November 15, 2024
【前日の為替概況】ドル円、4日続伸 米PPIや失業保険申請が予想より強い内容
14日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4日続伸。
終値は156.27円と前営業日NY終値(155.46円)と比べて81銭程度のドル高水準だった。
10月米卸売物価指数(PPI)が総合・コアともに前年比で予想を上回ったほか、前週分の米新規失業保険申請件数が予想よりも強い内容となったことが分かると全般ドル買いが先行。
22時30分過ぎに一時156.19円付近まで値を上げた。
ただ、156円台では利食いなどが出たため、買い一巡後は伸び悩んだ。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.38%台まで低下したことも相場の重しとなり、23時30分過ぎには155.52円付近まで下押しした。
もっとも、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が「堅調な米景気を踏まえれば、利下げを急ぐ必要はない」との見解を表明し、今後の金利については「指標と経済見通し次第だ」と強調すると再び強含んだ。
5時過ぎには一時156.42円と7月23日以来の高値を更新した。
ユーロドルは5日続落。
終値は1.0530ドルと前営業日NY終値(1.0564ドル)と比べて0.0034ドル程度のユーロ安水準だった。
デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁が「インフレ率が目標の2%に達する軌道にあることを最近のデータが示している」として、「ECBは一段の利下げの方向に進んでいる」との考えを示すとユーロ売り・ドル買いが先行。
20時過ぎに一時1.0497ドルと昨年10月13日以来の安値を更新した。
ただ、昨年10月3日の安値1.0448ドルが重要なサポートとして意識されると買い戻しが優勢に。
米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りも入り、1時30分前には1.0582ドルと日通し高値を付けた。
もっとも、パウエルFRB議長の講演を受けて米利下げペースが想定よりも緩やかになるとの見方が強まると、米長期金利が低下幅を縮小し、ユーロ売り・ドル買いが優勢に。
6時前には一時1.0512ドル付近まで下押しした。
ユーロ円は上昇。
終値は164.55円と前営業日NY終値(164.24円)と比べて31銭程度のユーロ高水準。
20時過ぎに一時163.81円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。
1時前には164.98円と日通し高値を更新した。
引けにかけては164円台半ばで伸び悩んだ。
代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは軟調だった。
対ドルでは一時8万7020ドル前後まで下落したほか、対円では1361万円台まで売られる場面があった。
前日に史上最高値を更新したあとだけに利益確定目的の売りが優勢となった。
【本日の東京為替見通し】ドル円、パウエルFRB議長発言でトランプ・トレード継続か
本日の東京外国為替市場のドル円は、パウエルFRB議長発言「利下げ急ぐ必要ない」を受けてトランプ・トレード(米国債売り・ドル買い)の継続が予想されるものの、引き続き本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には警戒しておきたい。
パウエルFRB議長の発言を受けて、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、12月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げ確率は80%台から60%台へ低下、据え置き確率は20%前後から40%弱まで上昇している。
パウエルFRB議長は、9月FOMCでの第1次利下げ(▲0.50%)の後の記者会見で、金融政策の再調整「リキャリブレーション(recalibration)」という単語を10回程度発していたが、今回は1回しか確認できず、利下げサイクルの一時停止の意図が示された。
かつて、2016年12月のFOMCでは、イエレン第15代FRB議長やパウエルFRB理事は、トランプ第45代大統領の経済政策(減税や輸入関税)への対応策として、インフレ抑制のために金利をより高くする必要があるかもしれないとの結論に達していた。
2024年12月のFOMCでは、パウエルFRB議長は、トランプ第47代大統領の経済政策(減税や輸入関税)への対応策を協議せざるを得ない状況に追い込まれつつあるのかもしれない。
一方、パウエルFRB議長は「経済が弱まれば利下げの余地は大きい。
データで利下げ減速可能になるなら正しい行動のように思える」とも述べており、12月FOMCの前の12月6日に発表される米11月雇用統計まで予断を許さない状況が続くことになる。
ドル円は、トランプ・トレードの継続により156.42円まで上昇し、神田前財務官が退任前に円買い介入を断行した水準(157円台、159円台、160円台、161円台)に接近しており、本日も本邦通貨当局による円買い介入の可能性には警戒しておきたい。
8時50分に発表される7-9月期GDP速報値は前期比年率+0.7%と予想されており、物価高を受けた消費の伸び悩みなどにより、4-6月期の同比+2.9%からの成長鈍化が見込まれている。
しかし、1-3月期のマイナス成長から2四半期連続のプラス成長となっていることは、現状の円安基調や第2次トランプ米政権でのインフレ懸念などから、12月日銀金融政策決定会合での追加利上げの可能性を残すことになる。
11時に発表される10月中国鉱工業生産は前年比+5.6%と予想されており、9月の同比+5.4%から改善が見込まれ、中国小売売上高は同比+3.8%と予想されており、9月の同比+3.2%からの改善が見込まれている。
先日の全人代常務委員会で公表された財政出動は、景気対策が力不足だったが、来年は第2次米中貿易戦争という難題が控えているため、中国経済の減速懸念が高まりつつある。
中国人民元、さらに豪ドルや円の売り要因となりうるネガティブサプライズには警戒しておきたい。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ☆ 7-9月期実質国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比0.2%/前期比年率0.7%)
○13:30 ◇ 9月第三次産業活動指数(予想:前月比0.2%)
○13:30 ◇ 9月鉱工業生産確報
○13:30 ◇ 9月設備稼働率
<海外>
○11:00 ◎ 10月中国鉱工業生産(予想:前年比5.6%)
○11:00 ◎ 10月中国小売売上高(予想:前年比3.8%)
○16:00 ◇ 10月独卸売物価指数(WPI)
○16:00 ☆ 9月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.2%)
○16:00 ☆ 7-9月期英GDP速報値(予想:前期比0.2%/前年比1.1%)
○16:00 ◎ 9月英鉱工業生産(予想:前月比0.1%/前年比▲1.2%)
