November 13, 2024
【前日の為替概況】ドル円154.92円まで続伸、米10年債利回りが4.44%台へ上昇
12日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。
終値は154.61円と前営業日NY終値(153.72円)と比べて89銭程度のドル高水準だった。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.44%台まで上昇すると全般ドル買いが先行。
レジスタンスとして意識されていた7日の高値154.71円を上抜けて一時154.92円と7月30日以来の高値を更新した。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時106.18と5月1日以来の高値を付けた。
米大統領選挙でトランプ前大統領の当選が確実になって以降、輸入品への関税引き上げでインフレが再燃するとの懸念や、財政出動が増えるとの見方を背景に米長期金利が上昇傾向にあり、ドルが買われやすい地合いとなっている。
ユーロドルは3日続落。
終値は1.0623ドルと前営業日NY終値(1.0655ドル)と比べて0.0032ドル程度のユーロ安水準だった。
独連立政権崩壊でユーロ圏景気への懸念が意識される中、欧州時間発表の11月独ZEW景況感指数が予想を下回ると全般ユーロ売りが優勢となった。
米長期金利の上昇に伴うドル買いも入り、4月16日の安値1.0601ドルを下抜けて一時1.0595ドルと昨年11月以来約1年ぶりの安値を更新した。
市場では「トランプ・トレードの継続と独政局不安で下サイドへの警戒感が強い」との声が聞かれた。
ユーロ円は続伸。
終値は164.25円と前営業日NY終値(163.77円)と比べて48銭程度のユーロ高水準。
ドル円の上昇につれた円売り・ユーロ買いが優勢になると、取引終了間際に一時164.33円と日通し高値を更新した。
代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは底堅い動き。
NY序盤に対ドルで8万5133ドル前後まで下押ししたものの、引けにかけては再び強含んだ。
6時前には8万9956ドル前後まで上昇し、日本時間夕刻に付けた史上最高値8万9968ドル前後に迫った。
対円では1389万円台まで買われ、過去最高値を記録した。
仮想通貨に好意的とみられるトランプ氏の米大統領選勝利が引き続き材料視された。
【本日の東京為替見通し】ドル円、米10月CPIの伸び率上昇予想から155円の攻防か
本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ・トレード(米国債売り・ドル買い)や今夜発表される米10月消費者物価指数(CPI)の伸び率上昇予想を背景に続伸が見込まれているものの、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には警戒しておきたい。
ドル円が155円台に乗せた場合は、トランプ次期米大統領のドル安志向と整合的な本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には警戒しておきたい。
トランプ次期米大統領は、第1次トランプ政権でもドル高を牽制していたが、今年4月には、ドル円で34年ぶりの高値を付けたことに関して、米国の製造業にとって「大惨事だ」と述べていた。
トランプ・トレードは、第2次トランプ政権での公約の実現(関税と減税)を材料視しているが、トランプ関税は米国の製造業保護のための防波堤であり、為替政策でもドル安を志向することが見込まれている。
8時50分に発表される10月企業物価指数では、植田日銀総裁が「第1の力」として注視している輸入物価指数に注目しておきたい。
9月の輸入物価指数は前年比-2.6%に落ち込み、ドル円が161円台まで上昇していた7月の同比+10.7%、植田ショックで140円台まで下落した8月の同比+2.5%から低下傾向にあった。
10月のドル円は140円台から150円台へ円安気味に推移していたことで要注目か。
植田日銀総裁は、物価の動向を「第1の力」と「第2の力」に分けて説明してきた。
「第1の力」は起点となる輸入物価の上昇圧力が止まれば次第に和らいでいく一時的な性質のものであり、「第2の力」は、企業の賃金・価格設定行動の変化を伴いつつ、より持続的に物価上昇率を高めていくことが想定されるとのことである。
また今夜は米10月CPIが発表されるが、2022年、2023年と続いた「CPIショック」の再現には警戒しておきたい。
米10月CPIは前年比+2.6%と予想されており、9月の同比+2.4%からの伸び率上昇が見込まれていることで、ドル買い要因となっている。
米10月のCPIに関しては、これまで、予想を下回るサプライズがあった。
2022年11月10日に発表された10月の米CPIが市場予想を下回ったため、ドル円は146円台半ばから141円を割り込むまで円高・ドル安が進んだ。
2023年11月に発表された10月の米CPIも市場予想を下回り、ドル円は151.80円台から150.10円台まで円高・ドル安が進んだ。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 10月企業物価指数(予想:前月比横ばい/前年比3.0%)
<海外>
○07:00 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○07:30 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○09:30 ◎ 7-9月期豪賃金指数(予想:前期比0.9%)
○18:45 ◎ マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○22:30 ☆ 10月米消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比2.6%)
☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比3.3%)
