October 31, 2024
【前日の為替概況】ポンドドル、英予算案で乱高下 1.2937ドル~1.3043ドル~1.2960ドル台
30日のニューヨーク外国為替市場でドル円は小幅に4日続伸。
終値は153.42円と前営業日NY終値(153.36円)と比べて6銭程度のドル高水準だった。
欧州時間に一時152.78円まで下落したものの、昨日安値の152.76円が目先のサポートとして意識されると反発。
10月ADP全米雇用報告が23.3万人増と市場予想(11.4万人増)より強い結果となり、米長期金利が上昇するにつれて日通し高値となる153.49円まで切り返した。
その後は10年債利回りが4.19%台まで低下した場面では152.87円付近まで下押ししたが、利回りが4.30%台まで一転上昇すると153.43円付近まで切り返すなど、米金利の動向に振らされる展開となった。
週後半にかけて日銀金融政策決定会合や10月米雇用統計を控えていることもあり、ポジションを一方向に傾けづらい面もあった。
ユーロドルは3日続伸。
終値は1.0856ドルと前営業日NY終値(1.0819ドル)と比べて0.0037ドル程度のユーロ高水準。
良好な米雇用指標を受けて1.0808ドルまで下押しする場面があったが、下値は堅かった。
独10年債利回りが7月29日以来の水準まで上昇幅を拡大すると1.0871ドルまで上値を伸ばした。
ポンドドルは荒い値動き。
7月の総選挙での政権交代後、初となる労働党による予算案発表を前に警戒売りが先行し、一時1.2937ドルまで下落した。
リーブズ財務相が発表した予算案では国民保険料の引き上げなどで400億ポンド規模の増税が明らかになった。
また、予算責任局(OBR)が発表したインフレ目標が上方修正されたことで英利下げ観測が後退し、英長期金利の上昇とともにポンド買いが優勢に。
一時1.3043ドルまで買い上げられたが、それでも利下げを期待する向きは依然として根強く、一巡すると1.2960ドル台まで押し戻された。
ユーロ円は4日続伸。
終値は166.55円と前営業日NY終値(165.91円)と比べて64銭程度のユーロ高水準だった。
一時165.51円まで下げる場面も見られたが、独金利上昇を手掛かりにユーロ高が進むと7月30日以来の高値となる166.60円まで上昇。
その後も引けにかけて高値圏を維持した。
【本日の東京為替見通し】ドル円、日銀の展望リポートや植田総裁の会見に要注目
本日の東京外国為替市場のドル円は、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」や植田日銀総裁の会見に注目する展開となる。
金融政策については、政治情勢の不確実性が高まっていることで現状維持が見込まれている。
植田日銀総裁は9月の会合で、円安修正が物価見通しの上振れリスクを低下させていること、米国経済に下振れリスクがあることを指摘していた。
しかしながら、現状は日本の政治情勢の不確実性が加わったため、追加利上げの先送り観測が高まっている。
政権の枠組みが流動的なことに加え、法案成立などで連携が想定される野党は景気刺激的な金融・財政政策を主張している政党が多く、利上げによる金融政策の正常化には慎重にならざるを得ないとの見方が優勢となっている。
展望リポートでは、「経済・物価見通しが実現すれば、利上げで金融緩和度合いを調整していく」との方針は維持されることが見込まれている。
注目ポイントは、ターミナルレート(利上げの最終到達点)が中立金利水準と見なされている1.0%付近なのか否かを見極めることになる。
植田総裁の記者会見では、追加利上げまでの「時間的な余裕」の言及に注目。
賃金と消費者物価の上昇が続き、ドル円が7月31日の植田ショックの時の高値153.88円に面合わせする中、12月会合なのか、それとも来年以降にずれ込むのかに市場の目が集まる。
本日のリスクシナリオとしては、2022年9月22日の再現に警戒しておきたい。
当時は、黒田日銀総裁が日銀会合の後の会見で「当面金利引き上げない」と述べたことで、ドル円は145.90円まで上昇し、本邦通貨当局がドル売り・円買い介入に踏み切り、140円台まで急落した。
植田日銀総裁のこれまでの見解を振り返っておきたい。
・ハト派的:「不確実性が大きい場合には、政策変更を慎重に段階的に進めたい。追加利上げを判断するのに、時間的な余裕はある」
・タカ派的:「現在も実質金利が極めて低い水準にあることを踏まえると、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」
「政治家の立場がどうであれ、適切に金融政策運営を行う。今後、政策の正常化の規模はどの程度が適切か、合計利上げ幅を時間軸でどのように配分するのが最善かを考えている」
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 9月鉱工業生産速報(予想:前月比1.0%/前年比▲3.2%)
○08:50 ◇ 9月商業販売統計速報(小売業販売額、予想:前年比2.3%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○未定 ☆ 日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表(予想:0.25%で据え置き)
○未定 ◎ 経済・物価情勢の展望(10月、基本的見解)
○14:00 ◇ 9月新設住宅着工戸数(予想:前年比▲4.1%)
○15:30 ☆ 植田和男日銀総裁、定例記者会見
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
<海外>
○09:00 ◇ 10月ANZ企業信頼感
○09:30 ◇ 7-9月期豪輸入物価指数(予想:前期比▲0.3%)
○09:30 ◎ 9月豪住宅建設許可件数(予想:前月比3.0%)
○09:30 ◎ 9月豪小売売上高(予想:前月比0.3%)
○10:30 ◎ 10月中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:49.9)
○10:35 ◎ ブリーデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○16:00 ◎ 9月独小売売上高(予想:前月比▲0.5%/前年比1.6%)
○16:00 ◇ 9月独輸入物価指数(予想:前月比▲0.4%/前年比▲1.4%)
○16:00 ◇ 9月トルコ貿易収支(予想:51.0億ドルの赤字)
