November 7, 2024
【前日の為替概況】ドル円、154.70円まで急騰 トランプ・トレードが活発化
6日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3営業日ぶりに大幅反発。
終値は154.63円と前営業日NY終値(151.62円)と比べて3円01銭程度のドル高水準だった。
5日投開票された米大統領選で共和党のトランプ前大統領の当選が確実になると、「トランプ・トレード」の動きが活発化。
米国株相場は急上昇し、米国債は急落(金利は急騰)、ドルは主要通貨に対して大きく買われた。
3時過ぎには一時154.70円と7月30日以来の高値を更新した。
節目の155.00円や7月30日の高値155.22円、7月18日の安値155.38円がレジスタンスとして意識されると伸び悩む場面もあったが、下押しは限定的だった。
ユーロドルは3日ぶりに反落。
終値は1.0729ドルと前営業日NY終値(1.0930ドル)と比べて0.0201ドル程度のユーロ安水準だった。
トランプ氏の当選が確実になると米財政拡大やインフレ圧力の増大につながる政策が進みやすくなるとの観測から米長期金利が急騰し、為替市場ではドル全面高の展開に。
22時過ぎに一時1.0683ドルと6月27日以来の安値を更新した。
米長期金利の指標となる米10年債利回りは一時4.4768%前後と7月1日以来約4カ月ぶりの高水準を記録した。
ただ、急ピッチで下落した反動で利益確定目的のユーロ買い・ドル売りなどが入ると下げ渋った。
米30年債入札後に米長期金利が上昇幅を縮小した影響もあり、3時30分前には1.0758ドル付近まで下げ幅を縮めた。
ユーロ円は小幅ながら続伸。
終値は165.91円と前営業日NY終値(165.73円)と比べて18銭程度のユーロ高水準。
ユーロドルの下落につれた売りが先行すると、21時30分過ぎに一時164.93円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は一転上昇した。
ドル円の上昇につれた買いが入ったほか、ユーロドルの下げ渋りにつれた買いが入り一時166.10円と日通し高値を付けた。
米国株高に伴う円売り・ユーロ買いも出た。
【本日の東京為替見通し】ドル円、今夜のFOMCでの追加利下げ観測で上値が重い展開か
本日の東京外国為替市場のドル円は、「レッド・スウィープ」(トランプ共和党候補&上下両院での共和党勝利)によるインフレ上昇懸念が高まる中での米連邦公開市場委員会(FOMC)の追加利下げ観測から上値が重い展開が予想される。
米大統領・上下両院議会選挙では、バイデン米政権の経済政策や物価高(バイデンフレーション)への不満から「レッド・スウィープ」の可能性(※上院は共和党が過半数を獲得したが、下院は開票中)が高まりつつあり、トランプ・トレード(米国債売り・ドル買い)が活発化している。
トランプ第47代米大統領は、米製造業保護の観点からドル安政策を標榜することが予想されるため、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入のハードルは低くなったと思われる。
昨日のドル円は154.70円まで上昇したが、155円台に乗せて160円に向けた上昇トレンドに拍車がかかるような局面では、円買い介入の可能性に警戒しておきたい。
直近の円買い介入の水準は、7月12日が159円台、7月11日が161円台、5月1日が157円台だった。
昨日から本日にかけて開催されているFOMCでは、0.25%の追加利下げ、そして12月のFOMCでも0.25%の追加利下げが見込まれている。
前回9月のFOMCで0.50%の利下げが決定された時の米10年債利回りは3.7%付近だった。
現在の米10年債利回りは4.47%台まで上昇しており、トランプ・トレードで債券売りを主導している「債券自警団」(財政緊縮の道筋に回帰させようと債券を売る投資家)は、5%を目指しているらしい。
参考までに、米連邦準備理事会(FRB)は、バランスシートの縮小という量的金融引締政策(QT)を行っており、月額250億ドルの米国債を売却中である。
また、米格付け会社ムーディーズは「どちらの候補が当選しても米国の財政状況は弱体化する可能性が高い」と指摘して、大統領選後に米国の信用格付けを引き下げることを警告していた。
米国債格下げの可能性には警戒しておきたい。
トランプノミクス2.0では、関税引き上げ(中国60%、その他10%)、減税(個人所得税や法人税)と大規模な財政出動が見込まれており、物価は上昇(トランプ・フレーション)することが見込まれている。
しかし、パウエルFRB議長は、インフレ伸び率の鈍化や雇用情勢の悪化を受けて、利下げ路線を断行しつつある。
パウエルFRB議長の記者会見では、天敵でもあるトランプ氏の復活とトランプフレーションの可能性を受けて、今後の利下げサイクルへの言及に要注目となる。
金利先物市場ではFRBが現在の利下げサイクルを来年6月時点のFF金利誘導目標3.75-4.00%付近で終了するとの見方が織り込まれている。
トランプ氏は、以前、大統領は金融政策について「発言権」を持つべき、すなわち、大統領が金利の変更について中銀トップ(※パウエルFRB議長)に意見を述べるのは妥当、との考えを示していた。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◇ 9月毎月勤労統計(現金給与総額、予想:前年比3.0%)
<海外>
○07:00 ◎ ブロック豪準備銀行(RBA)総裁、議会証言
○09:30 ◇ 9月豪貿易収支(予想:53.00億豪ドルの黒字)
○未定 ◎ 10月中国貿易収支(予想:760.3億ドルの黒字)
○16:00 ◎ 9月独鉱工業生産(予想:前月比▲1.0%/前年同月比▲3.0%)
○16:00 ◇ 9月独貿易収支(予想:209億ユーロの黒字)
○16:00 ◎ 10月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%/前年比1.5%)
◎ コア指数(予想:前月比0.3%/前年比1.3%)
○16:35 ◎ ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁、講演
○17:10 ◎ シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:30 ◎ スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:2.75%に引き下げ)