○23:30 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○23:45 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、あいさつ
○14日01:00 ☆ 7-9月期ロシア国内総生産(GDP)速報値(予想:前年比3.0%)
○14日01:00 ◎ 10月ロシアCPI(予想:前月比0.9%)
○14日03:00 ◎ ムサレム米セントルイス連銀総裁、講演
○14日03:30 ◎ シュミッド米カンザスシティー連銀総裁、あいさつ
○14日04:00 ◎ 10月米月次財政収支(予想:2110億ドルの赤字)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
12日17:39 レーン・フィンランド中銀総裁
「製造業の悪化により、成長見通しは悪くなっている」
「デフレが軌道に乗れば、更なる利下げが必要だろう」
「政策の方向性は明確」
「今、我々に必要なのは新たな貿易戦争ではない」
12日18:38 ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト
「基調的インフレ上昇圧力は根強い」
「政策金利の調整、漸進的に行われる可能性が高い」
13日00:16 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「経済がどう変化してもFRBは対応できる」
「雇用市場は依然として底堅い」
「米国の消費者は価格にますます敏感になっている」
「米国経済はかなり好調に見える」
「今後、労働市場は好調かもしれないし、弱まり続けるかもしれない」
「インフレは抑制されつつあるかもしれないし、FRBの2%目標を上回って行き詰まるリスクがあるかもしれない」
「経済の展開次第で、FRBの焦点はインフレ上昇リスクか雇用下降リスクに向けられるかもしれない」
13日04:09 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「12月までにインフレ率が予想以上に上昇した場合、政策決定を見直す可能性がある」
「住宅市場の状況を考えると、インフレ率を2%まで完全に下げるには、1-2年かかる可能性がある」
「インフレに勝利したと宣言したくはないが、自信を持つだけの十分な理由がある」
「労働市場が強固な状態が続き、経済も好調を維持する見込み」
「FRBはトランプ政権の経済政策が明確になるまでは、その影響を経済モデルに組み込まないだろう」
「関税は価格の一時的な上昇を引き起こすものであり、それ自体がインフレをもたらすものではない」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=転換線割れまで耐えられる必要ありか>
陽線引け。
153円半ばを割り込んだところでは下げ渋り、一目均衡表・転換線までの下押しはできずに反発し、7月30日以来の高値を更新した。
7月30日高値は日銀の利上げ開始前日の水準でもあることで、テクニカル面以外にも意識される重要な水準だが、買いトレンドを止めるのは難しいか。
本日は下値を支えそうな日足・転換線が現行水準とかなり離れていることもあり、丁寧に拾っていく必要がありそうだ。
11日高値や5日移動平均線まで下押したところからは拾い、転換線割れまで耐えられるようにしておきたい。
レジスタンス2 155.99(7/24高値)
レジスタンス1 155.22(7/30高値)
前日終値 154.61
サポート1 153.71(5日移動平均線)
<ユーロドル=上値には低下傾向を辿る重要ポイント多数>
陰線引け。
4月に複数回トライするものの割り込めなかった1.06ドルを小幅に下抜け、年初来安値となる1.05ドル台まで弱含んだ。
買い戻しも浅く地合いの弱さが目立っている。
本日は昨日高値近辺で売りで臨みたい。
超えた場合は5日移動平均線や11日高値近辺では上値が重くなりそうだ。
また、1.07ドル半ばには低下傾向をたどる一目・転換線、その上の1.08ドル手前には同・基準線や21日移動平均線等重要なポイントもあり、大きく反発するのは難しそうだ。
レジスタンス1 1.0684(5日移動平均線)
前日終値 1.0623
サポート1 1.0559(ピボット・サポート2)
<ユーロ円=一目基準線をめぐる攻防>
陽線引け。
昨日は8日安値に迫るものの割り込めずに反発した。
しかし、11日高値にも届くことができず日足一目均衡表・基準線を挟んでの攻防となり引けている。
本日は11日高値で、低下して同水準に並ぶ一目・転換線近辺で売りで臨み、200日移動平均線をクリアに超えた場合は手仕舞い。
大きくレンジを広げるのも難しいと思われることで、下値も昨日安値手前では着実に利食っておきたい。
レジスタンス1 164.88(200日移動平均線)
前日終値 164.25
サポート1 163.25(11/12安値)
<豪ドル円=重要ポイント回復して引ける>
小陰線引け。
日足一目均衡表・転換線、同・基準線、200日移動平均線など重要な水準は支えにはならずに一時割り込んだ。
しかし、引け値水準はこれらの水準を回復している。
当面はここ数日続くレンジ内で方向感なく上下することが見込まれる。
レジスタンス1 101.69
前日終値 101.01
サポート1 100.50(11/12安値)
Provided by
DZH Finacial Research
「投資を面白く、投資家を笑顔に」をスローガンに、株式や為替など様々な金融マーケットの情報を提供。
豊富な経験を持つエキスパートが多数在籍し、スピーディー且つオリジナルな視点からの情報をOANDA Labに配信しています。
会社名:株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
所在地:東京都中央区明石町8番1号 聖路加タワー32階
商号等:【金融商品取引業者】投資助言業/【登録番号】関東財務局長(金商)907号
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。