本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル高センチメントは変わらず、日銀総裁発言の軌道修正には要警戒(2024年12月23日)

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December 23, 2024

【前日の為替概況】ドル円、3日ぶり反落で一時155円台に下落 ユーロドルは続伸

20日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3営業日ぶりに反落。
終値は156.31円と前営業日NY終値(157.44円)と比べて1円13銭程度のドル安水準だった。
アジア市場では一時157.93円と7月17日以来約5カ月ぶりの高値を付けたものの、そのあとは週末を控えたポジション調整目的の売りが目立った。
日本の政府高官から足もとの円安をけん制する発言が相次いだことで、市場では「政府・日銀による為替介入への警戒感が高まった」との声も聞かれた。

NY市場では米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を判断するうえで重視している11月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)で、変動が激しい食品とエネルギーを除くコア・デフレーターが予想を下回り、米長期金利が低下。
全般ドル売りが優勢となり、3時前に一時155.96円と日通し安値を更新した。

なお、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁は「今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ決定はきわどい判断だった」「一段の政策調整には慎重さが必要とのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の意見に同意する」と述べたほか、「来年の利下げは2回より少なくなる可能性がある」と指摘した。
このほか、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁は「FRBは追加利下げを実施すると想定しているものの、見通しを巡りかなりの不確実性が存在するため、今後の決定はデータ次第」との考えを示した。

ユーロドルは続伸。
終値は1.0430ドルと前営業日NY終値(1.0363ドル)と比べて0.0067ドル程度のユーロ高水準だった。
米物価指標の下振れを受けて、米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.48%台まで低下すると全般ドル売りが活発化。
前日の高値1.0422ドルを上抜けて一時1.0448ドルまで値を上げた。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時107.59まで低下した。

ユーロ円はほぼ横ばい。
終値は163.12円と前営業日NY終値(163.14円)と比べて2銭程度のユーロ安水準。
ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は大きな方向感が出なかった。
NY市場に限れば162円台半ばから後半でのもみ合いに終始した。

【本日の東京為替見通し】ドル高センチメントは変わらず、日銀総裁発言の軌道修正には要警戒

本日の東京時間のドル円は、156円台を中心にもみ合いか。

先週は加藤財務相が「為替動向は、一方的で急激な動きがみられる」、三村財務官は「為替の動向を憂慮、行き過ぎた動きには適切に対応」「投機的な動き含めて憂慮している」と発言するなど、円安へのけん制発言が目立った。
ドル円は7月に行われた介入水準には接近しているが、今回は円安という側面は多少あるものの、それ以上にドル高とも言える。
7月にはユーロ円は175円台、豪ドル円は109円まで外貨高・円安が進んでおり、現在はそれぞれ163円近辺、97円台で推移するなど7月のような円独歩安の展開ではない。
これ以上の円安局面ではドル売り・円買い介入が実施されるかもしれないが、米国の利下げ打ち止め感が漂う中でのドル買い優勢であり、これまでのような介入効果を期待するのは難しいだろう。

今週は、植田日銀総裁が先週の日銀金融政策決定会合後に発言した内容に対して、修正が入るかにも警戒が必要。

植田総裁は会見で、政策決定は「来年の春闘などの情報も必要」と述べ、据え置きによる為替相場の影響については「輸入物価の対前年比は落ち着いている」などと複数回の質疑に回答。
春闘に関しては、3月前に経済団体が政府の要求通りに賃上げを示唆すれば、植田総裁がもう少し情報を得たいとした「来年の春闘に向けたモメンタムなど、今後の賃金動向」について判断することもできるとし、軌道修正する可能性もある。
また、輸入物価指数についても同様に前言を市場が誤解していると修正する可能性もある。

7月の日銀会合後での植田総裁の会見では、今後の更なる利上げを示唆し、市場が驚くほどのタカ派発言をした。
しかし、翌週には内田日銀副総裁が総裁の発言を「市場が誤解していると」と否定しており、今回も繰り返されるかもしれない。
7月同様に日銀幹部の発言で、再び為替市場がボラタイルな動きを繰り返す可能性があることには注意しておきたい。
なお、25日に植田総裁は昨年同様に経団連で講演を行う予定。

なお、本日以後は日本や中国以外の多くの国でクリスマス休場になる。
明日24日はドイツ、スイスが休場になるほか、豪州、香港、英国など多くの国で短縮取引。
25日は日本と中国以外は休場。
26日は米国市場は通常に戻るが、トルコ以外の多くの欧州市場は引き続き休場。
市場流動性がさらに悪化するだけではなく、先週末20日にはオプションカットの設定が様々な通貨、様々な水準に観測されたが、応当日の関係もあり今週はオプションの設定も極端に減少している。
よって、これまでは支えられたり抑えられていた水準も簡単にクリアして振幅の激しくなるリスクには要注意となるだろう。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
特になし

