本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドルの買い場探しは変わらずか、国慶節明けの中国景気刺激策に注目(2024年10月8日)

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October 8, 2024

【前日の為替概況】ドル円、反落し一時147円後半まで下押す オセアニア通貨が軟調

7日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4営業日ぶりに反落。
終値は148.18円と前営業日NY終値(148.70円)と比べて52銭程度のドル安水準だった。
前週末の米雇用統計の結果を受けて、米連邦準備理事会(FRB)による大幅利下げ観測が後退。
アジア市場では一時149.13円と8月16日の高値を付けた。

ただ、欧米市場では利益確定目的の売りなどが優勢となり、じり安の展開となった。
8月16日の高値149.35円や15日の高値149.39円がレジスタンスとして意識された面もあり、23時前に一時147.86円と日通し安値を更新した。
もっとも、米長期金利の上昇に伴うドル買いも入ったため、一本調子で下落する展開にはならなかった。
米長期金利の指標となる米10年債利回りは一時4.0314%前後と8月1日以来およそ2カ月ぶりの高水準を記録した。

ユーロドルは7日ぶりに小反発。
終値は1.0976ドルと前営業日NY終値(1.0974ドル)と比べて0.0002ドル程度のユーロ高水準だった。
前週末に8月15日以来約1カ月半ぶりの安値1.0951ドルを付けたあとだけにポジション調整目的のユーロ買い・ドル売りが入ると、2時30分過ぎに1.0987ドルと日通し高値を更新した。
ただ、米長期金利の上昇や欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測が相場の上値を抑えた。
対オセアニア通貨中心にリスク・オフのドル買いが入ると、ユーロに対してもドル買いが入り一時1.0966ドル付近まで下押しした。

オセアニア通貨は軟調だった。
ダウ平均が一時520ドル超下落するなど、米株式相場が軟調に推移するとリスクセンチメントに敏感なオセアニア通貨に売りが出た。
豪ドル米ドルは一時0.6743米ドル、NZドル米ドルは0.6113米ドルまで値を下げた。
また、豪ドル円は99.84円、NZドル円は90.49円と日通し安値を更新した。

ユーロ円は4日ぶりに反落。
終値は162.63円と前営業日NY終値(163.26円)と比べて63銭程度のユーロ安水準。
ドル円の下落や米国株安に伴う円買い・ユーロ売りが入ると、23時前に一時162.30円と日通し安値を付けた。
その後の戻りも162.74円付近にとどまった。

【本日の東京為替見通し】ドルの買い場探しは変わらずか、国慶節明けの中国景気刺激策に注目

本日のドル円は引き続き買い場探しとなるだろう。
昨日の東京時間では8月中旬以来のドル高・円安水準を更新したこともあり、本邦実需勢のドル売りが上値を抑えた。
水準的にもフォワードポイントを入れると、148円台前半より上の水準で輸出予約をした場合は、来年3月末時点で145円台を確保できる。
各企業によって想定為替レートは異なるだろうが、日銀短観で示された2024年度の想定為替レートが全規模・全産業が145.15円、大規模・製造業は144.96円ということもあり、水準としては売りが出やすいのではないか。
本日もドルの上昇局面では実需勢のドル売りが重しになりそうだ。

もっとも、先週末発表された9月の米雇用統計以来のドルの堅調地合いが変わるのは難しいか。
昨日はドル買いの勢いは削がれたが、米長期金利は2カ月超ぶりの高水準を記録。
CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、11月6-7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%の利下げを予想が0%になり、これまで0%だった据え置きが13.7%まで上昇している。
今週発表される9月の米消費者物価指数(CPI)は前月から低下予想となっているが、予想よりも結果が上回った場合には、据え置き見込みがさらに高まりドルの下値が更に支えられることになる。

本日は本邦からは複数の経済指標が発表予定。
本来であれば、8月の毎月勤労統計調査で発表される実質賃金次第に注目が集まるが、為替の値動きは限定的か。
実質賃金は2カ月連続でプラスであり、3カ月連続上昇となれば、日銀の利上げを容認していると捉えられていた石破政権が「再利上げを否定しない」との見方もあった。
しかしながら、石破首相が先週「現在は追加利上げをするような環境にはない」との見解を示したことで、実質賃金への市場の反応は限られたものになりそうだ。

なお、本日は豪ドルの動きにも注目したい。
複数の経済指標(10月ウエストパック消費者信頼感指数、9月NAB企業景況感指数)が発表される。
また、9月23-24日開催分の豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨も公表予定。
理事会では政策金利が予想通り4.35%で据え置かれ、声明文でもタカ派的な内容が維持された一方、その後の会見でブロックRBA総裁は「前回までと違って利上げを検討しなかった」ことを明らかにした。
声明文と議事要旨にニュアンスの開きがあった場合には、豪ドルは動意づくだろう。
また、ハウザーRBA副総裁の講演も予定されている。

更に、中国では国慶節の大型連休を終えて国内市場が再開されることにも注目。
本日は、国家発展改革委員会が「経済成長促進を目的とした政策」について記者会見を開催する予定。
一部では財政出動措置の発表が期待されている。
発表内容次第で株式市場に大きな影響を与え、リスク許容度に敏感な豪ドルが動意に繋がるかもしれない。

