January 7, 2025
【前日の為替概況】ドル円、一時156円前半まで下落も157円台で反発して終える
6日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。
終値は157.62円と前営業日NY終値(157.26円)と比べて36銭程度のドル高水準だった。
米ワシントン・ポスト紙が「トランプ次期大統領は重要な品目だけに絞って関税を課すことを検討」と報じると、米物価上昇圧力が想定よりも限定的にとどまるとの見方が浮上。
米長期金利の低下とともに全般ドル売りが優勢になると、22時30分前に一時156.24円と日通し安値を付けた。
ただ、トランプ氏が「ワシントン・ポストの記事は正確ではない」「自分の関税政策を後退させることはしない」と発言すると一転ドルを買い戻す動きが優勢に。
米長期金利が上昇に転じたことも相場の支援材料となり、3時過ぎに157.67円付近まで持ち直した。
ユーロドルは続伸。
終値は1.0390ドルと前営業日NY終値(1.0308ドル)と比べて0.0082ドル程度のユーロ高水準だった。
欧州時間発表の12月仏・独・ユーロ圏サービス部門PMI改定値が予想を上回ったことを受けてユーロ買い・ドル売りが進行。
ワシントン・ポストの報道をきっかけに全般ドル売りが活発化すると一時1.0437ドルと日通し高値を付けた。
ただ、トランプ氏が当該記事を否定するとドル買い戻しが優勢となり、23時30分前に1.0355ドル付近まで下押しした。
そのあとは1.03ドル台後半で値動きが細った。
ユーロ円も続伸。
終値は163.77円と前営業日NY終値(162.08円)と比べて1円69銭程度のユーロ高水準。
ユーロドルの上昇をきっかけに円売り・ユーロ買いが優勢になると、20時30分過ぎに一時164.02円と日通し高値を更新。
23時30分前には162.61円付近まで下押しする場面もあったが、2時前には163.84円付近まで再び強含んだ。
【本日の東京為替見通し】ドル円、底堅い展開続く 米次期大統領のドル高牽制には要警戒
本日の東京外国為替市場のドル円は、今月末の日米金融政策決定会合での現状維持観測から底堅い展開が予想されるものの、トランプ次期米大統領のドル高牽制や本邦通貨当局による円安牽制発言には引き続き警戒しておきたい。
昨日のドル円は、ワシントン・ポスト紙の報道「トランプ次期大統領の側近らが、関税の対象を重要な輸入品のみに絞ることを検討」を受けて156.24円まで下落する局面があった。
トランプ関税の範囲が狭まれば物価上昇圧力も弱まるとの思惑から、米連邦準備理事会(FRB)が追加利下げを進めやすくなるとの見方が広がった。
しかし、トランプ氏が「ワシントン・ポストの記事は間違いだ」と、自身のソーシャルメディアプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」に投稿したことで、157円台半ばまで戻して推移している。
日本製鉄がバイデン米大統領によるUSスチール買収禁止に対して提訴したが、買収計画に反対してきたトランプ氏の日本企業による対米投資や買収などに関する見解、そして現状のドル高・円安水準に対する牽制発言が出る可能性などには引き続き警戒しておきたい。
昨日のドル円は157.96円まで上昇したものの、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感や日銀の追加利上げ観測を受けた日本の中長期債利回りの上昇などから上値が抑えられた。
植田日銀総裁は、昨日、賀詞交歓会で挨拶し、経済・物価情勢の改善が続けば政策金利を引き上げる金融調節を行う方針を示した上で、調整のタイミングは「今後の経済・金融・物価情勢次第で、さまざまなリスク要因を注視する必要がある」との認識を示した。
すなわち、12月の日銀金融政策決定会合の後の会見と同様に、第2次トランプ米政権の関税政策や春闘での賃上げのモメンタムという「ワンノッチの情報」を見極めるスタンスが示された。
しかし、オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場が示す今月の日銀金融政策決定会合での追加利上げ確率は46%へ上昇しており、新発10年物国債の利回りも2011年7月以来となる1.125%台まで上昇していることで、ドル円の158円台乗せを阻んでいる。
日銀関連では、9日の日銀支店長会議・地域経済報告での賃上げ動向や14日の氷見野日銀副総裁の神奈川県金融経済懇談会での講演を注目することになる。
本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入に関しては、昨年12月の本邦通貨当局の円安牽制発言が「注視」「適切対応」「憂慮」という段階に留まっており、今後は「断固たる措置」といった円買い介入を示唆するタイミング、為替水準を見極めることになる。
神田前財務官は、ボラティリティー抑制を円買い介入の目安にしていたが、ボラティリティーの上昇を測るボリンジャー・バンド+2σは、現時点では160円台前半に控えている。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 12月マネタリーベース
<海外>
○09:01 ◇ 12月英小売連合(BRC)小売売上高調査(予想:前年同月比▲0.2%)
○09:30 ◎ 11月豪住宅建設許可件数(予想:前月比▲1.0%)
○16:30 ◎ 12月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%)
