December 20, 2024
【前日の為替概況】ドル円、一時157.81円まで大きく上昇 7/19以来の高値更新
19日のニューヨーク外国為替市場でドル円は大幅に続伸。
終値は157.44円と前営業日NY終値(154.80円)と比べて2円64銭程度のドル高水準だった。
7-9月期米国内総生産(GDP)確定値や前週分の米新規失業保険申請件数、11月米景気先行指標総合指数、11月米中古住宅販売件数など、この日発表の米経済指標が良好だったことが分かると、米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.5923%前後と5月30日以来の高水準を記録。
米長期金利の上昇とともに全般ドル買いが進んだ。
日銀金融政策決定会合や植田和男日銀総裁の会見で「日銀は利上げに慎重」との受け止めが広がったことも円売りを促し、1時過ぎに一時157.81円と7月19日以来5カ月ぶりの高値を更新した。
ユーロドルは3営業日ぶりに小反発。
終値は1.0363ドルと前営業日NY終値(1.0353ドル)と比べて0.0010ドル程度のユーロ高水準だった。
前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に急落した反動でショートカバーが入ると、日本時間夕刻に一時1.0422ドルまで値を上げたものの、買い戻しはあくまでポジション調整の域を出ず長続きしなかった。
NY市場では米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが目立ち、2時過ぎに1.0355ドル付近まで下押しした。
ユーロ円は3日ぶりに大幅反発。
終値は163.14円と前営業日NY終値(160.26円)と比べて2円88銭程度のユーロ高水準。
日銀が早期の利上げに慎重な見方を示したことで全般円売りが優勢になると、0時30分過ぎに一時163.80円と11月21日以来約1カ月ぶりの高値を付けた。
ただ、引けにかけては163.03円付近まで伸び悩んだ。
メキシコペソは底堅い動き。
ドルペソは一時20.2930ペソ、ペソ円は7.76円までペソ高に振れた。
なお、メキシコ中銀はこの日、市場予想通り政策金利を現行の10.25%から10.00%へ引き下げることを決めたと発表。
声明では「今後もより大きな幅でさらなる下方修正が検討される可能性がある」「インフレ率は2026年第3四半期に目標に収束すると予想」との見解が示された。
【本日の東京為替見通し】ドル円、本邦通貨当局の円安抑制措置に要警戒か
本日の東京外国為替市場のドル円は、18日のパウエルFRB議長のタカ派的な利下げと19日の植田日銀総裁のハト派的な利上げ見送りを受けて続伸が予想される中、本邦通貨当局が円安抑制に乗り出す水準を見極めていく展開となる。
米連邦公開市場委員会(FOMC)のドット・プロット(金利予測分布図)では、来年の利下げ回数が2回程度(4.25-50%⇒3.75-4.00%)であることが示唆された。
植田日銀総裁は、追加利上げの判断には来年1月30日のトランプ次期米大統領の就任後の米国の政策や3月の春季労使交渉の賃上げ動向などでの「1ノッチ(段階)」が欲しいとのことで、追加利上げの時期が3月以降になる可能性、すなわち、「時間的余裕」があることが示唆された。
今週の日・米金融政策決定会合は、ドル高・円安に拍車をかけることになったが、上値を抑える要因としては、トランプ次期米大統領による円安を牽制する発言や本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性などに警戒しておきたい。
8時30分に発表される11月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)は、前年比+2.6%と予想されており、10月の同比+2.3%からの上昇が見込まれている。
先行指標である11月のコア東京都区部CPIは、政府の電気・ガス代への補助金が縮小してエネルギー価格が物価を押し上げたことで3カ月ぶりに伸び率が拡大していた。
植田日銀総裁が利上げの条件として賃金動向を挙げていることで、11月コアCPIが予想通りに上昇していても市場への影響は軽微だと思われる。
しかし、総裁は、現在の実質金利は極めて低い水準にあるとの認識を示し、今後、日銀の経済・物価見通しが実現していけば、それに応じて利上げを行い、金融緩和度合いを調整していく、とも述べていた。
コアCPIが前年比+2.6%程度ならば、実質政策金利も実質10年債利回りもマイナスのままであり、円・キャリートレードの環境が再び整うことになる。
植田日銀総裁は、7月の利上げの背景として、輸入物価指数を上昇させる円安の抑制を挙げていたが、昨日は、「輸入物価が上がっていないから円安を気にしていない」と述べていた。
石破首相は「現時点ではデフレ脱却には至っていない」と述べていたが、政府・日銀のアコードに沿って、植田日銀総裁も忖度せざるを得ないのかもしれない。