他、昨日にNY原油先物相場は3%超上昇しているように、引き続き中東の動向に多くの市場関係者は警戒している。
中東情勢がさらに悪化した場合には、リスク回避の動きが急進するリスクも念頭に入れて取引をする必要がありそうだ。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:30 ◇ 8月毎月勤労統計(現金給与総額、予想:前年比2.9%)
○08:30 ◇ 8月家計調査(消費支出、予想:前年比▲2.6%)
○08:50 ◎ 8月国際収支速報
     ◇  経常収支(予想:季節調整前2兆9210億円の黒字/季節調整済2兆4190億円の黒字)
     ◎  貿易収支(予想:5324億円の赤字)
○14:00 ◇ 9月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数49.2/先行き判断指数50.5)

<海外>
○07:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○07:30 ◎ ムサレム米セントルイス連銀総裁、講演
○08:01 ◇ 9月英小売連合(BRC)小売売上高調査(予想:前年同月比0.8%)
○08:30 ◇ 10月豪ウエストパック消費者信頼感指数
○09:30 ◇ 9月豪NAB企業景況感指数
○09:30 ◎ 9月豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨
○15:00 ◎ 8月独鉱工業生産(予想:前月比0.8%/前年同月比▲3.8%)
○15:00 ◎ 9月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比1.6%)
     ◎    コア指数(予想:前月比0.3%/前年比1.1%)
○15:45 ◇ 8月仏貿易収支
○15:45 ◇ 8月仏経常収支
○16:00 ◎ クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○19:00 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○21:30 ◇ 8月カナダ貿易収支(予想:5.0億カナダドルの赤字)
○21:30 ◎ 8月米貿易収支(予想:705億ドルの赤字)
○9日01:45 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○9日02:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○9日02:00 ◎ 米財務省、3年債入札
○9日05:00 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、講演

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

7日08:08 ビルロワドガロー仏中銀総裁(インタビューに応じて)
「ECBはおそらく今月利下げを実施するだろう」
「インフレ目標のアンダーシュートに警戒する必要がある」

7日08:59 三村財務官
「投機的な動きを含めて為替市場の動向を注視」
「市場の分析は差し控える」

7日14:00 石破首相
「政府・日銀は共同声明に沿って引き続き連携を確認」
「現時点で日銀との共同声明を見直すことは考えていない」
「金融所得課税強化、具体的に検討することは考えていない」

8日00:24 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
(独紙とのインタビューで)
「インフレとの戦いはまだ終わっていない」

8日03:07 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「リスクのバランスは雇用増加の方向にシフトしている」
「米国経済は全体的に回復力がある」
「インフレ再燃の兆候は見られない」
「インフレが2%の目標に回帰するという自信は大きい」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=雲の中で伸び悩む、買いシグナルは優勢なまま>

ドル円1008

パラメーター1008

陰線引け。
149円台に乗せるも8月半ばの高値圏149.30円台が抵抗水準として意識された。
日足一目・雲の中で失速し、一時147円後半まで押した。
ただ転換線は基準線を上回り、遅行スパンも実線の上であり、買いシグナルは優勢なまま。

上サイドは8月半ばの高値を超えれるかがポイント。
なお一目・雲は、下限の低下に伴い幅が拡大する。
買いスタンス継続だが、雲下限を割り込むようだと様子見としたい。

レジスタンス1 149.39(8/15高値)
前日終値 148.18
サポート1 147.12(ピボット・サポート2)
サポート2 146.90(日足一目均衡表・雲の下限)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=雲の下抜けで、約2カ月ぶり1.09ドル割れも>

ユーロドル1008

パラメーター1008

寄引同事線引け。
1.09ドル半ばから後半で上下し、日足一目・雲の中で気迷い相場となった。
転換線は本日1.1080ドルまで低下し、基準線を下回る。
遅行スパンも実線の下であり、売りシグナルが優勢な展開となった。

目先は4日安値から一目・雲下限(1.0950ドル台から1.0930ドル台)が支持帯として意識される。
割り込むようなら、8月初旬以来の1.09ドル割れが視野に入ってくる。

レジスタンス1 1.1052(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 1.0976
サポート1 1.0882(8/8安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=200日線が支持となるかがポイントに>

ポンド円1008

パラメーター1008

陰線引け。
195円台で買い先行も90日線を超えたところで上昇一服。
日足一目・雲の中に再び入り込み、更に下値を広げた。
ただし、193円台に乗せてきた200日線の手前では下げ止まっている。

193.12円付近まで上昇してきた200日線が本日も支持水準として働くか注目。
クリアに下抜けてしまうと、191円後半の4日安値圏まで下値余地を探る展開も想定しておきたい。
上サイドは、194.11円で横ばいの雲の上限がポイントに。

レジスタンス1 194.76(7日レンジの下値から61.8%戻し)
前日終値 193.87
サポート1 193.12(200日移動平均線)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=転換線を下回って引け、下値余地を探るか>

NZドル円1008

パラメーター1008

陰線引け。
日足一目・雲の上で強含むも92円手前で頭を抑えられ、雲の中に沈むと90円半ばまで下押しした。
結果的に92円前半の200日線が抵抗として機能したことになる。

雲の上を維持できず、一目・転換線を下回って引けたことで本日も上値の重さが意識されそう。
雲の中で下値余地を探るようだと、1日以来の90円割れ、89円台で上向きの21日線を目指す展開も想定される。

レジスタンス1 91.93(10/7高値)
前日終値 90.76
サポート1 89.62(21日移動平均線)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

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商号等:【金融商品取引業者】投資助言業/【登録番号】関東財務局長(金商)907号


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