January 9, 2025
【前日の為替概況】ユーロドル、続落 3日続伸したドル円は一時158.55円まで上昇
8日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは続落。
終値は1.0318ドルと前営業日NY終値(1.0340ドル)と比べて0.0022ドル程度のユーロ安水準だった。
欧州時間発表の独経済指標が予想より弱い内容だったことでユーロ圏経済への懸念が高まる中、ユーロ売り・ドル買いが先行。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.7280%前後と昨年4月25日以来の高水準を記録したこともドル買いを促し、20時30分過ぎに一時1.0273ドルと日通し安値を更新した。
ただ、2日に付けた約2年2カ月ぶりの安値1.0226ドルがサポートとして意識されると下げ渋った。
ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が「見通しが予想通りであれば、さらなる利下げが適切だ」との見解を示したほか、12月ADP全米雇用報告が予想より弱い内容となったこともユーロ買い・ドル売りにつながり、4時30分前には1.0324ドル付近まで下値を切り上げた。
ドル円は3日続伸。
終値は158.35円と前営業日NY終値(158.05円)と比べて30銭程度のドル高水準だった。
米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いが先行すると、20時30分過ぎに一時158.55円と昨年7月17日以来の高値を付けた。
ただ、ウォラーFRB理事が追加利下げは適切との考えを示すと伸び悩んだ。
予想を下回るADP全米雇用報告も相場の重しとなり、一時158.15円付近まで上げ幅を縮める場面があった。
もっとも、前週分の米新規失業保険申請件数が予想より強い内容だったこともあり、下押しは限定的だった。
4時過ぎには158.52円付近まで持ち直している。
なお、FRBが公表した12月17日-18日分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では「多くの当局者は今後数四半期で慎重なアプローチが必要だと認識」「ほぼすべての当局者がインフレの上振れリスクが高まったと認識」との見解が示された。
ユーロ円は小幅ながら続落。
終値は163.40円と前営業日NY終値(163.42円)と比べて2銭程度のユーロ安水準。
22時過ぎに一時162.84円と本日安値を更新したものの、4時30分前には163.51円付近まで下げ渋った。
ユーロドルにつれた動きとなった。
【本日の東京為替見通し】ドル円、11月実質賃金と日銀支店長会議での賃上げ動向に要注目か
本日の東京外国為替市場のドル円は、米長期債利回りの上昇を背景に堅調推移が予想される中、11月の実質賃金や日銀支店長会議での賃上げ動向などを見極めて行く展開が予想される。
昨日は、トランプ次期米大統領が導入を目指す関税に法的根拠を与えるため、国家経済緊急事態の宣言を検討しているという報道を受けて、米長期債利回りが上昇したことで、ドルは全面高の展開となった。
12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、トランプ次期政権下で政策が変わる可能性を考慮して、仮定としての予測が盛り込まれたことが明らかになり、ドット・プロット(金利予測分布図)での今年の利下げ見通しが2回に減った背景が説明されている。
植田日銀総裁は、12月の日銀金融政策決定会合の後の会見で、第2次トランプ米政権の関税政策や春闘での賃上げのモメンタムという「ワンノッチの情報」を見極めるスタンスを示していた。
今年の日米金融政策は、第2次トランプ米政権での経済政策を見極めるスタンスとなっており、現状のドル高トレンドが続く公算が高いことになる。
ドル高に歯止めをかける要因として、トランプ次期米大統領のドル高牽制発言や本邦通貨当局による円買い介入の可能性には引き続き警戒しておきたい。
本日は、8時30分の11月毎月勤労統計で実質賃金を確認し、日銀支店長会議で賃上げの動向を見極めることになる。
10月の実質賃金は前年比-0.4%、9月は同比-0.4%、8月は同比-0.8%だった。
9時30分に発表される11月豪小売売上高は前月比+1.0%と予想されており、10月の同比+0.6%に続き、4カ月連続の増加見込み。
昨日発表の豪11月消費者物価指数(CPI)は前年比+2.3%と予想+2.2%を上回ったが、豪準備銀行(RBA)が注視しているコアインフレ率(トリム平均値)は同比+3.2%となり、10月の+3.5%から低下していた。
しかし、今年5月に豪連邦議会選挙が予定されており、それまではRBAは利下げに踏み切らないとの見方があり、堅調な小売売上高が利下げ時期の先送り要因となるのかもしれない。
10時30分に発表される12月中国CPIは前年比+0.1%と予想されており、11月の同比+0.2%から鈍化が見込まれ、12月中国生産者物価指数(PPI)は同比-2.4%と予想されており、11月の同比-2.5%からの上昇が見込まれている。
第2次トランプ米政権による対中関税引き上げが見込まれる中、中国経済のディスインフレ化が強まる可能性に警戒しておきたい。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◇ 11月毎月勤労統計(現金給与総額、予想:前年比2.7%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース、2週分)
○14:00 ◇ 日銀地域経済報告(さくらレポート)
<海外>
○09:30 ◎ 11月豪小売売上高(予想:前月比1.0%)
○09:30 ◇ 11月豪貿易収支(予想:57.50億豪ドルの黒字)
○10:30 ◎ 12月中国消費者物価指数(CPI、予想:前年比0.1%)
○10:30 ◎ 12月中国生産者物価指数(PPI、予想:前年比▲2.4%)
○16:00 ◎ 11月独鉱工業生産(予想:前月比0.5%/前年同月比▲4.5%)
○16:00 ◇ 11月独貿易収支(予想:148億ユーロの黒字)
○19:00 ◎ 11月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.4%/前年比1.7%)
○21:00 ◎ 11月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比4.3%)