○16:45 ◇ 12月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.3%/前年比1.4%)
○18:30 ◎ 12月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:54.4)
○19:00 ☆ 12月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比2.4%)
○19:00 ☆ 12月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比2.7%)
○19:00 ◎ 11月ユーロ圏失業率(予想:6.3%)
○22:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○22:30 ◇ 11月カナダ貿易収支(予想:9.0億カナダドルの赤字)
○22:30 ◎ 11月米貿易収支(予想:780億ドルの赤字)
○24:00 ◇ 12月カナダIvey購買部協会景気指数
○24:00 ◎ 11月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数(予想:770.0万件)
○24:00 ☆ 12月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:53.3)
○8日03:00 ◎ 米財務省、10年債入札
○ロシア(新年休暇)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
6日11:26 植田日銀総裁
「昨年の日本経済、賃金・物価の好循環続いた」
「今年も金融緩和度合い調整するタイミングは今後の経済金融物価情勢次第、様々なリスクに留意必要」
「データその他の情報を精緻に分析、経済物価見通し作成している」
「経済物価見通し、月末の展望リポートで政策判断基本材料にする」
「今年は賃金物価バランスよく成長するよう期待」
6日23:00 トランプ次期米大統領
「中国の習近平主席とはおそらく非常に上手くやっていけるだろう」
「バイデン大統領の石油掘削禁止令を即座に解除する」
「ワシントン・ポスト紙の記事は正確ではない」
「関税政策は縮小しない」
6日23:15 クック米連邦準備理事会(FRB)理事
「時間をかけて中立的な水準まで利下げすることが適切になるだろう」
「インフレと雇用に関するリスクはほぼバランスが取れている」
「FRBはより慎重に利下げを進めることができる」
「労働市場はより均衡が取れており、インフレの要因ではない」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=先月下旬の高値圏超えると上値余地を拡大か>
下影陽線引け。
上値を試すも158円の手前で頭を抑えられ、156円前半まで下げ足を速めた。
ただ昨年末の安値手前で支えられると、157.60円台までの切り返しも速かった。
日足一目・転換線は157.05円付近で横ばい。
昨日は突き抜けたものの再び上回ってきており、ひとまず下値めどとして念頭に置いておきたい。
158円超えの先月下旬に抑えられた水準を上抜けると、上値余地を広げることになりそうだ。
レジスタンス2 159.45(2024/7/12高値)
レジスタンス1 158.86(2024/7/16高値)
前日終値 157.62
サポート1 156.59(ピボット・サポート1)
サポート2 155.96(2024/12/20安値)
<ユーロドル=一目・転換線が支持となるか注目>
陽線引け。
1.03ドル割れで支えられて買い優勢となり、1.04ドル前半の日足一目・基準線超えまで上昇。
一巡後は1.03ドル台で上げ幅を縮小するも2手連続の陽線引け。
日足一目・転換線は1.0340ドル台で横ばい。
同線が支持として働くかをまずは注目したい。
上値は先月末に抑えられた1.04ドル半ばがキーポイントに。
超えるようだと、1.05ドル半ばの雲の下限が徐々に意識されてくるだろう。
レジスタンス1 1.0458(2024/12/30高値)
前日終値 1.0390
サポート1 1.0295(1/6安値)
<ポンド円=196円半ばの転換線が目先の下値めど>
大陽線引け。
195円割れから直ぐに切り返し、197.40円台まで大きく値を上げた。
上昇幅を削る場面もあったが下値は固く、ほぼこの日の高値圏で引けた。
日足一目・転換線は196円半ばで横ばいであり、昨日は上下したものの目先の下値めどとして意識されそう。
下抜けると195.30円台の200日線が再び視野に入る。
上値は2日高値197.53円をクリアに超えると、上昇力を強めるだろう。
レジスタンス1 198.31(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 197.37
サポート1 195.39(200日移動平均線)
<NZドル円=下向きの雲の下限が重しとなるか>
陽線引け。
88円割れで下げ渋ると89円前半まで上昇。
先月30日高値の手前で買いの勢いは緩み、88円台まで押し戻されたが、3手連続の陽線引けとなった。
日足一目・転換線は88円半ばで横ばいであり、目先の下押し水準として意識されそうだ。
割り込んでも88.09円の基準線から昨日安値までが支持帯と想定される。
上値は下向きの雲の下限が重しとなるかに注目したい。
レジスタンス1 89.62(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 88.94
サポート1 87.91(1/6安値)
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