1.02ドル後半まで下押した。
前日安値の手前で下げ渋り、下落幅を縮小したものの3手連続の陰線引け。

昨日届かなかった日足一目・転換線は本日1.0330ドル台まで低下してきた。
やや近い水準ではあるが同線から8日高値圏までを抵抗帯と想定。
下サイドは、2日につけた2022年11月以来の安値が依然として意識される水準だろう。

レジスタンス1 1.0358(1/8高値)
前日終値 1.0300
サポート1 1.0226(1/2安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=162円後半の転換線や21日線を巡る攻防>

ユーロ円0110

パラメータ0110

陰線引け。
163円半ばを上値に162円後半の日足一目・転換線を割り込むと、162.30円台まで下げ足を速めた。
一巡後は下値を切り上げたものの、3手連続の陰線引け。

転換線は162.70円台まで低下し、一方で21日線が162.80円台まで水準を切り上げてきた。
本日は両線を巡る攻防が注目される。
下放れた場合は161円後半で上向きの90日線を目指す展開となるか。

レジスタンス1 163.81(1/8高値)
前日終値 162.87
サポート1 161.91(90日移動平均線)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=下向きの雲の下限が重しとなるか>

豪ドル円0110

パラメータ0110

陰線引け。
98円半ばから大台を割り込み下値を試した。
97円後半の21日線を下回ったところで売り一服も、2手連続の陰線引け。

日足一目・雲の下限は昨日高値圏98.40円台まで低下し、来週も水準を切り下げる見込み。
本日は98.05円で横ばいの転換線を念頭に、雲が重しとなるか見極めたい。
下サイドは97.30円台の基準線が目先のめどと想定。

レジスタンス1 98.44(1/9高値=日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 97.97
サポート1 97.35(日足一目均衡表・基準線)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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