また、本日は、来年3月までの米国政府予算を手当てする「つなぎ予算案」の採決期限となっているが、トランプ次期米大統領が共和党議員に反対するように促したことで、成立の見込みはなくなっているらしい。
「つなぎ予算案」が成立しなければ、クリスマスに向けて政府機関が一部閉鎖される可能性が高まることになり、米国債格下げの可能性を高めることで、関連ヘッドラインに警戒しておきたい。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ☆ 11月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合、予想:前年比2.6%)
○08:30 ☆ 11月全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く、予想:前年比2.4%)
○未定 ◇ 12月月例経済報告
<海外>
○16:00 ◎ 11月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比0.5%/前年比0.8%)
○16:00 ◎ 11月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比横ばい/前年比0.7%)
○16:00 ◇ 11月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.3%)
○16:45 ◇ 11月仏PPI
○17:30 ◎ 11月香港CPI(予想:前年同月比1.5%)
○19:30 ◎ ロシア中銀、政策金利発表(予想:23.00%に引き上げ)
○21:30 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、メディア出演
○22:30 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、メディア出演
○22:30 ◎ 10月カナダ小売売上高(予想:前月比0.7%/自動車を除く前月比0.5%)
○22:30 ◎ 11月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.5%)
◎ 11月米個人所得(予想:前月比0.4%)
☆ 11月米PCEデフレーター(予想:前年比2.5%)
☆ 11月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.2%/前年比2.9%)
○24:00 ◎ 12月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲14.0)
○24:00 ◎ 12月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:74.0)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
19日12:01 日本銀行声明
「政策金利の現状維持、賛成8、反対1で決定」
「無担保コールレート翌日物の誘導目標を0.25%程度で維持」
「経済・物価巡る不確実性引き続き高い」
「物価の基調的な上昇率、展望リポートの見通し期間後半には物価目標とおおむね整合的な水準で推移する」
「景気、一部に弱めの動きみられる」
「景気の先行き、海外経済が緩やかな成長続けるもとで潜在成長率上回る成長を続ける」
「輸出・生産、横ばい圏内の動き」
「個人消費、物価上昇の影響など見られるものの緩やかな増加基調」
「予想物価上昇率、緩やかに上昇している」
「金融・為替市場の動向や日本経済・物価への影響、十分注視する必要」
「企業の賃金・価格設定行動が積極化、過去と比べ為替の変動が物価に影響及ぼしやすくなっている」
「リスク要因、海外の経済物価・資源価格・企業の賃金価格設定など」
19日15:35 植田日銀総裁
「金融・為替市場の動向や経済・物価への影響を十分注視」
「為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」
「現在の実質金利は極めて低い水準にある」
「見通し通り実現すれば政策金利を引き上げる」
「(金融政策について)来年の春闘などの情報も必要」
「米次期政権の政策巡る不確実性が大きい状況続く」
「利上げのタイミング、データを丹念に点検して判断」
「非伝統的政策手段を今後全く採用しないというわけではない」
「1月会合までに支店長会議などのデータを総合的に判断」
「春闘・トランプ政策、長い期間見ないと全体像判明しない」
「毎回利上げしていくようなパスにはなりにくい」
「利上げペースがゆっくりなのは基調的な物価上昇率の上昇が極めてゆっくりな為」
「次の利上げの判断に至るまでには、もう1ノッチ欲しい」
「次回展望リポートで1ノッチ確度上がるか何ともいえない」