○18:00 ◎ ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:4.50%で据え置き)
○19:00 ◎ 9月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.4%/前年比1.3%)
○19:45 ◎ エルダーソンECB専務理事、講演
○21:00 ☆ 英中銀(BOE)、政策金利発表(予想:4.75%に引き下げ)
○21:00 ☆ 英中銀MPC議事要旨
○21:00 ◎ 10月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比4.72%)
○21:00 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○21:00 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演
○21:30 ◎ ベイリーBOE総裁、記者会見
○22:30 ◎ レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○22:30 ◇ 7-9月期米非農業部門労働生産性・速報値(予想:前期比2.3%)
○22:30 ◇ 7-9月期米単位労働コスト・速報値(予想:前期比1.0%)
○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.1万件/187.5万人)
○24:00 ◇ 9月米卸売売上高(予想:前月比0.2%)
○8日04:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:4.50-4.75%に引き下げ)
○8日04:30 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○8日05:00 ◇ 9月米消費者信用残高(予想:145.0億ドル)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
6日08:54 9月19-20日分の日銀金融政策決定会合議事要旨
「金融緩和の一段の調整は不確実性が低下した段階にするのが妥当」
「緩和的な金融環境を粘り強く続ける我慢の局面」
「見通しが実現していけば、政策金利引き上げを共有」
「実質金利は、マイナスで推移している」
「企業の資金調達コストは上昇しているが、総じてみればなお低水準で推移している」
「ある委員、現時点では本格的な引き締め政策への転換を連想させるような追加的な政策金利変更は望ましくない」
「1人の委員、今後の政策運営は下方リスクに十分配慮し、データを慎重に確認して進める必要」
「海外経済や市場動向が、日本経済や物価見通し等に及ぼす影響を見極める時間的な余裕ある」
「1人の委員、金融資本市場が不安定な状況で利上げすることはできない」
6日16:20 林官房長官
「為替市場の動向、緊張感をさらに高めて注視する」
「為替相場は安定的に推移することが重要だ」
6日16:33 トランプ米共和党候補
「これは政治的勝利」
「選ばれるという名誉を与えてくれたアメリカ国民に感謝」
「私はすべての市民のために戦う」
7日02:50 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「トランプ氏勝利で世界経済のリスクが高まる」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=7/30高値が視野に、上向きバイアス高まる>
大陽線引け。
151円前半で前日安値を割り込んだところから反発。
日足一目・転換線を上抜けると上昇力を強めて154円後半まで急騰し、7月30日高値155.22円が視野に入った。
上値めどと見られた10月28日高値153.88円をしっかりと上回り、上方向へのバイアスが高まっている。
目先は153円後半を下値めど、割り込んだ場合でも153円まで水準を切り上げた転換線が支持水準として意識されるだろう。
レジスタンス2 155.99(7/24高値)
レジスタンス1 155.22(7/30高値)
前日終値 154.63
サポート1 153.88(10/28高値)
サポート2 153.00(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロドル=1.08ドル台で下向きの転換線や基準線が抵抗>
大陰線引け。
200日移動平均線や日足一目・転換線を下抜けて下落圧力が増すと、6月以来の1.07ドル割れまで売り込まれた。
一巡後は持ち直すも、3手ぶりの陰線引け。
一目・転換線や基準線は1.08ドル台で水準を切り下げ、下向きトレンドの強さを示している。
上サイドへの調整があった場合でも転換線1.0810ドルや基準線1.0866ドルが抵抗水準として働くと想定。
レジスタンス1 1.0810(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0729
サポート1 1.0666(6/26安値)
<ポンド円=199円後半の10/30高値を睨んだ動き>
大陽線引け。
197円台で日足一目・転換線を下回ったところでは支えられて切り返した。
199円半ばまで上げ幅を大きく拡大するも、10月30日高値199.81円を前に上昇は一服。
本日は10月30日高値を睨みながらの値動きか。
同水準から節目200円をしっかりと上抜けるようであれば、7月24日以来の201円台も意識される。
レジスタンス1 200.01(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 199.16
サポート1 198.44(11/6レンジの半値)
<NZドル円=200日線の突破に期待>
陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中だ。
本日は92.22円に位置する200日線の突破に期待がかかる。
その上には9月27日高値92.29円もあり、同水準も上回ると1カ月以上続いたレンジ(概ね90円前半から92円前半)上抜けで上昇に勢いが出る可能性がある。
レジスタンス1 92.29(9/27高値)
前日終値 91.80
サポート1 91.20(日足一目均衡表・転換線)
Provided by
DZH Finacial Research
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