○21:00 ◎ 12月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比4.28%)
○21:30 ◇ 12月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○23:00 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○23:05 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、講演
○10日01:00 ◎ ブリーデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○10日02:45 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○10日03:30 ◎ シュミッド米カンザスシティー連銀総裁、講演
○10日03:35 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○米株式市場は国民追悼の日で休場、債券市場は短縮取引
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
8日16:31 赤沢経済再生相
「いよいよ物価目標を達成しつつある」
「物価が2%に収束しつつあり、これに負けない賃上げ可能」
8日22:03 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「さらなる利下げが適切になるだろう」
「利下げのペースはインフレの進展と雇用市場の状況に依存する」
「雇用市場が近い将来劇的に弱まるという兆候はない」
「見通しが予想通りであれば、2025年の利下げを支持」
「米財政赤字も長期金利を押し上げている可能性」
「関税がどうなるかについては大きな不確実性がある」
「短期的には、関税がインフレに大きな影響を与えるとは思わない」
「現在の金利は制限的だが、景気後退を引き起こすほどには厳しくない」
9日02:45 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「インフレに対する勝利は崩れていない」
「12月のインフレ上昇は予想されていた」
9日04:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(12月17日-18日分)
「多くの当局者は今後数四半期で慎重なアプローチが必要だと認識」
「一部当局者は12月の金利据え置きがメリットと認識」
「決定は微妙に均衡と過半数が認識」
「当局者は時間の経過とともに中立金利に向かうと予想」
「労働市場の冷え込みに対する懸念は和らいだ」
「スタッフはトランプ氏の貿易政策により2025年にインフレが高止まりすると見ている」
「貿易政策によりインフレデータが読み難くなる可能性」
「当局者はトランプ氏の貿易・移民計画によりインフレの進展が鈍化すると予想」
「ほぼすべての当局者がインフレの上振れリスクが高まったと認識」
「当局者は労働市場の緩やかな緩和をみており、急激な悪化の兆候はないと認識」
「多くの当局者は利下げのペースを緩めたいと認識」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=レンジを上サイドにシフト、7月半ばの高値を意識>
陽線引け。
158円割れで底堅めをし、158円台で上値を試した。
158.55円と昨年7月17日高値に迫ったところで上昇は一服するも、3手連続の陽線引け。
レンジを上サイドにシフトし、上向きバイアスが強まってきた。
ここからは昨年7月16日高値158.86円や同月12日高値159.45円が意識される。
反落した場合も7日安値157.38円から一目・転換線辺りが支持帯として働きそうだ。
レジスタンス2 160.00(心理的節目)
レジスタンス1 159.45(2024/7/12高値)
前日終値 158.35
サポート1 157.63(ピボット・サポート2)
サポート2 157.29(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロドル=転換線から昨日高値圏が抵抗帯かを確認>
陰線引け。
1.0340ドル台の日足一目・転換線の下で売り圧力が強まり、1.02ドル後半まで下落した。
一巡後は1.03ドル台を回復するも2手連続の陰線引け。
転換線は本日も1.0342ドルに位置しており、目先は同線から昨日の高値圏1.0350ドル台が抵抗帯となるかを要確認。
超えるようだと1.04ドル手前の21日線が次の上値めど。
下サイドは2日につけた1.0226ドルが意識されたまま。
レジスタンス1 1.0392(21日移動平均線)
前日終値 1.0318
サポート1 1.0226(1/2安値)
<ポンド円=200日線を念頭に、転換線が目先の上値めど>
大陰線引け。
前日の上ヒゲを重しに下値を試す展開となり、195円前半まで下落幅を広げた。
200日線の下では売り圧力が緩み、同線を超えるも2手連続の陰線引け。
200日線は195.40円台でやや水準を切り上げ、本日は同線を念頭に置きながらの取引か。
上放れても196円半ばの一目・転換線がまずは意識される。
続落した場合は3・6日安値圏194.60円台や2日安値194.20円がポイントとなる。
レジスタンス1 197.55(1/8高値)
前日終値 195.78
サポート1 194.63(1/6安値)
<NZドル円=一目・転換線を巡る攻防、雲付近で伸び悩むか>
陰線引け。
89円前半で上値を抑えられて大台を割り込んだ。
88.70円台の日足一目・転換線を下抜けたところから切り返したものの、5手ぶりの陰線引け。
転換線は88.72円で横ばいであり、本日は同線を巡る攻防が注目される。
反発した場合でも下向きの雲下限辺りでは伸びが鈍るか。
下値は88.20円台の基準線や88円割れの6日安値をこなせるかに注目したい。
レジスタンス1 89.39(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 88.78
サポート1 87.91(1/6安値)
Provided by
DZH Finacial Research
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