<海外>
○14:00 ◎ 11月シンガポール消費者物価指数(CPI、予想:前年比1.8%)
○16:00 ◇ 11月独輸入物価指数(予想:前月比0.6%/前年比0.3%)
○16:00 ☆ 7-9月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.1%/前年比1.0%)
○16:00 ◇ 7-9月期英経常収支(予想:230億ポンドの赤字)
○21:00 ◇ 11月メキシコ貿易収支(予想:4.32億ドルの黒字)
○22:30 ☆ 10月カナダGDP(予想:前月比0.2%/前年比1.6%)
○22:30 ◇ 11月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比0.3%)
○22:30 ◇ 11月カナダ原料価格指数(予想:前月比0.5%)
○22:30 ◎ 11月米耐久財受注額(予想:前月比▲0.3%/輸送用機器を除く前月比0.3%)
○24:00 ☆ 11月米新築住宅販売件数(予想:前月比9.0%/66.5万件)
○24:00 ◎ 12月米消費者信頼感指数(予想:113.0)
○24日03:00 ◎ 米財務省、2年債入札

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

20日09:54 加藤財務相
「為替動向は、一方的で急激な動きがみられる」

20日12:37 三村財務官
「為替の動向を憂慮、行き過ぎた動きには適切に対応」
「投機的な動き含めて憂慮している」

20日15:17 トランプ米次期大統領
「EUに対し米国の貿易赤字を補うために石油とガスを購入するよう求めた」

20日21:51 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「現時点では利上げを重要なリスクとは考えていない」
「労働市場が著しく弱まれば、利下げ回数は2回より少なくなるか、あるいは2回以上になる可能性がある」
「インフレ率の上昇が利下げの回数が減少した理由の一つだ」
「経済情勢は良好で労働市場は堅調だと関係者から聞いている」
「現在の不確実性のレベルは通常であり、パンデミック時のような状況ではない」
「今後はより多くの意見の相違や見解の違いが予想される」
「ソフトランディングに向けて本当に取り組んでいる」
「来年の利下げ回数は以前考えていたよりもはるかに少なくなると予想している」
「中央値の見通しに納得している」
「2025年に2回の利下げを行うという予測に非常に納得している」
「今後の利下げ前には慎重に様子を見る必要がある」
「より典型的な段階的アプローチに戻ることができる」

20日22:39 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「最近の経済データは連銀の予測と一致している」
「金融政策は適切で、やや制限的」
「9月以降のインフレデータは予想よりやや高く、経済はやや強くなっている」
「来年は成長率が約2%に鈍化し、失業率は安定すると予想」

20日23:03 ハマック米クリーブランド連銀総裁
「FOMCでの反対票はインフレ懸念が理由」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=158円で伸び悩み、20日安値を意識か>

ドル円1223

パラメータ1223

陰線引け。
上伸は157.93円までと2日連続で158円を前に失速。
156円割れの水準で下げ一服となると、156円台前半まで小戻して取引を終えた。

日足一目・転換線は基準線を超え、本日は154.48円に上昇してきた。
7月以来の157円台に乗せた後だけに下値攻めのイメージはしにくいが、20日安値を割ると転換線に向けた一段安もあるか。
156円での底堅さを確認すると多少の戻りは予想されるも、引き続き158円は重いと見る。

レジスタンス1 157.93(12/20高値)
前日終値 156.31
サポート1 155.96(12/20安値)
サポート2 154.48(日足一目均衡表・転換線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=一目転換線を巡る攻防に注目>

ユーロドル1223

パラメータ1223

陽線引け。
3日連続で1.0340ドル台での底堅さを確認すると、1.0448ドルまで上昇して日足一目・転換線に接近した。

転換線は本日1.0440ドル付近まで低下しており、同線を上抜くと、本日1.0483ドルに位置する基準線上抜けに期待がかかる。
とはいえ、三役逆転が点灯中のため、上値の重さが嫌気されると1.0340ドル割れに向けた流れが傾く恐れがある点には注意したい。

レジスタンス1 1.0483(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0430
サポート1 1.0343(12/20安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=下向きの雲の上限を巡る攻防に>

ポンド円1223

パラメータ1223

小陰線引け。
前日の大幅高の反動から197円前半を戻り高値に一時195.70円台まで反落。
日足一目・転換線の手前から雲の上限に向けて切り返すも、2手ぶりの陰線引け。

196.80円台に位置する雲の上限は明日以降に低下する見込み。
先週末は雲の上から失速したということもあり、本日も同水準を巡る攻防が注目される。
雲の中で伸び悩むようだと、195円付近で上向きの200日線が徐々に意識されそうだ。

レジスタンス1 198.95(12/19高値)
前日終値 196.65
サポート1 195.08(200日移動平均線)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=一目雲が重しに、下サイドは転換線を意識>

NZドル円1223

パラメータ1223

陰線引け。
強含んだ場面でも88円後半で頭を抑えられ、88円前半まで反落した。
日足一目・転換線の手前で下げ渋るも、2手ぶりの陰線引け。

19日の大陽線でも雲に届かず、本日も89.30円台の雲の下限が強い抵抗水準となりそうだ。
下サイドは先週末に支えとなった88円付近の転換線を意識。
割り込むようだと、19日レンジの上限から61.8%押し水準をまず目指す展開か。

レジスタンス1 89.37(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 88.41
サポート1 87.67(19日レンジの上限から61.8%押し)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

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