○16:00 ◎ 9月英製造業生産高(予想:前月比▲0.1%)
○16:00 ◇ 9月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:162.00億ポンドの赤字/12.00億ポンドの赤字)
○16:30 ◇ 10月スイス生産者輸入価格
○16:45 ◇ 10月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.2%/前年比1.2%)
○17:30 ◎ 7-9月期香港域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比▲1.1%/前年比1.8%)
○22:30 ◎ パネッタ伊中銀総裁、講演
○22:30 ◇ 9月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲0.8%)
○22:30 ◇ 9月カナダ卸売売上高(予想:前月比0.9%)
○22:30 ☆ 10月米小売売上高(予想:前月比0.3%/自動車を除く前月比0.3%)
○22:30 ◎ 11月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:▲0.7)
○22:30 ◇ 10月米輸入物価指数(予想:前月比▲0.1%)
○23:00 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、あいさつ
○23:15 ◎ 10月米鉱工業生産(予想:前月比▲0.3%)
◇ 設備稼働率(予想:77.2%)
○24:00 ◇ 9月米企業在庫(予想:前月比0.2%)
○24:00 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、討議に参加
○16日00:15 ◎ チポローネECB専務理事、講演
○アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議(ペルー・リマ、16日まで)
○インド(シーク教ナナック生誕日)、ブラジル(共和制宣言記念日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
14日08:59 ブロック豪準備銀行(RBA)総裁
「金利は十分に制限的な水準にあり、インフレに確信が持てるまでその水準を維持する」
「世界的に債券市場はかなり落ち着いた動き」
「債券市場は政府債務の増加を反映している」
14日18:10 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「インフレはかなり低下してきた」
「最近の価格データは2%の目標に向かっていることを示している」
「インフレが目標に向かって収束すれば、金融政策もそれに応じて対応するだろう」
14日21:34 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(10月17日分)
「長期的なインフレ見通しに対するリスクは再び上振れ傾向にある」
「全体的には抑制された利下げサイクルになると予想」
「インフレは今後数カ月で上昇し、2025年中に目標値まで低下すると予想」
「成長見通しに対する下振れリスクとそれに伴うインフレ圧力の弱まりが顕著になっていることが示唆された」
「タイムリーかつ持続可能な目標への回帰という点で勝利を宣言するのは時期尚早」
「適切な引き締め水準と期間を決定するにあたり、引き続きデータに依存し、会合ごとにアプローチしていく」
「特定の金利経路について事前に約束すべきではない」
14日21:44 クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「労働市場が失速した場合、徐々に金利を引き下げることが適切」
「ディスインフレの進展が停滞すれば、利下げの一時停止が必要となる可能性」
「インフレ圧力の緩和、かなりの進展があった」
14日23:48 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「FRBは大きな進展を遂げているが、それを維持しなければならない」
「住宅需要は依然として供給を上回っている」
「企業は依然として長期的に労働力が不足していると感じており解雇はしていないが雇用の伸びは鈍化」
「現在の失業率は問題ない」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=5日線の上昇ともない上値を広げる強い動き継続>
陽線引け。
すう勢を示す5日移動平均線の上昇をともない上値を広げる強い動きが続いた。
一時156.42円と、7月23日以来の高値をつけた。
高値圏で短期移動平均線である5日線からもやや離れ気味となってきたこともあり、調整が入る余地はある。
しかし155円台では底堅さを示すことが期待でき、押し目が多少深めになっても5日線前後が目先の下げ渋りのポイントになりそう。
レジスタンス1 157.10(7/23高値)
前日終値 156.27
サポート1 155.61(ピボット・サポート1)
サポート2 155.27(5日移動平均線)
<ユーロドル=転換線さらに低下角度を強めそう>
下影陰線引け。
一時1.0497ドルと、昨年10月13日以来の安値水準まで下落が進んだ。
久しぶりの1.05ドル割れ水準から多少戻したものの反発は鈍い。
本日1.0580ドル付近へ低下した5日移動平均線をどうにか回復して昨日の下落幅を取り戻す程度の動きしか期待できない。
レンジの切り下がりにより、一目均衡表・転換線が来週末には1.05ドル台まで低下しそうなこともネガティブな材料となる。
レジスタンス1 1.0582(11/14高値)
前日終値 1.0530
サポート1 1.0448(2023/10/3安値)
<ユーロ円=基準線を回復も、転換線前後が重い>
小陽線引け。
終値ベースで一目均衡表・基準線164.27円以下へ押し戻される動きが少し続いたものの、昨日は同線を上回って引けることができた。
現状からすれば基準線は来週末にも小幅に切り上がる見込み。
底堅さの示唆の1つと考えることもできる。
ただ、低下傾向の一目・転換線164.66円前後で重い動きになりがち。
すっきりしない推移が続きそうだ。
レジスタンス1 165.08(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 164.55
サポート1 163.81(11/14安値)
<豪ドル円=200日線を上回る動きに>
極小陽線引け。
相場の強弱を判断する上の分岐点である200日移動平均線を上回る水準を維持して推移した。
同線は本日100.65円前後に位置している。
週初11日のレンジに、以降はとどまっており方向感が限られるものの底堅い。
200日線を再び割り込んだり今週のレンジを下回ったりしても、先週末8日の急落局面で下落が止まった100.15円前後が目先の下げ渋りポイントになるとみる。
レジスタンス1 101.36(11/11高値)
前日終値 100.86
サポート1 100.15(11/8安値)
Provided by
DZH Finacial Research
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