「輸入物価が落ち着いていることも考慮し、為替の影響を判断」
「円安と国力の関係、そういう要素はあまりなかったと判断」
19日17:35 スウェーデン中銀(リクスバンク)声明
「2025年前半にもう一度金利が引き下げられる可能性」
「経済活動に回復の兆しが見られるものの、依然として弱い状態」
「今後の金融政策の策定においてより慎重なアプローチを取る必要があることを示唆」
「今後の金利調整の必要性を慎重に評価」
「2025年のCPIF見通しを+1.6%から+2.0%に上方修正」
19日18:03 ノルウェー中銀(ノルゲバンク)声明
「政策金利は2025年3月に引き下げられる可能性が高い」
「金融政策の緩和を開始する時期が近づいている」
「経済の活動が以前の予想よりも良好に推移している」
「インフレ率は目標に近づき、インフレ圧力は以前の想定よりもやや弱まっている」
「金利見通しについて、今後数年間の金利引き下げ幅がやや小さくなっている」
19日21:00 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
「MPCは6対3で4.75%の据え置きを決定」
「貿易政策の不確実性が大幅に上昇、現時点で英国への影響は不明確」
「政策の引き締めを解除する段階的アプローチが依然として適切」
「ベイリー総裁は2025年の利下げを約束できないと主張」
「総合インフレ率のわずかな上昇を予想」
19日23:21 トランプ次期米大統領
「議会は債務上限を廃止すべき」
「債務上限の廃止を支持する」
20日00:10 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「市場の2月利下げ織り込みは合理的な出発点」
「最近のデータはノイズが多い」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=下向きの調整も19日レンジの半値までか>
大陽線引け。
154円半ばを下押し水準に上昇し、156円後半の11月高値水準を超えて7月19日以来の高値圏となる157円後半まで大きく買われた。
2手連続の大陽線引け。
日足一目・転換線は基準線を超え、昨日の153円後半から本日は154.30円台まで上昇してきた。
大幅上昇後の揺り戻しがあっても、昨日レンジの半値辺りまでか。
上サイドは7/19高値157.86円をこなすと再び上げ足を速めそうだ。
レジスタンス1 158.61(7/17高値)
前日終値 157.44
サポート1 156.13(12/19レンジの半値)
サポート2 154.44(12/19安値)
<ユーロドル=11/22安値を巡る攻防に注目>
小陽線引け。
1.0340ドル台の前日安値の手前から切り返すも、1.04ドル前半では頭を抑えられた。
3手ぶりの陽線引けだが、1.03ドル半ばまで上げ幅を縮めている。
日足一目・転換線は1.04ドル半ばまで低下し、実線が18日安値を下回るとその都度水準を切り下げてくる。
昨日に上値の重さが確認され、下方向へのバイアスは継続。
11月22日につけた年初来安値1.0335ドルを巡る攻防が注目される。
レジスタンス1 1.0456(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0363
サポート1 1.0240(2022/11/22安値)
<ユーロ円=一目雲の上限や200日線が視野に>
大陽線引け。
再び雲の中に入り、18日や17日高値を上抜けて上昇に勢いがついた。
163.80円台の11月21日高値の手前で買いが一服するも3手ぶりの陽線引け。
厚い雲の中で大きく上昇し、164円前半の雲の上限や164.70円台の200日線が視野に入ってきた。
下向き調整が入った場合、162円半ばの17日高値や昨日レンジの半値水準161.80円台がサポートとして意識されそうだ。
レジスタンス1 164.24(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 163.14
サポート1 161.83(12/19レンジの半値)
<豪ドル円=一目雲の下限を巡る攻防に、転換線が支持か>
大陽線引け。
95円後半を下押し水準に切り返すと雲の中に入り込み、一時98円半ばの日足一目・基準線も越えた。
11/28高値の手前で買いが一服するも、3手ぶりの陽線引け。
本日は98円で横ばいの日足一目・雲の下限を巡る攻防がまず注目。
厚い雲が重しとなった場合、97円前半まで上昇してきた転換線が支持として働くか。
目先の上値めどは、昨日に上昇が一服した98.70円台。
レジスタンス1 99.22(11/27高値)
前日終値 98.22
サポート1 97.27(日足一目均衡表・転換線)
Provided by
DZH Finacial Research
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