○16:45 ◇ 10月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.2%/前年比1.1%)
○16:45 ◇ 9月仏卸売物価指数(PPI)
○17:30 ◎ 7-9月期香港域内総生産(GDP)速報値(予想:前期比横ばい/前年比3.1%)
○18:00 ◎ パネッタ伊中銀総裁、講演
○19:00 ☆ 10月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比1.9%)
○19:00 ☆ 10月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比2.6%)
○19:00 ◎ 9月ユーロ圏失業率(予想:6.4%)
○19:10 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○19:30 ◇ 9月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比横ばい/前年比1.3%)
○20:30 ◇ 10月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○20:35 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演
○21:00 ◎ 9月南アフリカ貿易収支(予想:71億ランドの黒字)
○21:30 ☆ 8月カナダGDP(予想:前月比横ばい/前年比1.5%)
○21:30 ☆ 7-9月期米単位労働コスト・速報値(予想:前期比0.9%)
○21:30 ◎ 9月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.4%)
◎ 9月米個人所得(予想:前月比0.3%)
☆ 9月米PCEデフレーター(予想:前年比2.1%)
☆ 9月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.3%/前年比2.6%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.0万件/188.5万人)
○22:45 ◎ 10月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:47.0)
○シンガポール(ディーパバリ)、インド(ディワリ)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
30日21:49 リーブス英財務相
「この予算は400億ポンドの増税となる」
「2026年のCPIを2.3%と予測(3月時点では1.6%)」
「2027年のCPIを2.1%と予測(3月時点では1.9%)」
「2028年のCPIを2.1%と予測(3月時点では2.0%)」
「2029年のCPIを2.0%と予測」
「小売・飲食業界の事業税に対して上限付きで40%の減税」
「非居住者の税制を廃止」
「一時的な本国送金減税を3年間延長」
「非居住者関連の措置により、今後5年間で127億ポンドの税収増を見込む」
31日00:08 シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事
「インフレ目標を大幅かつ持続的に下回るリスクは依然として小さい」
「金融引き締めの段階的な解除が引き続き適切」
「中立金利は高い不確実性の影響を受ける」
「中立金利を下回る必要はない」
「今日のデータは転換点に達したことを示す最初の兆候」
「金利に関してはデータ依存の姿勢を維持する必要がある」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=10/28安値を支持に押し目買いスタンス>
小陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
4手連続陽線で200日移動平均線や転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は28日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 155.22(7/30高値)
レジスタンス1 153.88(10/28高値)
前日終値 153.42
サポート1 152.41(10/28安値)
サポート2 151.49(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロドル=10/23安値を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
しかし、3手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は転換線1.0817ドルや200日移動平均線1.0869ドルを念頭に置き、23日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0985(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0856
サポート1 1.0761(10/23安値)
<ユーロ円=10/30安値を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
4手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は30日安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 167.95(7/30高値)
前日終値 166.55
サポート1 165.51(10/30安値)
<豪ドル円=上昇中の基準線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
孕み線で反発して転換線100.82円をわずかに上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は転換線を念頭に置き、基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 101.69(10/23高値)
前日終値 100.83
サポート1 99.86(日足一目均衡表・基準線)
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